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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第176章・それぞれの故郷の為に

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火星艦隊旗艦

(提督

潜宙艦隊より打電

アステロイド・ベルト・メモリー

成功)

「そうか」

≪前方艦隊反応≫

(分析を急げ)

≪戦闘艦1

重巡洋艦8

高速巡洋艦10

駆逐艦20

空母及び掃海艇0≫

(情報部の報告と違う

掃海艇と空母は

全滅した前衛艦隊と同行したのか)

「空母速度が遅い

高速艦艇で編成された

前衛艦隊とは同行出来ない」

(ではまさか)

「航空戦力による先制攻撃

私ならそうする

偵察機発進

対空戦闘用意

迎撃機発進準備」

(待って下さい

すでに木星圏守備艦隊は

金星の同胞を殺した

キィム中将を憎む

金星出身の兵士達を中心に

我が方に寝返った筈)

「確かに

だがそのキィム中将はもう居ない

それと忘れている様だが

木星圏守備艦隊には

地球や月の出身者も居る

木星圏の攻撃衛星で

地球圏を攻撃されたら

家族に犠牲者が出る」

(ではキィム中将が戦死した今

寝返りは密約は白紙になったと)

「それどころか窮鼠となり

3倍の我が火星艦隊を迎え撃つと見た」

≪偵察機から入電

艦隊上方及び下部から敵航空隊接近≫

「迎撃機発進」

(第一航空隊は上方に

第二航空隊は下方に)

「参謀長

艦隊左右後方に駆逐艦隊を展開

艦隊前方の機雷を排除する

対機雷除去

レールキャノン用意」

(前方に機雷反応は在りません

それにどうして後方と右舷左舷に

駆逐艦を配備するのですか

艦隊の防御が手薄になります)

「艦隊の上と下を押さえ

後方と右舷左舷から

潜宙艦の雷撃

逃げ場は前方にしか無い

機雷源に艦隊をおびき寄せ

我々は全滅させる

良く出来た作戦だ」

(しかし機雷反応が有りません

主砲の空撃ちなど

臆病者の所業)

「確かに何もない空間を

空撃ちするなど

滑稽の極みだが

この戦いに負ければ

火星に未来が無い事は

我らも同じだ

全ての不名誉は

私が負う

撃たせてくれ

頼む」

(分りました

対機雷排除レールキャノン用意

照準は不要

各艦進行方向の空間を撃てっ)

砲弾が何もない空間を通過

次の瞬間

機雷が次々と爆発

(確かに機雷の反応は無かった筈だが)

「ステルス性機雷だろう」

≪後方及び右舷左舷に

ステルス性潜宙艦隊発見≫

「駆逐艦隊に任せろ

本隊はこれより機雷源を突破して

敵木星圏守備艦隊を撃つ」
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