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「家に来ると思ってたのに…レオンがケガなんかするから!で、ケガの具合はどうなの?」
「申し訳ございません。ほぼ治りかけております」
エドガーが入れたお茶を飲みながら、ベアトリスがレオンと今後どうするかを話をしている。
「本来ならそちらに行く方がいいでしょうが、クレア本人が屋敷に残りたいと言ってますし、まだリットン家に動きないようでしたらこのままで」
「そうだけど…私はクレアと一緒に色々したいんだけど」
「それは諦めてください。ここで対応できる限りはそのままがいいかと」
何を言ってもレオンの姿勢は変わらず、実際今リットン家が跡目争いで動いてる事もない。しかしクレアの立ち位置ははっきりさせたい。
「ニコルから毎日手紙が届くのよ。このまま中途半端だとね…ちょっと可哀想に思えて…」
「それは無視で良いかと」
レオンがくい気味に言ってくるのでベアトリスは首を傾け息子を凝視する。
「もう相手がいるように見せといた方がいいでしょ?だからウォルターに…」
「それも却下でお願いします」
「レオン…あなた…」
ベアトリスが目を細め何か言おうとした時、トントンと扉を叩く音がしてクレアが入ってきた。
「ベアトリス様」
「クレアまたそんなメイド服…」
「働くにはちょうどいいですよ」
スカートを少し持ち上げて左右に少し振る。まあ何を着ても可愛いけどとベアトリスが笑う。横でレオンが表情を崩したのを見逃さない。
「クレアはここでいいの?うちでいる方が楽だと思うけど…」
「お許し頂けるならここで働きたいです」
ベアトリスは扇をトントンと顎にあてふーと息を吐きしぶしぶ認めてくれた。
「私の娘は頑固だわ」
「ありがとうございます」
今後のことが決まれば後は2人で楽しんでくださいとレオンは退出する。ベアトリスとクレアはお茶を飲みながら時間を楽しんだ。
「クレア、あれからダンスは練習したかしら?」
思わず飲んでたお茶を吹きそうになり慌てる。
「いつでもウォルター呼ぶから言ってちょうだいね」
「ウォルター様もお忙しいでしょうし私の為に来て頂かなくても…」
「あらそんな事ないわ。この前も楽しかったみたいだし、実践しないと分からないって言ってたわよ」
──ウォルター様…上手く断ってくれればいいのに!!
「またうちに呼ぶからその時はクレアも来てね」
「…はい。でもウォルター様の婚約者の方にも申し訳ないですし…」
いつものように断れない雰囲気だが、なんとか最後の切り札を出してダンスを避けたいクレアは必死である。
「あら、いないわよ。婚約者なんて」
「え?」
「1番上が結婚したのは良かったんだけど、下2人はね…いつもお断りされてしまうのよ。見目はよく産んだつもりなのに中身がダメなのかしら」
──公爵家ご子息なのに?婚約者がいない?
──ご主人様もいないんだ…
今聞いた事実に驚きながらもホッとして少し口元に出てしまう。そんなクレアを見てベアトリスも微笑みながら
「だから安心して我が家に来てね」
「でもダンスは…本当に苦手で…」
ベアトリスはにっこり微笑んで必須だからと念を押した。
そろそろ帰ると言うベアトリスをホールまで案内して、帰り支度を手伝っている間、エドガーがレオンを呼びに行く。
少し雑談をしてエドガーが玄関扉を開け案内しようとした時、門のところに人がいるのに気づく。
細身の頼りなさそうな、大きな荷物を持った男だった。
どちら様と声をかけようとすると
「お父様!!」
「マシュー!」
2人が同時その人物に驚く。その人物とはマシュー・ブランドン、クレアの父親であった。
「ああ、クレア。え?ベアトリス様?」
「どうされたのです?家に何かありましたか!」
「違うよ。ちょっと呼び出されただけだよ」
「どなたにですか?」
「クレアが知ってるかな、アドルフ・リットン伯爵だよ」
「「「「 !! 」」」」
立ち話もなんだからと再び応接間に通される。
「ご挨拶遅れました。レオン・ハミルトンと申します」
「ああ、クレアがいつもお世話になっております。うちの娘は大丈夫でしょうか?」
「マシュー、その話は後にして!リットン伯爵から何用での呼び出しなの!!」
ベアトリスが語気を強めて問い詰める。
「ヘンリー殿の具合が良くないらしく、相談事があるから1度来て欲しいと」
まさかマシューに連絡してくるとは思わなかったが、やはり動き出していた。
「1人で行かれるのですか?お父様」
「いやクレアも一緒に」
「「 ダメです! 」」
