真実の先に見えた笑顔

しまおか

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第二章~③

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 大きな企業であれば、支社長や総合職の営業担当者が直接出入りするケースは珍しくない。しかし中小規模の会社となれば数も多いため、代理店任せになることは致し方なかった。間に入っている代理店自身が、社員の出入りを嫌うこともあるからだ。
「それで補正しろというのは、虫がいいにも程があるわよね」
「そうだろ。俺もそう思うし課長もそう言っているから、ちょっと揉めそうだ」
「補正は社内の話だし、後で何とでもできるからいいわよ。でも契約を古瀬さんに移行したいと言っているお客様の意向は、尊重したいよね。手数料だって馬鹿にならないから」
「そう。まずはどちらで契約するのかをはっきりさせることが先決だ。緒方さんが大型の乗合代理店だから気を使うのは分かるよ。でもお客を怒らせておいて、契約を奪うなら手数料を戻せと言うのはあまりにも理不尽だから何とかしないと」
「でも相手は唐川さんと田辺支社長でしょ。浦里さんと土田課長では分が悪くない?」
「最悪の場合は支店長を飛び越えて、本部長へ相談することになるかもね。でもその前に松岡さんサイドの意向を固めておかないと、上も数字の大きい緒方さんの肩を持ちかねない。だからちょっと時間がかかると思う」
 こういうところが営業店の嫌なところだ。どちらが正しいかではなく、どちらが会社に与える影響が少ないかが優先される。今回の場合、明らかに緒方さんの味方をして貸しを作った方が会社にとっては良い、と判断されかねない。
 そんな理不尽を防ぐには、正攻法だけでなく裏技も必要となるだろう。古瀬さんに契約を移した方が、会社にとって損失が少ないと上が判断するように持っていかなければならない。
 かつ緒方さんの顔を立てるか、または止むを得ないと諦めさせる方法を見つけることが不可欠だ。
「計上の方は止めているし、最悪補正を出せるように準備もしておく。決まったら声をかけて指示して。その通りにするから」
「そう言って貰えると助かる。普通に補正無しの計上ができるよう、頑張ってみるから」
 彼はそう言ったが、実際なかなか難しいだろうと英美は思っていた。百歩譲って緒方さんが諦めたとしても、第一支社が素直に数字の減少を認めるとは思えない。
 お客や代理店には全く関係のない話だが、各課支社における営業数字はそれだけシビアだ。しかも年間保険料が五百万円近くとなると、そう簡単に引かないだろう。
こういった社内向けの仕事はとても空しい。社外に対して骨を折るなら、顧客の為だとある程度我慢できる。しかしそれが社内だけとなれば別だ。
 何故そんなところに、無駄な労力を掛けなければならないのか。同じ面倒な仕事でも、疲労感は社外に向けた時の倍以上に感じる。こうした積み重ねが結構なストレスとなるのだ。
 深く溜息を吐いた英美は、気持ちを切り替えて目の前の仕事に向かった。だがざっと見て今日中に仕上げておける書類はほとんどなかった。月末最終週でしかも大事な七月末にしては珍しい。
 これも担当総合職が代理店に対して、契約の早期手続きと申込書の提出を早めるよう促してくれているだけでなく、会社全体で取り組んでいるおかげだ。その分、締め切り間際になってバタバタとすることが少なくなった。
 それでも既に六時は過ぎている。しかし少し前ならこの時期になると、毎日のように八時近くまで残業をしていた。酷い時は九時近くになったこともある。
 上は早く帰りなさいと声掛けをしているが、現実問題仕事を後に残して困るのは総合職達だ。その為月末だけは黙認するのが現状だった。
 だが最近そこまで劣悪な状態に陥ることはまずない。早く帰ることが出来る日も増えたし、遅くなっても八時を過ぎることは完全になくなった。
 数字も良く、風通しの良い課の雰囲気がそうさせるのだろう。それと一課では、残業に対する課長や総合職の意識も高い。そうなると事務職達自身も、各々が自覚する。そこで自然と効率的に仕事ができるよう、メリハリを付けられるようになるのだ。
 今日の仕事はこれで終われると判断し、英美は周りを見渡した。一課の事務職リーダーである加賀かがは、英美より三つ上の三十五歳で既婚者だ。子供も一人いるため、いつものように六時前には退社していた。
