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第10話
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息も絶え絶えになって、ぐったりとなって、やっとエドアールはやめてくれた。
舐められて、指を入れられて……足の間を、ぐちゃぐちゃにされた。
愛の営みがこんなに大変なものだったなんて。
最初は指を入れられた時、少し苦しかった。
でも緩くなっていったのか、滑りやすくなったのか、だんだんわけのわからない感覚に変わっていった。
昨日はただ痛いだけだったけど、今日は振り回されるようなわけのわからない感覚だし体は痙攣するし……困った。
しかも死にそうに疲れる。
それとも、これは愛がないから大変なんだろうか。
愛し合って神に誓った夫婦なら、大変じゃない?
いや、おかしい、それだったらお父様の愛人だった母さんも大変だったはずだ。
そんな感じじゃなかった……
「……こんなにも可愛いものなんだな」
何が……?
「マリーアネット」
エドアールがわたしを呼んで、どうにか薄目を開けた。
手足を投げ出して身動きもできないわたしを、薄く微笑むエドアールが見下ろしている。
また足を掴まれて、ぎょっとした。
まだ舐める気なのか。
「エ、エドアール! もう……」
「駄目だ、僕も君を堪能したい」
さっきのは堪能していなかったのか。
じゃあ、違うこと?
そう思っていたら、足の間に硬いものがあてがわれた。
それでわかった。
昨日、ものすごく痛かったあれだ。
でもきっと指じゃなくて、こっちが本番だ。
「力を抜いて……マリーアネット、今まで力が抜けていたのに」
「だ、だって……また、痛いんでしょう?」
「痛くない」
うそ。
昨日すごく痛かったじゃない。
「君は閨事をちゃんと教えられてないんだな。痛いのは最初だけのはずだ」
「そうなの?」
「そうだ。それに今日はたくさん濡らして、慣らしたから、そういう意味でも楽なはずだ」
たくさん濡らした……だから、舐めていたのね。
それは衝撃的な話だった。
死にそうな痛みを緩和するために、死にそうなことをするのか。
愛の営みって、なんて大変なの……
「そう、そうだ、力を抜いていろ」
「え」
そんな愕然としている間に、エドアールはぐっとのしかかってきた。
「え……あ!」
ずちゅ、と濡れた音がして、エドアールがわたしの中に押し入ってきた。
「う……!」
「痛いか?」
「痛く、ない、けど」
苦しい。
お腹の中から圧迫されている。
「おおきい……」
「そう、か?」
わたしの上にのしかかるエドアールも、少し苦しそうだ。
昨日はもっと苦しそうだったから、エドアールも昨日よりはマシみたいだ。
「多分、そんなに大きくはない、と思うが」
「うそ」
大きくないのか、これで。
「個人差があって、他の者のをまじまじ見たのは子どもの時だが。その記憶の限りでは、おそらく僕のは、普通、くらいだ」
「ふつう」
更に衝撃的な話だった。
世の女性たちは、皆、これに耐えている。
……やっぱり、愛し合って神に誓った夫婦と、そうじゃない場合で違うのではないだろうか……
「エドアール……」
「なんだ」
聞かなくては、と思った。
「あの、わたしたちは神に許されていないから……こういうことが大変なの?」
「……どういう意味だ?」
「その、神の前で誓って結ばれた夫婦なら、痛かったりとか死にそうになったりとかしないのかと思って」
「…………」
エドアールはわたしにのしかかって、上から覆い被さるようにしばらく見て、それからがくりと力尽きたようにわたしを潰した。
「エ、エドアール?」
「君は、ぼんやりしているとは思っていたが……バシュレー子爵は、君をどれだけ箱入りに育てたんだ」
「あの……お父様も、わたしのことをぼんやりしていると言ってたわ……」
「そうか……天然か。君は今まで困ったことはなかったのか」
「……たまに……」
どうやら見当違いのことを言ったらしいということはわかった。
「……ええと……違うのね。神に誓った夫婦なら、楽にできるってわけじゃないのね」
「違うな。それだったら、浮気する男も女もいなくなる。だが現実は違うだろう」
「そう言えば、そうだわ」
じゃあ、やっぱり皆、耐えているのか。
そう訊ねると。
「慣れだ」
「慣れ」
「とりあえず、この話は今はここまでだ。続けていると、今日も萎えて最後までできなくなりそうだ。二日続けてだと、さすがに爺に本気で不能を疑われるかもしれない」
もう黙って、とキスされた。
さっきまでエドアールが舐めていたと思うと、ちょっと抵抗があったけれど、すぐよくわからなくなった。
口づけは何度も触れるだけではなく、舐めたり軽く噛んだりして、敏感なところにそうされていた時のような、わけのわからない感じがこみ上げてきたから……
「力を、抜いているんだ。まだ君の中は狭いから」
「せまいの……?」
「そうだ。慣れれば、苦しくなくなる。昨日は本当に君の純潔を奪っただけだったから、痛いだけのものだと思っているだろう?」
顔を寄せて囁くエドアールに、頷いた。
「慣れるまでは、力を抜いて……」
そう言いながら、エドアールは動き始めた。
「あ」
中が擦れて、変な感じがする。
「君の体は敏感だと思うから、慣れればきっと気持ちよくなる」
エドアールがわたしの中を擦りあげ、奥を突く。
だんだんと、その速度が上がっていく。
「あ、や……あ…っ」
「そうだ、今は、力を抜いて、感じて」
「あ…っ!」
だんだんと速くなって。
「あ、あ――…!」
わたしは、またわけがわからなくなった……
舐められて、指を入れられて……足の間を、ぐちゃぐちゃにされた。
愛の営みがこんなに大変なものだったなんて。
最初は指を入れられた時、少し苦しかった。
でも緩くなっていったのか、滑りやすくなったのか、だんだんわけのわからない感覚に変わっていった。
昨日はただ痛いだけだったけど、今日は振り回されるようなわけのわからない感覚だし体は痙攣するし……困った。
しかも死にそうに疲れる。
それとも、これは愛がないから大変なんだろうか。
愛し合って神に誓った夫婦なら、大変じゃない?
