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太陽系の夜明け・移民の時代
太陽系の夜明け・移民の時代・士・第203章・誓
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火星宇宙軍港
火星第4艦隊に乗組員と家族が見送りに来ていた
ダッグ司令官も妻マーサと一人娘キャサリンとの別れを惜しんでいた
そこに遠くから
微かな靴音を響かせ
一人のアジアンが歩いて来る
最初に気がついたのは
キャサリンだった
≪グエンおじ様≫
ダッグが振り向くと
そこにはグエン・チャン参謀が居た
「グエン・チャン参謀長
第4艦隊に着任しました」
一瞬気後れして固まるダッグ
そんなダックを見てキャサリンは
≪パパどうしたの?≫
《あっ
いや・・・
ご苦労グエン・チャン》
≪おじさま≫
そう言いながら
キャサリンはグエンに抱き着く
マーサはダックの顔を見て
頭を掻いていてバツが悪そうにしているダッグを見て
マーサはため息をつく
(ダッグ司令官)
誰かがダッグを呼んでいた
《あっ
済まない
それじゃグエンまた後で》
「はい司令官」
そそくさとその場を離れるダッグ
マーサは
〈ごめんなさいグエン〉
「いえ」
〈あの人が艦隊司令官に戻れたのは
貴方のおかげですありがとう
でも又あの人が
貴方の言う事を
聞かなくなった時は
艦隊司令の肩書を失っても
一人の夫・父親として
生きて連れて来て下さい
おねがい〉
グエン・チャンは
厳しい表情でマーサに敬礼をして別れた
火星第4艦隊は宇宙港を離れ
移民船団を率い天王星圏を目指す
後方に日本護衛艦隊が続く
旗艦ベンテンでは
副官のシャインが司令官に
<これでよろしいのでしょうか
私は何か漠然とした不安が残ります
司令は何故彼を再び艦隊司令の地位に
戻したのですか?>
『人の上に立つ人間はある日突然
一皮むける事が在る
彼にはそれが出来る
第4火星艦隊旗艦
パトロールからの敵影発見の報告もなく
乗組員は休憩スペースで寛ぐ事が出来た
そこに艦長室のコーヒードリップが故障し
仕方なく自動販売機でコーヒーを購入して
部屋の隅で飲んでいた
そこに休憩時間になり
多くの兵士が詰めかけた
艦長は彼らの邪魔はしない様に
後ろ向きでコーヒーを飲んでいたが
一人の兵士が気が付いた
(か・艦長)
一斉に起立して敬礼する兵士達
その多くは
アフリカーナとアジアン
それに応え敬礼するダッグ
《まあまあ
今は休憩中だリラックス
リラックス》
笑顔で答える
艦長の姿に兵士たちは戸惑いながらも
その場は和んで行く
兵士達と艦長の話は続き
《君達には申し訳ないが
この船は艦隊旗艦だ
いざと言う時は見方を守る為に
犠牲になる場合がある
だがその前に必ず退艦命令を出す
必ず逃げろ諸君を待っている
家族の為にな
死ぬのは私一人でいい》
兵士達の間で
アフリカーナやアジアンの事など
二の次の
アメリカーナ主義と思われていた
艦長の発言に衝撃を受け
一人の兵士が
(どうして我々兵士にそこまで
気に掛けて頂けるのですか?)
