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夕食後、クレアはメイドたちのなすがまま早々に寝支度を整えられ部屋に案内される。
レオンはおらず少しホッとしてソファーに座る。
──どうしよう。緊張する…気がついたら朝になってて欲しい…
ベアトリスに言われるがまま今ここにいる自分が恥ずかしすぎてどうすればいいか考えれば考えるほど、ただ恥ずかしさが込み上げてくる。
目を閉じて大きく息を吐く…
今日は買い物で歩いたせいか、お風呂に入って体温が上がり微睡んだからか、ウトウトしてしまう。
声をかけられた気もしたがゆりかごの中にいるような気持ちよさでそのまま深く寝そうになり慌てて目を開ける。
いつの間にかベッドの中にいて目の前にはレオンが自分を見ていた。
「レオン様…申し訳ございません。私寝てしまって」
「今日はいろいろ動いたし構わない。クレアの寝顔も見れたし」
──もお!恥ずかしすぎてどうしたら!!!
「無理はしなくていい」
「いえ…大丈夫です」
目を閉じ聞こえるか聞こえないか…ものすごく小さい声で答え、そっと目を開けると目の前に熱い目をしたレオンの顔が見え唇を奪われる。
「クレア愛してる…」
朝レオンが動く音で目が覚めた。寝過ごしたと急いで身体を起こそうとしたが動けず慌てていると、気がついたレオンが軽くキスを落とし微笑む。
「おはようクレア。母上にも言ってあるからゆっくりすればいい」
「おはようございます。それはそれでどう顔を合わせばいいのか…」
レオンは笑ってさらにキスをする。
「少し早めに帰ってくるから今日屋敷に戻ろう」
「分かりました。用意しておきます」
行ってくるとレオンは部屋を出ていった。クレアは無理やり身体を起こし支度を整える。
──このまま動かないと余計に動けなくなる気がするわ…
食堂に行くのもどうしようと思っていたらトントンとメイドが入ってきた。
「お支度終わってますか?では朝食の準備いたします」
「お願いします」
──私今いつもと同じ顔できてるかしら…
顔を両手で押さえながら食堂まで歩く。
中にはベアトリスが食後のお茶をしていた。
「おはようございます。遅くなって申し訳ございません」
「おはようクレア。いいわよもう大丈夫?」
にっこり微笑まれたが目は合わせることができず下を向きながら大丈夫ですと答えるのがやっとだった。運ばれた食事も味わう余裕もなく急いで食べた。
「今日もう屋敷に戻るってレオンが言ってたけど本当に帰っちゃうの?」
「はい。本当にお世話になりました。居心地良すぎて戻れなくなりそうです」
「ずっといてくれていいのに」
お茶を一緒に飲みながらベアトリスは言っていたがふっと笑って
「まあ用事作って付き合ってもらうから覚悟していてね。クレア」
「はい。よろしくお願いいたしますベアトリス様」
「違うでしょ!ちゃんと呼んでくれないの?」
「よろしくお願いいたします。お義母様」
クレアがかなり照れて言うと、ベアトリスは満足気に微笑んだ。
◇◆◇
「レスターは斬首に決まった」
騎士団詰所で団長が書類に目を通しながら軽く報告する。
「リットン家からは減刑をと言われていたが、本人の反省が全くないからな。未だ自分は伯爵になるんだと喚き散らしてうるさい」
「そうですか…」
「ニコルは修道院送りに落ち着きそうだ。クレア嬢と会った後手のひら返した様に素直になったし、父親の悪行には何も関与してないからな」
レオンは無言で王宮地下牢に向かった。
足音に気づきニコルは読んでいた本から目を離しそちらを見る。
「…何か用か?」
「修道院行きが決まったと聞いた」
「だから?私は修道士になんてなれないから。クレアと結婚してるからね」
「それは無理だ」
「自分がしたから?」
ニコルが冷たい視線をレオンに送る。レオンも睨み返すが、ニコルは気にせずふっと笑い持っていた本を置き、レオンの前まで歩み寄る。
「ここの見張り達が言ってたよ。お前がクレアと結婚したってね。でもそれは関係ないから。ずっと私はクレアと一緒だ。忘れたりなんてしない。次会う時にはお前に見つからないようにクレアと逃げるよ」
「お前が外の世界に出てこれる日はない」
ニヤリとニコルは笑い向きを変え椅子に座りまた本を読み出した。
レオンはしばらくニコルを見ていたがそのまま牢を後にした。
◇◆◇
自分が元々持っていた荷物はあまりないのですぐに用意はできたが、ドレスなどをどうしようかクレアは悩んでいた。
──私の為に買っていただいた物だけど、屋敷に持って帰るべき…?こんな大きなクローゼットは屋根裏にないしどうしよう…
クローゼットの前で悩んでいるクレアを見て
「クレアまさかメイドの時の部屋に入らないとか考えてないわよね?」
「ベアトリス様よくわかりましたね!」
ベアトリスが少し拗ねた顔をしているので言い直す。
「お義母様」
「レオンの屋敷にもちゃんと大きなクローゼットあるからね。ゆっくり運べばいいわよ」
「そうさせていただきます」
トントンと扉を叩く音で顔をあげるとレオンがいた。
レオンはおらず少しホッとしてソファーに座る。
──どうしよう。緊張する…気がついたら朝になってて欲しい…
ベアトリスに言われるがまま今ここにいる自分が恥ずかしすぎてどうすればいいか考えれば考えるほど、ただ恥ずかしさが込み上げてくる。
目を閉じて大きく息を吐く…
今日は買い物で歩いたせいか、お風呂に入って体温が上がり微睡んだからか、ウトウトしてしまう。
声をかけられた気もしたがゆりかごの中にいるような気持ちよさでそのまま深く寝そうになり慌てて目を開ける。
いつの間にかベッドの中にいて目の前にはレオンが自分を見ていた。
「レオン様…申し訳ございません。私寝てしまって」
「今日はいろいろ動いたし構わない。クレアの寝顔も見れたし」
──もお!恥ずかしすぎてどうしたら!!!
