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婚約期
慣れている婚約者
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ものの数分、歩いたところでピタリとアルベルトが止まった。
「?」
「ここに入ろう」
そこは宝石店であった。
「ここですか?」
「あぁ」
ドアを開けてカランッと軽快な音がなり、中へ入ると明るい照明が目に入った。
キラキラとまぶしい光に驚き、辺りを見回すと様々な色の宝石が並べられている。
「とても素敵な宝石ですわね」
「あぁ、そうだな。好きに見るといい。私はあちらにいる」
「…え?」
そういうとアルベルトは店員に一言二言話した後、少し奥まった場所にあるソファーへと腰を掛けた。
…見ればいいって…えっと…眺めていればいいのかしら?
マリィアンナは近くの宝石から順番に眺め始めた。
色々な種類の石があるのね。いつも夜会で身に着ける宝石は商人を呼ぶからお店で見るのは新鮮ね。
形もいろいろあるのね。高価な宝石ばかりのようだから貴族向けのお店なのね。
眩しすぎてチカチカするわ…
マリィアンナはたっぷり眺めた後、ひとつのネックレスを手にとった。
薄い青い宝石にカットが細かく施されていて、しずくを模したティアドロップ型の宝石だった。
この色、どこかで見たことがあるわ…どこかしら。
すぐそこまで思い出せそうなのに出てこないわ…モヤモヤしてしまうわ~うぅ…
マリィアンナが宝石を見ながら必死に思い出そうとしている背後からアルベルトが声をかけた。
「それにするか?では頼む」
「え?」
ひょいっとマリィアンナの手からアルベルトは宝石をつまみ上げ、店員へ手渡す。
「あっ…え…?」
マリィアンナは混乱しながら振り返り、アルベルトの顔を見つめる。
あ、あの宝石はアルベルト様の瞳の色だったのね。道理で見たことがあったわけだわ。
「お支払いはいつも通りでよろしいでしょうか?」
「あぁ、宝石の届け先はクステルタ伯爵の邸宅へ早めに頼む」
「クステルタ伯爵様ですね。かしこまりました」
「えっ…」
マリィアンナは不思議そうな顔でアルベルトを見つめ続けた。
「欲しかったのではないか?」
「えっと…」
綺麗でどこかで見たことあるか考えていただけのマリィアンナであったが、予想外の出来事に返答に詰まり、なんと答えようか迷っている間にアルベルトは腕をマリィアンナにスッと出した。
マリィアンナはその腕を眺め、ハッとしてアルベルトの腕に急いで軽めに絡めた。
アルベルトは自然にマリィアンナをエスコートしたまま店の外へと出て、また迷いなく道を軽快に歩き始めた。
数分後、とあるカフェ店の前でアルベルトは止まった。
だが店のドアにはプレートがかかっており、店主が急用で今日は店を閉めてたようだった。アルベルトは周りをキョロキョロ見回した後、再び歩き始めた。
再び止まった場所は、シックな雰囲気のカフェだった。
店に入るとすぐに店員が近づいてきて接客をし始めた。
「これはコディル様!どうぞこちらへ」
「あぁ」
奥にある広めの個室へ通され、従者や護衛は壁際に並ぶ。
「お嬢様、本日はこちらのメニューになります。コディル様はいつものでよろしいでしょうか?」
「あぁ」
メニューを見ると様々なケーキや茶菓子の名前が並んでいた。
マリィアンナはフルーツタルトと紅茶を頼んだ。
しばらくしてタルトと紅茶が運ばれてきた。
アルベルトは紅茶のみであった。
フルーツの甘みと酸味を楽しみながら紅茶を口に含みひと心地をついたマリィアンナは静かに紅茶を飲むアルベルトを眺めながらぼんやり考えていた。
アルベルト様は甘い菓子をお好きじゃないのかしら。
そういえば邸宅でお茶を飲むときに菓子はあまり召し上がってなかったわ。
「このタルト、とっても美味しいですわ」
「…そうか」
当たり障りのない会話をしながら紅茶の香りを楽しみ、マリィアンナの初デートは無事終わった。
帰りももちろんアルベルトはマリィアンナを馬車で邸宅まで送る。
アルベルトの乗る馬車が帰るのと入れ替わりで、宝石店からプレゼントの宝石が邸宅へと届けられた。
迷いなく宝石店を選び、プレゼントするのが当たり前のように宝石を購入するわ、配送の手配も慣れてるご様子だったわ。それにカフェが休みでも替わりがすぐ思い浮かぶなんて…行きつけの個室のカフェで「いつもの」注文も。…こなれてるわ!アルベルト様は男女付き合いの経験値が豊富なようね…
次のデートはどこに連れて行ってくれるのか楽しみな反面、これからどう付き合っていけばいいかマリィアンナは不安を感じながら自室へと戻って行った。
「?」
「ここに入ろう」
そこは宝石店であった。
「ここですか?」
「あぁ」
ドアを開けてカランッと軽快な音がなり、中へ入ると明るい照明が目に入った。
キラキラとまぶしい光に驚き、辺りを見回すと様々な色の宝石が並べられている。
「とても素敵な宝石ですわね」
「あぁ、そうだな。好きに見るといい。私はあちらにいる」
「…え?」
そういうとアルベルトは店員に一言二言話した後、少し奥まった場所にあるソファーへと腰を掛けた。
…見ればいいって…えっと…眺めていればいいのかしら?
マリィアンナは近くの宝石から順番に眺め始めた。
色々な種類の石があるのね。いつも夜会で身に着ける宝石は商人を呼ぶからお店で見るのは新鮮ね。
形もいろいろあるのね。高価な宝石ばかりのようだから貴族向けのお店なのね。
眩しすぎてチカチカするわ…
マリィアンナはたっぷり眺めた後、ひとつのネックレスを手にとった。
薄い青い宝石にカットが細かく施されていて、しずくを模したティアドロップ型の宝石だった。
この色、どこかで見たことがあるわ…どこかしら。
すぐそこまで思い出せそうなのに出てこないわ…モヤモヤしてしまうわ~うぅ…
マリィアンナが宝石を見ながら必死に思い出そうとしている背後からアルベルトが声をかけた。
「それにするか?では頼む」
「え?」
ひょいっとマリィアンナの手からアルベルトは宝石をつまみ上げ、店員へ手渡す。
「あっ…え…?」
マリィアンナは混乱しながら振り返り、アルベルトの顔を見つめる。
あ、あの宝石はアルベルト様の瞳の色だったのね。道理で見たことがあったわけだわ。
「お支払いはいつも通りでよろしいでしょうか?」
「あぁ、宝石の届け先はクステルタ伯爵の邸宅へ早めに頼む」
「クステルタ伯爵様ですね。かしこまりました」
「えっ…」
マリィアンナは不思議そうな顔でアルベルトを見つめ続けた。
「欲しかったのではないか?」
「えっと…」
綺麗でどこかで見たことあるか考えていただけのマリィアンナであったが、予想外の出来事に返答に詰まり、なんと答えようか迷っている間にアルベルトは腕をマリィアンナにスッと出した。
マリィアンナはその腕を眺め、ハッとしてアルベルトの腕に急いで軽めに絡めた。
アルベルトは自然にマリィアンナをエスコートしたまま店の外へと出て、また迷いなく道を軽快に歩き始めた。
数分後、とあるカフェ店の前でアルベルトは止まった。
だが店のドアにはプレートがかかっており、店主が急用で今日は店を閉めてたようだった。アルベルトは周りをキョロキョロ見回した後、再び歩き始めた。
再び止まった場所は、シックな雰囲気のカフェだった。
店に入るとすぐに店員が近づいてきて接客をし始めた。
「これはコディル様!どうぞこちらへ」
「あぁ」
奥にある広めの個室へ通され、従者や護衛は壁際に並ぶ。
「お嬢様、本日はこちらのメニューになります。コディル様はいつものでよろしいでしょうか?」
「あぁ」
メニューを見ると様々なケーキや茶菓子の名前が並んでいた。
マリィアンナはフルーツタルトと紅茶を頼んだ。
しばらくしてタルトと紅茶が運ばれてきた。
アルベルトは紅茶のみであった。
フルーツの甘みと酸味を楽しみながら紅茶を口に含みひと心地をついたマリィアンナは静かに紅茶を飲むアルベルトを眺めながらぼんやり考えていた。
アルベルト様は甘い菓子をお好きじゃないのかしら。
そういえば邸宅でお茶を飲むときに菓子はあまり召し上がってなかったわ。
「このタルト、とっても美味しいですわ」
「…そうか」
当たり障りのない会話をしながら紅茶の香りを楽しみ、マリィアンナの初デートは無事終わった。
帰りももちろんアルベルトはマリィアンナを馬車で邸宅まで送る。
アルベルトの乗る馬車が帰るのと入れ替わりで、宝石店からプレゼントの宝石が邸宅へと届けられた。
迷いなく宝石店を選び、プレゼントするのが当たり前のように宝石を購入するわ、配送の手配も慣れてるご様子だったわ。それにカフェが休みでも替わりがすぐ思い浮かぶなんて…行きつけの個室のカフェで「いつもの」注文も。…こなれてるわ!アルベルト様は男女付き合いの経験値が豊富なようね…
次のデートはどこに連れて行ってくれるのか楽しみな反面、これからどう付き合っていけばいいかマリィアンナは不安を感じながら自室へと戻って行った。
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