《私は生粋のアメリカーナとして育てられたが
両親不在で何時も世話をしてくれたのは
アフリカーナやアジアンの使用人達だった
地球軍を飛び出し
火星軍の士官学校に入れたのも
この年で艦隊司令官になれたのも
アフリカーナやアジアン系が
何時も支えてくれた事を
何も分かって居なかった
そして
査問委員会で日本軍の
アフリカーナに助けられて
はっきりと分かった
これからは自分の出世ではなく
支えて来てくれた者の為に生きるべきと
こんな当たり前の事に
気が付くのにずいぶん掛かってしまった》
誰も一言も発する者は居なかった
彼らが目指す天王星圏では
地球と日本の船舶が航行用のエネルギー中継機器2つを
地球艦隊が守っていた
通常の艦隊ではなく
各警備隊の寄せ集めの艦隊だった
移民船団を護衛する艦隊は
余りにも強力で
今回ゴースト艦隊が狙うとすれば
このエネルギー中継機器と思われたが
地球軍は幾度もの戦いで消耗した
ゴースト艦隊に凝る戦力が
僅かだと過小評価していた
乗組員は
司令部も各艦艇の人員も
士官学校を出ているエリート部隊の
第1・第2艦隊と違い
戦場で手柄を上げた
下士官から左官・将官になった
叩き上げばかりの猛者達
総司令官コバヤシは
今回の任務が終われば退任する
同じく
副官・総参謀長も
今回の任務が終われば
士官・兵学校の講師となる予定で
第一線を退く
護衛任務が終了すれば
艦艇の殆ども
第一線から退き
廃艦や練習艦となる予定
そんな時
CICから空間魚雷接近の報告が入る
(3時の方角より魚雷多数接近)
突然の出来事に
〔敵は何処だ〕
(レーダーに敵艦の反応ありません)
〔潜宙艦か
ソナーを打て
敵艦の位置を測定せよ〕
ソナーが打たれ敵艦の正体が判明したが
(敵艦3時の方角に潜宙艦3隻
しかし)
〔なんだ報告を続けろ〕
(艦影から判断して
地球軍の潜宙艦ですが
これは試作艦として作られた
3隻ですでに演習用の標的として
廃艦処分されたはずです)
〔そうか
誰かがゴースト艦隊に横流しをしたと言う事か〕
すると参謀長が
{私が情報部にいたとき
ゴースト艦隊があれだけの規模を
維持するには補給が必要なはずで
地球の軍事企業の中に物資を
横流しをしている者が居る筈と
調査が議論されたが
軍トップから止められましたが
やはり当たっていたようですな}
‹今回のアフリカーナによる
天王星圏での事実上の国家樹立には
表には出ませんが
アメリカーナによる反対が在ったようです›
〔副長もそう聞いていたか
だがこのままやられるわけにはいかん
全艦対潜宙艦戦闘用意〕
駆逐艦隊が攻撃に向かうが
最新鋭の潜宙艦とスクラップ寸前の艦では
相手にならず
次第に地球軍は劣勢になる
最後の駆逐艦が沈められ
ゴースト艦隊の潜宙艦は
地球軍の宇宙船航行用の
エネルギー中継機器に攻撃を始め
直撃する
もはや地球艦隊に打つ手は無かった
その時CICより
(12時の方角より空間魚雷来ます)
〔新手の敵か〕
だが12時方向の魚雷は
ゴースト艦隊が放った3時方向からの
魚雷を破壊した
そして何も無い空間から
戦闘機が飛び出した
〔何事だ〕
(CICより艦橋へ
味方です
日本軍の潜宙艦です)
〔そうかあれが日本軍の潜宙空母か〕
<こちら日本軍
遅くなり済まない>
〔助かったよありがとう〕
形勢不利と悟ったゴースト艦隊は撤退した
だが地球軍中継機器が破損
エネルギー中継が止まり
天王星圏に向かう移民船団が停止した
