15 / 38
犬と人間
しおりを挟む
「お兄ちゃん、耳でた。」
「んー?あ、本当だ可愛いね。」
ポチは俺が前回驚かないことが嬉しかったのか、今回は普通に報告してくれた。ふわふわの髪の毛を撫でると嬉しそうに微笑む。
「お兄ちゃん、また…ぼくがおかしくなっちゃったら……怒らせたら、叩いてもいいよ。」
「叩かないよ。大丈夫。」
「犬には躾が必要だから。ね?お兄ちゃん。」
ポチはにっこりと笑った。が、目は笑っていない。怖い。
ポチに恐怖を感じるなんて、おかしいじゃないか。俺はポチの家族なのに。
「ぼくは全部お兄ちゃんにあげる。だからね、お兄ちゃん、ぼくをお兄ちゃん好みの犬にして。」
「え…?」
俺好みの犬?ポチは何がしたいんだ。もしかして、前のポチの住んでいたところから環境が急に変わったせいで、心がついていけてないのではないか。
「ぼくはどうあがいたって犬だから…この耳見たらわかるでしょ。大好きなお兄ちゃんに飼われるなら、ぼくは幸せ。」
飼う?そんな環境、この子に与えていいはずがない。
「ポチ。」
「んぅ?」
ポチの肩を掴む。ポチは俺の怒った顔に戸惑っているようだ。
「俺はポチを飼おうとなんか思ってない。俺はポチと家族になりたいんだよ。これは…分かってくれる?」
「…うん。」
「それとね、ポチは犬じゃない。見た目はそうかもしれないけど、俺の家族だ。ペットじゃないんだよ。ポチが望むなら、その耳を無くす方法だって考える。俺はポチが将来、ちゃんと人並みに幸せを掴めるようにサポートしたいんだ。」
「ぼくの、将来…?」
最初は犬みたいで可愛いと思ったが、犬になって欲しいとは思っていない。
「ぼくは…お兄ちゃんと暮らせたらそれでいいかなぁ…」
「俺?…まぁ…そっか。うん。」
ポチはまだここに来て少ししか経っていない。だから将来の話をしても視野が狭い状態でしか見られないだろう。ポチにはもっと広い世界を見せてあげたい。
「お兄ちゃん、さっきは…ごめんなさい。お兄ちゃんにとって、ぼくは犬じゃないんだね。」
「うん。…分かってくれたなら良かった。」
「…でね、一個だけ教えてほしいことあるの…」
「…?どんなこと?難しい事じゃなければ多分教えられると思う…けど。」
ポチが下を向く。もじもじして、言葉を選んでいるようだ。
「ぼく、お姫様が王子様と結婚する絵本、読んだの。」
「うん。」
「それでね、ぼく…お姫様を守れる王子様、かっこいいって思った。」
絵本の話?それでもポチは緊張しているようで、時々口ごもる。
「だから…ね、ぼく、おっきくなったらお兄ちゃんを守れる子になりたい…それでね、お兄ちゃんと結婚したい…それが将来の夢。
どうしたら叶う?」
「う……」
子供が親によく言う事だ。いつかは忘れる。
だけど、ポチはすごく真面目な顔だ。適当に返したらだめな気がする。俺はどう答えれば…
「んー?あ、本当だ可愛いね。」
ポチは俺が前回驚かないことが嬉しかったのか、今回は普通に報告してくれた。ふわふわの髪の毛を撫でると嬉しそうに微笑む。
「お兄ちゃん、また…ぼくがおかしくなっちゃったら……怒らせたら、叩いてもいいよ。」
「叩かないよ。大丈夫。」
「犬には躾が必要だから。ね?お兄ちゃん。」
ポチはにっこりと笑った。が、目は笑っていない。怖い。
ポチに恐怖を感じるなんて、おかしいじゃないか。俺はポチの家族なのに。
「ぼくは全部お兄ちゃんにあげる。だからね、お兄ちゃん、ぼくをお兄ちゃん好みの犬にして。」
「え…?」
俺好みの犬?ポチは何がしたいんだ。もしかして、前のポチの住んでいたところから環境が急に変わったせいで、心がついていけてないのではないか。
「ぼくはどうあがいたって犬だから…この耳見たらわかるでしょ。大好きなお兄ちゃんに飼われるなら、ぼくは幸せ。」
飼う?そんな環境、この子に与えていいはずがない。
「ポチ。」
「んぅ?」
ポチの肩を掴む。ポチは俺の怒った顔に戸惑っているようだ。
「俺はポチを飼おうとなんか思ってない。俺はポチと家族になりたいんだよ。これは…分かってくれる?」
「…うん。」
「それとね、ポチは犬じゃない。見た目はそうかもしれないけど、俺の家族だ。ペットじゃないんだよ。ポチが望むなら、その耳を無くす方法だって考える。俺はポチが将来、ちゃんと人並みに幸せを掴めるようにサポートしたいんだ。」
