『彩生世界』の聖女じゃないほう ～異世界召喚されました。こうなったらやってみせます完全攻略～

第五章 聖女じゃないほうだからこそ

奇跡の恩賞(2)

「今夜までに、貴女が『裏の理由』を素直に白状できるようにしてあげます」
「ちょっ」

　穏やかでない台詞が来たかと思えば、ナツメはそれに違わない大胆な行動に出た。
　私の左足首を持ち上げたかと思えば、その足指を小指から順に口に含んで行く。隣の指に移る際に垂れた唾液を丁寧に舐める仕草が、酷く扇情的に映った。

「ひゃっ」

　彼の突飛な行動に、そちらばかりに気を取られただろう。ナツメのもう片手が右足の膝から太股を撫で上げた動きに、不意を突かれてビクリとなる。

「ふぁ……」

　くすぐったいなんて思えていたのは最初だけで、一瞬にしてそれは甘い痺れに変わった。正確に神経の道筋を辿られているのではと思えるほど、快感の波は途切れなく続く。足先にあった彼の舌が膝裏を舐め上げたときには、もう駄目だった。
　隠すために置いた左手の下で、硬くなっている胸の先がわかる。右手は溢れ零れたもので、濡れてしまっている。隠しているどちら側にも、触れられてはいないというのに。
　何より我慢できなくて隠すことを止めた自分に、恥ずかしさのあまり消えてしまいたくなる。
　勘の良いナツメは、すぐに獲物とするものを私の足から右手へと替えた。そして彼は私に見せ付けるように、的確に濡れていた指だけを舐め上げた。
　最後に甘噛みされた手が、私の耳の横にそっと下ろされる。ナツメのもう片手は既に、私の胸への愛撫へと移っていた。

「あっ」

　いきなり敏感な胸の先をつままれ、部屋に響くほどの大きな声が出てしまう。

「つまんでくれと言わんばかりに立っていますね、ここ」
「あっ、あっ」

　そのまま絶妙な力加減で捏こねられ、ますますいやらしい形に変わった先端を優しく親指の腹で擦られる。
　それだけでも過ぎた刺激なのに、そうしながらナツメは私の中心までまさぐり始めた。

「待っ……」
「こっちも待ちきれない状態でしょう？　公平に可愛がってあげないと」
「んんんっ！」

　弱い場所を同時に責められ、背中が弓ゆみ形なりに反る。
　ナツメの手は表面をそっとなぞっただけであるのに、その後に一番敏感な芽に触れた彼の指はたっぷりと濡れていた。彼の指を濡らした液体の出処なんて、考えるまでもない。
　容赦なく責めるくせに、その指の運びはまるで壊れ物でも扱うかのように慎重で。気付けば、もどかしさに焦れた私の脚が、彼の手を挟み込んでいた。

「！　あんっ」

　反動で自ら強くナツメの指に擦こすり付けてしまい、甘い悲鳴が口を衝いて出る。
　そればかりか理性の残る頭を裏切った私の身体は、さらなる愉悦を得ようと淫いん靡びに揺れ動いていた。

「やっ、こんな……っ」
「アヤコさんは俺を誘惑する天才ですね」
「ひっ、あ、あ、あ……っ」

　私の身体に応えるように、ナツメの指の動きが変わる。
　興奮に膨らんだ芽を捏ねられ、突起を擦られ。緩急と強弱を気紛れに変えてくるせいで、身構えることができずに酷く感じてしまう。

「はふっ、は、あん……っ」

　乳首は変わらず苛められていて、硬いそこを少し強めに潰されながらもやはり先端は優しく擦られる。
　ナツメの『公平に可愛がる』という言葉の意味がわかったときには、私は上り詰める寸前だった。

「無理っ、こんな、も……っ」
「いいですよ。見せて下さい、貴女がイくところ」
「！　あ、あ、あーっ」

　溜まった熱がとうとう弾け、目の前にチカチカと星が散る。全身がガクガクと震える。絶頂を迎えた熱ほとりがいつまでも冷めやらず、髪の先にまで神経が通っているかのように感じる。

「俺にイかされたアヤコさん、最高に可愛いですよ」

　快楽の涙で滲にじむ視界の中、ナツメが隠すつもりもない欲情した目で私を見下ろしていた。