(こちら移民コロニーエンジン停止
中継エネルギーレベルゼロ航行不能)
<こちら日本輸送船団
こちらは航行可能だ
地球船団何が起こっている>
混乱の中
天王星圏の航行用エネルギー中継機器の
一部が破損した事が伝えられた
移民船団の各責任者は
火星第4艦隊旗艦に集まり協議した
問題は3時間後に流星群が通過する事
このままでは移民船団は全滅する
ゴースト艦隊もこれを狙い
中継機器を破壊したと思われた
現在の状況は
日本系のエネルギーシステムは生きているので
日本の輸送船団は移動出来るが
地球系のエネルギーシステムは
部品を交換しない限り修理不可能
移民船団の中核の移民コロニーは
地球系であり完全に停止
だが幸いな事に移民コロニーを除く
地球の輸送船団は
地球と日本両方のエネルギーシステムが使える
ハイブリット型で日本型に切り替えて
航行は可能になった
天王星圏のエネルギーステムの
修理部品として
日本側のエネルギー機器から
部品を取り外して使える事が判明
協議の結果
日本艦隊は流星群到達する空域から
移動式コロニー以外の船団を率い
安全圏到達後
天王星圏の地球側エネルギー機器の修理を開始
地球側のエネルギーシステムが回復するまで
火星艦隊は移動式コロニーを護衛する
直ちに作戦は開始され
ただ一隻移動式コロニーは残され
護衛するのがアフリカ系の日本艦隊はなく
アメリカーナを自称する
火星艦隊司令官ダックである事に
コロニーの移民達は自分達が見捨てられたと
嘆いていた
日本艦隊率いる船団が安全圏に到達し
天王星圏で地球側の航行用エネルギーシステムの
修理が始まる
日本側のエネルギー機器から
部品を取り外し
地球側のエネルギー機器に取り付けるが
動かない
調査の結果
回路の一部に僅かな破損が見つかる
急ぎ取り換え修理は完了した
しかし僅か5分だが修理が遅れた
コロニーは移動を開始するが
速度が上がる前に流星群の小さな破片が
移動式コロニーに衝突
外壁は破壊されないが
これ以上大きな破片が衝突すれば
コロニーに穴が開き
移民達は宇宙空間に放り出され
全滅してしまう
そしてもう少しで安全圏に脱出する寸前
巨大な流星がコロニーを目指し
直進してくる
内部ではもう宇終わりだと
人々は泣き叫び
パニックになる
火星艦隊は持てるすべての
兵器を使い流星を破壊するが
破片の一つがコロニーに向かう
ダックは
《機関出力全開流星とコロニー間に入れ
本艦を衝突させてコロニーを守る
総員退艦急げ
船の舵は自分が取る
参謀長・副官退艦をしてくれ》
だが二人は動かない
「レーダーやエンジン出力を
見る者が必要です」
《分かった頼む》
(エンジン出力問題なし)
「進路取り舵じ10」
コロニーの住民は
火星艦隊旗艦が流星コロニーとの間に入り
自分たちを守っている事に驚く
(火星艦隊の司令官は
俺達アフリカーナを守っている)
(そんなアメリカーナが居るのか)
ダッグの操艦で船の左舷に
流星の破片を衝突させ
コロニーを守った
だが船は大破次々と誘爆
《ドアも開かないダメか
参謀長・副官
付き合わせて悪かった》
「いえこれも参謀の務めです」
ドアを破り兵士達が入って来た
《総員退艦を命じた筈だ》
(申し訳ありません
スピーカーの故障で
聞こえませんでした)
《馬鹿者家族が居るだろう》
(閣下にもおられます)
《すまん
また助けられたな》
旗艦は爆発したが
乗組員は無事退艦した
