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第二章 人間国の勇者と二人目の嫁
その八 勇者からの果たし状
しおりを挟む「なんですって?人間国から使者が来たって」
なんと人間国から使者が来たとはねぇ。
その使者は一切武装してないから本当に何等かの使いみたいね。
太助も直接会ってみようよと言ってたので私と太助はその使者に謁見の間で会う事に。
「魔王ヒカル・グレーズとお見受けします。私は人間国の外交官であるアランと申します」
「私が魔王ヒカル・グレーズよ。このような国家に何か用かしら?」
アランは一通の書状を取り出して私の配下に手渡した。
そしてその書状は配下を通じて私の元へ。
「ヒカルちゃn、それって」
「ほほう、これは勇者からの果たし状よ」
へぇ、果たし状ですか。
どれどれ!では内容を読ませてもらいましょうか。
魔王ヒカル・グレーズに告ぐ。
来る三日後、貴殿と雌雄を決したい。
人間国の皇帝陛下から貴殿の武勇の数々は存じている。
貴殿も先日でのファブリーズ殿との闘いでその実力は存じているであろう。
そこで私と貴殿との一対一による決闘で互いの国家の威信をかけようではないか。
なお場所は人間国と魔王国の国境境にあるサウス高原。
時刻は正午。
必ず一人で来るがいい。
では三日後サウス高原で私は待つ。
成程ねぇ。
ふっふっふっ!
一対一での勝負だなんて上等じゃないの!
「わかったわ!人間国の勇者に伝えなさい。三日後を楽しみにしているとね」
「確かにお伝えしました。それでは私はこれにて」
「誰かこの者を国境まで低調に送ってあげて。アランだったかしら?貴方とはまたお会いしたいものね」
さて、あのアランという使者は無事に送り返すとして。
あれ?
太助……何か頭に青筋立ててるみたいだけど。
「どうして勇者との決闘受けたの?これは明らかに罠だよ」
「そっちがその気なら受けるのが筋じゃないの。私としても相手が勇者なら相手にとって不足はないわ」
「ヒカルちゃん!」
ピシっ!
突然の太助から私への平手打ち。
ちょっと!
太助何をするのよっ。
「駄目だよ!相手はあのファブリーズすら勝てなかった勇者だよ。ヒカルちゃんでも勝てるかどうかわからない相手だよ」
「太助」
ふと太助の顔を見たら……太助が泣いている。
本当に悲しそうに泣いている。
「でも太助。ならどうすればいいのよ」
太助は暫く沈黙していた。
そして……太助はリンクミラーを取り出して誰かと連絡。
すると、謁見の間の何処かから一つの影が現れた。
「―――及びでしょうか宰相様」
「クロ……今からサウス高原へ赴き思いつく限りのトラップを仕掛けて欲しい」
「―――御意!」
するとクロは再びこの場から姿を消した。
ちょっと太助!
それは卑怯じゃないの?
「前にも言った筈だよ。勇者とは真っ向勝負は厳禁だと」
「けど!」
「だけどもけどもない!ヒカルちゃんの命はヒカルちゃんだけのものじゃないんだよ」
「……」
その日、私と太助は別々の寝室で眠った。
何よ!
私は魔王国の魔王よ。
だからこそ私が卑怯な事をしてはいけないのよ。
それなのに……太助のバカ!
それから次の日の夕方。
私と太助の元へクロが現れた。
「えっ?トラップの設置は失敗だって」
「―――はい、残念ですが人間国の諜報員による妨害を受けまして……どうやら人間国側も宰相と同じ事を考えていたようで」
「そうか。すまないねクロ」
ほ~ら!
人間国もバカじゃなかったのよ。
第一こうゆうのは私ってガラじゃないのよ。
「太助!だから言ったじゃないの。卑怯な事してもこうなるのがオチだって」
「……ごめん」
あれ?
太助っtら誤った後でまた何処かへリンクミラーで連絡してる。
今度は誰に連絡を?
「こんにちは魔王様に宰相様」
「あれ?ロイドじゃないの」
「ロイドさん、前からお願いしていた例の物は」
「はい!まさ試作段階ですが……これなら勇者との闘いで有利になる筈です」
ロイドは何やらアイテムボックスを取り出して何やら取り出したみたい。
それは……少し大きめの赤い刃の剣であった。
「どうです!試作段階なのでまだ名前はありませんが魔王様の桁違いの能力に耐えられるように限界まで耐久力のみを極めたワンオフの魔剣です」
「いい出来だねロイドさん。これなら勇者の剣にも対抗できる筈だよ」
成程ね。
卑怯が駄目なら今度は装備強化ですか。
太助……どうして最初からこうゆうの用意しなかったのよ!
私は太助の頬を思いっきり引っ張って激昂!
「足助のアホ~っ!なんで最初からこっちを用意しなかったのよ」
「仕方がないでしょ!正直これでも勇者に対抗できるか不安だったし」
「見てなさい太助にロイド!この魔剣であのバカ勇者をギッタギタにしてやるんだから」
やっぱり私に卑怯とか姑息な事は性に合わないわ!
この魔剣で勇者なんかやっつけてやるんだから。
「それから魔王様にはもうひとつ渡したい物があるんだけど」
「あら?決闘ならこの魔剣で十分だけど」
「実はこれも宰相様に用意するようにお願いされたものなんだ。はいコレ!」
ロイドが私に手渡したのは少し小さなバックであった。
「魔王様、試しにそれを装備してバックの中身を調べてください」
「こう?」
私はバックを腰に装備して早速中を調べてみる。
すると……中からエリクサーが出てきた。
「何だ、ただのアイテム入れじゃないの」
「はい魔王様、もう一度そのバックに手を入れてくださいな」
私は騙されたと思って再びバックに手を入れてみる。
するとまたエリクサーが出てきた。
しかも今度は次々とエリクサーが!
これってまさか。
「魔王様の御察しの通りです。これは無限バックといいまして、ありとあらゆるアイテムを無限に収納できるバックです」
「えっ!」
「つまり、このバックに予めエリクサーを三百個入れておけば魔王様の自由にエリクサーを取り出せるのです」
「これは凄いわね」
「勿論エリクサー以外のアイテムも収納可能でございます。きっと今度の決闘では役に立つと思います」
確かにこのバックは便利だけど……これって明らかに卑怯じゃないの!
「太助、ロイド」
「「何?」」
「魔剣以外はいらないわ。こんなバック使ったら卑怯ひゃないの!」
私はこの便利なバックを外そうとした。
だけど……何故かバックが外れない!
「あっ悪いけどそのバック一度装着したら絶対に外せない仕様だからね」
「なんですって~っ!」
「一応バックの形を消す事はできるけど二度と外す事はできないからね」
「太助~っ!ロイド~っ!」
「ちなみに僕もヒカルちゃんと御揃いの無限バックを装備済みだよ……ほら!」
太助と御揃いのバックではもう文句は言えないわねぇ。
仕方がないわ、この無限バックは所持しておくか。
「とにかく、これで武器と回復手段は問題無しになったね!ヒカルちゃん」
「ぐぬぬ……」
「それと現在ヒカルちゃんの無限バックに入ってるアイテムの一覧だよ」
「何々……エリクサー千本に予備の試作魔剣が三本、保存食が三か月分とか遠足に行くんじゃないのよ」
それから太助は私に対勇者の戦法を伝授してきた。
まぁ……基本は距離を置いての最上級魔法連続攻撃が基本。
魔力が切れそうならすぐに無限バックのエリクサーを飲む。
決して魔剣があるとはいえ迂闊に接近戦はしない。
「なんかセコい戦い方だなぁ」
「とにかく迂闊に接近戦はしない事!そうしないとファブリーズさんの二の舞になるよ」
「へ~い!」
そして、この日の夜は仲直りとして私と太助は同じベットの中で激しく交わった。
しかも珍しく交わる主導権は太助が握っていて……本当に良かった~っ💛
そして、決闘当日。
「じゃあ言って売るわ」
「魔王様、ご武運を!」
「ありがとうパンジー」
私は魔王城の縄文前で太助とパンジー、それにルルとララを始めとする幹部達に見送られて勇者が待つサウス高原へ向かおうとしていた。
私は戦用の礼服、背中にはロイドが作った魔剣を背負い戦場へと赴く。
「ヒカルちゃん、いいね!接近戦は避ける事……そして魔法攻撃を中心で戦う事を忘れずにね」
「大丈夫よ!だって私は無敵なんだから」
私は太助にキスを交わして……いざ出陣!
城の外で待機させていたワイバーンに飛び乗り大空へ!
太助……それに皆!
私は絶対に勝つkらね。
だって私は無敵の魔王ヒカル・グレーズなのだから!
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