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第一章 32歳~
15 友人へ、母へ 34歳
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「大志と付き合うことになったの。」
紗栄子から報告を受けた久美子の瞳が潤んだ。
「良かった。二人とも、素直になったんだね。」
カフェで向かい合い、互いにドリンクを飲む。
「大志、優しくて。私は蓮がどうとか子供がいるとか色々抵抗しちゃったんだけど。」
「だって工藤君は高校生の頃から紗栄子が一番好きだもん。」
紗栄子は顔を赤らめる。
「大学時代に浮気したり、その後も彼女作ったり、“するだけ”の相手を作ったりしても、心の底では紗栄子をずっと大事に思ってたんだと思う。多分、苦しいくらいにね。」
「久美子…。勘弁して…。」
「だって今までは言いたくても言えなかったから。紗栄子が蓮と結婚して子宝にも恵まれて幸せになって、そういう様子を見てることすら彼には幸せだったと思うよ。学生時代はゲス野郎だったかもしれないけど。」
「容赦ないわね、久美子…。」
顔を赤くしたまま笑ったり、紗栄子は忙しい。
「良かった。本当に良かった。…蓮も喜んでるよ。ていうか、工藤君以外の男性じゃ、彼もなかなか認められないと思う。」
「うん…。」
「お母さんには言ったの?」
「まだなの。なんか恥ずかしくて。」
「言わないと、デートできないじゃない。子供とお出かけばっかりじゃ、工藤君には酷だよ。…したくてしたくて仕方ないと思うよ?」
「久美子…。」
もうすでに一回しましたとも言えず。紗栄子は真っ赤になりっぱなしだ。
※
「お母さん、話があるんだけど。」
子供たちが寝付いた夜。紗栄子は改まって母に声をかけた。
「いつもいつも、子供たちと私のために本当にありがとうね。」
「あらやだ、改まってなによ。」
「報告しなきゃいけないことがあって。」
「なに。彼氏できた?」
母親が容赦なく先回りしたことを言うので、紗栄子はここでも真っ赤になる。
「あらやだ。お母さんが言っちゃった。相手は大志くん?」
あらやだと言いながら、またもや先回りをしている。
「…もう何も言うことはないです。」
「そう。あら。まあまあまあ…。大志くん、あんたのこと大好きそうだもんねえ。」
「どうして誰もかれもそういう恥ずかしいこと言うの…。」
「誰もかれもって?」
「久美子。」
母親はおかしそうに笑いだした。
「さすが、久美子ちゃん。よくわかってる。」
「まあ、それで…。今までは子供ごとお出かけしてたけど…。二人でもお出かけしたいのでますますお母さんにご迷惑をおかけするといいますか…。」
紗栄子が妙な敬語を使うので、母は笑ってしまう。
「いいわよ、出かけなさい。大志くん、いちゃいちゃしたくて仕方ないに決まってるわよ。」
「いちゃいちゃって…。普通、私の立場の人間には、恋愛とか浮ついてないで子供たちのこと考えなさいとか言うもんじゃないの?」
「だって、相手は大志くんだし。軽い気持ちで紗栄子に声かけないでしょ。きっと結婚とか考えてるんじゃない?」
「何もかもお見通しで、もうやだよ…。」
母はくすくす笑っている。
「あなたが浮かれて子供のことないがしろにしたらお望み通りぴしゃっと言ってあげるから。まずは、大志くんの気が済むまで行きたいところに行ったり、おつきあいするのよ。」
※
「高野もお母さんもありがたいな。」
「ありがた恥ずかしい。」
「まあね。俺の気持ちもバレバレだったってことで。」
大志の部屋のソファーに座って、優しくキスを交わす。
「今日はベッドに行こうか?」
大志の問いかけに、紗栄子は恥ずかしそうに頷いた。
