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戦後編そして

戦後編そして・霧・第287章・火星へ

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西暦2093年12月1日

地球圏

旧地球軍事コロニーは

集められるだけの旧地球軍の技術者を集めた

火星到着後協力を拒否出来ない様に

家族を人質として軍事コロニーに収容した

先のエンペラー事件で多くの艦艇が傷付き

護衛が可能な艦艇数はわずか2個艦隊

日本艦隊は軍事コロニーを地球圏から

動かさないとの約束を反故にした火星軍への協力要請を断った

ローラアシェル率いる旧連邦軍第4艦隊は

これまでの動きから今以上の大規模な動きにも

潜宙艦隊以上の戦力が出て来ない事から

艦隊の再建は我々が思っている以上に進んでいないと

火星軍は判断し

たとえ軍事コロニーを奪われても

低速度のコロニーに追い付く事は可能で

地球圏と火星圏では艦隊を完全な形の修理から

簡易な修理で大量の修理を可能にする形に変え

ローラアシェルの艦隊が現れた時の体制を整えた

しかし簡易な修理は攻撃力も防御力も低く

航続距離も限られ敵が包囲網を突破された場合

追撃は不可能になる

本来なら全ての艦艇が完全な形で修理を終えてから

火星圏への軍事コロニーの移動を始めるのがベストなのだが

金星圏でのコロニー落下事件が

占領軍司令官としての立場が危うくなり

同時に腹心である

木星圏司令官ダスフスが起こした

エンペラー事件が

更にグランドの立場を悪くして

早急に軍事コロニーの移送を始める必要に迫られた

これだけの大規模な動きは

ローラアシェルの知る所となり

旧第4艦隊の本拠地では

軍事コロニー奪回を行うか否かの

会議が開かれていた

まず最初にローラアシェルが 発言する

『この4年間戦力が回復せず金星に送られる同胞を助ける事は出来なかった

今でも戦力の回復は70%だしかし軍事コロニーの

最新鋭艦と軍事技術者が敵の手に渡れば

我々の軍事力が100%回復しても

もはや対抗出来なくなる

地球圏を奪還出来る可能性はゼロに近くなる

だが軍事コロニーを手に入れる事に成功すれば

我々は地球圏を奪い返す足掛かりを手に入れる事が出来る

だから私は今回の作戦に持てるすべての戦力を投入する

それでも戦場では何が起きるか分からない

もしも艦隊が敗北して私が命を落としたなら

後の事は要塞守備隊司令官の

R氏にすべてを任せたい』

(分かりました

しかし当面は閣下が軍事コロニーを引き連れて

凱旋された後の事を準備させて頂きます

コロニー内の技術者とその家族を迎え入れる準備と

敵捕虜を入れて置く設備の用意も致しませんと

とにかくこの要塞は更に大所帯になる事になります

この戦いが終わりましたら

本気で居住エリアの増設を考えて頂かないと

要塞がスラム化しかねません)

一同が笑い緊張が解け

『それでは作戦の細部について話を進める』

そして翌日各艦隊は作戦にしたがい

艦隊を発進させる

地球圏

軍事コロニーを中心に護衛艦8隻が

火星に向け発進する

時に西暦2093年12月15日
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