「無理はしなくていい」
「いえ…大丈夫です」
目を閉じ聞こえるか聞こえないか…ものすごく小さい声で答え、そっと目を開けると目の前に熱い目をしたレオンの顔が見え唇を奪われる。
「クレア愛してる…」
朝レオンが動く音で目が覚めた。寝過ごしたと急いで身体を起こそうとしたが動けず慌てていると、気がついたレオンが軽くキスを落とし微笑む。
「おはようクレア。母上にも言ってあるからゆっくりすればいい」
「おはようございます。それはそれでどう顔を合わせばいいのか…」
レオンは笑ってさらにキスをする。
「少し早めに帰ってくるから今日屋敷に戻ろう」
「分かりました。用意しておきます」
行ってくるとレオンは部屋を出ていった。クレアは無理やり身体を起こし支度を整える。
──このまま動かないと余計に動けなくなる気がするわ…
食堂に行くのもどうしようと思っていたらトントンとメイドが入ってきた。
「お支度終わってますか?では朝食の準備いたします」
「お願いします」
──私今いつもと同じ顔できてるかしら…
顔を両手で押さえながら食堂まで歩く。
中にはベアトリスが食後のお茶をしていた。
「おはようございます。遅くなって申し訳ございません」
「おはようクレア。いいわよもう大丈夫?」
にっこり微笑まれたが目は合わせることができず下を向きながら大丈夫ですと答えるのがやっとだった。運ばれた食事も味わう余裕もなく急いで食べた。
「今日もう屋敷に戻るってレオンが言ってたけど本当に帰っちゃうの?」
「はい。本当にお世話になりました。居心地良すぎて戻れなくなりそうです」
「ずっといてくれていいのに」
お茶を一緒に飲みながらベアトリスは言っていたがふっと笑って
「まあ用事作って付き合ってもらうから覚悟していてね。クレア」
「はい。よろしくお願いいたしますベアトリス様」
「違うでしょ!ちゃんと呼んでくれないの?」
「よろしくお願いいたします。お義母様」
クレアがかなり照れて言うと、ベアトリスは満足気に微笑んだ。
◇◆◇
「レスターは斬首に決まった」
騎士団詰所で団長が書類に目を通しながら軽く報告する。
「リットン家からは減刑をと言われていたが、本人の反省が全くないからな。未だ自分は伯爵になるんだと喚き散らしてうるさい」
「そうですか…」
「ニコルは修道院送りに落ち着きそうだ。クレア嬢と会った後手のひら返した様に素直になったし、父親の悪行には何も関与してないからな」
レオンは無言で王宮地下牢に向かった。
足音に気づきニコルは読んでいた本から目を離しそちらを見る。
「…何か用か?」
「修道院行きが決まったと聞いた」
「だから?私は修道士になんてなれないから。クレアと結婚してるからね」
「それは無理だ」
「自分がしたから?」
ニコルが冷たい視線をレオンに送る。レオンも睨み返すが、ニコルは気にせずふっと笑い持っていた本を置き、レオンの前まで歩み寄る。
「ここの見張り達が言ってたよ。お前がクレアと結婚したってね。でもそれは関係ないから。ずっと私はクレアと一緒だ。忘れたりなんてしない。次会う時にはお前に見つからないようにクレアと逃げるよ」
「お前が外の世界に出てこれる日はない」
ニヤリとニコルは笑い向きを変え椅子に座りまた本を読み出した。
レオンはしばらくニコルを見ていたがそのまま牢を後にした。
◇◆◇
自分が元々持っていた荷物はあまりないのですぐに用意はできたが、ドレスなどをどうしようかクレアは悩んでいた。
──私の為に買っていただいた物だけど、屋敷に持って帰るべき…?こんな大きなクローゼットは屋根裏にないしどうしよう…
クローゼットの前で悩んでいるクレアを見て
「クレアまさかメイドの時の部屋に入らないとか考えてないわよね?」
「ベアトリス様よくわかりましたね!」
ベアトリスが少し拗ねた顔をしているので言い直す。
「お義母様」
「レオンの屋敷にもちゃんと大きなクローゼットあるからね。ゆっくり運べばいいわよ」
「そうさせていただきます」
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