 英美より後輩である他の三人の内二人は仕事を続けているが、それほど忙しいように見えない。先輩が残っていても自分の仕事が終われば、気にしないで帰りなさいと後輩達には普段から伝えている。 
 課長や総合職からも、常日頃そう指導されていた。それに一課の事務職のリーダーが子育ての為とはいえ、率先して早く帰るようにしている。そのせいか基本的には言われた通りに皆帰る為、それほど注意して仕事の進行状態を確認することは少なかった。
 しかし今日は一番下で入社三年目の一人が、四苦八苦しているようだ。そこで席を立って他の後輩達の様子も見て回り、どの程度の状態なのかを見定めながら声をかけた。
「仕事に区切りがつきそうなら、そろそろ帰る準備をしなさいね」
 二人は頷いていてもう少ししたら帰りますと答えていたが、一人だけ返事がなかった。余裕が無いのだろう。その為英美は手伝うことを決め、別の空いた椅子を移動させて彼女の横に座った。どうやら申込書の不備の確認で苦労しているようだ。
「ちょっと見せてみて」
 どこで行き詰っているかを突き止め、解決方法を教えた。経験の浅い彼女が分からないと悩んでいることでも、先輩の目で見ればすぐに処理できることは多い。
 そういった点はどうすればいいか指導していくと、彼女が抱えていた書類は少しずつ片付いていった。そしてこれ以上は明日に回しても支障ないと判断した所で、仕事を切り上げさせる。
 帰り支度をさせられるところまで見届けた時点で、英美は彼女から離れ席に戻った。気づけば残りの二人は帰り支度をしている。時計を見ると七時を少し過ぎていた。そろそろ自分も帰ろうと準備をし始める。
 そこでなんとなしに隣の課へ視線を移した。すると総合職だけでなく、事務職全員が席に座って黙々と作業をしている姿が目に入った。ここ最近の二課はいつもそうだ。なかなか数字が上がらないだけではない。様々なトラブルを抱えているとも聞く。
 だからか雰囲気も良くなく、残業も多い。あれだけ昼間に大きな声を出して騒いでいた七恵も、何も言わず仕事をしている。勤務時間中にもっと集中していれば、これほど残業しなくて済むはずだといつも思っていた。 
 だが悪循環に陥っている時は、得てしてそういうものだ。周囲が皆遅く帰れない環境に慣れてしまい、仕事を効率化して早く済ませようなどと考えなくなるのだろう。
 彼女は既婚者だが子供がいない為、遅くまで残業できるらしい。二十六歳の時に結婚して寿退職した後、まだ二十代だと言うのに数年不妊治療をしていたと聞く。
 しかし彼女が三十歳になったのを機に治療をやめたそうだ。そして一度辞めたこの会社に再就職をしたという。不妊治療を始めたのは早かったと思うが、三十手前で止めるのも早い気がする。
 だがこの職場では同じ境遇の人達が多くいて、とても大変で辛いと嘆いている姿を見て来た。経済的な面もそうだが、精神的にも体力的にもかなりの負担がかかるらしい。
 それに二十代後半で治療を始めた方が、三十代になってからよりも治療費が安く妊娠する確率も上がるという。三十二歳で未だ独身の英美には良く分らない世界のことだ。
 三十歳ならまだ若いのにと思っていたが、下手に干渉すると酷い目に遭うので口に出したことは無い。それに詳しい噂話がそれ以上聞こえてこない所をみると、彼女はその件の詳細を周囲に話していないようだ。それぞれ人に言えないことはある。英美だってそうだ。その為真相は分からずじまいだった。
 そろそろ帰ろうかと思い片づけをし始めた時、二課に三箇が顔を出した。どうやら事故の件で、課長代理の手塚てづかに呼び出されたらしい。一課の総合職なら相談事があれば、自分達の方からSC課へ赴くものだ。
 しかし手塚はとても横柄で、総合職でなく賠償主事や物損の示談交渉をする技術アジャスターの担当案件であれば、相手を呼びつけることで有名だった。
 その為SC課での評判はとても悪いと聞いている。SC課の次席である井野口いのぐち課長代理から、意見したこともあるらしい。それでも年次が上の手塚は、まともに相手をしてくれなかったという。
 それでSC課長の牛久うしくから、二課長の飯島いいじまを通じて抗議したようだ。しかしこちらも年次は飯島が上だからか、分かったと口では言いながらも実態は代わっていないという。
 だが呼び出されたのはあの三箇だ。一筋縄でいくわけがなかった。いくら立場は総合職が上だからと言って、課が違うため直属の上司ではない。
 その上これまで何度言っても直らない手塚の態度に、SC課は皆腹を立てている。だからだろう。彼はことごとく手塚の要求を、平然と撥ね退けているように見えた。恐らく無理な事を頼んでいるに違いない。