ベッドに横になり、大志が上から覆いかぶさってキスをする。大志のキスは巧みで、紗栄子はしがみつきながら必死に応える感じだ。
あんまり長いことキスをし続けたので、二人の間で唾液が糸を引いた。それを舐め取るように、大志が紗栄子の上唇を舐める。
カットソーの下から大志は手を入れ、ブラのラインを撫でる。紗栄子はぞくぞくして背中を浮かしてしまう。その隙を突くようにホックが外され、大きな手が胸のふくらみを包む。
「あ…っ。」
ブラごとたくし上げられ、大志の唇が紅い先端をついばむ。快楽のために、紗栄子は膝と膝をこすり合わせた。
「ん…っ。」
やがて男の指がショーツに入り、紗栄子の敏感なところを撫でた。もちろんもう濡れている。
「濡れてる。」
「言わないで。」
「可愛い…。」
若い頃は想像もしなかった。これくらいの年になっても、恥じらいを持って反応したりしてしまうなんて。
指は巧みに動き、紗栄子の中からはどんどん蜜があふれる。しばらくして大志は体を起こし、上半身を脱いだ。紗栄子の体からストッキングを、スカートを、ショーツを奪う。
「や…っ。」
容赦なく顔がうずめられ、紗栄子は体をのけぞらせる。大志の舌遣いは巧みで、早々に果ててしまう。
大志は薄膜を自身にあてがい、ゆっくりと紗栄子の中に入った。
「あっ、あっ、やっ、あっ。」
動きに流され、紗栄子は細切れに喘ぐ。大志もかなり興奮していたらしく、早々に果てた。
「紗栄子…好きだよ…。」
大志の愛の囁きに、紗栄子はどう応えていいかまだわからない。大志のことは愛おしいが、蓮のこともまだ愛している。きっとこれからも、蓮のことは愛している。
それを大志はわかっていて、紗栄子の言葉を欲しがりはしない。
しばらく抱き合って余韻に浸り、やがて大志が体を起こした。
「喉乾いたろ。なにか飲む?」
「ありがとう…。」
激しく求め合ったので、喉が乾いた。用意してくれたアイスティーが、つう、と紗栄子の唇の端からがこぼれると、大志が舐め取る。そしてそれが合図のように、キスが始まる。
母に報告したことで、子供をみてもらう時間の長さについての罪悪感は少し減った。全く感じないわけはないが。
もう一度抱き合いたいという気持ちにセーブがかからない。
「あっ…。」
大志が足元に移動し、紗栄子の右足の指を咥えた。指の股を舐めたり、軽く喰んだり、紗栄子の快感を高める。
足の指先からふくらはぎ、腿へと唇が移動する。それはとてもたまらない感触で、紗栄子は強く枕を握った。
大志は右内腿に刺激を与えるばかりで、それ以上先になかなか進んでくれない。
「大志…。」
「ん?」
「お願い…。」
大志は体を起こすと、紗栄子の望む場所ーーーではなく左足の指を咥え始めた。そこからは同じことの繰り返しだ。
いつまでもいつまでも。大志は左内腿に吸い付いている。
「大志…!」
先程より明らかに不満げな声で紗栄子が大志を見る。
「ん?」
「わかってるでしょ…?」
「なにが?言わなきゃわからないよ。」
嘘だ。紗栄子の求める行動を、場所を、避けて散々焦らしておいて。
「お願い、手、貸して…。」
紗栄子はたまらず大志の右手をつかむと、自身のぬかるみに持っていった。
「仕方ないなあ…。」
大志は親指で突起を、中指で中を刺激し始めた。紗栄子は喉をそらせて喘ぐ。
紗栄子が達したところで大志は指を抜いた。再び自身に薄膜をあてがうと、さっきよりは長い時間をかけて紗栄子の中を擦り上げて果てた。
大志は優しく紗栄子を抱きしめる。
「紗栄子とこうしてるなんて、本当に夢みたいだ。」
「……そう思ってる人のやり方じゃないよ……。」
焦らしに焦らされたのがとても不服らしい。
「学生時代よりは成長したところを見せたくて。」