数日後エネルギー中継機器は回復
移民船団は無事天王星圏に到着した
1か月後
破壊された火星艦隊旗艦に代わり
最新鋭の親造艦が配備された
その船には
ダックの妻と娘が乗っていた
≪パパー≫
娘のキャサリンが
ダックの胸に飛び込んで来た
〈あなた良くご無事で〉
《心配を掛けてごめん》
そして横にいるグエンに
〈ありがとうあなたのおかげで
主人は生きて帰ってきた〉
「いえこれも参謀の役目です」
≪やっぱりパパはおじさまが居ないとダメなの?≫
《ああ
パパにはグエンが居ないと
やっぱりダメだな
グエンこれからも頼むよ》
「はい」
天王星圏にこの日新しい移民国家の誕生が宣言された
火星第4艦隊に乗組員と家族が見送りに来ていた
ダッグ司令官も妻マーサと一人娘キャサリンとの別れを惜しんでいた
そこに遠くから
微かな靴音を響かせ
一人のアジアンが歩いて来る
最初に気がついたのは
キャサリンだった
≪グエンおじ様≫
ダッグが振り向くと
そこにはグエン・チャン参謀が居た
「グエン・チャン参謀長
第4艦隊に着任しました」
一瞬気後れして固まるダッグ
そんなダックを見てキャサリンは
≪パパどうしたの?≫
《あっ
いや・・・
ご苦労グエン・チャン》
≪おじさま≫
そう言いながら
キャサリンはグエンに抱き着く
マーサはダックの顔を見て
頭を掻いていてバツが悪そうにしているダッグを見て
マーサはため息をつく
(ダッグ司令官)
誰かがダッグを呼んでいた
《あっ
済まない
それじゃグエンまた後で》
「はい司令官」
そそくさとその場を離れるダッグ
マーサは
〈ごめんなさいグエン〉
「いえ」
〈あの人が艦隊司令官に戻れたのは
貴方のおかげですありがとう
でも又あの人が
貴方の言う事を
聞かなくなった時は
艦隊司令の肩書を失っても
一人の夫・父親として
生きて連れて来て下さい
おねがい〉
グエン・チャンは
厳しい表情でマーサに敬礼をして別れた
火星第4艦隊は宇宙港を離れ
移民船団を率い天王星圏を目指す
後方に日本護衛艦隊が続く
旗艦ベンテンでは
副官のシャインが司令官に
<これでよろしいのでしょうか
私は何か漠然とした不安が残ります
司令は何故彼を再び艦隊司令の地位に
戻したのですか?>
『人の上に立つ人間はある日突然
一皮むける事が在る
彼にはそれが出来る
第4火星艦隊旗艦
パトロールからの敵影発見の報告もなく
乗組員は休憩スペースで寛ぐ事が出来た
そこに艦長室のコーヒードリップが故障し
仕方なく自動販売機でコーヒーを購入して
部屋の隅で飲んでいた
そこに休憩時間になり
多くの兵士が詰めかけた
艦長は彼らの邪魔はしない様に
後ろ向きでコーヒーを飲んでいたが
一人の兵士が気が付いた
(か・艦長)
一斉に起立して敬礼する兵士達
その多くは
アフリカーナとアジアン
それに応え敬礼するダッグ
《まあまあ
今は休憩中だリラックス
リラックス》
笑顔で答える
艦長の姿に兵士たちは戸惑いながらも
その場は和んで行く
兵士達と艦長の話は続き
《君達には申し訳ないが
この船は艦隊旗艦だ
いざと言う時は見方を守る為に
犠牲になる場合がある
だがその前に必ず退艦命令を出す
必ず逃げろ諸君を待っている
家族の為にな
死ぬのは私一人でいい》
兵士達の間で
アフリカーナやアジアンの事など
二の次の
アメリカーナ主義と思われていた
艦長の発言に衝撃を受け
一人の兵士が
(どうして我々兵士にそこまで
気に掛けて頂けるのですか?)
