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78、美味しいご飯と色欲と強くなりたい男
しおりを挟む「ご飯できたよ」
「待ってました!」
魔法陣の前に座る俺を、呼びに来たのはアリスさん。
「ダーリン、今日も凄く美味しいよ!」
「イレイザ、アリスさんの料理に間違いはない!」
先にテーブルに着いていたイレイザは、笑顔でアリスさんの作ったご飯を食べていた。
「あのね‥‥‥そんな理由でこんなとこに呼ばないでよ」
溜息を吐いてるアリスさん。
でもなんだか嬉しそう。
「アリスさん、本当にごめん。召喚するつもりはなかったんです‥‥‥」
俺の頭が導き出した、毎日美味しいご飯を食べるための方法は、アリスさんの召喚だったようだ。
まあ、大正解だったわけだが‥‥‥。
アリスさんは創造主に狙われている訳ではないので、祠から出ても良いのだが、1人でプリングの街まで帰る手段がない。
そして大丈夫だとは思うが、この辺りから俺の関係者が急に現れるのもどうかとは思う。
『天使ちゃん一号』と戦ったのは、この祠の近くなのだ。
祠が見えてないとはいえ、俺が最後に目撃された場所の近くは目をつけられてる可能性が高い。
アリスさんには申し訳ないが、暫く3人で生活する事になった。
「アリスさん、おかわり頂いてもよろしい?」
「はいはい。イレイザ、片付けは手伝ってよ? その後は今日も料理の練習する?」
「ありがとうアリスさん。私もダーリンに美味しいご飯を作れるように頑張るわ」
祠での生活を開始してから数日、イレイザはアリスさんに完全に懐いていた。
ご飯の力は偉大。
「さてと、俺も美味しいご飯を食べて昼からも頑張るぞ!」
アリスさんから聞いた情報によると、レイラは魔王と一緒にレベル上げをしてるらしい。
女神様が言うように、創造主はレイラと魔王には攻撃してこないようだ。
そして、俺の心にも火がついていた。
魔法陣を使ったレベル上げはかなりずるいが、魔王が行う修行も凄いものだと思う。
──負けないぞ!
「ごちそうさま。アリスさん美味しかったわ。片付け先にしとくね」
尻尾をフリフリしながら部屋を出るイレイザ。
「ところであんた、あの娘の事、ちゃんと面倒見れるの?」
イレイザが部屋を出るのを確認してから、コッソリ耳打ちしてくるアリスさん。
あの娘とか言ってるが、あれは魔族でしかも魔王軍の四天王なんだけどな‥‥‥。
まあ、アリスさんは魔王とも仲良しなのだが。
「‥‥‥面倒とは?」
「レイラと魔王さん怒らない?」
「‥‥‥怒るんじゃないかな」
レイラは確かイレイザを亡き者にしようとしてたし、魔王はイレイザの上司だ。
「じゃあなんで手を出したの?」
「‥‥‥記憶にございません」
本当に全く覚えてない。
「うわ、あんたサイテー」
「だって覚えてないものは、覚えてないんだい!」
朝起きたら、見知らぬ女性が横で寝てたっていう例のアレだ。
「男の子なんだから、責任はしっかりとりなよ」
「‥‥‥なんか考えときます」
「あとね、私が言うことじゃないかもしれないけど、押しに弱いのもほどほどにしないと、嫁の人数がとんでもないことになるよ。あんたモテるんだから、そのへんをもう少し自覚した方がいいと、私は思う」
そう言うとアリスさんも部屋を出て行った。
怒られてしまった。
「‥‥‥とりあえずレベル上げしよう」
なんにしろ『天使ちゃん』を余裕で倒せるくらいに強くならなくては、ここから出ることも出来ない。
2人にイレイザの事を話すのは、少なくともその後になる。
──2人とも怒るだろうな。
‥‥‥しかし俺は、いつ魔王と付き合ったんだろうか?
確か何かの勝負に負けて、魔王の慰み者になったんだっけ。
魔王の慰み者。
これは付き合ってるのか?!
‥‥‥よくわからん。
「まあ、レイラと魔王、2人に早く会いたいのは事実だ」
早く強くなろう。
誰にも負けないくらいに。
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