14 / 15
第三章 本音編
11夜目 これはこれでちょっと気持ち良かったから、なんてことは絶対言えない
しおりを挟む
ぐったりした身体を抱いて、絹糸のような髪を梳いた。
連夜、性交を続けるうちに、だんだんと反応が鈍くなってきたような気がする。
「おい、起きているのか? もう一度いいか」
「ま、待て……さすがにもう無理……」
「昨晩もそう言って、途中で寝落ちただろう。おれは一晩我慢したんだぞ」
ユインの声も、聞こえているやらいないやら。
だるそうに片目を開いたアグラヴィスは、手を伸ばしてユインの肩に触れた。
「あの……いや、もう俺が悪かったから。頼むからちょっと聞いてくれ」
「どうした」
息も絶え絶えに語りかけてくる様に、さすがに手が止まる。
まだこれから更に虐め苛もうと思っていたのだが、いつにないか弱さでユインにしがみついてくる。
愛らしいので、もうしばらく見ていたい気持ちになった。
「あのな、俺がお前をここに呼んでいるのは、実はこういうことをするためではないのだ」
「なに? それはどういうことだ」
「こうやって日を重ねるほどに物を考える力が失われていくので、もう諦めて率直に言うぞ? お前、帝国に婚約者がいるだろう」
「そりゃあ、いるが」
ユインにとっては、とっくの昔に諦めた話だ。
美しい娘だった。こうも長い間自分が戻らなければ、他にいい相手を見つけているだろう。
そう答えようとした言葉が、喉元で止まった。
「その娘、実は俺の妹だ」
「……はあ?」
頭痛を堪えるようなひどい渋面で、アグラヴィスは目を閉じる。
「じゃじゃ馬でな、俺の決めた相手が許せんと、魔王領を勝手に出て行った。戦場で見かけたお前が気に入ったらしく、魅了に昏迷と様々な精神魔術と手練手管を使って、帝国貴族の娘のふりをしてお前と婚約を結んだのだ」
「……なんだ、それは」
ぐったりした身体を抱いて、絹糸のような髪を梳いた。
連夜、性交を続けるうちに、だんだんと反応が鈍くなってきたような気がする。
「もう喋る元気もないから、遺言だと思って最後まで聞け。そんな妹ゆえに、兄の俺としては非常に心配していたところに、その相手であるお前がのこのこ捕虜になっていやがるのだ。そりゃあ、多少無茶な理由をつけても自室に呼び出すというものだろう」
「や、それにしたってもう少しマシな理由があるだろ」
「まあ、そこはあれだ……その……いや、もう喋る元気もないから、遺言だと思って最後まで聞け。とにかく、お前を呼んで状況を少しでも探ろうとしたら、これだ。こんなはずじゃなかったんだ、俺は」
「いや、それにしたってもう少し早くその話を……待て、遺言とはどういう意味だ。死ぬな」
「無理。もう無理。お前、どれだけ絶倫なんだ……毎夜毎夜、夜を明かして抱き潰されるとか……さすがにそろそろ俺だって死ぬに決まって、い……る……」
「おい!?」
小さくなっていく声に、慌てて身体を揺さぶる。
が、ユインの手の中の魔王は、既にすーすーと小さな寝息を立てていた。
そう言えば、これの寝顔を見るのは初めてかもしれない、とユインはふと思い至った。
ここのところ、朝までひたすらその身体を貪り続け、そのまま部屋を辞していたものだから。
そう言えば、個室待遇になってからは特に、ユインは昼間に睡眠を取っていたのだが……さて、政務をこなしていた魔王はどうしていたのだろう。
腰の疼きはおさまりそうになかったが、さすがにひどい想像に至って、ユインは大人しく魔王を寝かせておくことにした。
連夜、性交を続けるうちに、だんだんと反応が鈍くなってきたような気がする。
「おい、起きているのか? もう一度いいか」
「ま、待て……さすがにもう無理……」
「昨晩もそう言って、途中で寝落ちただろう。おれは一晩我慢したんだぞ」
ユインの声も、聞こえているやらいないやら。
だるそうに片目を開いたアグラヴィスは、手を伸ばしてユインの肩に触れた。
