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バレた秘密と悩みごと!

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あれから荷物をまとめた俺はすぐに学園に戻って、光先輩に誘われた学園内のカフェテラスに向かった。

「おっ、揚羽こっちや!」
「すいません、お待たせしましたぁ」
「いいからいいから、はやく座りゃあ」

光先輩が座ってたのは日当りのいいテラス席で、まだ休みちゅうだからか他に人もいなくて、話をするにはちょうどよさそうだ。

そんなコトを考えてたらウェイターさんが注文を取りにきて、ふたりで飲みものを注文する。

「ご注文はいかがなさいますか?」
「俺はアイスコーヒーで」
「俺はアイスティーでお願いします」

すこししたら注文した飲みものが届いて、ソレを皮切りに光先輩が話しはじめた。

「昨日は大変やったみたいやな、揚羽」
「まぁ、そうですね…色々ありましたから」

なにをいわれるのか内心ピリピリしてたけど、最初にかけられたのはコッチを気づかう言葉で、俺は小さく息をついて当たりさわりのない返事をする。

「せっかくの休みやったのに悪いな」

コレなら、普通に話をおわらせるコトができるかな…
なんて思ってたら、光先輩からあやまられてなんだか急に胸がモヤモヤしてきた。

「光先輩はあの場にいなかったじゃないですか。関係ないんですからあやまらなくていいですよ」
「あー…まぁ、そうやな;」

あ、せっかく心配してくれてるのに…

ついモヤモヤした気持ちのまま冷たく返しちゃって、気まずい雰囲気が俺たちのあいだに流れはじめる。

あーもう、なんだよ俺のバカ! 
情緒不安定すぎでしょ!

落ちついて、ちゃんと話しないと。

そう自分にいい聞かせて俺は気まずい雰囲気をふり切って光先輩に話しかける。

「すいません。えと、話があるんですよね? たぶん、昨日のコトで」
「んー…」
「言いたいコトがあるなら言ってください。ちゃんと話、聞きますから」
「はぁ~、こっちが気ぃつかわなあかんのに悪いな揚羽。でもそれなら、遠慮えんりょなく言わせてもらうわ」

光先輩は俺の言葉に苦笑して、それから真面目な顔をしてさっそく本題を切りだしてきた。

「帝が総長ってことやけどな、ふだん知ってるあいつの性格からしたらおどろいたやろうし、揚羽は生徒会の仲間やからよけいに複雑な気持ちがあるとおもう」
「それは、まぁ…」

あのマジメな会長が!?って驚いたもんね。

複雑な気持ちは、会長が総長ってコトにはないけど…
あのグループの総長だってのにはある。

逃げないコトには決めたけど、まだ感情の整理はついてないもん。
まぁ、そんなコト光先輩には言えないからごまかすけどね。

「でもな、あれはまぁ…学校にバレたらさすがにヤバイやろうし、生徒で知ってるヤツらのあいだでも暗黙の了解みたいなとこがあってな、黙っててやってほしいんや」
「ソレは最初から言いふらす気なんかなかったですし、大丈夫ですよ」
「そうか。揚羽がいいヤツでよかったわ~」

俺の返事を聞いて、光先輩は安心したように息をついて笑った。

いいヤツなのは光先輩でしょ?
友だちのために、わざわざ休日を使って話をするなんてさ。

でも──

「なんでそんなにかばうんですか?」

友だちが族の総長だなんて知ったらふつうは辞めさせようとするだろうし、まして光先輩は風紀委員長でしょ?
生徒会長が族の総長なんてとんでもないコト、なんで許してるんだろ?

「あー…俺もやっとるんやて」
「は?」

え? 
光先輩も?

風紀委員長なのに?
てか、まさか──

「光先輩も、会長と同じグループなんですか?」
「いや、俺は別のとこや」

よかった…
光先輩もMajesticのヤツだったりしたら、このまま話すのちょっとムリになっちゃいそうだったもん;

それにしても、風紀委員長の光先輩まで族に入ってるなんて──

「学園の風紀が乱れてる…」
「いや、誤解やから! ちゃんとわけがあるから聞いてくれ!」

俺のつぶやきに、光先輩は焦ったようにそう言ってきた。
ソレに俺は首をかしげて聞きかえす。

「ワケ? ワケってなんですか?」
「あんな、俺らは族をやってるけど…治安維持みたいなこともやってるんや」
「…へー」

真剣に聞いてたんだけど、族が治安維持やってるとか聞いておもわず返事が適当になる。

スゴい正反対のコトじゃん!

「あぁ、めっちゃ棒読み; いや、本当なんやって! カツアゲとかはもちろんさせとらんし、そんなんやケンカしとんの見たらとめに行ったりしてるんやよ! まぁ、それで殴りあいとかになったりするんやけど、ケンカっぱいやつの発散になってむだな争いとかなくなるし──「ふーん」
「まだあかんか!」

光先輩は変わらない俺の返事に焦ったように叫ぶ。
けど、ホントはもう疑ってないんだよね。

あのマジメな会長や風紀委員長の光先輩が族なんて不思議だったけど、そういうワケがあったんだね。
まぁ、知らないところで問題起こされて学園の評判落とされるより、自分たちでまとめて適度に発散させたほうがよさそうだもんねぇ。

焦ってる光先輩を放置してそんなふうにひとりで勝手に納得してたんだけど、光先輩がつづけていった言葉にハッとした。

「俺はともかくあいつが総長になったのだって、あいつの前の総長がヤバくてこのままじゃあかんって初代のやつに頼みこまれてしぶしぶやったんやて!」
「前──」

そうだよ。
よく考えたら、会長じゃないのはわかりきってんじゃん。

だって、俺の居場所が奪われたのは今から2年前。
中3の会長が、総長なんてワケないんだから…

「帝が総長やってなかったら、ヤバイくらい荒れとったかもしれん! やから本当、誤解しんといてやって~;」
「…はい。もう、大丈夫です」
「本当か!?」

ホントの誤解が解けたから、大丈夫だ。

もともと俺があんなにも取りみだしたのは、会長が族の総長だったからじゃなくて、あのときのMajesticの総長だと思ってたから。
でも違うってわかれば、乱れてた気持ちも落ちついてくる。

Majesticだってのはすこし思うトコがあるけど…
光先輩がいうとおり治安維持みたいなコトしてるんなら、もう変なヤツはいなさそうだしね。

うん。
もう、大丈夫。

「ホントです」
「そっか~、誤解が解けてよかったわ~」

光先輩はそう言いながら安心したように笑って、テーブルに突っ伏した。
その様子にちょっとイタズラ心がわいて、俺はひとつ種明かしをする。

「じつは焦る光先輩がめずらしくて、とちゅうからワザと棒読みにしてました」
「なんやって!? 酷いやん、揚羽~。俺めっちゃあせっとったのに~!」
「ははっ、すみません」
「も~」

光先輩は気が抜けたように笑って、飲まずにそのままだったアイスコーヒーに口をつける。
俺も変に緊張したせいか、気づかないうちに乾いちゃってた喉を潤すためにアイスティーを飲んだ。

あー…
スゴい美味しく感じる。

「ははっ、喉が渇いとったせいかめっちゃ美味しくかんじるわ」
「あ、それ俺も感じてました」
「お? おなじやな、揚羽」

そうして穏やかな時間が過ぎてく。
そのあとは休みのときのコトとか色々話してたけど、飲みものもなくなったしもう行こうかってコトになった。

「…もし帝が会いにきたら、よろしくしてやって」

簡単な挨拶をしたあと、光先輩はそう言って去ってった。

ホント、光先輩って友だち思いだねぇ~。




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