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第一次太陽系大戦

第一次太陽系大戦・壺・第259章・太陽系大戦・Ⅵ・

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ローラは監視艦隊司令官R氏連れられ

月裏側のムーンベースでもう一人の監視艦隊司令官Wと面会する

誰かに似ているとローラは思った

『失礼だがあなたとは初対面ですが

どこかで見た覚えが在る気がします』

W氏は

【流石だ君の記憶力と直観力には敬服するよ

私は連邦政府特別補佐官は私の父だ】

ローラは出されたコーヒを飲みながら話を聞く

【君は宇宙艦隊司令官の就任を拒んでいる様だが】

ローラは

『確かにこれまで私は幾度も地球艦隊を救って来た

だが第4艦隊は現在修理中

残されたのは傷だらけの巡洋艦と駆逐艦が合わせて1個艦隊そして

無人艦隊が2個艦隊と私の潜宙艦隊のみ

これで数倍の敵と

どう戦えと?

たとえこの月にエンジンを取り付け

攻撃衛星として敵艦隊を攻撃しても

月に取り付けられたエンジンの一部を破壊するだけで

進行方向がズレてしまう

30年前ならいざ知らず

今の月には何の価値も無い』

【もし一撃で艦隊を葬る兵器がこの月に存在するとしたら?】

『見せて頂きましょう話の続きはそれからです』

【良いだろう】

それを聞いたRは

《待って下さいアレを見せるには許可が必要です》

Rの話を遮るように

【次期陰の大統領となる私が許可をするのだ何も問題は無い】

その場に居た全員が凍り付く

W氏とローラを除いて

【ローラ君は動じ無いのかね?

流石私が見込んだ事だけはある】

『次期陰の大統領?冗談でも笑えないですよ』

コーヒを啜りながら毒づいて言う

見る見るうちにW氏の顔が引きつり

【私は陰の大統領である父の跡を継ぎ

必ず次期陰の大統領になる】

『私が知る限り大統領職は王政と違い世襲制ではない筈』

【確かに陰の大統領に成るには多大な功績を上げ

現役の陰の大統領の指名を受け更に

12人のメンバーの支持が在れば可能だ】

大統領特別補佐官が陰の政府の大統領で

地球連邦の事実上の支配者

そしてこの男はこの戦いを

地球圏を守る事ではなく

陰の大統領に成る為の

踏み台にする気か

この男その為には地球さえも犠牲にしかねない

ローラはこの男の持つ危険性を感じ取った

月の裏側のムーンベースから月の南極へ移動し

巨大なゲートが開き内部に入る

ゲートの中は巨大な通路に見えた

途中小さな扉が開き中へと入り

中央に人工太陽が輝く巨大な空間に出た

巨大な1本の柱とそれを支える細い支柱

細いと言ってもスペースコロニーよりも遥かに太い

『月の内部に太陽が在ったとは』

【さすがの君でも驚いたかね?】

ローラは

建物が在る下にも上にも在るそれに人や車両が動いている

まるで巨大なスペースコロニーの内壁と同じだが

月は回転などしていないのに重力が在るとは

この内壁面には人口重力が働いているのか?

『確かに驚いたが見せたい物とは?』

【あの巨大な支柱が大砲だとしたらどうするかね?】

『この様な兵器を開発していたとは聞いていないが』

【この兵器は我々人類が開発したものではない

遥か古代の文明が残した

惑星さえも破壊出来る兵器マナだ】

『古代の兵器?』

月の内部を見回すローラに廃墟と化した都市が目に入る

造られてから数千年が過ぎている建物が並ぶ

それも巨人が住んだと思われる建物も混じっていた

【納得出来たかね?】

『なぜです

なぜこれ程の兵器が在るなら直接敵艦隊を攻撃しないのか』

W氏は廃墟と化した都市を指差し

【先住民が都市を放棄して移住した時の宇宙船の資材として

この兵器の重力鉱石を使い

我々が発見した時この兵器には重力鉱石が殆ど残って居なかった

現在この兵器は100分の1の性能も出せない状態だ

だが敵艦隊を月の北極上空に誘き出せば

一撃で全滅出来る

その為には君に宇宙艦隊を率いてもらわねば出来ない】

『成功の暁には貴方は地球の事実上の支配者となる

それで私には何の見返りが?』

W氏はニヤリと笑い

【軍の最高司令官の地位を君に】

『先払いで危険手当が欲しい』

【英雄は欲深いなまあいいだろう

一体何が欲しいのかね?】

『あなたも知っているように

第4連合艦隊は大量の艦艇を修理中だが

そこに今回の戦いで傷ついた艦艇が大量に運び込まれ

修理の為の資材が不足し

更に負傷兵の医療物資

それ以前に兵士の家族を短期目的で呼び寄せていたが

制宙圏を失った事で地球圏コロニーに戻る事が出来なくなった

大量の物資と食料が必要になった』

余りの大量物資に

【今この場では答えられない】

だがローラはまくしたてる

『たとえ敵艦隊を倒しても

第4艦隊の再建が物資不足で遅れたら

敵艦隊に再建の時間を与える事になる

この兵器は1度しか使えない

敵が同じ手に引っかかる事は無い』

そこでそれまで二人の話を聞いていた

R氏が

《どうやら我々に拒否権は無いようだな》

【間違いなくやってくれるのか】

『地球が負ければ

政府要人だけでなく

我々軍人も戦争犯罪人として裁かれる

必ず勝って見せる

そちらこそ

いざと言う時にこの巨砲が使えない事など

無い様に頼みます』

その後

ローラが月に配備している潜宙艦が

月から火星に送られているレーザー暗号通信を傍受した
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