 それでも手塚は熱くなり、大声を張り上げていた。しかし元警察官の三箇にとって、全く怖くもなんともないのだろう。涼しい顔をしながら鋭い目で相手を睨みつけ、理路整然と説明していた。
 どうやら理は彼にあるらしい。途中から飯島課長までも参戦したが、結局三箇の迫力と理屈を崩せず根負けしたようだ。
「分かった。もういいよ。井野口か牛久課長に話をするから」
 呼びつけた彼に対し、ハエでも追い払うような手つきをしていた。すると立ち上がった彼は何かを言った。するとそれまで息が荒かった手塚達は急に黙りこみ、うつむいていた。
 そんな様子をパーテーション越しにじっと見つめていた英美に気付いたのか、用が済んだ彼はこちらに向かってきた。
「お疲れ様。まだ残っていたの? 事務職は早く帰らないと」
時計を見ると七時半を過ぎていた。これ以上会社にいると課長達に迷惑がかかる。
「今帰る準備をしていたところ。そしたら何か揉めているようだったので、つい見ちゃった」
「別に揉めては無いよ。向こうが勝手に騒いでいるだけだ。うちの次席や課長に言ったってどうにもならないから。無理を通すなら、部長クラスに話を通してくれって言ってやった。黙ったからこれで終わりだと思うよ」
「最後のセリフは、そう言っていたのね」
「どうしてもごねるようなら、そう言っていいと課長達から事前に了承を得ていたからね。全く事故処理の事を良く分っていない総合職ほど、無理を通そうとする。その点一課は皆理解があるから、助かるよ」
 そこで横の席にいた浦里も、耳をそばだてて話を聞いていたらしい。小声で言った。
「あっちの課と一緒にしないでくれ。営業とSCが揉めて得することなんてないんだから。損保会社の入り口と出口の両輪だから、連携して円滑に済ませることが俺達の仕事だろ」
 呼応して三箇も声を抑えながら愚痴を言った。
「あいつらはそれが分かってないから困っているんじゃないか。皆が皆、一課のような総合職ばかりだったら、SC課も仕事がやり易いんだけどな」
「まあ、あの人達もずっとここにいる訳じゃない。何年かすればどっかに行くだろ。それまでの我慢だよ」
「俺は基本的に転勤が無い賠償主事だからな。そういえば浦里さんは、今年名古屋に来て四年目だったんじゃなかったか。そろそろ異動が出てもおかしく無い頃だろ」
 英美は内心ドキリとした。もちろんそういうものだとは知っているし、自分自身も一課に着任して五年目だ。そろそろ他の課支社へ異動になってもおかしくない。だが今の課が気に入っている為、出来れば少しでも長くこのメンバーで働いていたかった。
「この七月が無かったから、次は十月か四月かもしれない」
 総合職の異動は、基本的に七月の可能性が高い。だが特殊な事情が無い限り、次に四月、そして十月異動の可能性もあった。事務職は四月と十月がメインだ。
「廻間さんが動く可能性もあるんだよね。そうなると一課も変わっちゃうだろうな」
 寂しそうに言う彼に、浦里が話題を変えた。
「そんなことはどうでもいい。聞いたぞ。久我埼さんと揉めたんだって。怒鳴り合ったらしいじゃないか」
 昼間の話だ。しかし外出していたはずの彼が、何故その事を知っているのか。しかも怒鳴り合ったとまでは聞いていない。
「そんな大げさな事じゃないよ。ちょっと言い合っただけだ」
 居心地の悪そうな顔で呟いていたが、さらに浦里は詰め寄った。
「三箇さんにしてはまず無い事だから、どうしたんだと牛久課長が聞いても何も答えなかったらしいな。だから何か知らないかと、こっちに直接問い合わせがあったぞ。俺とは多少なりとも親しいと知っていたからだろう。何があった? 俺にも言えない事か?」
 浦里の方が三つ年下だが、気の合う二人はタメ口で話をしている。英美と古瀬を加えた四人の間では、それが普通になっていた。少し間を置いて三箇が答えた。
「少なくともここでは無理だな」
「じゃあこれから飲みに行くか。もし廻間さんも良ければ一緒に話を聞こうよ。昼間の話、気になっているんじゃない? わざわざ総務課にまで行って、同期から情報収集していたって聞いたよ」
「よく知っているわね。いつの間に、どこからそんな話を仕入れていたの?」
「帰ってきてから内線で牛久課長と話をした後、総務課にも掛けて事情を聞いたら、そんな話が耳に入ったからさ」
「すごい情報網だな。ああ、総務課の事務職で浦里さんの同期がいるからか」
「俺が名古屋へ来たばかりの時、飲み会をやっただろ。あの会のおかげで、三箇さんと親しくなったよな。他にも同期とかと気軽に話ができるようになったし。交流会様様さまさまだよ」
 確かに三年前、管理職抜きで若手中心の懇親会が開かれた。今の一課の遠山とおやま課長代理の前任者と、SC課の井野口課長代理の前任者が幹事だったはずだ。
 彼らが同期だったこともあり、営業とSCの交流を深めようという企画が持ち上がった。そこに二課や業務課、総務課も加わって総勢四十人近くが集まったのだ。
 その会で以前から顔は知っていたが言葉を交わしたことの無い三箇と、英美は浦里を通じて話すようになった。そして息があった彼らと一緒に後日古瀬が加わり、個別に飲むことが増えたのだ。
 しかし当時の幹事が異動してから、そうした全体が集まる飲み会は途絶えた。それもあって最近はまた営業やSCとの間、特に二課との関係は悪化している。
 さらに他部署との連携も途絶えてしまった。それでも浦里と三箇のような、今でも個別に繋がっている関係は少なくない。英美もあの会を通じ、会話をするようになった後輩や先輩が増えた。
 あのような企画は幹事の人達が全体をまとめ上げ、巻き込むほどのバイタリティがないとできない。残念ながら今のこのフロアに、そうした人達はいなくなってしまった。
「で、どうする? 飲みに行く? それとも話せない理由でも?」
 浦里の追及に三箇も諦めて頷いた。
「分かった。話すよ。一旦席に戻って出られるよう、準備してくる。何時からにする?」
「廻間さんも一緒でいいよね。じゃあ八時十分に下一階のロビーに集合」
 時計を見ると、後二十分もない。相変わらず強引に進める彼に呆れながらも頷いた。
「分かった。すぐ用意する」
 急いで出て行く三箇の背中を見ながら、英美は言った。
「私はいいけど、浦里さんはそんなに直ぐ出られるの?」
「大丈夫。もう終わらせるから」
 気が付くと、彼の机は片付けられていた。どうやら今日は最初から、彼を誘うつもりだったのだろう。その為早めに帰る準備をしていたらしい。
「廻間さんは大丈夫?」
「うん、直ぐ片づけられるから」
 周りを見渡すと、既に事務職は全員席にはいなかった。これで心置きなく飲みに行ける。英美は実家暮らしだが、もうこの年だから少し位遅くなっても両親は文句を言わない。
 英美は三人姉弟の長女で、下の弟二人は既に社会人となって家を出ている。上の弟は今年三十歳で独身だ。東京の会社に勤めていて一人暮らしをしていた。下の弟は地元の企業に勤めているが二十七歳で今年結婚し、夫婦で実家から少し離れた所に住んでいる。
 浦里と一緒に課を出てエレベーターに乗る。そこで彼に尋ねた。
「月末最終週だけど本当に良かった? いつもより早いでしょ?」
「厄介な案件はあるけど、数字がいいから問題ないよ。それに今日は仲村社長で生保の契約があったからね。あれが無かったらちょっとやばかったかもしれない」
「じゃあ朝一のお礼の電話は、絶対忘れないようにしないとね」
「お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします」
 わざと仰々しく頭を下げる彼の肩を笑いながら軽く叩き、一階に着いた。まだ三箇は下りてきていないようだ。そこで彼は話を続けた。
「古瀬さんの件は今すぐどうって話じゃないし、来月に回せるからいいんだ。でも三箇の件は牛久課長の言い方だと、少し尋常じゃないな。今までにないほど最近は仕事の面でも落ち着かないようだって。だから早めに原因を突き止めないと、今後支障が出るレベルだとわざわざ頼まれたんだ。月末最終週だけど優先課題なんだよ」
「そんなに? でも確かにいつもの彼じゃないよね」
「そうなんだ。しかも彼の態度がおかしくなったのは、総合職の七月異動が発表された、先月の頭かららしい」
「え? どういうこと?」
「最初は何だろうと課長も不思議がっていたけど、その原因が久我埼さんにあると見ているらしい。あの人が総務課に配属されると知って、三箇さんの様子が変わったようだと言っていたから」
「今日はその件を聞き出すことが課題なわけね」
「そう。だから廻間さんからも、援護射撃してくれると助かる」
「了解。私も気になっていたところだから、丁度良かった」
 そう言っていると、三箇がエレベーターで降りて来た。
「お待たせ。じゃあ、行こうか」
「いつものとこで良い?」
「あの店なら個室があるから良いね。会社の人間もあんまり来ないから」
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