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食堂に入るとベアトリスとウォルター、マシューが話をしていた。
「あら、ルイスはもういいの?」
「とりあえずは姉をお任せする事にしました」
「もう終わりなんだ。面白くないな」
ベアトリスとウォルターはそっくりな顔で笑っていて、マシューはよかったと胸を撫で下ろしていた。
それぞれ案内された椅子に座った頃、ドミニクも入ってきて席につく。
間を開けず食前酒や前菜が並べられすぐに食事が始まる。
「マシューも久しぶりだな。この前は挨拶なしに帰ってしまったな」
「この前はかなり急いでいたのですみません」
「まあいいさ、ルイスと言ったか?レオンとは話できたか」
「はい。姉共ども今後ともよろしくお願いいたします」
──ルイスってこんなにしっかりしてたかしら…?
弟の成長ぶりにびっくりする。
「クレアは夜会に向けて準備は進んでいるか?」
「クレアの準備は私がしっかりとやってます」
ベアトリスが楽しそうに答えるので
「程々にな」
とドミニクは釘をさす。その後も楽しく食事は進み最後のお茶を飲んでいたら、ベアトリスがふと気がついて尋ねた。
「夜会まではどちらにお泊まり予定なの?」
「ああ、街外れの宿を取ってあるよ」
──この辺りで1番安い宿ね。さすがお父様。
「それはダメね…うちで泊まりなさい。旦那様いいですわよね?」
「ああ構わん」
「ベアトリス様そこまでして頂いては申し訳ない…」
「あら、ここで追い出す方がおかしいでしょ。遠慮なく滞在して」
断れない雰囲気を作るのが得意なベアトリスに何を言っても無駄で、ここは大人しく好意に甘える事になった。
しばらく雑談した後、ドミニクが先に執務室に戻るために席を立ち、ウォルターとレオンは屋敷に戻る為準備をし始めた。クレアは玄関まで見送る為一緒に行こうとしてちらっとルイスを見る。ルイスは何も言わずそのまま座っているので何か少し寂しいと思うクレアだったが、ルイスが行ってきていいよと手をヒラヒラさせたのでレオンの後を追った。残されたルイスは微妙な顔をしいて、ベアトリスがくすくすと笑いながらからかっていた。
玄関で、リーフェンが扉を開けウォルターが先に出る。
「クレア夜会までもう日がないけど、ダンス大丈夫?」
「うっ…それは…その」
顔を下に向けちょっと口を尖らせ小さい声で答えるクレアに微笑みながら
「また声かけてもらったら俺が…」
「断る。ウォルターが気にしなくていい」
「…レオン、独占欲強いと面倒くさいぞ」
「いいから早く帰れ」
はいはいと2人に背を向け手だけ振ってウォルターは馬に乗り帰って行った。
「レオン様、本当にルイスが失礼ばかりで申し訳ございません」
「いや、ルイスと話はつけた。クレアは安心してくれ」
「ですが…」
言葉を続けようとしたクレアを引っ張り腕の中に包みレオンが笑う。
「レオン様!!」
びっくりするクレアの額にキスをして
「また明日来る」
と言葉を残し馬車に乗って帰って行った。
残されたクレアは顔を押さえ赤くなってる顔が元に戻るまで動けずにいた。
──このままだと私がもたない…
食堂に戻ると残った3人で楽しそうに話をしていたが、クレアが戻ってきたのでお開きとなった。
「明日は家族3人で街にでも行ってらっしゃい。ゆっくりできる時間もそんなにないから」
「ありがとうございます。ではそうさせて頂きます」
ベアトリスに挨拶して部屋に戻る。クレアの隣りに2人の部屋を準備してくれたのでマシューとルイスはクレアの部屋にいた。
「お姉様、今更ですがおめでとうございます」
「ルイス…本当にどうしたの?いきなり大人になっちゃってびっくりだわ」
「ところでレオン様とお姉様は夜会でお披露目って婚約者としてですよね?まさか結婚ですか?」
「私は何も聞かされてないの」
「あーもうそのまま結婚報告だよ。さっきベアトリス様言ってたよ」
「え?私何も聞いてないけど…」
「ベアトリス様、1番初めにクレアから手紙をもらった時から既に計画されてたみたいだし、変更は無理だと思うよ」
「婚約すっ飛ばして結婚っていいの?」
ルイスが父親に聞くがマシューは両手を広げ肩を上げ、さあと答えただけだった。
──ベアトリス様…せめて教えてください…
ちょっと先のことを想像して疲れたクレアはもう寝るからと2人を部屋から追い出した。
──ここ数日の目まぐるしさについていけない…ああ、ノラさんと洗濯物干したい!!
