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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第175章・トラップ

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地球艦隊は小惑星帯で火星艦隊の

ステルス潜宙艦の襲撃を受け

足止めを受けていた

地球艦隊旗艦は大小の破片で構成される

小惑星の中から潜宙艦を発見出来ず

思わぬ方向から攻撃を受け

更に浮遊機雷に接触して

被害が拡大していた

潜宙艦を攻撃出来る

駆逐艦はすでに壊滅していた

艦隊司令は

すでに木星圏に到着していた

駆逐艦と高速巡洋艦で構成された

前衛艦隊に救援を依頼

キィム中将は

金星出身者が多い

木星圏守備艦隊が

裏切る可能性を考え

前衛艦隊だけが出撃した

その様子を見ていた火星の潜宙艦から

火星艦隊に伝えられた

(提督

木星圏守備艦隊は

木星圏に残されました)

「味方を信じられんか

前衛艦隊の指揮官は金星の

亡命者が乗る輸送船を沈めた事で

疑心暗鬼になり

判断を誤らせたか

我が艦隊は予定通りの進路を進む」

キィム中将率いる

前衛艦隊が小惑星帯に接近すると

浮遊機雷が前進を阻んだ

〔機雷掃海艇前進

機雷を排除しろ〕

掃海艇が機雷を破壊すると

空間魚雷の一斉射が

艦隊を襲う

迎撃魚雷で迎え撃ち

駆逐艦隊が閃光ソナーと

アンチ・ステルス・ブイで

潜宙艦を発見

次々に撃沈された

主力艦隊を包囲していた

浮遊機雷を全て排除して

前衛艦隊は主力艦隊と合流した

キィム中将は

<前衛艦隊の司令官では

大将に昇進が限界だと思っていたが

元帥への昇進も夢では無いな>

勝利に酔いしれる地球艦隊

しかし後方の小惑星帯が

閃光に包まれた

火星艦隊が小惑星に仕掛けた

起爆装置が爆発を起こし

小惑星の破片が地球艦隊を襲う

戦闘艦や大型空母は装甲の厚さが幸いして

致命的な損傷は無いが

装甲が薄い

高速艦艇や駆逐艦や掃海艇は

ひとたまりも無く破壊された

<そうか

目的は我々前衛艦隊か

負けてしまえば

元帥も夢か>

前衛艦隊は全滅

生き残った主力艦隊も修理が終わるまで

この場を動けなかった

『現状報告』

≪前衛艦隊は全滅

我が主力艦隊は小型艦艇の3割を失いましたが

戦闘艦・空母・巡洋艦は健在

応急修理が完了次第

木星圏に向け発進出来ます≫

『敵は何故高速艦艇を

全滅させたと思う』

≪火星艦隊の中に

金星の住民を虐殺した

前衛艦隊司令官の

キィム中将を憎む

亡命者が多く居たからでは≫

『それもあるだろう

だが今この隙をついて

火星艦隊の本隊が

木星圏を襲撃しても

高速艦艇は全滅

主力艦隊は修理で動けない

そしてキィム中将が危惧した

金星の出身者が多い

木星圏守備艦隊が火星に寝返れば

木星圏の攻撃衛星が

火星の手に落ち

地球に向けて発射されても

地球を守るべき

攻撃衛星は先の小惑星の迎撃に

すべて使い果たした

地球を守る手段は無い』

≪ま・まさか≫

[こちら地球艦隊旗艦どうぞ

了解]

『どうした』

[木星圏守備艦隊より打電

われ火星艦隊を発見せり]
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