太助と魔王

温水康弘

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第五章 内乱のエルフ国

その十六 復活の巨神!

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 さ~て、始まりました私達のお仕置きタイム!
 襲い来る近衛兵どもを片っ端からぶっ飛ば~す!

「己……魔王!」
「あ~ら、もしkして私の事をご存じ?だけど大方の雑魚掃除も終わったし……アンナさん、リースさん、もういいでしょう」

 はい気が付けばエルフ国の近衛兵の皆様は一人残らず、お掃除完了。
 残るはルシフェル王とアカウント将軍と大臣二人のみ!
 クソババァはもう私たちの正体はご存じみたいだけど……それではお約束のアレ行ってみましょうか!
 私達は商人装束を脱ぎ捨てて魔王に相応しい装束に!
 そしてアンナからのドスの効いた決めセリフ!

「一同控えるがいい!こちらの方を何方と心得る。恐れ多くも魔王国の魔王ヒカル・グレーズであるぞ!」
「魔王様の御前ですわ!頭が高い!控えおろう!!」

 おやおや。
 流石にコテンパンにされた近衛兵の皆様は素直に控えて土下座しているわ。
 逆にルシフェル王の一味は舌打ちして私に歯向かう気満々。

「アカウント、ここは任せる」

 あ~っ、あのクソババァ!
 アカウント将軍に私達の相手をさせて自分達は逃げるつもりね。
 ここは絶対に逃がさないわよ!
 だけど、私達に立ちふさがったのはアカウント将軍だけではなかった。

「待て、ここは通さん」
「げげっ、アンタはこの前のサイコレズのダークエルフ!」

 うわぁ、緑の神殿で戦ったダークエルフのカエリじゃないの!
 それと更にもう一人。

「我が主君の命により……お前達を抹殺する」
「!?貴方は確かライダー将軍」
「フェミー、あの人知ってるの?」
「エルフ国一番の将軍よ。そしてエルフの中で一番の大剣使いよ」

 うわぁ!
 アカウント将軍とサイコレズだけでも面倒なのにエルフ国最強の将軍ですって!
 これは私にもわかる。
 あの三人は……出来る!

「――――魔王様、あの頭のおかしいダークエルフは私が相手します」
「クロ!」
「ならば……私がエルフ国最強の男と相手しますか。相手にとって不足はありませんわ」
「ブログさんには悪いけど……アカウント将軍は僕が相手するよ」
「アンナ!」

 どうやらアンナとファブリーズとクロがあの面倒な強敵をそれぞれ相手にしてくれるみたい。
 確かに逃げたルシフェル王どもが何しでかすか判らないしね。

「じゃあ……ここは頼んだわよ。それと無理は禁物だからね!」
「「「任せてください」」」

 全く本当に頼りになる仲間ね。
 ならば……太助!

「一緒に来て。下手に隠れてるより私と一緒のほうが安全みたいだし」
「わかった」
「私も行くわ」
「うん、フェミーとブログさんも一緒に」

 さて、私と太助とフェミーとブログさんは逃げたルシフェル王達を追いかける事に。
 待て~っクソババァ!
 私達は逃走しているルシフェル王達を追いかけて城の螺旋階段をひたすら上っていく。

「それにしても……この城って結構高いわね」
「確か……お城の最上にはよく式典とかの儀式に用いる祭壇があったわ。まさか!ルシフェル王は伝説の巨神復活の儀式を」

 うげ~っ!
 これは本当に面倒だわ。
 あのクソババァめ、こんな時にこの上ない面倒な巨神蘇らせる訳?
 もう、勘弁してよぉ~っ!
 
「もうすぐ祭壇よ!」
「フェミー、あのクソババァをコテンパンにしちゃっていい?仮にもあれはフェミーの母親でしょう」
「構わないわ!今度の件で私は親子の縁は切ったわよ」
「……」

 こうして私達は城の最上階……即ち祭壇まで到着したわ。

「!?まずいわ、既に儀式を始めてるみたい」

 うげ~っ!
 既に祭壇の上には三つの刻印が収められていて……ブログとホーンが見守る中でルシフェル王が儀式を始めてるみたい。
 おまけに私達が来たのを察したのか周囲には複数名の近衛兵が包囲。
 あ~っ、つくづく邪魔ねぇ。

「こうなれば強行突破あるのみ!あのクソババァの儀式を止めるわよ」
「私も火星いたそう」
「ファミー!出番よ、出てきて」
「僕も雑魚ぐらいならテレポートで飛ばすぐらいの事は出来るよ!」
 
 もう何も考えるな!
 総員突撃だぁ~っ。

「おら~っ、どきなさい」
「命が惜しくないなら来るがいい!私とファミーが容赦なく切り捨てる!」
「テレポート!テレポート!!こうなったら片っ端から退場させてやる」

 私達は襲い来る近衛兵達をぶっ飛ばしながらルシフェル王の元へ!
 だが……全ては遅かった。

「おおっ!伝承通りに三つの刻印を組み込んだら……起動スイッチが出てきたわ」

 げげっ!
 何やら第三に意味深なスイッチらしいのが出てきたわ!
 もし……そのスイッチが押されたら間違いなくゲームセットよ!
 そうはさせるか!
 私はルシフェル王へ狙いを定めてファイヤーボールを放つ!
 しかし!

「そうはさせん!」

 なんと、ホーンの奴が私が放ったファイヤーボールを魔法の壁・バリヤーで防御してしまったわ。
 くそっ!

「さぁ……早く巨神を起動させてください!」
「今こそ我々の野望の為に!」

 ルシフェル王は高らかに微笑み勝利を確信する!
 そして……クソババァは起動スイッチを……静かに押してしまったわ。

「目覚めよ!伝説の巨神よ。そして……我に従うがいい!」





 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………





 あれ?
 何だか城に何かの異変が起こってるみたい。
 揺れる天井と床。
 秋からに何かの変化が訪れようとしている!
 それは……謁見の間で戦っていたアンナ達も感じていたわ。
 ちなみに……勝負の方は辛勝だけどなんとか三人はアカウント将軍達に勝利!
 アンナ達の足元にはアカウント将軍達が倒れているわ。

「!?なんか……ここにいるの危険そう」
「ここは逃げるが勝ちですわアンナ、クロ」
「――――逃げるのはいいがコイツ等どうする?」
「こいつ等何処か憎めないし助けてやるか。じゃあ……僕に乗って!」




 アンナ・ホーク




 アンナは空戦形態であるアンナ・ホークへ甲冑の力を借りて変身!
 少し定員オーバーっぽいけどファフリーズとクロとアカウント将軍達を載せて……お城の壁をぶち破り外へ!

「おいおい……嘘でしょう」
「お城が……人型になっていく」
「――――まさか、あれが伝説の巨神の正体か」

 なんとまぁ。
 まさか……あの樹木で出来た城が伝説の巨神そのものだったとはねぇ。
 しかもアンナ曰く全長は百メートルは超えてるわ。
 全くこんなのどないすんねん!って奴。
 先程まで白の外で兵士達と交戦していたルル率いる正規軍もこれは一旦退却やむなしね。
 さて、こんな状況で私達はどうしてるかというと?

「うげ~っ、これはどうなってるの!」
「まさか、この城が伝説の巨神?そしてここがその操縦室じゃあ」

 太助がそう推測するとルシフェル王は高笑いして私達に告げたわ。

「そこの坊や察しがいいわね。そう、この巨木のお城は伝説の巨神そのものよ」
「やはり」
「そして、この巨神を操るのがこの操縦室よ」

 成程。
 なら逆に考えたら操縦室にいるクソババァ達をぶっ飛ばせば!
 という訳で……クソババァ覚悟!

「そうはいかんよ」
「魔王には即ここから退場してもらおう」

 あっ、いつの間にホーンとガントが巨神の壁面にある装置に触れたわ。
 すると私達は操縦室から瞬時に弾き飛ばされてしまったわ!
 くそっ油断したわ。

「うわああああああああああああああっ!」

 お城……いや伝説の巨神からはじき出された私達は真っ逆さま。
 だけど、すぐに救いの手が!

「太助ちゃん!ヒカル!それにフェミーとブログさん」

 すさまじい速度でアンナ・ホークが飛来!
 すぐに私達を回収して地上に卸してもらったわ。
 そして私達は地上からその巨大な伝説の巨神を見上げる。

「それにしてもデカいわね」
「ヒカルちゃん!関心してる場合じゃないよ。コイツを何とかしないとエルフ国は勿論、魔王国やドワーフ国まで滅茶苦茶にされちゃうよ」

 そこへルルが残念な報告を。

「既に巨神から魔法に対するジャミングが放たれており魔法航空部隊は事実上無効化。地上部隊も硬い巨神の体に苦戦しております」

 どうやらクソババァめ、巨神の防御システムを起動させたみたいね。
 となると私のギガ・イレースも使えないわ。

「ここは一旦退却ね。ルル……郊外の陣まで戻るわよ」
「了解しました」

 悔しいけど現状打つ手なしでは退却するしかないわ。
 そして、この様子を巨神の操縦室からクソババァ……いやルシフェル王は高笑い!

「ははは!この巨神さえあれば大陸統一も夢ではないわ。さて、まずは……」
「そうですね、まずは用済みの王には消えてもらいましょう」
「!?」




 ルシフェル王の背中から鈍い剣が突き刺さる!
 剣を持つのは他でもないホーンであった!







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