ベアトリスとレオンが声を揃える。その場にクレアを連れていくのは得策とは思えない。そのまま監禁なども最悪あるかもしれない。絶対に認める訳にはいかない。
「ご心配はご尤もですが、公爵家には関係ない話ではありませんか」
「マシューあなた…」
怒りで声が震える。クレアの父親からそれを言われてしまうと何も反論できないからだ。
「ブランドン子爵そうは言ってもその状況からリットン家がクレアを利用するかもしれません!」
「…だとしても?何か問題がありますか」
「お父様!!」
おっとりとした風貌からは想像できない低い声でマシューは答えた。
「クレアが伯爵家の人間になれるとするなら、そちらの方が今よりはいいと思いますが」
その場の全員が息を飲む。
ニコッといつもの雰囲気に戻ってマシューが笑う。
「クレアを想って色々して頂いてることは感謝します。が、今回の事は私に任せてもらえませんか」
「あなたは知らないから!グレースがあの親にどれだけ酷い事をされていたか!!クレアに同じ思いをさせるつもり!!」
ベアトリスが悲鳴のように叫ぶ。唯一の親友を苦しめていたリットン家を許す事も信じることもできない。
マシューは静かにベアトリスを見て
「それでも、より我々に近いのはリットン家です」
「しかし、クレアを苦しめるのであれば見過ごす訳にはいきません!!」
母の肩を抱き支えながらレオンが叫ぶ。
「私はクレアの父親でグレースの夫です。私を信じてもらえませんか」
「お父様…」
自分の知ってる父親とは違う面を見せられるも、マシューが自分に危害を加えるとは思えず混乱する。
明日迎えに来るからとマシューは屋敷を後にした。
「ベアトリス様大丈夫ですか?」
あまりのショックで倒れたベアトリスに申し訳なくずっとそばについていた。
ベアトリスはクレアの頬を片手で触り抱きしめる。
「ごめんなさい。また私は…」
「大丈夫です。まだ何も始まってません。私は母とは違いますから」
笑うクレアをさらに抱きしめる。こうなるかもしれないから、早く娘として迎えたかったのかもしれない。
公爵家から迎えがきたのでベアトリスをレオンと一緒に玄関まで見送り、馬車が見えなくなるまで外にいた。
ガチャと扉を開けて中に入るとレオンがいて
「明日護衛はつける…」
「ありがとうございます。では今日は休ませてもらいます」
一礼して横を通り過ぎようとすると手を掴まれた。びっくりして振り向くとレオンが眉を寄せ苦しそうな表情で立っている。
「必ず…ここに帰って来てくれ…」
「…はい」
泣かずに答えるのが精一杯だった。
「申し訳ございません。ほぼ治りかけております」
エドガーが入れたお茶を飲みながら、ベアトリスがレオンと今後どうするかを話をしている。
「本来ならそちらに行く方がいいでしょうが、クレア本人が屋敷に残りたいと言ってますし、まだリットン家に動きないようでしたらこのままで」
「そうだけど…私はクレアと一緒に色々したいんだけど」
「それは諦めてください。ここで対応できる限りはそのままがいいかと」
何を言ってもレオンの姿勢は変わらず、実際今リットン家が跡目争いで動いてる事もない。しかしクレアの立ち位置ははっきりさせたい。
「ニコルから毎日手紙が届くのよ。このまま中途半端だとね…ちょっと可哀想に思えて…」
「それは無視で良いかと」
レオンがくい気味に言ってくるのでベアトリスは首を傾け息子を凝視する。
「もう相手がいるように見せといた方がいいでしょ?だからウォルターに…」
「それも却下でお願いします」
「レオン…あなた…」
ベアトリスが目を細め何か言おうとした時、トントンと扉を叩く音がしてクレアが入ってきた。
「ベアトリス様」
「クレアまたそんなメイド服…」
「働くにはちょうどいいですよ」
スカートを少し持ち上げて左右に少し振る。まあ何を着ても可愛いけどとベアトリスが笑う。横でレオンが表情を崩したのを見逃さない。
「クレアはここでいいの?うちでいる方が楽だと思うけど…」
「お許し頂けるならここで働きたいです」
ベアトリスは扇をトントンと顎にあてふーと息を吐きしぶしぶ認めてくれた。
「私の娘は頑固だわ」
「ありがとうございます」
今後のことが決まれば後は2人で楽しんでくださいとレオンは退出する。ベアトリスとクレアはお茶を飲みながら時間を楽しんだ。
「クレア、あれからダンスは練習したかしら?」
思わず飲んでたお茶を吹きそうになり慌てる。
「いつでもウォルター呼ぶから言ってちょうだいね」
「ウォルター様もお忙しいでしょうし私の為に来て頂かなくても…」
「あらそんな事ないわ。この前も楽しかったみたいだし、実践しないと分からないって言ってたわよ」
──ウォルター様…上手く断ってくれればいいのに!!