「もう…。」
「気持ちよくない?」
「そんな恥ずかしいこと、言わせないで…。」
紗栄子から報告を受けた久美子の瞳が潤んだ。
「良かった。二人とも、素直になったんだね。」
カフェで向かい合い、互いにドリンクを飲む。
「大志、優しくて。私は蓮がどうとか子供がいるとか色々抵抗しちゃったんだけど。」
「だって工藤君は高校生の頃から紗栄子が一番好きだもん。」
紗栄子は顔を赤らめる。
「大学時代に浮気したり、その後も彼女作ったり、“するだけ”の相手を作ったりしても、心の底では紗栄子をずっと大事に思ってたんだと思う。多分、苦しいくらいにね。」
「久美子…。勘弁して…。」
「だって今までは言いたくても言えなかったから。紗栄子が蓮と結婚して子宝にも恵まれて幸せになって、そういう様子を見てることすら彼には幸せだったと思うよ。学生時代はゲス野郎だったかもしれないけど。」
「容赦ないわね、久美子…。」
顔を赤くしたまま笑ったり、紗栄子は忙しい。
「良かった。本当に良かった。…蓮も喜んでるよ。ていうか、工藤君以外の男性じゃ、彼もなかなか認められないと思う。」
「うん…。」
「お母さんには言ったの?」
「まだなの。なんか恥ずかしくて。」
「言わないと、デートできないじゃない。子供とお出かけばっかりじゃ、工藤君には酷だよ。…したくてしたくて仕方ないと思うよ?」
「久美子…。」
もうすでに一回しましたとも言えず。紗栄子は真っ赤になりっぱなしだ。
※
「お母さん、話があるんだけど。」
子供たちが寝付いた夜。紗栄子は改まって母に声をかけた。
「いつもいつも、子供たちと私のために本当にありがとうね。」
「あらやだ、改まってなによ。」
「報告しなきゃいけないことがあって。」
「なに。彼氏できた?」
母親が容赦なく先回りしたことを言うので、紗栄子はここでも真っ赤になる。
「あらやだ。お母さんが言っちゃった。相手は大志くん?」
あらやだと言いながら、またもや先回りをしている。
「…もう何も言うことはないです。」
「そう。あら。まあまあまあ…。大志くん、あんたのこと大好きそうだもんねえ。」
「どうして誰もかれもそういう恥ずかしいこと言うの…。」
「誰もかれもって?」
「久美子。」
母親はおかしそうに笑いだした。
「さすが、久美子ちゃん。よくわかってる。」
「まあ、それで…。今までは子供ごとお出かけしてたけど…。二人でもお出かけしたいのでますますお母さんにご迷惑をおかけするといいますか…。」
紗栄子が妙な敬語を使うので、母は笑ってしまう。
「いいわよ、出かけなさい。大志くん、いちゃいちゃしたくて仕方ないに決まってるわよ。」
「いちゃいちゃって…。普通、私の立場の人間には、恋愛とか浮ついてないで子供たちのこと考えなさいとか言うもんじゃないの?」
「だって、相手は大志くんだし。軽い気持ちで紗栄子に声かけないでしょ。きっと結婚とか考えてるんじゃない?」
「何もかもお見通しで、もうやだよ…。」
母はくすくす笑っている。
「あなたが浮かれて子供のことないがしろにしたらお望み通りぴしゃっと言ってあげるから。まずは、大志くんの気が済むまで行きたいところに行ったり、おつきあいするのよ。」
※
「高野もお母さんもありがたいな。」
「ありがた恥ずかしい。」
「まあね。俺の気持ちもバレバレだったってことで。」
大志の部屋のソファーに座って、優しくキスを交わす。
「今日はベッドに行こうか?」
大志の問いかけに、紗栄子は恥ずかしそうに頷いた。
ベッドに横になり、大志が上から覆いかぶさってキスをする。大志のキスは巧みで、紗栄子はしがみつきながら必死に応える感じだ。