《私は生粋のアメリカーナとして育てられたが
両親不在で何時も世話をしてくれたのは
アフリカーナやアジアンの使用人達だった
地球軍を飛び出し
火星軍の士官学校に入れたのも
この年で艦隊司令官になれたのも
アフリカーナやアジアン系が
何時も支えてくれた事を
何も分かって居なかった
そして
査問委員会で日本軍の
アフリカーナに助けられて
はっきりと分かった
これからは自分の出世ではなく
支えて来てくれた者の為に生きるべきと
こんな当たり前の事に
気が付くのにずいぶん掛かってしまった》
誰も一言も発する者は居なかった
彼らが目指す天王星圏では
地球と日本の船舶が航行用のエネルギー中継機器2つを
地球艦隊が守っていた
通常の艦隊ではなく
各警備隊の寄せ集めの艦隊だった
移民船団を護衛する艦隊は
余りにも強力で
今回ゴースト艦隊が狙うとすれば
このエネルギー中継機器と思われたが
地球軍は幾度もの戦いで消耗した
ゴースト艦隊に凝る戦力が
僅かだと過小評価していた
乗組員は
司令部も各艦艇の人員も
士官学校を出ているエリート部隊の
第1・第2艦隊と違い
戦場で手柄を上げた
下士官から左官・将官になった
叩き上げばかりの猛者達
総司令官コバヤシは
今回の任務が終われば退任する
同じく
副官・総参謀長も
今回の任務が終われば
士官・兵学校の講師となる予定で
第一線を退く
護衛任務が終了すれば
艦艇の殆ども
第一線から退き
廃艦や練習艦となる予定
そんな時
CICから空間魚雷接近の報告が入る
(3時の方角より魚雷多数接近)
突然の出来事に
〔敵は何処だ〕
(レーダーに敵艦の反応ありません)
〔潜宙艦か
ソナーを打て
敵艦の位置を測定せよ〕
ソナーが打たれ敵艦の正体が判明したが
(敵艦3時の方角に潜宙艦3隻
しかし)
〔なんだ報告を続けろ〕
(艦影から判断して
地球軍の潜宙艦ですが
これは試作艦として作られた
3隻ですでに演習用の標的として
廃艦処分されたはずです)
〔そうか
誰かがゴースト艦隊に横流しをしたと言う事か〕
すると参謀長が
{私が情報部にいたとき
ゴースト艦隊があれだけの規模を
維持するには補給が必要なはずで
地球の軍事企業の中に物資を
横流しをしている者が居る筈と
調査が議論されたが
軍トップから止められましたが
やはり当たっていたようですな}
‹今回のアフリカーナによる
天王星圏での事実上の国家樹立には
表には出ませんが
アメリカーナによる反対が在ったようです›
〔副長もそう聞いていたか
だがこのままやられるわけにはいかん
全艦対潜宙艦戦闘用意〕
駆逐艦隊が攻撃に向かうが
最新鋭の潜宙艦とスクラップ寸前の艦では
相手にならず
次第に地球軍は劣勢になる
最後の駆逐艦が沈められ
ゴースト艦隊の潜宙艦は
地球軍の宇宙船航行用の
エネルギー中継機器に攻撃を始め
直撃する
もはや地球艦隊に打つ手は無かった
その時CICより
(12時の方角より空間魚雷来ます)
〔新手の敵か〕
だが12時方向の魚雷は
ゴースト艦隊が放った3時方向からの
魚雷を破壊した
そして何も無い空間から
戦闘機が飛び出した
〔何事だ〕
(CICより艦橋へ
味方です
日本軍の潜宙艦です)
〔そうかあれが日本軍の潜宙空母か〕
<こちら日本軍
遅くなり済まない>
〔助かったよありがとう〕
形勢不利と悟ったゴースト艦隊は撤退した
だが地球軍中継機器が破損
エネルギー中継が止まり
天王星圏に向かう移民船団が停止した
(こちら移民コロニーエンジン停止
中継エネルギーレベルゼロ航行不能)
<こちら日本輸送船団
こちらは航行可能だ
地球船団何が起こっている>
混乱の中
天王星圏の航行用エネルギー中継機器の
一部が破損した事が伝えられた
移民船団の各責任者は
火星第4艦隊旗艦に集まり協議した
問題は3時間後に流星群が通過する事
このままでは移民船団は全滅する
