14 / 26
二度目の人生
何度でも君に恋をする(2)
しおりを挟む──ねえ、クリスティーナのこと、ティーナって、呼んでもいい?
──? うん、いいよ!なら私はフィンセントのことフィンって呼ぶね?
──ありがとう·····ティーナ·····
──どう、いたしまして??
──うん。あ、あとさ、俺、ティーナと·····
これはいつの記憶? 確か、私、フィンと何か約束をした気がするのだけど、なん、だった·····かしら··········。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
チュン·····チュン·····
「ふぁ·····?」
気の葉から溢れ出す光と鳥のさえずりにクリスティーナは目を覚ました。
あれ?私、いつの間に·····
それにしても、随分と懐かしい夢を見たと、クリスティーナは欠伸を噛み締めて、固まった。
「へっ?」
···············。フィン·····?
我がフォリス男爵家の小さなお庭の一番おおきな木の下でクリスティーナは、何故か自分の隣で気持ちよさそうに寝ている美少年·····フィンセントの存在に気づき目を丸くした。
え? なんで!? なんでフィンセントがいるのっ!?
「んっ·····ふわぁ·····クリスティーナ?」
「なっ、フィ、ンセント君·····、おはよう·····。·····何故、貴方がここに居るの?」
「ん? あ! え、えと、クリスティーナ! これは違くて·····」
「·····なに?」
「うぅ·····。クリスティーナに嫌われてる事は知ってる、けど、仲良くしたくて·····、遊びに来たんだ。それで、フォリス男爵·····クリスティーナのお父さんが、クリスティーナはお庭にいるって言うから見に来たら、クリスティーナが寝てて、それで、起きるまで待ってようと思ったんだけど·····」
「·····それで、いつの間にか一緒に寝てたのね·····」
「う、うん·····」
はぁ。一体、どこで間違えたのかしら·····。クリスティーナがいくら考えようともその答えは分からない。
フィンセントと出会って1年がすぎた。私は悩んだ結果、フィンセントを諦めることにした。なのに·····。
私がどれだけ、フィンセントと距離を置こうと、嫌われようとするも、何故か嫌ってくれない。私がどんなに意地悪をしても怒るのは一時的でフィンセントが結局、折れて謝ってくるのだ。だから、先日、思い切って·····
「私、フィンセント君の事、嫌い」
流石にもうこれで、フィンセントは私の事を嫌うはず·····
本当は好き。たけど、これが最適だと思ったから·····、私はフィンセント君にそれだけ言うと、顔を隠すように伏せて、駆け出した。
その後、彼がどんな表情をしていたのかは分からない·····。
「··········」
改めて、目の前にいるフィンセントを見る。
なんで·····私に構うの·····フィン·····
クリスティーナは唇を噛み締めると、強い眼差しでフィンセントを見つめた。
「もう私に構わないでっ·····」
貴方を、諦めきれなくなるじゃない·····
クリスティーナは最近やけに痛む胸を抑えて、駆け出したくなる衝動を堪えた。早く、終わらせないと·····。もう、繰り返したくないのよ·····フィン·····。
1
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜
朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。
(この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??)
これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。
所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。
暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。
※休載中
(4月5日前後から投稿再開予定です)

くじけ転生者な森番は、庶民殿下の友達係
郁季
恋愛
少女桐乃は、遺憾ながら転生者だ。
先代森番のじじいに拾われ、ファミリーネームと居場所をもらった。
奇抜な髪色をのぞけば、いたって普通の十歳の女の子を「している」。
けれど、生きる気力はなかった。
前世の家族が、自分の身体が恋しい。何もかもを奪われて、生きていくには傷が大きすぎた。桐乃は今日も学校に通い、森の家に帰る。変わらない毎日を守ることだけが、自身を守る方法だった。
ある日、桐乃の通う学校に彼がやってきた。
一目見た誰もが彼の素性を悟った。銀の髪、左右で濃淡の異なる瞳の片方には、国主たる証の菱形が浮かんでいる。
彼こそが、十年前に市井に下った王の正統なる子孫、ジークハルト・フォン・ノルンマーズであると。
誰よりも変わることを拒む桐乃と、変わることの極致であるジークハルト。
あるいは彼らの不器用な友だちごっこ、その顛末について。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。
藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」
街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。
だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!?
街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。
彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った!
未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!?
「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」
運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる