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エドガーが味より量だと言ったのは正しかった。身体の大きな騎士たちは食べる食べる飲む、そして食べる…
──想像よりもすごいわ
あいたお皿を片付けていると
「手伝います」
ジンが一緒に持とうとするので
「お客様にそんな事!大丈夫ですので」
「いいよ僕1番下だから」
とさっさと皿を片付けて先に調理場に行ってしまった。あーやっちゃったと思いながら急いであとを追いかける。
「ドナルドさん、今日の料理美味しかった。あれじゃがいもだったのかな?カリカリでって腕どうしたの?」
顔見知りなのか調理場にいるドナルドに話しかけていた。
「いやーちょっとな。俺がこんなだからほとんどクレアが作ってくれたんだよ」
「え?本当に?」
「はい、簡単なものですが…」
「すごいな~あれだけの量作るのは大変だったでしょ。可愛いのにすごいな~」
はい?今全く関係ない言葉が聞こえました?
「私また戻ります」
にっこり笑って足早にその場から逃げた。
食堂ではかなり出来上がった人達が帰るだの泊まるだのと話をしていてエドガーが慌てていた。
「クレアさん客室使える状態ですか?」
「今日10部屋最低限の掃除はしましたが…」
「それで結構です」
何人かは自宅が近く帰って行ったが、酔いつぶれた人など6人が泊まることになった。エドガーとジョン、何も問題ないジンが手分けして2階まで運ぶ。
クレアは客室に水さしとコップを一部屋ずつ持っていく。最後の人を部屋に押し込んで一息つくと
「僕こちらに泊まりますね。また明日クレアさん」
とジンが手を振りながら部屋に入っていった。
からかうのもやめて欲しいなと階段を降りると
使用人の前にご主人様がいる。
「今日はすまない。よくやってくれた」
やって当然ではなくよくやったと言ってくれる!大変だったけどこの一言で報われる。
ふと目が合ったクレアが頭を下げると
「来たすぐですまなかった」
「いえ、大丈夫です」
そうかと頷きご主人様は自室に戻って行った。
エドガーが後ひと踏ん張りです。片付けましょうと声をかけ、手分けして片付ける。
ドナルドと朝をどうするか相談してそれぞれが自室に戻り休んだ。
◇◆◇
朝もいつも以上の量ではあったが、パンがあるので昨日に比べたら楽な作業だ。スープをより分けて食堂に運ぼうとすると
「おはようございます~クレアさんおはよう。これ運べばいいかな?」
「おはようございます。本当にお客様に申し訳ないので食堂でお待ちください」
「えーこれくらい…」
「お願いいたします。食堂で!!」
何度も運んでもらう訳にはいかないと今回は強めにお願いした。
朝はテーブルに用意して席に着いて食べてもらう。お酒が残ってるのか昨日ほどびっくりする量ではなかったが用意した料理はほぼ無くなった。
それぞれが用意をし、仕事場に戻っていく。エドガーとクレアとでお見送りをしていると
最後のジンが
「ありがとう。次は僕と出かけませんか?」
とクレアの手を取ろうとした。
「ジン、早く出ろ」
上からレオンが声をかける。出してた手を引っ込めて
「はいはい。クレアさん本気で誘いに来ますね」
どう返事しようかと思っていると、階段を降りきったレオンが目の前にいる。
「いってくる」
「「 行ってらっしゃいませ」」
バタンと扉がしまった後
「あー疲れた。今日はちょっとゆっくりしてもいいですよ」
肩に手をおき、首をコキコキと曲げてエドガーは執務室に戻っていく。
ゆっくりと言っても朝の片付けは残ってたし、朝から動いてるノラと一緒に洗濯する。
「昨日は手伝ってくれてありがとうございました」
「いいよ~クレアも大変だったでしょ。そうそうあの昨日来てた人たち、貴族の息子さんとかばっかりよ。目をかけてもらえたらいい思いできるかもよ」
「ジンさんって…」
「ああ、クーパー男爵のご子息ね。若いけど剣の使い手だそうよ。何?気になるの?」
「いえ、手伝っていただいたので…」
笑ってごまかす。まだ追求されそうなので別の話に切り返す
「あっ弟に手紙を書きたいんですけど、手紙出すのは…」
「ああ、まとめて取りに来てくれるからエドガーに渡せば大丈夫よ」
洗濯は終わらせて、昨日使った客室を掃除してたらお昼準備する時間で…
──ゆっくりできないわね
昼食は昨日疲れたねの話で盛り上がった。
「クレア、ジンには気をつけろよ!あいつ気に入った娘いたらすぐ誘うから」
「二股とかはしてないみたいですが、誰彼構わず声かけますね。次の休み来ますよ絶対」
なんて2人が言うもんだからノラの喋りが止まらなかった。誰でもいいとか言うのはダメよ!やっぱり1人を大事にしなきゃねと言う意見には大賛成だ。
全て片付けると少し時間が空いたので、弟のルイスに手紙を書く。
──ルイス元気ですか?
──想像よりもすごいわ
あいたお皿を片付けていると
「手伝います」
ジンが一緒に持とうとするので
「お客様にそんな事!大丈夫ですので」
「いいよ僕1番下だから」
とさっさと皿を片付けて先に調理場に行ってしまった。あーやっちゃったと思いながら急いであとを追いかける。
「ドナルドさん、今日の料理美味しかった。あれじゃがいもだったのかな?カリカリでって腕どうしたの?」
顔見知りなのか調理場にいるドナルドに話しかけていた。
「いやーちょっとな。俺がこんなだからほとんどクレアが作ってくれたんだよ」
「え?本当に?」
「はい、簡単なものですが…」
「すごいな~あれだけの量作るのは大変だったでしょ。可愛いのにすごいな~」
はい?今全く関係ない言葉が聞こえました?
「私また戻ります」
にっこり笑って足早にその場から逃げた。
食堂ではかなり出来上がった人達が帰るだの泊まるだのと話をしていてエドガーが慌てていた。
「クレアさん客室使える状態ですか?」
「今日10部屋最低限の掃除はしましたが…」
「それで結構です」
何人かは自宅が近く帰って行ったが、酔いつぶれた人など6人が泊まることになった。エドガーとジョン、何も問題ないジンが手分けして2階まで運ぶ。
クレアは客室に水さしとコップを一部屋ずつ持っていく。最後の人を部屋に押し込んで一息つくと
「僕こちらに泊まりますね。また明日クレアさん」
とジンが手を振りながら部屋に入っていった。
からかうのもやめて欲しいなと階段を降りると
使用人の前にご主人様がいる。
「今日はすまない。よくやってくれた」
やって当然ではなくよくやったと言ってくれる!大変だったけどこの一言で報われる。
ふと目が合ったクレアが頭を下げると
「来たすぐですまなかった」
「いえ、大丈夫です」
そうかと頷きご主人様は自室に戻って行った。
エドガーが後ひと踏ん張りです。片付けましょうと声をかけ、手分けして片付ける。
ドナルドと朝をどうするか相談してそれぞれが自室に戻り休んだ。
◇◆◇
朝もいつも以上の量ではあったが、パンがあるので昨日に比べたら楽な作業だ。スープをより分けて食堂に運ぼうとすると
「おはようございます~クレアさんおはよう。これ運べばいいかな?」
「おはようございます。本当にお客様に申し訳ないので食堂でお待ちください」
「えーこれくらい…」
「お願いいたします。食堂で!!」
何度も運んでもらう訳にはいかないと今回は強めにお願いした。
朝はテーブルに用意して席に着いて食べてもらう。お酒が残ってるのか昨日ほどびっくりする量ではなかったが用意した料理はほぼ無くなった。
それぞれが用意をし、仕事場に戻っていく。エドガーとクレアとでお見送りをしていると
最後のジンが
「ありがとう。次は僕と出かけませんか?」
とクレアの手を取ろうとした。
「ジン、早く出ろ」
上からレオンが声をかける。出してた手を引っ込めて
「はいはい。クレアさん本気で誘いに来ますね」
どう返事しようかと思っていると、階段を降りきったレオンが目の前にいる。
「いってくる」
「「 行ってらっしゃいませ」」
バタンと扉がしまった後
「あー疲れた。今日はちょっとゆっくりしてもいいですよ」
肩に手をおき、首をコキコキと曲げてエドガーは執務室に戻っていく。
ゆっくりと言っても朝の片付けは残ってたし、朝から動いてるノラと一緒に洗濯する。
「昨日は手伝ってくれてありがとうございました」
「いいよ~クレアも大変だったでしょ。そうそうあの昨日来てた人たち、貴族の息子さんとかばっかりよ。目をかけてもらえたらいい思いできるかもよ」
「ジンさんって…」
「ああ、クーパー男爵のご子息ね。若いけど剣の使い手だそうよ。何?気になるの?」
「いえ、手伝っていただいたので…」
笑ってごまかす。まだ追求されそうなので別の話に切り返す
「あっ弟に手紙を書きたいんですけど、手紙出すのは…」
「ああ、まとめて取りに来てくれるからエドガーに渡せば大丈夫よ」
洗濯は終わらせて、昨日使った客室を掃除してたらお昼準備する時間で…
──ゆっくりできないわね
昼食は昨日疲れたねの話で盛り上がった。
「クレア、ジンには気をつけろよ!あいつ気に入った娘いたらすぐ誘うから」
「二股とかはしてないみたいですが、誰彼構わず声かけますね。次の休み来ますよ絶対」
なんて2人が言うもんだからノラの喋りが止まらなかった。誰でもいいとか言うのはダメよ!やっぱり1人を大事にしなきゃねと言う意見には大賛成だ。
全て片付けると少し時間が空いたので、弟のルイスに手紙を書く。
──ルイス元気ですか?
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