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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第172章・星が動く時

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火星艦隊巡洋艦オウドは

エンジンが破壊され

通信設備も使用不能

食糧も医薬品も尽き

死を待つだけとなる

突然強力なライトに照らされ

発光信号で

日本コロニー巡視船と名乗り

救助活動を始めた

生き残っていた艦長以下

数十名を収容日本コロニーに向かう

その後金星の悲劇が起こしてまで進められた

宇宙都市建設計画は

小惑星を移動させる目的の

コロニー型ロケット生産に変更され

宇宙都市の生産は中止された

小惑星の鉱物資源には

これまでにない

宇宙船のエンジンに必要な

レアメタルが含まれ

理論的には

冥王星までの往復を

短時間で可能にする

それは今世紀中の太陽系開拓を可能にすると同時に

巡洋艦や中型空母が限界と考えられていた

宇宙艦隊が大型戦闘艦や巨大空母の建造と運用を可能にした

そして月クラスの衛星を動かすエンジンの開発も

それは火星に取り

地球が月クラスの大きさの天体を

衝突させて火星が消滅する危険性をはらんでいた

火星は小惑星の資源を使い

小惑星にエンジンを取り付け

攻撃衛星を始めて実戦配備した

だがそれは地球側を刺激し

それまで小惑星にエンジンを取り付け

兵器とする事に反対して来た

連邦議会の反対派を沈黙させ

対抗上木星圏の衛星に

エンジンを取り付けた

攻撃衛星の開発の決議を通す結果となる

完成後火星はそれまでの独立が失われると判断

地球が示す和平条約を時間延ばしと判断

持てるすべてを軍事面に注ぎ込んだ

地球は和平交渉の決裂を認め

軍事力による解決を選択した

地球圏と木星圏の防衛の為に

宇宙艦隊を増設した

その規模は火星の10倍に達した

その渦中日本コロニーは

軍事力の増強を余儀なくされたが

同時に戦後を予想し難民を収容する為の

宇宙都市の建設も進めた

そして地球・火星双方に話し合いを粘り強く求めた

木星圏の衛星を移動させる為の

作業が完了する数日前

火星から地球に対し

和平交渉を申し出た

世界は太陽系大戦の回避に安堵した

だが金星で生まれた反地球勢力は

それを許さなかった

火星のマザー・AIにアクセス

火星が持つ小惑星兵器を動かし

日本コロニーに向けて発射された
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