あんまり長いことキスをし続けたので、二人の間で唾液が糸を引いた。それを舐め取るように、大志が紗栄子の上唇を舐める。
カットソーの下から大志は手を入れ、ブラのラインを撫でる。紗栄子はぞくぞくして背中を浮かしてしまう。その隙を突くようにホックが外され、大きな手が胸のふくらみを包む。
「あ…っ。」
ブラごとたくし上げられ、大志の唇が紅い先端をついばむ。快楽のために、紗栄子は膝と膝をこすり合わせた。
「ん…っ。」
やがて男の指がショーツに入り、紗栄子の敏感なところを撫でた。もちろんもう濡れている。
「濡れてる。」
「言わないで。」
「可愛い…。」
若い頃は想像もしなかった。これくらいの年になっても、恥じらいを持って反応したりしてしまうなんて。
指は巧みに動き、紗栄子の中からはどんどん蜜があふれる。しばらくして大志は体を起こし、上半身を脱いだ。紗栄子の体からストッキングを、スカートを、ショーツを奪う。
「や…っ。」
容赦なく顔がうずめられ、紗栄子は体をのけぞらせる。大志の舌遣いは巧みで、早々に果ててしまう。
大志は薄膜を自身にあてがい、ゆっくりと紗栄子の中に入った。
「あっ、あっ、やっ、あっ。」
動きに流され、紗栄子は細切れに喘ぐ。大志もかなり興奮していたらしく、早々に果てた。
「紗栄子…好きだよ…。」
大志の愛の囁きに、紗栄子はどう応えていいかまだわからない。大志のことは愛おしいが、蓮のこともまだ愛している。きっとこれからも、蓮のことは愛している。
それを大志はわかっていて、紗栄子の言葉を欲しがりはしない。
しばらく抱き合って余韻に浸り、やがて大志が体を起こした。
「喉乾いたろ。なにか飲む?」
「ありがとう…。」
激しく求め合ったので、喉が乾いた。用意してくれたアイスティーが、つう、と紗栄子の唇の端からがこぼれると、大志が舐め取る。そしてそれが合図のように、キスが始まる。
母に報告したことで、子供をみてもらう時間の長さについての罪悪感は少し減った。全く感じないわけはないが。
もう一度抱き合いたいという気持ちにセーブがかからない。
「あっ…。」
大志が足元に移動し、紗栄子の右足の指を咥えた。指の股を舐めたり、軽く喰んだり、紗栄子の快感を高める。
足の指先からふくらはぎ、腿へと唇が移動する。それはとてもたまらない感触で、紗栄子は強く枕を握った。
大志は右内腿に刺激を与えるばかりで、それ以上先になかなか進んでくれない。
「大志…。」
「ん?」
「お願い…。」
大志は体を起こすと、紗栄子の望む場所ーーーではなく左足の指を咥え始めた。そこからは同じことの繰り返しだ。
いつまでもいつまでも。大志は左内腿に吸い付いている。
「大志…!」
先程より明らかに不満げな声で紗栄子が大志を見る。
「ん?」
「わかってるでしょ…?」
「なにが?言わなきゃわからないよ。」
嘘だ。紗栄子の求める行動を、場所を、避けて散々焦らしておいて。
「お願い、手、貸して…。」
紗栄子はたまらず大志の右手をつかむと、自身のぬかるみに持っていった。
「仕方ないなあ…。」
大志は親指で突起を、中指で中を刺激し始めた。紗栄子は喉をそらせて喘ぐ。
紗栄子が達したところで大志は指を抜いた。再び自身に薄膜をあてがうと、さっきよりは長い時間をかけて紗栄子の中を擦り上げて果てた。
大志は優しく紗栄子を抱きしめる。
「紗栄子とこうしてるなんて、本当に夢みたいだ。」
「……そう思ってる人のやり方じゃないよ……。」
焦らしに焦らされたのがとても不服らしい。
「学生時代よりは成長したところを見せたくて。」
「もう…。」
「気持ちよくない?」
「そんな恥ずかしいこと、言わせないで…。」
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