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第三次世界大戦・弐

第三次世界大戦・弐・第26章・独立宣言

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日本への核攻撃失敗で核兵器神話は破られた

世界中の軍人達は核兵器は迎撃体制さえ整えれば

絶対ではないと思い始めた

核兵器に頼る大国の安全保障が

足元から崩れ始めていた

日本が核兵器を使わず中国に勝利すれば

核兵器は過去の遺物となり

核兵器の廃絶に繋がる可能性を秘めた戦いとなった

南アジアのインド・パキスタン

東南アジア諸国

豪州・ニュージーランド・米国が

中国に軍事侵攻を始めた

などに対して本来なら核ミサイルを使い

一気に殲滅するのだが

中国は稼動可能な全ての核兵器を使い切り

通常兵器だけで戦う事になる

インド・パキスタン軍は

中国西部方面軍はインドの核攻撃で壊滅

生き残った者は中国軍南部方面軍と合流した

中国西部方面はインド軍に制圧され

南中国との境に迫り中国南方面軍と戦闘が始まり

東南アジア諸国も国境線を越え中国南方面軍と戦闘が始まる

豪州・ニュージーランド・米軍は南シナ海の

埋め立て基地に空母三隻を使い侵攻

米艦隊と激しい海戦で中国艦隊は事実上壊滅

埋め立て基地も米・中海兵隊同士の激戦の末陥落した

制海権を奪取した米軍は豪州軍・ニュージーランド軍と共に

中国大陸に上陸した

中国政府は中国軍南方面軍が持つ

核ミサイルで侵攻軍を攻撃する様に命令するが

前回の東南アジア方面への

核ミサイル攻撃で全て使い切り

残る核ミサイルは整備中で発射出来る

ミサイルは無かった

中国南部方面軍は中央政府に増援を依頼した

だが北方面軍から来たのは

増援部隊ではなく

核ミサイルを運搬出来る大型輸送車

旧式の核ミサイル整備施設の南方面軍から

最新の核ミサイル整備施設のある

北方面軍に運ぶ為に来た

南方面軍が依頼した増援は弾薬・燃料だけで

戦車も航空機も北方面軍は運んで来なかった

南方面軍の重要拠点が次々と陥落しても

北方面軍は運んで行った核ミサイルの支援を行なわず

南方面軍は自分達は北方面軍が迎撃体制を整えるまでの

時間稼ぎと侵攻軍を消耗させる為の

『捨て駒』にされたと判断

香港島で秘密裏に侵攻軍と接触した

中国南方面軍少将と侵攻軍各国代表が揃い

休戦について話し合われた

南方面軍は休戦締結後は

北部方面へ向かう侵攻軍が

南部方面を通過する事を認める事で

合意を見たが其処に中国軍情報部が

完全武装で乗り込んで来た

香港での秘密の会談を中央政府に知らせた

間もなく南方面軍司令部には

核ミサイルが打ち込まれる

自信満々に話す情報部員に南方面軍少将は

(ならば何故此処に居る

此処にも核ミサイル攻撃がある筈だ)

情報部員は【香港には核ミサイルは発射しない

裏切り者を監視し生きて拘束しろと言われた】

(それは我々の位置を確認し核ミサイルの攻撃を

確実にする為だ君は捨て駒だよ)と言う少将に

情報部員は銃口を向け【そんな事はない

祖国が私を裏切る筈が無い】と言いきる

そこに香港に向け核ミサイルが

発射されたと報告が入る

【そんなバカな・・・】

力なく崩れる情報部員

香港に向かう核ミサイルを

米軍のイージス艦が迎撃するが

1基の核ミサイルが迎撃網を潜り抜けた

香港を破壊するには十分な破壊力がある

核ミサイルはオーロラの光に包まれ爆発した

日本の指向性兵器が間に合った

香港は助かったしかし南方面軍の司令部は破壊され

生き残った将官は少佐のみ

停戦会議のメンバーを前にして宣言する

中国南方面軍は中国から独立して

この香港を首都とし

南中国政府を設立する

そして侵攻軍と同盟を結び中国侵攻軍に加わると

此処に南中国共和国が誕生する
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