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21 和解
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また真っ黒な空間にいる。2度目になると少し構えることができた。
『またお前か!!』
『せっかくローズが…』
腕を引っ張られるのを払いのける。
「誰か知らないけどあなたこのゲームをプレイ中なのよね?」
『え?俺に話してる?まさか…』
不思議な空間だったが真っ黒だったところにテレビが何台もある部屋が見えてきた。そのテレビ画面には全てゲーム「Lofty dream」の一場面が映し出されているが、少しずつ違う感じだった。その空間にいるのは黒い塊ではなくヒョロッとした20代くらいの男性だった。
「これ全部…」
『攻略同時に進めたいからやっているのにお前が出てくるこのソフトだけおかしいんだよ!!』
その男が指さしているテレビとそのテレビに繋がっているハードとソフトは見た目他のものと違いはない。だが、テレビ画面に広がっている景色は先程までシルヴィがいた湖を映していた。
『リオネルルートだからそんなに力入れてないけど、こんなローズはローズじゃない!!』
「ローズはローズだわ!!あなたの勝手な理想押し付けないでよね!」
『なっ!!』
「ローズの変化も楽しんでこそでしょ」
こんな状況でも喧嘩ができるのは転生した者だからか…シルヴィだからか…
「こんなに可愛いローズなんてレアでしょ?こんなローズ見れているのはあなただけなのよ?それを楽しまない手はないわ」
『うっ……』
一瞬納得しかけたその男は頭を振り、シルヴィに怒鳴る。
『氷のように冷たい笑顔で下々の者を軽蔑するような目で見ているのがローズだ』
「はあ? そんなのローズじゃないわ。優しくて誰にでも好かれるのがローズよ!」
『お前がチョロチョロするから…このソフトだけ選択肢も出てこないし消そうにも消せない!』
「だったら無視して他のソフトプレイしていればいいでしょ。ちょっと違うローズも包み込むのが真のファンってものでしょ」
正論なのかなんなのか無茶苦茶な事を言っているのはシルヴィもわかっている。
まさかとは思うがこのソフトを消したり壊されたりしたら今の自分たちは消えてしまうかもと思うと必死だった。
「お願いだからこのローズも認めて」
『分かった…だけどお前が主人公じゃないからな!』
「当たり前よ。ヒロインはローズだわ。私が必ずローズを幸せにするから」
男前な発言が出たところで身につけていた髪飾りやネックレスが光出し塊を消して、見えていたテレビ画面などが見えなくなってきた。
「もうこっちに関わらないで!!理想のローズがいいなら他のソフトに集中しといてーー!!」
ブンブンと手を振りもう見えない男に向かい叫ぶ。
ふっと真っ白な空間に出て眩しくて目を閉じた。
光に慣れてきて目を開けると心配そうに覗き込むみんなの顔が見えた。
「私…戻ってきた?」
「シルヴィ大丈夫?黒い塊消えたと思ったらシルヴィ倒れているから!!」
ローズが泣きながら抱きついている。
「もう大丈夫」
笑って起き上がる。前と比べて疲労感は全くなかった。
「大丈夫?無理なら屋敷戻って…」
「アラン何を言っているの?釣りするんでしょ」
「おいおいさすがに無理だろ」
「そうだよシルヴィ気をつけないと」
本当にどこも痛くないしスッキリとしているのに帰らされそうなので焦るシルヴィ。
「本当に大丈夫!釣りやろうよ」
「時間も無くなるし、うん、無理はしないから。ね?」
シルヴィは必死に頼み込んだ。
『またお前か!!』
『せっかくローズが…』
腕を引っ張られるのを払いのける。
「誰か知らないけどあなたこのゲームをプレイ中なのよね?」
『え?俺に話してる?まさか…』
不思議な空間だったが真っ黒だったところにテレビが何台もある部屋が見えてきた。そのテレビ画面には全てゲーム「Lofty dream」の一場面が映し出されているが、少しずつ違う感じだった。その空間にいるのは黒い塊ではなくヒョロッとした20代くらいの男性だった。
「これ全部…」
『攻略同時に進めたいからやっているのにお前が出てくるこのソフトだけおかしいんだよ!!』
その男が指さしているテレビとそのテレビに繋がっているハードとソフトは見た目他のものと違いはない。だが、テレビ画面に広がっている景色は先程までシルヴィがいた湖を映していた。
『リオネルルートだからそんなに力入れてないけど、こんなローズはローズじゃない!!』
「ローズはローズだわ!!あなたの勝手な理想押し付けないでよね!」
『なっ!!』
「ローズの変化も楽しんでこそでしょ」
こんな状況でも喧嘩ができるのは転生した者だからか…シルヴィだからか…
「こんなに可愛いローズなんてレアでしょ?こんなローズ見れているのはあなただけなのよ?それを楽しまない手はないわ」
『うっ……』
一瞬納得しかけたその男は頭を振り、シルヴィに怒鳴る。
『氷のように冷たい笑顔で下々の者を軽蔑するような目で見ているのがローズだ』
「はあ? そんなのローズじゃないわ。優しくて誰にでも好かれるのがローズよ!」
『お前がチョロチョロするから…このソフトだけ選択肢も出てこないし消そうにも消せない!』
「だったら無視して他のソフトプレイしていればいいでしょ。ちょっと違うローズも包み込むのが真のファンってものでしょ」
正論なのかなんなのか無茶苦茶な事を言っているのはシルヴィもわかっている。
まさかとは思うがこのソフトを消したり壊されたりしたら今の自分たちは消えてしまうかもと思うと必死だった。
「お願いだからこのローズも認めて」
『分かった…だけどお前が主人公じゃないからな!』
「当たり前よ。ヒロインはローズだわ。私が必ずローズを幸せにするから」
男前な発言が出たところで身につけていた髪飾りやネックレスが光出し塊を消して、見えていたテレビ画面などが見えなくなってきた。
「もうこっちに関わらないで!!理想のローズがいいなら他のソフトに集中しといてーー!!」
ブンブンと手を振りもう見えない男に向かい叫ぶ。
ふっと真っ白な空間に出て眩しくて目を閉じた。
光に慣れてきて目を開けると心配そうに覗き込むみんなの顔が見えた。
「私…戻ってきた?」
「シルヴィ大丈夫?黒い塊消えたと思ったらシルヴィ倒れているから!!」
ローズが泣きながら抱きついている。
「もう大丈夫」
笑って起き上がる。前と比べて疲労感は全くなかった。
「大丈夫?無理なら屋敷戻って…」
「アラン何を言っているの?釣りするんでしょ」
「おいおいさすがに無理だろ」
「そうだよシルヴィ気をつけないと」
本当にどこも痛くないしスッキリとしているのに帰らされそうなので焦るシルヴィ。
「本当に大丈夫!釣りやろうよ」
「時間も無くなるし、うん、無理はしないから。ね?」
シルヴィは必死に頼み込んだ。
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