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デートを終えて(2)
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「それで如何でしたか? デートは合格と判断してキスしたのですが」
レフィーが開いていた本を閉じ、それをテーブルに置いて身体ごと私に向き直る。
「デートは合格と判断」……うん、確かにデートは満喫したと思う。どころか、オーバーキルされたと思う。
「……うん。すごくよかった」
まるで夢のようなデートだった。目が覚めたときに「何だ、夢オチか」と半分以上本気で思ってしまったくらいに。
ふと、レースの手袋を見る。
(初っ端からお伽話のような真似をしてみせるんだもの)
少し萎れてしまった生花に、余韻を楽しみながら私は顔を上げて――
「は……うむぅうっ!?」
次の瞬間には、それを台無しにするような声を上げていた。
近過ぎてぼやけた琥珀色の瞳が、私の視界を埋めていた。
(な、な、何でまたキスされてるの!?)
口腔内を蹂躙するように這い回る、レフィーの舌。内側を隅々まで調べるように動くそれに呼吸まで奪われ、あっと言う間に息が上がる。思わずバシバシとレフィーを叩けば、彼が僅かに離れて、しかしその二秒後にはまた口づけられていた。
(違うからっ。訴えたのは息継ぎじゃないからっ)
今度は私の舌の形でも確かめるかのように、レフィーの舌に私のものが絡め取られる。舌が別の生き物のように責め立ててくるってこういうことか、こういうことか!
バシバシッ
叩けばまたレフィーが離れる。
「いいいいいきなり、何っ!?」
私の口の端を濡らす唾液を舐め取っていたレフィーに尋ねる。顔が見えるほど離れた彼は、自分の口の端をぺろりと舐めた。
わざとなの? それはわざとなの? エロスはもう仕舞っておいて! 供給過多ですので!
「したくなったので」
「いやだから何で」
「端的に言うなら――はまりました」
「はまっ……た……とな」
「二回目以降は、制約も制限もなくキスしていいのでしょう?」
そりゃ漫画には、『初めてのキス』についてしか描かなかったけれど。無理だから。制限なくキスされるとか、無理だから。
「それは……でもほら、折角『おはよう』や『おやすみ』のキスの種類があるんだから、それに沿ってしたいな……とか」
気が向いたときにするんじゃ、挨拶のキスにならないでしょ? ね? ね?
レフィーの「実験したい」性格につけ込み、回避を試みてみる。どうか思い留まって!
「……仕方ありません。『おはよう』『いってらっしゃい』『おかえり』『今日も素敵だ』『おやすみ』で、手を打ちます」
さり気に種類が増えている!
「ずっと傍にいても、『いってらっしゃい』『おかえり』は時間になったら実行します」
どんだけしたいのさ!
「では今から、『今日も素敵だ』のキスの時間です」
「えっ、ちょっ――」
抗議する間もなく、私の口が再びレフィーのそれで塞がれる。
そして案の定そのキスは、挨拶とは懸け離れたものだった……
レフィーが開いていた本を閉じ、それをテーブルに置いて身体ごと私に向き直る。
「デートは合格と判断」……うん、確かにデートは満喫したと思う。どころか、オーバーキルされたと思う。
「……うん。すごくよかった」
まるで夢のようなデートだった。目が覚めたときに「何だ、夢オチか」と半分以上本気で思ってしまったくらいに。
ふと、レースの手袋を見る。
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少し萎れてしまった生花に、余韻を楽しみながら私は顔を上げて――
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口腔内を蹂躙するように這い回る、レフィーの舌。内側を隅々まで調べるように動くそれに呼吸まで奪われ、あっと言う間に息が上がる。思わずバシバシとレフィーを叩けば、彼が僅かに離れて、しかしその二秒後にはまた口づけられていた。
(違うからっ。訴えたのは息継ぎじゃないからっ)
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バシバシッ
叩けばまたレフィーが離れる。
「いいいいいきなり、何っ!?」
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わざとなの? それはわざとなの? エロスはもう仕舞っておいて! 供給過多ですので!
「したくなったので」
「いやだから何で」
「端的に言うなら――はまりました」
「はまっ……た……とな」
「二回目以降は、制約も制限もなくキスしていいのでしょう?」
そりゃ漫画には、『初めてのキス』についてしか描かなかったけれど。無理だから。制限なくキスされるとか、無理だから。
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さり気に種類が増えている!
「ずっと傍にいても、『いってらっしゃい』『おかえり』は時間になったら実行します」
どんだけしたいのさ!
「では今から、『今日も素敵だ』のキスの時間です」
「えっ、ちょっ――」
抗議する間もなく、私の口が再びレフィーのそれで塞がれる。
そして案の定そのキスは、挨拶とは懸け離れたものだった……
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