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次の日朝からシルヴィは動いていた。
調理場に行き、色々と作ろうとしているが料理長からダメ出しを受けていた。
「お嬢様…それでは挟めないです。もう少し薄く切らないと…ああそれでは素材が…ああ危ない!」
「もうどうすればいいのよ!」
「お嬢様…あちらで座って見ていてください」
隅にある椅子を指さされ膨れながらもそれに従った。
──おかしいな…想像した時は完璧だったのに!
自分ができなくて拗ねてはいたが、調理場にいる料理人たちの見事な手際と次々にできていく料理を見て拍手を送る。
「すごいわね!無駄がないし魔法みたい!!いつも美味しい料理をありがとう」
満面の笑みでいきなり賞賛された面々は一瞬手を止めるも口元が緩んでいた。
料理長がいちごの乗った皿を内緒ですよと渡した。シルヴィもうなづいてすぐ証拠隠滅した。
朝食のため食堂に向かうと子爵夫妻以外は揃っていた。
「シルヴィどこ行ってたの?朝いなかったから」
「ごめんなさい。お弁当の手配してたの」
「お弁当?」
「そう今日行きたいところがあるのよ」
二人が話しているのを聞いてアランの表情が曇る。シルヴィがちらっとそちらを見ると少し睨まれたが無視した。
「シルヴィ湖は…」
「湖か!涼しいし舟もあるしいいな」
「でしょ!お弁当持って行こうよ」
アランは行くのを止めるのは難しいと思い、釘を指すことを忘れなかった。
「一人で勝手に動かないでね。危ない事はしない!」
「わかってる!!」
シルヴィは笑顔で答えた。
◇◆◇
朝食後、用意をして馬車に乗り込んだ。
前と比べ荷物も多いので2台で、付き人も増やした。
今回タープテントをはることにした為屋敷の使用人数人を先に向かわせて準備をしてもらっていた。
ちょうど現場の用意が終わった頃シルヴィたちが到着した。
「うわぁー大きなテントだと立派だね!」
「大きな湖なんですね」
「なかなかだな」
着いてすぐは湖を眺めたり、テントの中に用意した椅子に座り涼しい風を堪能していたが、すぐに舟に乗ろうと言うことになり桟橋まで進む。
シルヴィは用意していた日傘をローズに渡していた。
「ローズ焼けないようにね」
「シルヴィも持ってます?」
「持ってるわ」
アランに持たされた日傘をさして答えた。
「さてどのペアで乗る?」
リオネルが尋ねるのでシルヴィが待ってましたと前に出る。
「ローズは初めてよね?慣れてるリオネルと一緒に乗ってね」
「え?あっはい。リオネル様よろしくお願いいたします」
「こちらこそ…」
二人がモジモジとするのでシルヴィがローズの背中を押してリオネルに近づける。リオネルが先に乗り込み手を伸ばしローズが乗るのを助ける。少し体勢を崩しかけたのをリオネルが安定させるためきつく引き寄せて腕を掴んだのでさらに二人の距離が近くなった。
目を合わせた二人はお互い真っ赤になりながらも足場の悪い舟の上なのでゆっくり座る。
リオネルが漕ぎはじめ二人の乗った舟はスーと進んだ。
その様子を嬉しそうに眺めていたシルヴィはマルクに声をかけられ我にかえる。
「僕は?漕いだ事ないけど」
「あっマルク様はアランと一緒に…」
「何が嬉しくて男と乗るの?シルヴィが一緒に乗ってよ」
「私?」
マルクは先に乗り手を伸ばした。
一瞬戸惑ったがシルヴィはマルクの手を取って舟に乗り込んだ。
テントに少し残っていたアランは一人残された事に気づき唖然とする。
「ちょっと!シルヴィ!」
桟橋を走ってみるも二隻は既に離れていていたので、残っている舟に乗り込んだ。
調理場に行き、色々と作ろうとしているが料理長からダメ出しを受けていた。
「お嬢様…それでは挟めないです。もう少し薄く切らないと…ああそれでは素材が…ああ危ない!」
「もうどうすればいいのよ!」
「お嬢様…あちらで座って見ていてください」
隅にある椅子を指さされ膨れながらもそれに従った。
──おかしいな…想像した時は完璧だったのに!
自分ができなくて拗ねてはいたが、調理場にいる料理人たちの見事な手際と次々にできていく料理を見て拍手を送る。
「すごいわね!無駄がないし魔法みたい!!いつも美味しい料理をありがとう」
満面の笑みでいきなり賞賛された面々は一瞬手を止めるも口元が緩んでいた。
料理長がいちごの乗った皿を内緒ですよと渡した。シルヴィもうなづいてすぐ証拠隠滅した。
朝食のため食堂に向かうと子爵夫妻以外は揃っていた。
「シルヴィどこ行ってたの?朝いなかったから」
「ごめんなさい。お弁当の手配してたの」
「お弁当?」
「そう今日行きたいところがあるのよ」
二人が話しているのを聞いてアランの表情が曇る。シルヴィがちらっとそちらを見ると少し睨まれたが無視した。
「シルヴィ湖は…」
「湖か!涼しいし舟もあるしいいな」
「でしょ!お弁当持って行こうよ」
アランは行くのを止めるのは難しいと思い、釘を指すことを忘れなかった。
「一人で勝手に動かないでね。危ない事はしない!」
「わかってる!!」
シルヴィは笑顔で答えた。
◇◆◇
朝食後、用意をして馬車に乗り込んだ。
前と比べ荷物も多いので2台で、付き人も増やした。
今回タープテントをはることにした為屋敷の使用人数人を先に向かわせて準備をしてもらっていた。
ちょうど現場の用意が終わった頃シルヴィたちが到着した。
「うわぁー大きなテントだと立派だね!」
「大きな湖なんですね」
「なかなかだな」
着いてすぐは湖を眺めたり、テントの中に用意した椅子に座り涼しい風を堪能していたが、すぐに舟に乗ろうと言うことになり桟橋まで進む。
シルヴィは用意していた日傘をローズに渡していた。
「ローズ焼けないようにね」
「シルヴィも持ってます?」
「持ってるわ」
アランに持たされた日傘をさして答えた。
「さてどのペアで乗る?」
リオネルが尋ねるのでシルヴィが待ってましたと前に出る。
「ローズは初めてよね?慣れてるリオネルと一緒に乗ってね」
「え?あっはい。リオネル様よろしくお願いいたします」
「こちらこそ…」
二人がモジモジとするのでシルヴィがローズの背中を押してリオネルに近づける。リオネルが先に乗り込み手を伸ばしローズが乗るのを助ける。少し体勢を崩しかけたのをリオネルが安定させるためきつく引き寄せて腕を掴んだのでさらに二人の距離が近くなった。
目を合わせた二人はお互い真っ赤になりながらも足場の悪い舟の上なのでゆっくり座る。
リオネルが漕ぎはじめ二人の乗った舟はスーと進んだ。
その様子を嬉しそうに眺めていたシルヴィはマルクに声をかけられ我にかえる。
「僕は?漕いだ事ないけど」
「あっマルク様はアランと一緒に…」
「何が嬉しくて男と乗るの?シルヴィが一緒に乗ってよ」
「私?」
マルクは先に乗り手を伸ばした。
一瞬戸惑ったがシルヴィはマルクの手を取って舟に乗り込んだ。
テントに少し残っていたアランは一人残された事に気づき唖然とする。
「ちょっと!シルヴィ!」
桟橋を走ってみるも二隻は既に離れていていたので、残っている舟に乗り込んだ。
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