ゴースト艦隊もこれを狙い
中継機器を破壊したと思われた
現在の状況は
日本系のエネルギーシステムは生きているので
日本の輸送船団は移動出来るが
地球系のエネルギーシステムは
部品を交換しない限り修理不可能
移民船団の中核の移民コロニーは
地球系であり完全に停止
だが幸いな事に移民コロニーを除く
地球の輸送船団は
地球と日本両方のエネルギーシステムが使える
ハイブリット型で日本型に切り替えて
航行は可能になった
天王星圏のエネルギーステムの
修理部品として
日本側のエネルギー機器から
部品を取り外して使える事が判明
協議の結果
日本艦隊は流星群到達する空域から
移動式コロニー以外の船団を率い
安全圏到達後
天王星圏の地球側エネルギー機器の修理を開始
地球側のエネルギーシステムが回復するまで
火星艦隊は移動式コロニーを護衛する
直ちに作戦は開始され
ただ一隻移動式コロニーは残され
護衛するのがアフリカ系の日本艦隊はなく
アメリカーナを自称する
火星艦隊司令官ダックである事に
コロニーの移民達は自分達が見捨てられたと
嘆いていた
日本艦隊率いる船団が安全圏に到達し
天王星圏で地球側の航行用エネルギーシステムの
修理が始まる
日本側のエネルギー機器から
部品を取り外し
地球側のエネルギー機器に取り付けるが
動かない
調査の結果
回路の一部に僅かな破損が見つかる
急ぎ取り換え修理は完了した
しかし僅か5分だが修理が遅れた
コロニーは移動を開始するが
速度が上がる前に流星群の小さな破片が
移動式コロニーに衝突
外壁は破壊されないが
これ以上大きな破片が衝突すれば
コロニーに穴が開き
移民達は宇宙空間に放り出され
全滅してしまう
そしてもう少しで安全圏に脱出する寸前
巨大な流星がコロニーを目指し
直進してくる
内部ではもう宇終わりだと
人々は泣き叫び
パニックになる
火星艦隊は持てるすべての
兵器を使い流星を破壊するが
破片の一つがコロニーに向かう
ダックは
《機関出力全開流星とコロニー間に入れ
本艦を衝突させてコロニーを守る
総員退艦急げ
船の舵は自分が取る
参謀長・副官退艦をしてくれ》
だが二人は動かない
「レーダーやエンジン出力を
見る者が必要です」
《分かった頼む》
(エンジン出力問題なし)
「進路取り舵じ10」
コロニーの住民は
火星艦隊旗艦が流星コロニーとの間に入り
自分たちを守っている事に驚く
(火星艦隊の司令官は
俺達アフリカーナを守っている)
(そんなアメリカーナが居るのか)
ダッグの操艦で船の左舷に
流星の破片を衝突させ
コロニーを守った
だが船は大破次々と誘爆
《ドアも開かないダメか
参謀長・副官
付き合わせて悪かった》
「いえこれも参謀の務めです」
ドアを破り兵士達が入って来た
《総員退艦を命じた筈だ》
(申し訳ありません
スピーカーの故障で
聞こえませんでした)
《馬鹿者家族が居るだろう》
(閣下にもおられます)
《すまん
また助けられたな》
旗艦は爆発したが
乗組員は無事退艦した
数日後エネルギー中継機器は回復
移民船団は無事天王星圏に到着した
1か月後
破壊された火星艦隊旗艦に代わり
最新鋭の親造艦が配備された
その船には
ダックの妻と娘が乗っていた
≪パパー≫
娘のキャサリンが
ダックの胸に飛び込んで来た
〈あなた良くご無事で〉
《心配を掛けてごめん》
そして横にいるグエンに
〈ありがとうあなたのおかげで
主人は生きて帰ってきた〉
「いえこれも参謀の役目です」
≪やっぱりパパはおじさまが居ないとダメなの?≫
《ああ
パパにはグエンが居ないと
やっぱりダメだな
グエンこれからも頼むよ》
「はい」
天王星圏にこの日新しい移民国家の誕生が宣言された
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