花火

天野 帝釈

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空の家

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次の日おミツは、朝餉を作るために早起きし、起こさぬようこっそりと家に入った。

襖の向こうに人の息も聞こえない。

どうやらもう既に出掛けてしまっているらしい。

布団の敷いてある襖の奥を見ると文机の上に書いては破った紙の残骸がたくさんあった。

その中に丁寧に折りたたまれたものがあり、同じ字でも違う人の書いたようなものが見て取れる。

読めはしないが、最期に書いてある二つの文字が気になる。

美しい細く丸い手習いが単純な線二つでできたものと、箱と線が幾重にも重なっている字を一つ作り出していた。

後で婆様が文字を知っているか聞いて見よう。

そうちょっとばかし考えると、おミツは敷きっぱなしの床を片し、紙も一枚一枚重ねて置いた。

ぐちゃぐちゃになっているものはちょっとした箱を見つけて入れて、
帰ってきたら許可を貰ってから捨てる事にしようと考えた。

さてさて、とっとと朝餉の支度にかかり、飯の炊ける合間に布団を干してしまおう。
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