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恋模様はヘキサゴン!
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しおりを挟む優越感に満ちたほほ笑みを浮かべる副会長をジッと見つめる。
前みたいになんか仕掛けようとしてんの?
「「恋ちゃん、そんなに気になってるんだぁー?」」
どういうつもりなのか探ろうと見つめてたら、双子先輩が俺たちのあいだに入ってきた。
び、びっくりしたぁ~。
「え、えぇ」
「「ふぅ~ん」」
副会長もびっくりしたみたい。
でも双子先輩はそんなの気にしたふうもなく、マリモのコトをジロジロ見てる。
この位置、いづらいなぁ~なんて思ってたら──
「恋ちゃんのお気に入りなら!」
「やってみよぉ~!」
「うわっ!」
そう言って、双子先輩がマリモの腕を引っぱった。
ちょっ、痛っ!
俺、マリモに足踏まれたんですけどっ!
「「どっちがどっちゲームやっちゃうよぉ♪」」
「はぁっ?!」
強引に連れだされたマリモが双子先輩の言葉にビックリしてキョドってる。
なにをやるのかと思ったらソレか…
痛む足を押さえながらうつろな目を向けると、自己紹介した双子先輩たちがまわりを巻きこんでクルクルと回りだした。
あいかわらず可愛いっすね、先輩。
その可愛さで足の痛みがふっ飛びました。
「「どっちがどぉーちだ!!」」
お、まわりおわったみたい。
どうなるかなぁ~。
チラリとマリモを見ると、マリモは悩むことなくスパッと答えた。
「左が彼方、右が遥伽だ!」
答えるのはやっ!
でも、答えるのが早くても間違ってたら意味がないよね。
マリモの答え、当たってるのかな?
「「だいせぇ~かぁ~い♪」」
「やったぜっ!」
おぉ~、当たってた。
なんだろ、野生のカン?
って、ちょっと待て、遥伽先輩の袖にインクついてるよ。
おい、まさかソレのおかげじゃ…
「それじゃあ…」
「もう一回…」
「「どっちがどっちゲームいってみよぉ!」」
1回当てたあとの定番なのか、俺のときと同じように2回目がはじまった。
結果も同じで大正解。
なんか副会長がドヤ顔しててウザいっす。
副会長、アンタなんも関係ないから!
「みつくん以外に見わけられる人がいるなんて思わなかったぁ! ねぇ、遥伽?」
「え、あ、うん。そうだね、彼方!」
双子先輩はまた見わけられる人がいて嬉しいのか、マリモと手を繋いでワイワイいってる。
はしゃぐ双子先輩たちは可愛いなぁ~って思うけど──
「副会長、いいんですかぁ? 双子先輩も気にいったみたいですけど」
「あのくらいどうもしません。私たちはキスまでした仲ですから」
「……」
副会長のよくとおる声はしっかりとまわりに届いたみたい。
ピシッって音を立てて、一瞬で空気が固まったのがわかったよ。
俺はそっと両耳を塞いだ。
『いやーっ!』
『嘘って言ってーっ!』
『恋様ーっ!』
塞いでもかすかに聞こえてくる大きな悲鳴。
打ちひしがれたみたいに泣く子とかもいてまさに阿鼻叫喚って感じ。
どんどん輪が広がってって、ざわめきは全然収まらない。
どうすんの、コレ。
全然収まってくれないこの状況に遠い目をしてたら、会長が副会長に近づいた。
さすが会長!
早くなんとかしてっ!
そう期待をこめて見てたんだけど──
「恋、あれほど自覚を──「へぇ、そこまで気にいってんだ?」
「…えぇ」
悦が会長の言葉を遮って、マリモに近づいた。
そんでマリモをガン見してる。
「ふぅーん」
なんかイヤな予感がするけど…
気のせいだよね?
「ずるいなぁ、副会長。オレもしーちゃお」
って、気のせいじゃなかったーっ!
悦がマリモにキスしちゃったよっ!!
「…チューしちゃった♪」
チューしちゃった♪
じゃねぇよ!
全校生徒が集まる食堂で、ただでさえ騒がしくなってるのにコレじゃあ…ハッ
「え、悦さまーっ!」
「マリモはイヤーっ!」
「篠井様ーっ!」
滑りこみセーフ!
よかった。
悲鳴があがる前になんとか耳を塞げたよ~。
ホッと息を吐いたトコで他の子は大丈夫かなって思ってまわりを見わたすと、視界の端に顔を青くした巴先輩が映った。
気づいた瞬間、焦りが心を支配する。
今のは、絶対ダメだ…っ。
あわてて声をかけようとするけど、その前に巴先輩はソコから走りさった。
「っ、巴先輩…っ!」
放っておけない。
そう思って俺はほとんど反射で巴先輩を追いかけようと走りだした。
だけど悦の横をすり抜ける瞬間、強い視線が投げられる。
その目にはなんともいえない色が浮かんでて──
なんて目ぇしてんの…?
おもわず足を止めかけるけど、巴先輩を見失いそうになってあわてて追いかける。
「待ってください、巴先輩っ!」
もう、なに考えてんのかわかんないよ!
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