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ポチの兄
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「はーい、今出まーす」
玄関の扉を開けると、そこには男の子がいた。犬耳がポチより大きくて尻尾もふわふわな…
「あの。」
「あっ、ごめん。えっと、どちら様?」
「ここに、ポチって名乗ってる男の子いませんか?…いや、いますよね。お兄さんからポチの匂いがしますから。」
ポチを知っている?ところでこの子は何者なんだろう。もしポチの保護者…いや、ポチはあの施設にいたんだ、保護者は絶対に存在しない子が行く施設だ。保護者はもういないはず。
「失礼ですが…君は?」
「えぁ、えと、ぼく…あ、お、おれはひかげって言います。ぽ、ポチのお兄ちゃん…です。」
急に強気な態度が消えた。多分さっきの1言しか言う予定は無かったんだろう。
「お兄ちゃぁーん、お洋服どこぉーー?」
身体を拭き終わったのであろうポチが玄関までトコトコ歩いてくる。拭き終わった直後なので素っ裸だ。
「なっ……ひ、ひなたぁっ…!?」
「ポチ、!?ちょ、玄関は駄目だって…ん?ひなた?」
ポチはひかげと名乗る男の子を見た瞬間、うげぇ、という顔をした。
「ひかげぇ…なんでこんなとこいるの…?ご主人様は?」
「ひ、ひなたが心配でっ…じゃなくて…おれも捨てられて、ひなたの匂い辿ってきた…」
「?ポチって名前ポチじゃないの?」
俺だけ空気が読めない人みたいになってしまった。ひかげはポチをひなたと読んでいる。つまりポチはポチじゃないってことか?
「ぼ、ぼくはポチだよお兄ちゃん!!」
「何言ってるんだひなた、!この男にたぶらかされたのか!?」
「お兄ちゃんはそんなことしない!」
なにやら喧嘩を始めてしまった。要するにあれだ、王子様がお姫様を迎えに来たわけだ。
で、お姫様が抵抗してるってわけだ。
「あの…で、ひかげさんはポチを取り戻しに?」
「え?あ、いや…あの…おれもお家なくて…できればおれも住まわせてくれないかなぁっ…て…」
これは…お姫様を助けに来た王子様が敵?の陣地に住もうとしてるという解釈で…いいのか?
つまり居候させろと。
「なんで!?ひかげいらない!」
「ポチ、そんなこと言わないで、話し合おう?知りたいこと色々あるし。今日は泊めることにしよ?済ませるかどうかは明日でも決められるし。」
「あ……ありがとうございます…!お…お兄さん…」
ポチは不満そうだった。でもひかげはやせ細っているし突いたら倒れてしまいそうなほど弱っている。せめて何か食べさせるくらいしないと死んでしまうかもしれない。
「お…おじゃまします。」
「じゃあ…取りあえず晩御飯にしようか。ひかげくんでいいかな。呼び方…お風呂使っていいからね。」
ありがとうございます、と返された。
礼儀正しいんだなぁと思いつつ、俺はキッチンに向かった。
玄関の扉を開けると、そこには男の子がいた。犬耳がポチより大きくて尻尾もふわふわな…
「あの。」
「あっ、ごめん。えっと、どちら様?」
「ここに、ポチって名乗ってる男の子いませんか?…いや、いますよね。お兄さんからポチの匂いがしますから。」
ポチを知っている?ところでこの子は何者なんだろう。もしポチの保護者…いや、ポチはあの施設にいたんだ、保護者は絶対に存在しない子が行く施設だ。保護者はもういないはず。
「失礼ですが…君は?」
「えぁ、えと、ぼく…あ、お、おれはひかげって言います。ぽ、ポチのお兄ちゃん…です。」
急に強気な態度が消えた。多分さっきの1言しか言う予定は無かったんだろう。
「お兄ちゃぁーん、お洋服どこぉーー?」
身体を拭き終わったのであろうポチが玄関までトコトコ歩いてくる。拭き終わった直後なので素っ裸だ。
「なっ……ひ、ひなたぁっ…!?」
「ポチ、!?ちょ、玄関は駄目だって…ん?ひなた?」
ポチはひかげと名乗る男の子を見た瞬間、うげぇ、という顔をした。
「ひかげぇ…なんでこんなとこいるの…?ご主人様は?」
「ひ、ひなたが心配でっ…じゃなくて…おれも捨てられて、ひなたの匂い辿ってきた…」
「?ポチって名前ポチじゃないの?」
俺だけ空気が読めない人みたいになってしまった。ひかげはポチをひなたと読んでいる。つまりポチはポチじゃないってことか?
「ぼ、ぼくはポチだよお兄ちゃん!!」
「何言ってるんだひなた、!この男にたぶらかされたのか!?」
「お兄ちゃんはそんなことしない!」
なにやら喧嘩を始めてしまった。要するにあれだ、王子様がお姫様を迎えに来たわけだ。
で、お姫様が抵抗してるってわけだ。
「あの…で、ひかげさんはポチを取り戻しに?」
「え?あ、いや…あの…おれもお家なくて…できればおれも住まわせてくれないかなぁっ…て…」
これは…お姫様を助けに来た王子様が敵?の陣地に住もうとしてるという解釈で…いいのか?
つまり居候させろと。
「なんで!?ひかげいらない!」
「ポチ、そんなこと言わないで、話し合おう?知りたいこと色々あるし。今日は泊めることにしよ?済ませるかどうかは明日でも決められるし。」
「あ……ありがとうございます…!お…お兄さん…」
ポチは不満そうだった。でもひかげはやせ細っているし突いたら倒れてしまいそうなほど弱っている。せめて何か食べさせるくらいしないと死んでしまうかもしれない。
「お…おじゃまします。」
「じゃあ…取りあえず晩御飯にしようか。ひかげくんでいいかな。呼び方…お風呂使っていいからね。」
ありがとうございます、と返された。
礼儀正しいんだなぁと思いつつ、俺はキッチンに向かった。
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