クレアは本当にそのまま寝てしまった。
朝早めに目が覚めたので用意をして部屋を片付けた。掃除道具あればなと思いながら、ここを掃除してくれるメイドの仕事を奪う訳にも行かず、せめて掃除しやすいように片付けた。
トントンとノック音がして扉が開きルイスが顔を出す。
「おはようございますお姉様」
「ルイスおはよう。早いわね」
領地では朝から動くので朝には強い。リーフェンが来るまでずっと話をしていて、そのまま朝食を食べた。
午前中早い時間から出かける用意をして3人で馬車に乗り込んだ。
「あら、ルイスはもういいの?」
「とりあえずは姉をお任せする事にしました」
「もう終わりなんだ。面白くないな」
ベアトリスとウォルターはそっくりな顔で笑っていて、マシューはよかったと胸を撫で下ろしていた。
それぞれ案内された椅子に座った頃、ドミニクも入ってきて席につく。
間を開けず食前酒や前菜が並べられすぐに食事が始まる。
「マシューも久しぶりだな。この前は挨拶なしに帰ってしまったな」
「この前はかなり急いでいたのですみません」
「まあいいさ、ルイスと言ったか?レオンとは話できたか」
「はい。姉共ども今後ともよろしくお願いいたします」
──ルイスってこんなにしっかりしてたかしら…?
弟の成長ぶりにびっくりする。
「クレアは夜会に向けて準備は進んでいるか?」
「クレアの準備は私がしっかりとやってます」
ベアトリスが楽しそうに答えるので
「程々にな」
とドミニクは釘をさす。その後も楽しく食事は進み最後のお茶を飲んでいたら、ベアトリスがふと気がついて尋ねた。
「夜会まではどちらにお泊まり予定なの?」
「ああ、街外れの宿を取ってあるよ」
──この辺りで1番安い宿ね。さすがお父様。
「それはダメね…うちで泊まりなさい。旦那様いいですわよね?」
「ああ構わん」
「ベアトリス様そこまでして頂いては申し訳ない…」
「あら、ここで追い出す方がおかしいでしょ。遠慮なく滞在して」
断れない雰囲気を作るのが得意なベアトリスに何を言っても無駄で、ここは大人しく好意に甘える事になった。
しばらく雑談した後、ドミニクが先に執務室に戻るために席を立ち、ウォルターとレオンは屋敷に戻る為準備をし始めた。クレアは玄関まで見送る為一緒に行こうとしてちらっとルイスを見る。ルイスは何も言わずそのまま座っているので何か少し寂しいと思うクレアだったが、ルイスが行ってきていいよと手をヒラヒラさせたのでレオンの後を追った。残されたルイスは微妙な顔をしいて、ベアトリスがくすくすと笑いながらからかっていた。
玄関で、リーフェンが扉を開けウォルターが先に出る。
「クレア夜会までもう日がないけど、ダンス大丈夫?」
「うっ…それは…その」
顔を下に向けちょっと口を尖らせ小さい声で答えるクレアに微笑みながら
「また声かけてもらったら俺が…」
「断る。ウォルターが気にしなくていい」
「…レオン、独占欲強いと面倒くさいぞ」
「いいから早く帰れ」
はいはいと2人に背を向け手だけ振ってウォルターは馬に乗り帰って行った。
「レオン様、本当にルイスが失礼ばかりで申し訳ございません」
「いや、ルイスと話はつけた。クレアは安心してくれ」
「ですが…」
言葉を続けようとしたクレアを引っ張り腕の中に包みレオンが笑う。
「レオン様!!」
びっくりするクレアの額にキスをして
「また明日来る」
と言葉を残し馬車に乗って帰って行った。
残されたクレアは顔を押さえ赤くなってる顔が元に戻るまで動けずにいた。
──このままだと私がもたない…
食堂に戻ると残った3人で楽しそうに話をしていたが、クレアが戻ってきたのでお開きとなった。
「明日は家族3人で街にでも行ってらっしゃい。ゆっくりできる時間もそんなにないから」
「ありがとうございます。ではそうさせて頂きます」
ベアトリスに挨拶して部屋に戻る。クレアの隣りに2人の部屋を準備してくれたのでマシューとルイスはクレアの部屋にいた。
「お姉様、今更ですがおめでとうございます」
「ルイス…本当にどうしたの?いきなり大人になっちゃってびっくりだわ」
「ところでレオン様とお姉様は夜会でお披露目って婚約者としてですよね?まさか結婚ですか?」
「私は何も聞かされてないの」
「あーもうそのまま結婚報告だよ。さっきベアトリス様言ってたよ」
「え?私何も聞いてないけど…」
「ベアトリス様、1番初めにクレアから手紙をもらった時から既に計画されてたみたいだし、変更は無理だと思うよ」
「婚約すっ飛ばして結婚っていいの?」
ルイスが父親に聞くがマシューは両手を広げ肩を上げ、さあと答えただけだった。
──ベアトリス様…せめて教えてください…
ちょっと先のことを想像して疲れたクレアはもう寝るからと2人を部屋から追い出した。
──ここ数日の目まぐるしさについていけない…ああ、ノラさんと洗濯物干したい!!
クレアは本当にそのまま寝てしまった。
朝早めに目が覚めたので用意をして部屋を片付けた。掃除道具あればなと思いながら、ここを掃除してくれるメイドの仕事を奪う訳にも行かず、せめて掃除しやすいように片付けた。
トントンとノック音がして扉が開きルイスが顔を出す。
「おはようございますお姉様」
「ルイスおはよう。早いわね」
領地では朝から動くので朝には強い。リーフェンが来るまでずっと話をしていて、そのまま朝食を食べた。
午前中早い時間から出かける用意をして3人で馬車に乗り込んだ。
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