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太陽系の黄金期

太陽系の黄金期・菱・第325章・IBM-5100

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22世紀

西暦2101年

日本はローラ軍から

地球をテラホーミングする

大量の物資を受けていたが

地球のテラホーミングを行う為の

技術が確立出来ない今

本来は地球再建に使う物資を全て

金星の再建に使う事を決定した

この決定は金星圏に伝えられたが

市民の疲弊は限界に達していた

1月以内に病人とケガ人を収容するコロニーと

1年以内に地上に施設を用意出来れば

地球圏への帰還を諦めると

条件を出された

だが日本にも惑星上に都市を作る

技術は持って居ない

火星圏がその技術を持って居るが

実は火星もキューブの攻撃で大損害を出し

状況は金星よりも悪く

技術者も多くが亡くなり

日本の要請に答えられなかった

そこで日本はかつて日本圏市民が移住した

土星圏・天王星・海王星圏の

惑星開拓用基地建設の技術者に連絡を付ける

土星圏タイタンではローラ軍が運んで来た

物資で再建の目途が付いたが

どうしても不足していた物資が在った

それは天王星圏・海王星圏も同じだった

不足して居たのは物質β

キューブにより地上の設備が破壊され

多くの市民が宇宙服を着て

低重力下に長時間晒され

多くの者が重力障害を起こし

治療に必要な物質βを

技術者達は日本に要求した

物質βは90%以上が金星で採掘されて来たが

金星は水星との衝突回避時の混乱で

物質βを産出している鉱山は落盤を起こして

一時的に採掘を中止していた

流通する残り10%の物質βが

何処から産出しているのか分からなかったが

戦後破壊された月の月面政府施設を調べた結果

残り10%の物質βは

開発が放棄された冥王星の衛星カロンで

採掘されている事が判明した

だがカロンを含む冥王星圏は

火星事変で脱走兵や本国から見捨てられた

敗残兵を中心に発生した

宇宙海賊の拠点になり

土星圏・天王星圏・海王星圏の宙域で暴れまくるが

第一次太陽系大戦が発生するまでに

冥王星圏を拠点とした一派は敗北し

再び宇宙海賊に使われる事を回避する為に

機雷で冥王星圏を包み

二度と宇宙海賊が使う事が出来なくした

だがそれから40年

機雷の一部が機能停止状態になり

機雷源を突破して冥王星圏へ侵入する事が出来ていた

日本から派遣された

責任者のアベは

日本軍は駆逐艦で機雷源に入る事を決意する

この抜け道の機雷は死んでいる筈だが

もしも1基でも生きて居たら

駆逐艦など一瞬で消え去る

無事に機雷源を抜けると

冥王星と衛星カロンが目前に見え

戦艦が主砲を潜宙艦に向けながら接近して来た

通信兵は戦艦から奇妙な信号が送られて来たが

見たことも無いまるで暗号の様な文字の羅列が

何の事か分からず混乱した

アベは撤退するしか方法が無かった

機雷源を出たアベは地球圏の日本政府に

事態を報告

同時に奇妙な信号と謎の戦艦に付いて調べ始めた

破壊され廃墟と化した

月面政府の極秘資料から

謎の戦艦は

旧地球連邦政府が

機雷源を突破した侵入者に対する

無人警備システム

100年間無補給で行動出来

衛星カロンを守っている

地球連邦政府が崩壊した後は

月面政府が密かに引き継ぎ守っていた

無人戦艦が出していた暗号は

『IBM-5100』のプログラムと判明

IBM-5100を使い暗号を解明して

無人戦艦に送信すれば

衛星カロンへの道は開ける

だがIBM-5100は100年以上前のコンピューター

たった1台残っていたIBM-5100は

歴代のコンピューターと共に

月面政府の保管庫に眠っていたが

キューブの攻撃で

すべて失われた

だが今一つ納得出来ないアベだった

たかが衛星一つ守るのに

星を覆う機雷源と無人戦艦

カロンには何か他にも何か

発表できない秘密がるのではと

考え始めるアベの前に

『ミスターアベ久しぶりです

IBM-5100を探しに行きませんか?』

ふり向くとそこに一人の男が立っていた

【あなたは・・・

リオン・カトー】
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