なんで僕がこんな目に。

まぐろ

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なんで僕がこんな目に。

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 今日から夏休み。僕は一人で公園に遊びに行った。
 学校で友達はいるのだが、家の場所が遠いせいで気軽に遊ぶということができなかった。だから僕は近所で遊ぶときはどうしてもぼっちになってしまう。
 持っていたボールを壁に向かって蹴り、跳ね返ってきたボールをまた蹴るという遊びをしていたが、やっぱり一人は寂しくて、ボール遊びは止めようかと振り向いた。
 すると、僕の後ろにはいつの間にか若い男の人が立っていた。

「暁斗くん…また一人で遊んでるの?」

「近所に友達いないから…ねぇ、お兄さんまた一緒に遊んでよ!」

 この人は、僕が小さい時から一緒に遊んでくれるいいお兄さんだ。ボール遊びも上手くて、鬼ごっこだってしてくれる学校の先生みたいな人だった。実際、昔学校の先生をやっていたらしい。
 僕はこのお兄さんが好きだった。遊んでくれるし、たまに家に連れて行ってくれて、お菓子をくれたりする。

「今日も?いい加減俺が不審者に見えちゃうんじゃないかなぁ。」

「そんなことないよ!いつも遊んでるし、それにお兄さんは不審者じゃないもんね!」

 お兄さんにボールを手渡すと、一緒にサッカーをしてくれた。肌を焼くような日差しの中、大人と子供二人きりで遊ぶ。
 太陽が登りきった頃、僕達は疲れて一旦休むことにして、ベンチに座った。

「楽しかったね。暁斗くん、暑いけどちゃんと水分補給してる?顔真っ赤だよ。」

「あ…水空っぽになっちゃった…」

 持ってきていた水は、水筒の底に一滴ほど溜まっているだけ。それを意識した途端喉が渇いてくる。炎天下だから尚更だ。

 ──このままじゃ、熱中症は免れない。

 お兄さんは僕の様子を見て察したらしく、僕の水筒にちらりと目をやった。

「ここから俺の家近いし、お茶飲む?ついでにお昼ご飯食べていきなよ。今日、親御さん仕事でしょう?」

「いいの?お兄さんありがとう。」

 ベンチから立ち上がり、歩いていくお兄さんに付いていく。お兄さんの家は、僕の家から対角線上にある。公園から出て少し歩くと、建ってから結構時間が経ったようなすこし黄色っぽい茶色をしたアパートが出てきた。

「おじゃまします!」

 お兄さんの家はアパートの2階の端っこだ。部屋に入ると、お兄さんの柔軟剤の匂いがふわりと鼻腔をくすぐった。

「暁斗くん、適当に座ってて。お茶持ってくる。あ、シャワー浴びる?」

「うん。じゃあお風呂借りるねお兄さん。」

 お兄さんにお茶を貰って飲んでから、お風呂に入った。汗がベタベタして気持ち悪かったから嬉しい。
 お風呂から上がると、僕の脱いだ服は無くなっていた。洗濯機が回っているからお兄さんが洗濯してくれたんだろう。

「お兄さん、僕の服は…」

「ああごめん、汗でびちゃびちゃだったものだから洗濯しちゃった。大きいけど俺の服着てて。」

 そう言われてお兄さんのTシャツを渡された。ぶかぶかで肩が出てしまう。スースーして暑い日には丁度よかった。

「お昼ご飯そうめんなんだけど、暁斗くん食べられる?」

「うん!そうめん好きー!」

 キッチンにいるお兄さんのところに駆け寄ろうとしたが、危ないから座ってて、と言われてしまった。おとなしく座っていると、お兄さんは皿に入った麺つゆを僕の前に置いた。心なしか、お兄さんの手が震えているように見える。
 ボール遊びで疲れているんだろうか?

「暁斗くん、いっぱい食べてね。午後はゲームでもしようか。」

 お兄さんの提案に、そうめんをすすりながら頷いた。お母さんもお父さんも仕事で居なくて寂しかったから、お兄さんが構ってくれるのが嬉しくてしょうがない。
 お昼ご飯を食べたあと、お兄さんとゲームをして遊んだ。
 だけど、お昼だからか段々と眠たくなってくる。瞼が重たくなっていき、隣に座っているお兄さんに寄りかかって、僕はそのままぐっすりと眠ってしまった。

「……んぁ…ぁう?」

「ああおはよう。ぐっすり寝てたね、さすが子供って感じで…可愛かったよ。」

 僕が寝ているのは…お兄さんのベッドだ。夕方まで爆睡してしまったのだと理解して、慌てて起き上がろうとした。が。

「あぅっ」

 手が繋がれているのか起き上がれない。視線を上にやると、警察が使う手錠みたいな物が僕の手首と壁に刺さっているフックを繋いでいた。
 少しだけ違和感を感じて、恐る恐る視線を下に滑らせていくと、僕のおちんちんがぴょこっと上を向いていた。
 こんな事、今まで無かったのに。

「寝てる間にたくさん慣らしたからねぇ…暁斗くんがちっちゃく喘ぎながら寝てるの、録画してあるよ。あとで一緒に見ようね。」

「お兄さん…?」

 僕に顔を近づけて笑うお兄さんからは煙草の匂いがした。さっきまで吸っていたのか、僕は少しだけ咳込んだ。お兄さんが煙草を吸っているのは知っていたけど、僕の近くで吸っていたのは初めてだから困惑した。

「まだまだ元気そうだし、起きてる暁斗くんとも遊んであげないとね。」

 お兄さんの大きな手が、僕の股間に向かって伸ばされる。僕が緊張か恐怖からか顔を強張らせていると、お兄さんがそれに気付いて僕に目隠しをした。緊張が、一気に増す。

「大丈夫、怖くない怖くない。じゃあゆっくり触るからね。」

「お兄さん…っ…そこは、汚いよぉ…、おしっこするとこだから…っ」

 最初は指ですーっとなぞるように撫でられて、ゆっくりとお兄さんの手の中に僕のおちんちんが収められる。扱かれると変な感じで、身体が勝手にカクカクと動いてしまう。

「はっ……ぁうっ…」

「んー、気持ちいいね?声出してもいいよ。お隣さんちょっと怖い人だから小さめにね。」

 そう言いながらもお兄さんが僕のおちんちんを扱くスピードは速くなっていく。僕はなるべく声を出さないように、手で口を塞いで声を抑えた。

「もうイきそう?じゃあこっちで…」

 お兄さんが呟いた途端、おちんちんの根本の方をきゅっと握られる。それと同時に僕のお尻の中にお兄さんの指がぐっと押し込まれた。
 一瞬、反射的に痛かったような気もしたが僕の穴は簡単にお兄さんの指を受け入れた。
 僕の中で慣らすように動いていたお兄さんの指は、ある一点を集中して押してくる。

「お兄さ、だめ、なんかやだぁっ…」

 身体の奥から何かが来る。僕はお兄さんに止めるように頼んだが、お兄さんが聞き入れてくれることはなく、僕はそのまま身体を少し仰け反らせて絶頂した。まだ精通が来ていない身体は、下半身からの快感を身体全部に行き渡らせる。

「んひゅっ…ぅぅっ……あぁ…」

 涙を流しながら、僕はその余韻に浸った。
 お兄さんは満足げに僕の事を観察していた。

「お兄さ…怒ってるの…?こ、怖い顔しないでよぉ…っ…もうお家帰る…から…」

「帰る?無理だよ暁斗くん、もう君はずっとここで暮らすんだ。俺は怖くないよ。ただ…」

 お兄さんは軽く袖を捲り、絶頂によって弛緩した僕の身体に拳をめり込ませた。快感で溶けかけた思考が、一気に覚める。
 無意識に身体がくの字になった。

「い…いた…い…」

「暁斗くんが悪いことしたら、もっと酷いことするからね。良い子でいてね。」

 僕が目に涙をいっぱいためているのを尻目に、お兄さんは僕のお腹をさすった。痛いのとんでけー、なんて言いながら。

「あ、そうだ…それ普通に起き上がれるから。一回うつ伏せになって…そうそう、ほら起き上がれたでしょ。」

「ね…ねぇお兄さん…って、煙草吸うの…?」

「え?ああ、吸うよ。」

 お兄さんは胸ポケットから箱を取り出して、その中から一本、煙草を出して火をつけた。タバコ特有のあの匂いが鼻を突く。
 僕が座ってお兄さんの事をじっと見ていると、お兄さんはにやりと笑った。

「暁斗くん、犯すからこっちにお尻向けてこんな感じの体勢…そうそう、目瞑っててくれる?」

「うぇ…?うん…」

 お兄さんが言うとおり、四つん這いの状態でお兄さんにお尻を向ける。お兄さんからはもろに僕の恥ずかしい場所が見えているんだろう。
 羞恥もあって、僕はぎゅっと目を瞑った。すると。

「ん゛ぃっ!?い、いたい…!いたい!!」

「ああごめん。ローション忘れてた…」

 お尻が無理やりこじ開けられるような痛みに襲われて半泣きになると、お尻をこじ開けようとするものは僕から離れていった。
 よかった…と安心するのもつかの間、ぬるぬるして滑りの良くなったそれが僕のお尻にあてがわれる。
 ずんっ、という衝撃の後、いつの間にかそれは僕の中に収まっていた。

「あ…あぁ…?あ……あぁぁ…」

「散々慣らしたから気持ちいいでしょ。ここさっきのとこ…どう?」

 お兄さんがさっき指で押したところをガツガツ突いてくる。お腹が苦しいのに、帰れなくなって悲しいのに、どうしようもなく気持ちいい。
 いつの間にか僕から漏れる声には甘ったるい嬌声が混じり、悦びか悲しみかわからない涙が流れた。

「あっ……また、く……る…っ…」

「ちゃんとイけるの偉いね。ほんと可愛い。暁斗くんこれ吸って…」

 僕が息を切らせていると、湿った布で鼻と口を覆われた。
 息を吸った瞬間、頭の中で電流が走ったみたいな感覚に襲われる。僕はそのまま三回ほど寄生されてしまった芋虫のように身体をくねらせた。

「ん゛ッ…ん゛、ひぃ゛ッ……」

「ただの媚薬だよ。吸わせるとこうなるんだ、面白いねぇ。」

 ガクガクと身体を痙攣させる僕を、お兄さんは容赦なく奥まで抉ってきた。お兄さんのおちんちんの形を意識できるくらい、僕は快楽の波に引きずり込まれていた。
 お兄さんに何回も弱い所を責められ、おちんちんも袋もお兄さんの手で遊ばれた。
 僕の意識がお兄さんに吸い取られていくみたいだ。

「ぁ゛ー……ひぅ…」

「あれ…壊れちゃった?暁斗くん、暁斗くん。…悪い子はお仕置きだからね…」

 お兄さんはふっと息を吐き、僕の腰を逃げないように押さえつけた。快感で思考が回らなくなった僕の腰辺りに、お兄さんは煙草を押し付けた。

「あ゛ぁ゛ぁ゛ッ…!!」

 ドンッ!!

 僕が叫ぶと、壁から音がした。隣の人が怖い人なんだっけ……僕は歯をカチカチと鳴らしながら、口を塞いだ。

 どろりと、僕のおちんちんから透明な液体が垂れる。お兄さんは精通した?と言って嬉しそうにしたが、違ったらしくすぐに元の表情に戻ってしまった。
 お兄さんは、こんな人じゃない。きっと何か嫌なことがあったんだ…そうじゃなきゃこんな事するはずがない。
 その時、僕の中に熱い何かが広がった。しばらくどくどくと僕の中にそれが注がれると、やっとお尻からお兄さんのおちんちんが抜けていった。

「やっぱり狭くて気持ちいいね。暁斗くんも気持ちよかったよね?」

「あ、あ…あぇ、はひ、きもひよかったれす…」

 何も考えられなくなって、お兄さんが言った言葉をそのまま肯定する。僕にはお兄さんをどうすることもできない。
 家に返してくれないなら、もう僕は家に帰れないんだろう……

「ねぇ…おにぃさん…」

「なあに?」

「なんで…ぼく、なの…?」

 少しだけ泣きそうになりながらそう聞いた。お兄さんは考える素振りもなく口を開く。

「暁斗くんを初めて見たとき可愛くて。この子欲しいなーって。」

「そう…なんだ……」

 お兄さんと、初めて会ったとき。あまり覚えてないけど、確か一年生の時…だった気がする。
 僕が一人で遊んでいた時に、お兄さんに声をかけられて一緒に遊んでもらった。その時から仲良くなれたと思っていたが、お兄さんにとっては僕をこうするための計画のうちだったらしい。

「お兄さん…僕と遊ぶのは、楽しかった…?」

 少しだけ、声が震える。どうせ誘拐されるなら。お兄さんに好意を抱いてほしい。せめて、一緒に遊んだ思い出は純粋なものだと思いたかった。

「うん。楽しかったよ。暁斗くんがどんどん俺好みの歳になっていくの観察できたし。」

 お兄さんはまた、僕の腰に煙草を押し付ける。
 ジュッ、という感じで痛みが熱く広がる。苦痛に顔を歪める僕とは反対に、お兄さんは嬉しそうに何回も痕をつけていった。

「あっ……は、ぁっ……ゔぅ…」

 大きい声を出さないように口を押さえる。本当は熱いし痛いし泣き叫びたい。でも余計にお兄さんを喜ばせてしまう。

「本当に…可愛いね。この日のためにたくさんお金かけたんだよ、成長を止める薬に、バイブでしょ、この手錠だってそうだよ。」

「薬…!?…だ……ぇか、たすけ…てぇ……っ」

 お兄さんが見せてきた注射器は、次の瞬間にはもう僕に刺さっていて。お兄さんはこれは、成長を止める薬だと言っていた。ああもう、僕はずっとこのままなんだ……もっと大きくなって、お兄さんや大人になった友達と遊んだりお酒を飲んだりしてみたかった。

「ひっ……ぅんっ…う、ぐすっ…」

 もう僕が大人になることはない。ずっとずっとここで、お兄さんに遊ばれるんだ。
 そう思った途端、かくんと身体から力が抜けた。今まで残っていた僅かな希望が崩れ果ててしまった。

「泣いちゃった…ふふ…、暁斗くん、ここに居るのも悪くないと思うよ?ずっと気持ちよくなっていられるし、俺の事好きでしょ?会うたびにニコニコして…可愛かったな…」

「……お兄さんと、ずっと、気持ちよく…?」

「そうだよ。何もしないで、ずっと幸せになっていられる。最高じゃない?」

 ぽろぽろと涙を流す僕に暗示をかけるように、お兄さんはゆっくり優しく僕に語りかける。
 さっきまであんなに酷いことをされたのに、幸せなどという単語に希望のようなものを見出してしまう。

「僕…お兄さんのこと大好きだったよ……」

 精神的ショックか、体力に限界が来たのか。僕はそれだけ呟いて意識を失った。
 目が覚めれば、もう僕はお兄さんのモノになるんだ。ここから出ることを許されず、一生お兄さんに愛される。泣いても喚いても、近所の人は助けてくれない。
 どうして、なんで僕がこんな目に。

 ──あれから、1年。

 半年くらいで僕は殺されるか助けられるかと思っていたが、僕がいい子でいる限りお兄さんは僕を愛してくれる。朝も昼も夜も、どんな季節であっても。
 テレビから聞こえる音声をこっそり聞いていても、もう僕の行方不明のニュースは放送されていない。お兄さんが川に僕の靴を投げたらしいから、僕は溺死ということになっているんだろう。
 僕は生きているのに、僕の供養がされている。不気味なことだが、もう今の僕には関係なかった。

「おはよう、暁斗くん。」

「ん…おはよぉ…お兄さん。」

 朝起きてまず、お兄さんに抱きつく。手錠に繋がった鎖がピンと張るが気にしない。
 お兄さんに撫でてもらって甘やかされる。僕が何もしなくても、お兄さんは僕の身の回りの全てのことをしてくれる。
 僕は良い子だから、痛いことはされない。何度も何度も躾けてもらったから、もう失敗はしない。

「暁斗くん、今…幸せ?」

 お兄さんが優しく微笑みながら言った。僕から全てを奪ったくせに。僕の気持ちも、心も、踏みにじったくせに。
 もう僕には心なんてものはない。だから。

「……うん。…幸せだよ。」

 お兄さんに笑いかける。子供らしい笑みを浮かべる僕の目には、光など宿っていなかった。

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