「ぼくの、将来…?」
最初は犬みたいで可愛いと思ったが、犬になって欲しいとは思っていない。
「ぼくは…お兄ちゃんと暮らせたらそれでいいかなぁ…」
「俺?…まぁ…そっか。うん。」
ポチはまだここに来て少ししか経っていない。だから将来の話をしても視野が狭い状態でしか見られないだろう。ポチにはもっと広い世界を見せてあげたい。
「お兄ちゃん、さっきは…ごめんなさい。お兄ちゃんにとって、ぼくは犬じゃないんだね。」
「うん。…分かってくれたなら良かった。」
「…でね、一個だけ教えてほしいことあるの…」
「…?どんなこと?難しい事じゃなければ多分教えられると思う…けど。」
ポチが下を向く。もじもじして、言葉を選んでいるようだ。
「ぼく、お姫様が王子様と結婚する絵本、読んだの。」
「うん。」
「それでね、ぼく…お姫様を守れる王子様、かっこいいって思った。」
絵本の話?それでもポチは緊張しているようで、時々口ごもる。
「だから…ね、ぼく、おっきくなったらお兄ちゃんを守れる子になりたい…それでね、お兄ちゃんと結婚したい…それが将来の夢。
どうしたら叶う?」
「う……」
子供が親によく言う事だ。いつかは忘れる。
だけど、ポチはすごく真面目な顔だ。適当に返したらだめな気がする。俺はどう答えれば…
10
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
ハッピーエンド保証!
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
11月9日~毎日21時更新。ストックが溜まったら毎日2話更新していきたいと思います。
※…このマークは少しでもエッチなシーンがあるときにつけます。
自衛お願いします。
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ヘタレな師団長様は麗しの花をひっそり愛でる
野犬 猫兄
BL
本編完結しました。
お読みくださりありがとうございます!
番外編は本編よりも文字数が多くなっていたため、取り下げ中です。
番外編へ戻すか別の話でたてるか検討中。こちらで、また改めてご連絡いたします。
第9回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございました_(._.)_
【本編】
ある男を麗しの花と呼び、ひっそりと想いを育てていた。ある時は愛しいあまり心の中で悶え、ある時は不甲斐なさに葛藤したり、愛しい男の姿を見ては明日も頑張ろうと思う、ヘタレ男の牛のような歩み寄りと天然を炸裂させる男に相手も満更でもない様子で進むほのぼの?コメディ話。
ヘタレ真面目タイプの師団長×ツンデレタイプの師団長
2022.10.28ご連絡:2022.10.30に番外編を修正するため下げさせていただきますm(_ _;)m
2022.10.30ご連絡:番外編を引き下げました。
【取り下げ中】
【番外編】は、視点が基本ルーゼウスになります。ジーク×ルーゼ
ルーゼウス・バロル7歳。剣と魔法のある世界、アンシェント王国という小さな国に住んでいた。しかし、ある時召喚という形で、日本の大学生をしていた頃の記憶を思い出してしまう。精霊の愛し子というチートな恩恵も隠していたのに『精霊司令局』という機械音声や、残念なイケメンたちに囲まれながら、アンシェント王国や、隣国のゼネラ帝国も巻き込んで一大騒動に発展していくコメディ?なお話。
※誤字脱字は気づいたらちょこちょこ修正してます。“(. .*)
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話
岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ!
知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。
突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。
※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる