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新婚期
斡旋屋
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マリィアンナのお腹の具合も良くなり、大公園を出るともう夕方の頃合いだった。
「ねぇ、ティナ。街にはどんなお店があるの?」
マリィアンナは歩きながら話しかけるとティナは少し悩んでから
「そうですね…この街には色々あります。酒場や斡旋屋、本屋、貸本屋、雑貨屋、菓子屋、服屋、食堂、パン屋…あとは…」
「…孤児院はあるのかしら?」
「えぇ、あります」
「ここの孤児院は何歳までの規定なのかしら」
「確か…10歳かと」
「随分早いのね…」
「えぇ…」
沈黙が続くと
「孤児院にいれるのは10歳までですがその後の生活は16歳までは保障されているかと」
と、騎士のアンデルが口をはさんだ。
「16歳まで?」
マリィアンナとティナが不思議そうにアンデルを見つめた。
「孤児院で生活できるのは10歳までですが、その後は斡旋屋で仕事を紹介してもらえます。格安で斡旋屋の部屋も借りれます」
「…そうなの。…孤児院って街のどこにあるの?」
「ここからすぐのところですね。寄られますか?」
「えぇ、少し見ておきたいわ」
孤児院と大公園は目と鼻の場所にあった。
建物は少し古く、柵は少々朽ちていて庭の畑は少し荒れていた。
庭には一人の少女が、ブチブチと雑草を抜いていた。
少女は涙をこらえて肩を震わせながら、黙々と抜いていた。
しばらくして少年が少女を呼び、2人は建物の中へと入って行った。
マリィアンナは泣きそうな少女の顔がひっかかりながらも孤児院を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あとは…斡旋屋へ行きたいわ」
「…斡旋屋ですか?」
「そう。今日行っておきたいの」
「かしこまりました」
ティナに案内され、斡旋屋へと向かった。
建物に入ると、カウンターには中年の女性が1人いて何やら作業をしていた。
マリィアンナに気づきカウンターから出て挨拶に来た。
「これはお嬢様、何かご入用でしょうか?」
「ええ、少し。オーナーはどなたかしら?」
「!!…主人を呼びますのでこちらのお部屋でお待ちくださいませ」
商談部屋へと通されるとマリィアンナはティナとアンデルに部屋の外で待っているよう指示を出した。
二人は礼をして部屋を退出して行った。
ソファーに座って待っていると、すぐにドアが開き中年男性が入ってきた。
「お待たせいたしました。お嬢様。オーナーのデリルと申します」
「わたくし、この度コディル家嫡男アルベルト様の妻となったマリィアンナ・コディルですわ」
「これは!失礼いたしました!…領主様の御嫡男様の奥様であられましたか!申し訳ありませんでした」
「いえ、いいの。わたくし街に来るのはまだ2回目ですの。顔を知らないのも当然ですわ」
そういいながらマリィアンナは微笑みブローチを見せた。
「奥様はお綺麗ですのですぐに皆、知れ渡るでしょう!」
「ふふっ、お世辞でもうれしいわ。今日は使用人について相談をしたいと思って来たのよ」
「使用人ですか?」
「そう、使用人。わたくし即決はしないわ。まずどんな子がいるか知りたいわ」
「なるほど…」
デリルはひげを撫でながらチラリと廊下を見た。
「ご入用は騎士とメイドですか?」
「騎士はいいわ。今はわたくしの領分ではないから。メイドを中心にお願いしたいわ」
「なるほど…では名簿をお持ちいたします。少々お待ちください」
デリルはすぐに名簿を持ってきて少し困った顔でマリィアンナへ手渡した。
「今現在、メイドとして機能する娘はあまりいないかと…」
「…」
「しかし、奥様のお役に立てる人材はいるかと思います」
「…そう」
名簿をめくり、眺めながらマリィアンナは思案した。
分厚い名簿を眺めながらマリィアンナは息を飲んだ。
この名簿、事細かに書かれているわね。
人材のできる仕事、希望賃金、期間、斡旋料、性格、家族構成、住んでいる場所、まで…。
会話から察するにもデリルという人は聡い人間だわ。
マリィアンナは口に手を当て、考え込んでいると部屋のドアが開きカウンターにいた中年女性が紅茶の入ったトレーを持って入室してきた。
「妻のピニィです。ピニィ、こちら領主様の御嫡男様の奥様だ」
ピニィはびっくりして
「奥様!は…はじめまして。ピニィと申します!」
「ピニィ、よろしくね」
「あ、は…はい!えと…こ、紅茶をどうぞ」
ギクシャクしながら紅茶を並べると急いで退出しようとしたピニィを、マリィアンナは引き留めた。
「ねぇピニィ、斡旋する人材と貴方は接触したりするのかしら?」
「え…は、はい!そうですね…受付を主に私がしていますので。後、孤児院出身の子供は上に住んでいるのですが、食事や洗濯などのちょっとした家事も一緒にしますので…」
「そう…じゃあ一緒にこの名簿を見て載ってる人材がどんな人となりか貴方の率直な意見が聞きたいわ」
「え…は…はい!私でよければ」
「では私はカウンターにいますので何かありましたお声かけください」
デリルはニコニコしながら部屋を退出して行った。
「メイドを主に探しに来たのだけどメイドの仕事をできる女性はあまりいないってデリルが言っていたのだけどなぜなのかしら?」
「そう…ですね…メイドの仕事には教養も必要ですし…相応の技術も必要です。平民には狭き門でございます…」
「そうなのね…」
邸宅にいるメイドもその狭き門を突破した平民なのか、没落した貴族の令嬢なのか…
もしかしたら嫌々メイドの仕事をやっているのかしら…
だからって嫌がらせをしていいわけじゃないのだけど。
そんなことを考えながら名簿を読んでいると、とあるページでピタリと目が留まった。
見開きのページには2人の少女の情報が書いてあった。
「この子は…」
「あぁ、この子たちは…」
ピニィの話を聞きながらマリィアンナはこれからどうすれば最適なのか考え続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
馬車で邸宅に戻る頃には日も暮れ、辺りは暗くなっていた。
久しぶりに邸宅を出たマリィアンナは疲れていて、部屋へ戻ると早々にソファーへと座った。
体がだるいわ。完全な運動不足ね。
明日、足がつらいかもしれないわね…
マリィアンナは湯あみもそこそこに、すぐにベッドへと入り寝息をたてた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の日、案の定マリィアンナの足はがくがくしていた。
マリィアンナは、義父と温かい朝食を食べながら昨日の出来事を話し
義父はニコニコしながらマリィアンナの話に相槌をうった。
マリィアンナはあまりの運動不足の為、しばらく街に出るのを止めて家で大人しくすることにした。
部屋にこもっているのももう飽きたわ。
運動不足解消の為に庭や邸宅を散策しようかしら。
マリィアンナは街の次は邸宅を隅々まで『冒険す』ることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋数も多いがこの邸宅は庭も広かった。
前に客室をくまなく観察したから今日は他の場所を散策しましょう…
庭に出てみようかしら。それにしても…広くて迷子になってしまいそうだわ…
がくがくした足をゆっくり進めながらマリィアンナは庭へと向かった。
花を愛でながらゆっくり歩くと、何やら声が聞こえた。
声に気を取られ、マリィアンナはドレスの裾を踏んで転びそうになり、思わず垣根にしゃがみこんだ。
「うぅっ…ひっ…っふ…」
押し殺したような泣き声が聞こえた。
「お父様…エミール…うぅ…っく…」
そっと見るとテレズが垣根の向こう側で小さくうずくまっていた。
表情を崩さず冷静ないつものテレズはなりを潜めて、誰にも見つからないようにコッソリ泣いているのがマリィアンナにヒシヒシと伝わってきた。
慰めた方がいいのかとも思ったが、テレズとはまだ短い時間しか顔を合わしていないし、自分が行っても余計な事なのではないかと思案をした。
