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戦後編・選択の時代

戦後編・選択の時代・参・第117章・日本と台湾の一番長い日(中編)

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日本と台湾の併合を国民に問う国民投票の当日

ケン18歳高校生

両親と妹

戦死した兄の義姉と甥と姪と同居中

ふと見たTVに地元の駅と爆弾を持っている

甥と姪が映っていた

家を飛び出し駅前に駆けつける

野次馬を掻き分け二人に近づこうとするが

警察官に阻止される

『放せ俺はあの二人の叔父だ

たけしーゆみー』

《おじちゃーん》

二人が答えケンに向かって

歩き出そうとする

<動くな爆発する>

懸命に二人を止める警察官達

(分かったその少年を通せ)

現場指揮官が二人の子供をなだめる為に

ケンを拘束している警官達に指示する

急いで二人の元に走り寄るケン

《おじちゃ~ん》

二人は涙目でケンが差し出した手を握る

『もう少しのしんぼうだからな』

《うん・分かった》

『説明して下さい』

ケンは警察官に聞く

〔この二人の鞄から

火薬の反応がある

火薬探知犬が反応している

間違いない)

『お前達この鞄何処で拾った?』

《ベンチ兵隊さんが忘れたの届けるのー》

『そうかえらいぞ兵隊さんには

叔父さんが届けてやる』

ケンが鞄に手を伸ばす

<おい待て>

ケンは警察官の制止を無視して

鞄を二人から受け取る

『早く二人を連れて逃げろ』

一瞬たじろぐ警官達

周りの野次馬達も地面に伏せる

その時

野次馬の後ろから

「その鞄に爆発物は入っていない」

振り向くとそこには

台湾軍の軍服を着た

兵士が立っていた

<君は台湾軍の人間か>

現場指揮官が問い質す

「自分は台湾軍陳上等兵です」

<爆発物が入っていないとは

どう言う意味だ

火薬探知犬が反応しているんだぞ>

「実は自分は台湾軍で

工兵として爆発物を設置解体する

任務に付いていました

その鞄で何回も火薬を運びました

おそらくその時の匂いが

付いているからだと思います」

<では一体何が入っているんだ?>

陳はもじもじしながら

「秋葉で買ったフィギャです」

恐る々爆弾処理班が

鞄を開くと

確かにフィギァが入っていた

『ばかやろう』と

ケンが叫び甥っ子と姪っ子を抱きしめた

爆発物騒動が一段落して

連合軍台湾武官と台湾大使館の人間が

駆けつけ

日本軍代表と警察に平謝り

陳上等兵も相当絞られていた

ケン達三人も謝り続けていた

ケンは陳上等兵にどうして

こんな事になったか問い質す

「自分は命を救ってくれた

日本軍将校の形見を

家族に渡す為に

台湾から来ました」

『形見?』

「これです」

ポケットの中から

ペンダントが出て来た

ふたを開けると

写真が入っていた

《パパだ》

甥っ子と姪っ子は

写真を見て叫ぶ

その写真には

亡くなったケンの兄と義姉と幼い二人が写っていた

「えっ?」

『写っているのはこの子達と

母親と亡くなった父親に間違いありません』

周りの警察官も大使館員も軍関係者も

余りの出来事に驚いた

『形見を持っていると言う事は

兄のこの子達の父親の最後を

知っているんですね?』

「はい形見と合わせて

お話しするつもりで

日本に来ました」

『是非聞かせて下さい

お願いします』

「この二人にも聞かせて構いませんか?」

『この子達の為にも是非』

「分かりました

何処からはなしたら・・・

台湾が中国軍の侵攻で陥落したその日

台湾軍連絡将校の部下として

在台湾邦人の引き上げ船に乗り込んでいました

台湾軍張上等兵

イングリッシュネーム「サトウ」

だが上官は中国軍との戦闘で全員戦死

沈み行く輸送船に閉じ込められ

輸送船は沈み

海底に横たわる

非常灯だけを頼りに

暗く傾いた船内を歩き回る

爆発音と充満してくる煙と

次第に増えてゆく浸水

何処まで行っても

遺体ばかりで生きている者は無く

途方にくれていた時

「だれかいないかー」と

日本語が聞こえてきた

急いで駆け出し

ハッチを開けると

日本軍の将校がいた

『海上自衛隊佐藤三尉』

君達の父親だ
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