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第三章
第三章の二 牛鬼猛攻④
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「一部の流派は細々と残っているみたいですけど……」
それでも話を聞くのは難しいだろう、と橋姫が言った。
「そんなぁ~、唯一の牛鬼に対抗できる手段だと思ったのに~」
あずさはがっくりと膝をついてしまった。確かに、現状では陰陽師に力を借りることがいちばんの近道だったかもしれない。しかしその陰陽師を頼りにできないと分かった以上、その望みは絶たれてしまった。
「あずさちゃん。陰陽師が今もいっぱいいたとしても、今から陰陽道の修行をするとなると時間がいくらあっても足らないわよ」
奏は少し赤みの戻った顔でにっこり笑って言う。
「そうかもしれないけど、何もしないよりはマシだったはず!」
あずさはそう主張した。
そう、何もしないよりはマシなのだ。今あずさは何でもいいからすがって、何としてでも牛鬼から団扇を奪い返したいと思っている。
「あずささん」
するとそこで橋姫があずさに声を掛けた。
「団扇がなくても、神々を召喚できるようになれば、それだけで有利になるかと思いますよ」
それは橋姫の助言だった。
「え?」
あずさは目を丸くする。
「どうやるの? それ」
あずさの疑問に橋姫は何事かを口にする。それは小さく、あずさには聞き取れない。そしてあずさの額に小さくキスをした。突然の出来事にあずさは大きな目を更に大きくしている。そんなあずさを尻目に、
「これで、契約は完了です」
橋姫はにっこりと微笑む。
「私は戦闘特化型ではないので、あまりお役に立てないかもしれませんが。それでも神の加護があるだけで違ってくるかと」
橋姫はそう言ってあずさに笑いかけてくれた。
「名前を呼んでください。橋姫ではなく、瀬織津姫、と。さすれば私はすぐさまあずささんの前に姿を現すでしょう」
橋姫の説明に、あずさは思わず橋姫の手を取っていた。
「ありがとう、橋姫!」
あずさは感動し、橋姫の片腕をぶんぶんと振っている。
「これで今後の方針が決まりましたね」
結人が言う。
「そうね」
それにあわせて奏も口を開いた。
今後の方針、それはあずさに神との契約を結ばせること。
団扇を奪われた今、あずさが自身の身を守るために出来る唯一の方法である。
「それから奏さん」
橋姫は奏の方を振り返る。奏の顔は少し赤みが戻っているものの、まだ青い。そんな奏に橋姫は一つの瓶を渡した。
「これをお飲みください。少しで気分の悪さもなくなることでしょう」
橋姫に渡された瓶を開け、奏は一口それを口にする。すると今までのめまいが嘘のように消えていった。
「これは……?」
目を丸くして瓶の中身の水に目をやる奏。橋姫は何でもないことのように言った。
「聖水です。身を清め、精神を統一してくれます」
橋姫に言われ、奏はありがとう、と言ってそれを受け取った。
それでも話を聞くのは難しいだろう、と橋姫が言った。
「そんなぁ~、唯一の牛鬼に対抗できる手段だと思ったのに~」
あずさはがっくりと膝をついてしまった。確かに、現状では陰陽師に力を借りることがいちばんの近道だったかもしれない。しかしその陰陽師を頼りにできないと分かった以上、その望みは絶たれてしまった。
「あずさちゃん。陰陽師が今もいっぱいいたとしても、今から陰陽道の修行をするとなると時間がいくらあっても足らないわよ」
奏は少し赤みの戻った顔でにっこり笑って言う。
「そうかもしれないけど、何もしないよりはマシだったはず!」
あずさはそう主張した。
そう、何もしないよりはマシなのだ。今あずさは何でもいいからすがって、何としてでも牛鬼から団扇を奪い返したいと思っている。
「あずささん」
するとそこで橋姫があずさに声を掛けた。
「団扇がなくても、神々を召喚できるようになれば、それだけで有利になるかと思いますよ」
それは橋姫の助言だった。
「え?」
あずさは目を丸くする。
「どうやるの? それ」
あずさの疑問に橋姫は何事かを口にする。それは小さく、あずさには聞き取れない。そしてあずさの額に小さくキスをした。突然の出来事にあずさは大きな目を更に大きくしている。そんなあずさを尻目に、
「これで、契約は完了です」
橋姫はにっこりと微笑む。
「私は戦闘特化型ではないので、あまりお役に立てないかもしれませんが。それでも神の加護があるだけで違ってくるかと」
橋姫はそう言ってあずさに笑いかけてくれた。
「名前を呼んでください。橋姫ではなく、瀬織津姫、と。さすれば私はすぐさまあずささんの前に姿を現すでしょう」
橋姫の説明に、あずさは思わず橋姫の手を取っていた。
「ありがとう、橋姫!」
あずさは感動し、橋姫の片腕をぶんぶんと振っている。
「これで今後の方針が決まりましたね」
結人が言う。
「そうね」
それにあわせて奏も口を開いた。
今後の方針、それはあずさに神との契約を結ばせること。
団扇を奪われた今、あずさが自身の身を守るために出来る唯一の方法である。
「それから奏さん」
橋姫は奏の方を振り返る。奏の顔は少し赤みが戻っているものの、まだ青い。そんな奏に橋姫は一つの瓶を渡した。
「これをお飲みください。少しで気分の悪さもなくなることでしょう」
橋姫に渡された瓶を開け、奏は一口それを口にする。すると今までのめまいが嘘のように消えていった。
「これは……?」
目を丸くして瓶の中身の水に目をやる奏。橋姫は何でもないことのように言った。
「聖水です。身を清め、精神を統一してくれます」
橋姫に言われ、奏はありがとう、と言ってそれを受け取った。
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