上 下
2 / 103

2、異文化交流

しおりを挟む


 草原で大の字の俺。
 ブヨブヨが消えた場所には、金色の硬貨がそれぞれ2枚ずつ落ちていた。

「よし、状況を整理しよう」

 俺は雷に打たれRPGの世界に転移。
 ここはよくわからない広い草原。
ブヨブヨした物体を倒したら目の前に文字が現れ、経験値を獲得しレベルが上がったことを教えてくれた。
 ブヨブヨが落とした物はこの世界の通貨と思われる。

「‥‥‥最高じゃないか」

 敵を倒すだけで強くなれるしお金も貰える。
 なんて素敵な世界。
 レベルが上がって『かしこさ』と『魅力』が増えたのが、イマイチ理解出来ないがこれがこの世界のルールと割り切ろう。
 勉強しなくても頭が良くなるとか‥‥‥最高だ!
 
「レベルを上げまくって最強&金持ちになってやる!」

「キュー!」

 ブヨブヨが現れた。

「現れたなブヨブヨ、俺の血肉となり金をよこせ!」

 大きな石を持ち上げ、現れたブヨブヨに投げつける。

 こうして俺の異世界人生が始まったのだった。




「‥‥‥疲れた」

 草原をウロウロするとブヨブヨはすぐ発見できる。
 辺りが暗くなりはじめた頃には、持っていたリュックが硬貨でパンパンに膨らんでいた。

「疲れたし、もう持てないよ‥‥‥」

 この硬貨はどれくらいの価値があるんだろう。
 300枚を超えたあたりから数えるのをやめた。

 レベルも7に上がっている。
 あとステータスは見たい時、いつでも見れる事がわかった。

レベル7
力23
素早さ20
身の守り15
かしこさ32
魅力25
HP56
MP21

 こんな感じで目の前に出てくる。
 なんて便利。
 そして凄く楽しい。
 育成ゲームをしてる感覚だ。
 


「さて、行ってみますか」

 実は草原をウロウロしてる時に、近くに街を発見していたりする。
 すぐ立ち寄ろうと思う気持ちを抑えて、ブヨブヨを倒し続けた。
 街に行っても金が無ければ何も出来ないだろ?

「‥‥‥宿屋とかあるのかな」

 金は足りるのか。
 言葉は通じるのか。
 いきなり襲われたりしないか。
 不安は多い。
 だがそれも良し。

「行こう!」




「こんちにわ、こんばんわ、ハロー、ボンジュール、ボンジョルノ、ナマステ」

「‥‥‥お前、大丈夫か?」

 知ってる限りの挨拶を言ってみたが、日本語が通じた。
 最大の問題をクリアーした瞬間である。
 
「すいません、ここは何処でしょう?」

 街に入り、とりあえず歩いていたオッサンを捕まえ質問していた。

「‥‥‥お前、大丈夫か?」

 街の様子は西洋風。
 レンガ作りの道と建物。
 まんま古き良きRPGの世界です。
 ありがとうございます。
 
「すいません、ここは何処でしょう?」

「‥‥‥プリングの街だ。お前何処から来たんだ?」

「宿屋は何処でしょう?」

「‥‥‥この道を真っ直ぐ進んだ先にある」

「ありがとうございます」

 ポカンとしてるオッサンを放置して俺は進む。
 異世界生活の問題は山積みだ。
 宿に泊まれるのか。
 金は足りるのか。
 ご飯は食べれるのか。
 ご飯は美味しいのか。
 お腹はいっぱいになるのか。
 主食は米なのか。
 パンなのか。
 主菜は肉なのか。
 魚なのか。
 問題は山積みだ。
 

 立ち止まる訳にはいかない。
 オッサンを放置して風を切り俺は進む。
 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

人を選ぶ病

崎田毅駿
ホラー
治療法不明の死の病に罹った男の、命を賭した“恩返し”が始まろうとしている。食い止めねばならない。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?

木山楽斗
恋愛
英雄の血を引くリメリアは、若くして家を継いだ伯爵の元に嫁いだ。 若さもあってか血気盛んな伯爵は、失言や失敗も多かったが、それでもリメリアは彼を支えるために働きかけていた。 英雄の血を引く彼女の存在には、単なる伯爵夫人以上の力があり、リメリアからの謝罪によって、ことが解決することが多かったのだ。 しかし伯爵は、ある日リメリアに離婚を言い渡した。 彼にとって、自分以上に評価されているリメリアは邪魔者だったのだ。 だが、リメリアという強力な存在を失った伯爵は、落ちぶれていくことになった。彼女の影響力を、彼はまったく理解していなかったのだ。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

姉の持ち物はすべて妹のもの。それなのに、玉の輿!? 旦那様を渡しなさいよ!

青の雀
恋愛
第1話 妹レイナは、なんでも私のものを欲しがる。ドレスでもアクセサリーでも。 「お姉さまの幸せは、妹レイナの幸せ。」をモットーに。 婚約者を寝取られ、差し上げたにもかかわらず、次の婚約者にまでちょっかいを出した妹。王女殿下の怒りを買い…。 第2話 公爵令嬢が婚約者の王太子の誕生日会で男爵令嬢を虐めていたと冤罪をでっちあげ婚約破棄される。 公爵令嬢は、「どうぞ、ご勝手に」とさっさと破棄を受け入れる。 慌てる国王陛下と王妃殿下、その理由は…。    セクションの意味がわかりませんか?一般的だと思って使用していました。第〇条のことをいいます。お小さい方が読まれることが多いのかしら。一般教養で普通に習うことです。法律用語の使い方を知らない人が読まれているようです。正しい法律用語を覚えられるように書いていく所存です。 永く書き過ぎました。今日で終話とさせていただきます。 また、いつかどこかで。 他サイトで継続して書いています。探してみてください。HN,タイトル違うからわからないかもです。

処理中です...