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普通の転生では無いようです
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いつも通りの通学路で、全ては始まった。
俺の名前は氷雨響平(ひさめきょうへい)。普通の高校に通い、普通の成績をとり、特に目立つわけでもない。普遍的な男子高校生をイメージしてもらえばいいと思う。そして、今後ろから忍び寄ってくるやつは、気配と足音からして…
「へぶっ!?」
やつが最も俺に近づいたタイミングで裏拳を飛ばす。そして、ふりかえるといたのは俺の友達、槙野だ。
「おう、おはよう槙野」
「おう、じゃねーよ!?なに朝から1発くらわせてくれちゃってんの、しかもこっちも見ないでいきなり殴るとか、人違いだったらどうすんのさ!」
「1度会ったことのある人の気配なんか間違えるわけないだろ。」
「お前の普通は異常なの!武芸一家に生まれたからとはいえ、身体能力がおかしいんだよ。」
「あー、もううるさいなぁ。」
ギャーギャーわめく槙野を置いて、俺は歩き始めた。付き合ってられない。バス停に向かい、いつものバスを探す。…見当たらない。アイツに時間はとられたけど、バスを乗り過ごすほどじゃないはずなのに。まあ、その内来るだろ。と、
「逃げろ!!!」
考えたのと、その声がしたのがほぼ同時。10人以上の人が、こっちに向かって逃げてきた。
「バスが燃えてる!早く逃げないと爆発に巻き込まれるぞ!」
その叫び声をきいたとき、俺の体はもうバスに向かって走り始めていた。
「響平!!!」
後ろからのあいつの声も聞かずに、バスに向かって走る。多分、あのバスには人が残ってる。だってまだ、あの中から人の気配がする。しかも、俺のよく知ってる気配。でも、思い出せない。だけど、わかってるのはあの中にまだ、俺の知り合いが残っているということだ。なら、助けに行かないと。
燃え盛るバスの中に飛び込む。乗客が1人。出口まで誘導するけど、おかしい。今の人じゃない。まだ、バスには気配があるのに、見当たらない。もう一度探すと、そこに見えたのは衝撃的な光景だった。
「杏優(あゆ)…?」
そこに倒れていたのは、別れてから連絡がつかなくなっていた、俺の元カノ、立川杏優だった。
呆然と立ち尽くす俺が最期にきいたのは、バスの爆発音だった。
「氷雨響平、起きなさい。」
気づくと、俺はなにもない白い空間にいた。
「ここは…?」
「単刀直入にいいます。あなたは死にました。」
「はぁ…」
俺は特段驚きもしなかった。あの爆発に巻き込まれたんだ。死なない方がおかしい。
「その件についてなのですが、申し訳ない、こちらの不手際だったのです。本来なら、あなたは90歳以上まで生きられるはずでした。しかし、運命の書を書き換えた不届き者のせいで、バス事故が起きてしまった。」
俺はその話を、どこか現実味を帯びないこととしてきいていた。急に運命がどうとかいわれても、正直ピンと来ない。
「よってあなたは、異世界に転生してもらい、残りの人生を過ごしてもらいます。もちろん、勇者として。」
話が一気に飛躍した気がするが、気のせいだろうか。 ともかく俺は、勇者になるらしい。
「あなたには、多くの能力を授けます。それは、単純なステータスだけで、最初からその世界のトップに君臨できるような力を。そして、同じような力を持った仲間を。」
「ありがとうございます。」
なぜ、こんなことになったかは分からないが、とにかく力を貰えるのはありがたい。
「ステータスは、あなたの本来の力に追加されます。ご武運をいのっています。」
「え、ちょっまっ」
神だと思われるその人は、俺にほとんど大事な説明をせず俺を異世界へ送り出した…
俺の名前は氷雨響平(ひさめきょうへい)。普通の高校に通い、普通の成績をとり、特に目立つわけでもない。普遍的な男子高校生をイメージしてもらえばいいと思う。そして、今後ろから忍び寄ってくるやつは、気配と足音からして…
「へぶっ!?」
やつが最も俺に近づいたタイミングで裏拳を飛ばす。そして、ふりかえるといたのは俺の友達、槙野だ。
「おう、おはよう槙野」
「おう、じゃねーよ!?なに朝から1発くらわせてくれちゃってんの、しかもこっちも見ないでいきなり殴るとか、人違いだったらどうすんのさ!」
「1度会ったことのある人の気配なんか間違えるわけないだろ。」
「お前の普通は異常なの!武芸一家に生まれたからとはいえ、身体能力がおかしいんだよ。」
「あー、もううるさいなぁ。」
ギャーギャーわめく槙野を置いて、俺は歩き始めた。付き合ってられない。バス停に向かい、いつものバスを探す。…見当たらない。アイツに時間はとられたけど、バスを乗り過ごすほどじゃないはずなのに。まあ、その内来るだろ。と、
「逃げろ!!!」
考えたのと、その声がしたのがほぼ同時。10人以上の人が、こっちに向かって逃げてきた。
「バスが燃えてる!早く逃げないと爆発に巻き込まれるぞ!」
その叫び声をきいたとき、俺の体はもうバスに向かって走り始めていた。
「響平!!!」
後ろからのあいつの声も聞かずに、バスに向かって走る。多分、あのバスには人が残ってる。だってまだ、あの中から人の気配がする。しかも、俺のよく知ってる気配。でも、思い出せない。だけど、わかってるのはあの中にまだ、俺の知り合いが残っているということだ。なら、助けに行かないと。
燃え盛るバスの中に飛び込む。乗客が1人。出口まで誘導するけど、おかしい。今の人じゃない。まだ、バスには気配があるのに、見当たらない。もう一度探すと、そこに見えたのは衝撃的な光景だった。
「杏優(あゆ)…?」
そこに倒れていたのは、別れてから連絡がつかなくなっていた、俺の元カノ、立川杏優だった。
呆然と立ち尽くす俺が最期にきいたのは、バスの爆発音だった。
「氷雨響平、起きなさい。」
気づくと、俺はなにもない白い空間にいた。
「ここは…?」
「単刀直入にいいます。あなたは死にました。」
「はぁ…」
俺は特段驚きもしなかった。あの爆発に巻き込まれたんだ。死なない方がおかしい。
「その件についてなのですが、申し訳ない、こちらの不手際だったのです。本来なら、あなたは90歳以上まで生きられるはずでした。しかし、運命の書を書き換えた不届き者のせいで、バス事故が起きてしまった。」
俺はその話を、どこか現実味を帯びないこととしてきいていた。急に運命がどうとかいわれても、正直ピンと来ない。
「よってあなたは、異世界に転生してもらい、残りの人生を過ごしてもらいます。もちろん、勇者として。」
話が一気に飛躍した気がするが、気のせいだろうか。 ともかく俺は、勇者になるらしい。
「あなたには、多くの能力を授けます。それは、単純なステータスだけで、最初からその世界のトップに君臨できるような力を。そして、同じような力を持った仲間を。」
「ありがとうございます。」
なぜ、こんなことになったかは分からないが、とにかく力を貰えるのはありがたい。
「ステータスは、あなたの本来の力に追加されます。ご武運をいのっています。」
「え、ちょっまっ」
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