結局マリィアンナは思いがけず盗み聞きをしてしまっていたたまれなくなり、テレズを案じながらも何も言わずにその場から静かに離れた。
「ねぇ、ティナ。街にはどんなお店があるの?」
マリィアンナは歩きながら話しかけるとティナは少し悩んでから
「そうですね…この街には色々あります。酒場や斡旋屋、本屋、貸本屋、雑貨屋、菓子屋、服屋、食堂、パン屋…あとは…」
「…孤児院はあるのかしら?」
「えぇ、あります」
「ここの孤児院は何歳までの規定なのかしら」
「確か…10歳かと」
「随分早いのね…」
「えぇ…」
沈黙が続くと
「孤児院にいれるのは10歳までですがその後の生活は16歳までは保障されているかと」
と、騎士のアンデルが口をはさんだ。
「16歳まで?」
マリィアンナとティナが不思議そうにアンデルを見つめた。
「孤児院で生活できるのは10歳までですが、その後は斡旋屋で仕事を紹介してもらえます。格安で斡旋屋の部屋も借りれます」
「…そうなの。…孤児院って街のどこにあるの?」
「ここからすぐのところですね。寄られますか?」
「えぇ、少し見ておきたいわ」
孤児院と大公園は目と鼻の場所にあった。
建物は少し古く、柵は少々朽ちていて庭の畑は少し荒れていた。
庭には一人の少女が、ブチブチと雑草を抜いていた。
少女は涙をこらえて肩を震わせながら、黙々と抜いていた。
しばらくして少年が少女を呼び、2人は建物の中へと入って行った。
マリィアンナは泣きそうな少女の顔がひっかかりながらも孤児院を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あとは…斡旋屋へ行きたいわ」
「…斡旋屋ですか?」
「そう。今日行っておきたいの」
「かしこまりました」
ティナに案内され、斡旋屋へと向かった。
建物に入ると、カウンターには中年の女性が1人いて何やら作業をしていた。
マリィアンナに気づきカウンターから出て挨拶に来た。
「これはお嬢様、何かご入用でしょうか?」
「ええ、少し。オーナーはどなたかしら?」
「!!…主人を呼びますのでこちらのお部屋でお待ちくださいませ」
商談部屋へと通されるとマリィアンナはティナとアンデルに部屋の外で待っているよう指示を出した。
二人は礼をして部屋を退出して行った。
ソファーに座って待っていると、すぐにドアが開き中年男性が入ってきた。
「お待たせいたしました。お嬢様。オーナーのデリルと申します」
「わたくし、この度コディル家嫡男アルベルト様の妻となったマリィアンナ・コディルですわ」
「これは!失礼いたしました!…領主様の御嫡男様の奥様であられましたか!申し訳ありませんでした」
「いえ、いいの。わたくし街に来るのはまだ2回目ですの。顔を知らないのも当然ですわ」
そういいながらマリィアンナは微笑みブローチを見せた。
「奥様はお綺麗ですのですぐに皆、知れ渡るでしょう!」
「ふふっ、お世辞でもうれしいわ。今日は使用人について相談をしたいと思って来たのよ」
「使用人ですか?」
「そう、使用人。わたくし即決はしないわ。まずどんな子がいるか知りたいわ」
「なるほど…」
デリルはひげを撫でながらチラリと廊下を見た。
「ご入用は騎士とメイドですか?」
「騎士はいいわ。今はわたくしの領分ではないから。メイドを中心にお願いしたいわ」
「なるほど…では名簿をお持ちいたします。少々お待ちください」
デリルはすぐに名簿を持ってきて少し困った顔でマリィアンナへ手渡した。
「今現在、メイドとして機能する娘はあまりいないかと…」
「…」
「しかし、奥様のお役に立てる人材はいるかと思います」
「…そう」
名簿をめくり、眺めながらマリィアンナは思案した。
分厚い名簿を眺めながらマリィアンナは息を飲んだ。
この名簿、事細かに書かれているわね。
人材のできる仕事、希望賃金、期間、斡旋料、性格、家族構成、住んでいる場所、まで…。
会話から察するにもデリルという人は聡い人間だわ。
マリィアンナは口に手を当て、考え込んでいると部屋のドアが開きカウンターにいた中年女性が紅茶の入ったトレーを持って入室してきた。
「妻のピニィです。ピニィ、こちら領主様の御嫡男様の奥様だ」
ピニィはびっくりして
「奥様!は…はじめまして。ピニィと申します!」
「ピニィ、よろしくね」
「あ、は…はい!えと…こ、紅茶をどうぞ」
ギクシャクしながら紅茶を並べると急いで退出しようとしたピニィを、マリィアンナは引き留めた。
「ねぇピニィ、斡旋する人材と貴方は接触したりするのかしら?」
「え…は、はい!そうですね…受付を主に私がしていますので。後、孤児院出身の子供は上に住んでいるのですが、食事や洗濯などのちょっとした家事も一緒にしますので…」
「そう…じゃあ一緒にこの名簿を見て載ってる人材がどんな人となりか貴方の率直な意見が聞きたいわ」
「え…は…はい!私でよければ」
「では私はカウンターにいますので何かありましたお声かけください」
デリルはニコニコしながら部屋を退出して行った。
「メイドを主に探しに来たのだけどメイドの仕事をできる女性はあまりいないってデリルが言っていたのだけどなぜなのかしら?」
「そう…ですね…メイドの仕事には教養も必要ですし…相応の技術も必要です。平民には狭き門でございます…」
「そうなのね…」
邸宅にいるメイドもその狭き門を突破した平民なのか、没落した貴族の令嬢なのか…
もしかしたら嫌々メイドの仕事をやっているのかしら…
だからって嫌がらせをしていいわけじゃないのだけど。
そんなことを考えながら名簿を読んでいると、とあるページでピタリと目が留まった。
見開きのページには2人の少女の情報が書いてあった。
「この子は…」
「あぁ、この子たちは…」
ピニィの話を聞きながらマリィアンナはこれからどうすれば最適なのか考え続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
馬車で邸宅に戻る頃には日も暮れ、辺りは暗くなっていた。
久しぶりに邸宅を出たマリィアンナは疲れていて、部屋へ戻ると早々にソファーへと座った。
体がだるいわ。完全な運動不足ね。
明日、足がつらいかもしれないわね…
マリィアンナは湯あみもそこそこに、すぐにベッドへと入り寝息をたてた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の日、案の定マリィアンナの足はがくがくしていた。
マリィアンナは、義父と温かい朝食を食べながら昨日の出来事を話し
義父はニコニコしながらマリィアンナの話に相槌をうった。
マリィアンナはあまりの運動不足の為、しばらく街に出るのを止めて家で大人しくすることにした。
部屋にこもっているのももう飽きたわ。
運動不足解消の為に庭や邸宅を散策しようかしら。
マリィアンナは街の次は邸宅を隅々まで『冒険す』ることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋数も多いがこの邸宅は庭も広かった。
前に客室をくまなく観察したから今日は他の場所を散策しましょう…
庭に出てみようかしら。それにしても…広くて迷子になってしまいそうだわ…
がくがくした足をゆっくり進めながらマリィアンナは庭へと向かった。
花を愛でながらゆっくり歩くと、何やら声が聞こえた。
声に気を取られ、マリィアンナはドレスの裾を踏んで転びそうになり、思わず垣根にしゃがみこんだ。
「うぅっ…ひっ…っふ…」
押し殺したような泣き声が聞こえた。
「お父様…エミール…うぅ…っく…」
そっと見るとテレズが垣根の向こう側で小さくうずくまっていた。
表情を崩さず冷静ないつものテレズはなりを潜めて、誰にも見つからないようにコッソリ泣いているのがマリィアンナにヒシヒシと伝わってきた。
慰めた方がいいのかとも思ったが、テレズとはまだ短い時間しか顔を合わしていないし、自分が行っても余計な事なのではないかと思案をした。
結局マリィアンナは思いがけず盗み聞きをしてしまっていたたまれなくなり、テレズを案じながらも何も言わずにその場から静かに離れた。
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