「またうちに呼ぶからその時はクレアも来てね」
「…はい。でもウォルター様の婚約者の方にも申し訳ないですし…」
いつものように断れない雰囲気だが、なんとか最後の切り札を出してダンスを避けたいクレアは必死である。
「あら、いないわよ。婚約者なんて」
「え?」
「1番上が結婚したのは良かったんだけど、下2人はね…いつもお断りされてしまうのよ。見目はよく産んだつもりなのに中身がダメなのかしら」
──公爵家ご子息なのに?婚約者がいない?
──ご主人様もいないんだ…
今聞いた事実に驚きながらもホッとして少し口元に出てしまう。そんなクレアを見てベアトリスも微笑みながら
「だから安心して我が家に来てね」
「でもダンスは…本当に苦手で…」
ベアトリスはにっこり微笑んで必須だからと念を押した。
そろそろ帰ると言うベアトリスをホールまで案内して、帰り支度を手伝っている間、エドガーがレオンを呼びに行く。
少し雑談をしてエドガーが玄関扉を開け案内しようとした時、門のところに人がいるのに気づく。
細身の頼りなさそうな、大きな荷物を持った男だった。
どちら様と声をかけようとすると
「お父様!!」
「マシュー!」
2人が同時その人物に驚く。その人物とはマシュー・ブランドン、クレアの父親であった。
「ああ、クレア。え?ベアトリス様?」
「どうされたのです?家に何かありましたか!」
「違うよ。ちょっと呼び出されただけだよ」
「どなたにですか?」
「クレアが知ってるかな、アドルフ・リットン伯爵だよ」
「「「「 !! 」」」」
立ち話もなんだからと再び応接間に通される。
「ご挨拶遅れました。レオン・ハミルトンと申します」
「ああ、クレアがいつもお世話になっております。うちの娘は大丈夫でしょうか?」
「マシュー、その話は後にして!リットン伯爵から何用での呼び出しなの!!」
ベアトリスが語気を強めて問い詰める。
「ヘンリー殿の具合が良くないらしく、相談事があるから1度来て欲しいと」
まさかマシューに連絡してくるとは思わなかったが、やはり動き出していた。
「1人で行かれるのですか?お父様」
「いやクレアも一緒に」
「「 ダメです! 」」
ベアトリスとレオンが声を揃える。その場にクレアを連れていくのは得策とは思えない。そのまま監禁なども最悪あるかもしれない。絶対に認める訳にはいかない。
「ご心配はご尤もですが、公爵家には関係ない話ではありませんか」
「マシューあなた…」
怒りで声が震える。クレアの父親からそれを言われてしまうと何も反論できないからだ。
「ブランドン子爵そうは言ってもその状況からリットン家がクレアを利用するかもしれません!」
「…だとしても?何か問題がありますか」
「お父様!!」
おっとりとした風貌からは想像できない低い声でマシューは答えた。
「クレアが伯爵家の人間になれるとするなら、そちらの方が今よりはいいと思いますが」
その場の全員が息を飲む。
ニコッといつもの雰囲気に戻ってマシューが笑う。
「クレアを想って色々して頂いてることは感謝します。が、今回の事は私に任せてもらえませんか」
「あなたは知らないから!グレースがあの親にどれだけ酷い事をされていたか!!クレアに同じ思いをさせるつもり!!」
ベアトリスが悲鳴のように叫ぶ。唯一の親友を苦しめていたリットン家を許す事も信じることもできない。
マシューは静かにベアトリスを見て
「それでも、より我々に近いのはリットン家です」
「しかし、クレアを苦しめるのであれば見過ごす訳にはいきません!!」
母の肩を抱き支えながらレオンが叫ぶ。
「私はクレアの父親でグレースの夫です。私を信じてもらえませんか」
「お父様…」
自分の知ってる父親とは違う面を見せられるも、マシューが自分に危害を加えるとは思えず混乱する。
明日迎えに来るからとマシューは屋敷を後にした。
「ベアトリス様大丈夫ですか?」
あまりのショックで倒れたベアトリスに申し訳なくずっとそばについていた。
ベアトリスはクレアの頬を片手で触り抱きしめる。
「ごめんなさい。また私は…」
「大丈夫です。まだ何も始まってません。私は母とは違いますから」
笑うクレアをさらに抱きしめる。こうなるかもしれないから、早く娘として迎えたかったのかもしれない。
公爵家から迎えがきたのでベアトリスをレオンと一緒に玄関まで見送り、馬車が見えなくなるまで外にいた。
ガチャと扉を開けて中に入るとレオンがいて
「明日護衛はつける…」
「ありがとうございます。では今日は休ませてもらいます」
一礼して横を通り過ぎようとすると手を掴まれた。びっくりして振り向くとレオンが眉を寄せ苦しそうな表情で立っている。
「必ず…ここに帰って来てくれ…」
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泣かずに答えるのが精一杯だった。
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