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第一次太陽系大戦

第一次太陽系大戦・壺・第230章・もしもあの時に・・・

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西暦2090年金星の地下都市

時は下り第二次太陽系大戦後の時代

地球圏宇宙都市出身の30億もの地球人財産のすべてを没収され

地下都市に強制的に移住

火星軍と日本軍が監視の為に駐留し

金星から出る事は一切許されなかった

食料生産が出来ない金星の地下都市に

送られてくる食料と生活物資だけでは足りず

僅かな食料物資を奪い合い

暴動が多発していた

それを取り締まる治安維持部隊は

火星軍と日本軍から編成されていた

日本軍部隊が担当する地域は

禁止されていた治安部隊の物資を僅かだが

住民に横流ししている為

暴動が起きても

日本軍治安部隊の言う事を比較的素直に聞き入れ

解散してくれた

日本軍治安部隊のトップは

同じく金星の地下都市の治安部隊の

火星軍との話し合いで

食料の配給品を増やすべきと

火星軍に申し出たが

彼らは2086年に起こした地球軍への恨みから

配給される物資を増やす事を断り続けるだけでなく

彼らが担当する地区では暴動鎮圧に

放水や催涙弾ではなく

実弾を使い多くの人命が失われ

地下都市の地球人は抵抗組織を作り

旧地球艦隊が参加している

ゴースト艦隊の残党と接触を始めた

彼らのふるさと地球は既に人類が住めない星と化し

宇宙空間に宇宙都市を築きそこで暮らしていたが

敗戦により

地球と月周辺の宇宙都市はすべて解体され

火星の第2の月ルナ2の要塞化に使われ

地球人に帰る場所はもはや無かった

話は西暦2086年まで遡る

火星が30年に及ぶテラホーミングに成功し

地球と同様の環境で全人類が暮らせる事が可能になった時

それまで人類社会を裏で動かしていた

陰の政府は火星圏と日本圏への攻撃を計画

初期段階は全て陰の政府の思惑通りに進み

青き星・火星の軌道ステーションで

地球・日本・火星の代表が2086年に起こったニューイヤー事件及び

火星事件について話し合いが行われる事が決定した

それだけでなく陰の政府は

30億の全地球人類の火星への移住と自治権を火星政府に求める事を計画していた

それは火星に対して事実上の降伏を求める事に成る

会議が決裂すれば

火星と日本に対し全面戦争を始める準備を進めていた

戦争が始まれば木星圏の地球艦隊が土星圏へ攻撃を始める

その火星に土星から多くの民間人を乗せた連絡船タイタンとアメリカーナが

エネルギーネットワークが停止した為火星の軌道エレベーターの宇宙港に滞在していた

地球への修学旅行に向かうローラ・アシュラを乗せて

タイタン内の特別教室では21世紀の地球の歴史が講義されていた

『西暦2021年1月6日から1月20日のD大統領の行動がその後の世界の運命を決定しました

後世の歴史学者がもしもあの時の大統領の行動が違えば人類は今も地球に住み続けていたと発言していますが

実は第三次世界大戦では核兵器の半分しか使われなかったのです

もし全てが使われていたら指向性兵器の全てが破壊され

その後のオウムアムアⅡが原因で地球に落下して来たスペースコロニーを止める事は出来なかった

そして人類は宇宙へ飛び立つ事も出来ず僅かな食料を奪い合い全滅していました』

ローラ達には半世紀以上前の話で退屈な過去の歴史でしかなかった

でも彼女たちはこれから一つの惑星圏が全滅する第三次世界大戦に匹敵する

第一次太陽系大戦が迫っていた
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