いや、おかしい、それだったらお父様の愛人だった母さんも大変だったはずだ。
そんな感じじゃなかった……
「……こんなにも可愛いものなんだな」
何が……?
「マリーアネット」
エドアールがわたしを呼んで、どうにか薄目を開けた。
手足を投げ出して身動きもできないわたしを、薄く微笑むエドアールが見下ろしている。
また足を掴まれて、ぎょっとした。
まだ舐める気なのか。
「エ、エドアール! もう……」
「駄目だ、僕も君を堪能したい」
さっきのは堪能していなかったのか。
じゃあ、違うこと?
そう思っていたら、足の間に硬いものがあてがわれた。
それでわかった。
昨日、ものすごく痛かったあれだ。
でもきっと指じゃなくて、こっちが本番だ。
「力を抜いて……マリーアネット、今まで力が抜けていたのに」
「だ、だって……また、痛いんでしょう?」
「痛くない」
うそ。
昨日すごく痛かったじゃない。
「君は閨事をちゃんと教えられてないんだな。痛いのは最初だけのはずだ」
「そうなの?」
「そうだ。それに今日はたくさん濡らして、慣らしたから、そういう意味でも楽なはずだ」
たくさん濡らした……だから、舐めていたのね。
それは衝撃的な話だった。
死にそうな痛みを緩和するために、死にそうなことをするのか。
愛の営みって、なんて大変なの……
「そう、そうだ、力を抜いていろ」
「え」
そんな愕然としている間に、エドアールはぐっとのしかかってきた。
「え……あ!」
ずちゅ、と濡れた音がして、エドアールがわたしの中に押し入ってきた。
「う……!」
「痛いか?」
「痛く、ない、けど」
苦しい。
お腹の中から圧迫されている。
「おおきい……」
「そう、か?」
わたしの上にのしかかるエドアールも、少し苦しそうだ。
昨日はもっと苦しそうだったから、エドアールも昨日よりはマシみたいだ。
「多分、そんなに大きくはない、と思うが」
「うそ」
大きくないのか、これで。
「個人差があって、他の者のをまじまじ見たのは子どもの時だが。その記憶の限りでは、おそらく僕のは、普通、くらいだ」
「ふつう」
更に衝撃的な話だった。
世の女性たちは、皆、これに耐えている。
……やっぱり、愛し合って神に誓った夫婦と、そうじゃない場合で違うのではないだろうか……
「エドアール……」
「なんだ」
聞かなくては、と思った。
「あの、わたしたちは神に許されていないから……こういうことが大変なの?」
「……どういう意味だ?」
「その、神の前で誓って結ばれた夫婦なら、痛かったりとか死にそうになったりとかしないのかと思って」
「…………」
エドアールはわたしにのしかかって、上から覆い被さるようにしばらく見て、それからがくりと力尽きたようにわたしを潰した。
「エ、エドアール?」
「君は、ぼんやりしているとは思っていたが……バシュレー子爵は、君をどれだけ箱入りに育てたんだ」
「あの……お父様も、わたしのことをぼんやりしていると言ってたわ……」
「そうか……天然か。君は今まで困ったことはなかったのか」
「……たまに……」
どうやら見当違いのことを言ったらしいということはわかった。
「……ええと……違うのね。神に誓った夫婦なら、楽にできるってわけじゃないのね」
「違うな。それだったら、浮気する男も女もいなくなる。だが現実は違うだろう」
「そう言えば、そうだわ」
じゃあ、やっぱり皆、耐えているのか。
そう訊ねると。
「慣れだ」
「慣れ」
「とりあえず、この話は今はここまでだ。続けていると、今日も萎えて最後までできなくなりそうだ。二日続けてだと、さすがに爺に本気で不能を疑われるかもしれない」
もう黙って、とキスされた。
さっきまでエドアールが舐めていたと思うと、ちょっと抵抗があったけれど、すぐよくわからなくなった。
口づけは何度も触れるだけではなく、舐めたり軽く噛んだりして、敏感なところにそうされていた時のような、わけのわからない感じがこみ上げてきたから……
「力を、抜いているんだ。まだ君の中は狭いから」
「せまいの……?」
「そうだ。慣れれば、苦しくなくなる。昨日は本当に君の純潔を奪っただけだったから、痛いだけのものだと思っているだろう?」
顔を寄せて囁くエドアールに、頷いた。
「慣れるまでは、力を抜いて……」
そう言いながら、エドアールは動き始めた。
「あ」
中が擦れて、変な感じがする。
「君の体は敏感だと思うから、慣れればきっと気持ちよくなる」
エドアールがわたしの中を擦りあげ、奥を突く。
だんだんと、その速度が上がっていく。
「あ、や……あ…っ」
「そうだ、今は、力を抜いて、感じて」
「あ…っ!」
だんだんと速くなって。
「あ、あ――…!」
わたしは、またわけがわからなくなった……
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