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戦後編そして

戦後編そして・霧・第279章・地の底にて

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西暦2092年

金星圏

地下収容施設に到着した連邦市民は

火星軍の管理地域と日本軍の管理地域に別れる

家族単位と単身者を火星軍と日本軍に振り分ける為に

その選別を火星軍と日本軍が話し合うが

占領軍の編成は火星軍と日本軍の比率は2:1で

火星軍の意見が何より優先され

日本軍の意見は火星軍の中の両軍の団結力が失われる事を憂慮する勢力が

日本軍のメンツを潰さない様に配慮する形で配慮され成立されていた

だがこの地下施設での連邦市民の割り振りには

本国からの指示も在り

連邦市民に課す鉱山労働者としての役割を期待していた火星軍は

鉱山労働に耐えられる者を優先して

自分達の管理エリアに回した

それ以外の労働力として期待されない者達は

日本軍が管理するエリアに回した

結果として日本軍が管理するエリアには

家族単位が多くなり

単身者でも高齢者や若い者達でも体力的に鉱山労働に耐えきれない者達で占められた

その他にも様々な不利な条件を付けられたが

日本軍は3つの条件を火星軍に認めさせた

日本軍と火星軍の市民が期間を決め互いを訪問出来る事

衛星軌道上の食料プラントで生産した食料は

すべて地下施設の住民に配給する事

そしてこれは最後まで火星軍と揉めたが

連邦市民を裁くのに適応する法は

火星でもなくまた日本でもなく

地球連邦の法律を適用する事を求めた

それでは規律が保てないと猛反対する火星軍に対し

日本軍はこれが通らないなら

市民の配分を考え直すと食下がり火星軍が認めたが

公式発表では火星軍のメンツを考え

火星軍の発案として発表された

だがそれも送り込まれる地球市民がやがて居住率が100%を超え

様々な事件が頻発する頃にはすべてが反故にされる事になる

それでも長い旅を終え

ようやく居住施設に到着した連邦市民はこの発表に安堵していた

だが配給される食料以外の生活必需品が労働量に比例すると知らされ

誰もが働かなければ食料以外何も手に入らないと分かる

火星軍管理地区では豊富な鉱山を多くの労働者を使い大規模な開発が行われ

低コストで採掘された鉱石はライバルである小惑星帯の鉱山に十分対抗出来

食料以外の生活必需品が豊富に配給された

火星軍に比べ日本軍の管理地域では鉱山の採掘量は3分の2で

連邦市民に渡された生活必需品はどうしても少なくなったが

それでも日本軍が市民が必要とする病院や学校などの施設を

日本軍の予算を削っても建設された事を知っていた事で

市民に不平を言う者は少なかった

しかしすべてが順調に見えた火星軍の管理地区では

莫大な鉱物資源の売却に関わり

売却利益をかすめ取る者や強者から袖の下を要求する者が出て

金星圏の火星軍は内部からの崩壊が始まり

それはやがて全火星軍を動揺させる事態に発展し

日本軍との間に溝を作り

月面政府が勢力を伸ばす機会を与え

更にローラアシェル率いる第4艦隊が動き出す事になる
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