「あの……いや、もう俺が悪かったから。頼むからちょっと聞いてくれ」
「どうした」
息も絶え絶えに語りかけてくる様に、さすがに手が止まる。
まだこれから更に虐め苛もうと思っていたのだが、いつにないか弱さでユインにしがみついてくる。
愛らしいので、もうしばらく見ていたい気持ちになった。
「あのな、俺がお前をここに呼んでいるのは、実はこういうことをするためではないのだ」
「なに? それはどういうことだ」
「こうやって日を重ねるほどに物を考える力が失われていくので、もう諦めて率直に言うぞ? お前、帝国に婚約者がいるだろう」
「そりゃあ、いるが」
ユインにとっては、とっくの昔に諦めた話だ。
美しい娘だった。こうも長い間自分が戻らなければ、他にいい相手を見つけているだろう。
そう答えようとした言葉が、喉元で止まった。
「その娘、実は俺の妹だ」
「……はあ?」
頭痛を堪えるようなひどい渋面で、アグラヴィスは目を閉じる。
「じゃじゃ馬でな、俺の決めた相手が許せんと、魔王領を勝手に出て行った。戦場で見かけたお前が気に入ったらしく、魅了に昏迷と様々な精神魔術と手練手管を使って、帝国貴族の娘のふりをしてお前と婚約を結んだのだ」
「……なんだ、それは」
ぐったりした身体を抱いて、絹糸のような髪を梳いた。
連夜、性交を続けるうちに、だんだんと反応が鈍くなってきたような気がする。
「もう喋る元気もないから、遺言だと思って最後まで聞け。そんな妹ゆえに、兄の俺としては非常に心配していたところに、その相手であるお前がのこのこ捕虜になっていやがるのだ。そりゃあ、多少無茶な理由をつけても自室に呼び出すというものだろう」
「や、それにしたってもう少しマシな理由があるだろ」
「まあ、そこはあれだ……その……いや、もう喋る元気もないから、遺言だと思って最後まで聞け。とにかく、お前を呼んで状況を少しでも探ろうとしたら、これだ。こんなはずじゃなかったんだ、俺は」
「いや、それにしたってもう少し早くその話を……待て、遺言とはどういう意味だ。死ぬな」
「無理。もう無理。お前、どれだけ絶倫なんだ……毎夜毎夜、夜を明かして抱き潰されるとか……さすがにそろそろ俺だって死ぬに決まって、い……る……」
「おい!?」
小さくなっていく声に、慌てて身体を揺さぶる。
が、ユインの手の中の魔王は、既にすーすーと小さな寝息を立てていた。
そう言えば、これの寝顔を見るのは初めてかもしれない、とユインはふと思い至った。
ここのところ、朝までひたすらその身体を貪り続け、そのまま部屋を辞していたものだから。
そう言えば、個室待遇になってからは特に、ユインは昼間に睡眠を取っていたのだが……さて、政務をこなしていた魔王はどうしていたのだろう。
腰の疼きはおさまりそうになかったが、さすがにひどい想像に至って、ユインは大人しく魔王を寝かせておくことにした。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
【完結】聖アベニール学園
野咲
BL
[注意!]エロばっかしです。イマラチオ、陵辱、拘束、スパンキング、射精禁止、鞭打ちなど。設定もエグいので、ダメな人は開かないでください。また、これがエロに特化した創作であり、現実ではあり得ないことが理解できない人は読まないでください。
学校の寄付金集めのために偉いさんの夜のお相手をさせられる特殊奨学生のお話。
旦那様、お仕置き、監禁
夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。
まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。
色々な話あり、一話完結ぽく見てください
18禁です、18歳より下はみないでね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる