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第4章 夢の実現へ
誕生日のサプライズ③
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【SIDE ミカエル】
「うわぁ~、可愛い、風船がいっぱいある~」
この女、風船を並べたくらいで喜ぶなんて、ちょろいな。
馬鹿みたいに走り回って、軽い女だ。
警戒せずに僕を部屋に入れるような、この女1人なら、こんなもんだろう。
ワーグナーの娘。
兄が自分で開催した妃試験で不正を働いた、あの不細工。
それを抱く羽目になる兄が滑稽だから、どうでもいいと気にしていなかった。だけど、まさかこんなに美人とは。
「アリーチェ妃、隣に寝室があるから行くよ」
「何を言ってるの? 行くわけないでしょう」
僕から逃げるなんて、煩わしい。
「プレゼントは、貴女の中に直接入れてあげる。美人だし楽しめそうだ。兄とは毎日してるんでしょう。それなら貴女が孕んでも、誰の子か分からなくなるだろう」
僕が、兄に妃を譲るように頼むまで、兄はこの女に興味も無かったくせに。
それなのに、それを言った途端、僕に見せつけるように、この女を重宝してる。
兄は、どれだけ、僕を馬鹿にしてるんだ。
ば~か。そっちに逃げたら、もう部屋の角だ、お前の逃げ場はない。
「いっ痛い、離して。そんなの駄目」
「大丈夫、アリーチェ妃が何も言わなければ兄にはバレない。言えば、あの潔癖の兄なら、妃を城から追放するだろうし」
「どうして、こんな事するの。フレデリック様は、ミカエル殿下の為に色々されてきてるでしょう。事務官だって」
「煩い! そんなの知るか! 兄は努力もせずに優秀で、当たり前に国王だ。僕が嘲笑われていることも知らずにな。そんな兄から王位を奪っても、また笑われるのは僕だ。でも、授かりものにまで、流石に干渉できないからな。妃が僕と何をしてるか知らない兄は、自分の子だと信じて、僕の子かもしれない人間に、王位を譲ればいいのさ」
「絶対に嫌!」
「初めは、そう言ってた妃試験の令嬢達も、皆、結局よがってた。アリーチェ妃もそうなるって」
「――! あら、随分と興味深いわね。もしかして、あの場にいた令嬢達とは、そう言う関係だったの? 殿下は、凄く興奮させてくれそうなのに、わたしの事は興味が無かったなんて、酷いわね」
「兄の妃候補は全員、僕の手に堕ちた。兄が、どの女を王室へ迎えても、妃試験中に僕との関係を持ったことを脅して、僕の子種も与え続けてやるつもりだったからな。アリーチェ妃は美人だし、これから何度でも僕のを与えてあげるよ」
いつも偉そうなあの兄が、自分の子だと思い込んで他の子を育てる、どっかの阿保な鳥みたいだ。
この女、近くで見ると、ヤバい。
今まで抱いてきた女は比べ物にならないな。
この女、僕の申し込みは断って、結局、兄の元に行ったのも腹立たしい。
「駄目よ、手を掴んでキスなんて。腕を回せないでしょう。これじゃあ、少しも感じないからベッドの上でしましょう。ねぇ、わたしもフレデリック様に思う所があるの。ミカエル殿下と一緒だわ。教えて、これまで何をしてきたの。ちなみに、わたしは手作りのお菓子に仕込みをしたの。でも、あの人警戒心が強いから、どんなに持って行っても、最後まで食べてくれなかった」
「あの兄らしいな。僕は、探してた偽物の女の話を流した。そうしたら兄の奴、遠くまで追いかけてた。あの時は、腹を抱えて笑った」
兄が、妃に騙されていれば世話が無い。この状況の方が、最高に面白い。
「ふふっ、何それ、意外とお馬鹿なのね、面白いわ。ねぇ、あの人の部屋の引き出しって、夜は鍵がかかってるでしょう、どうすればいいか分かる? 王太子の印章を使いたいんだけど、出せなくて困ってるの」
「僕は鍵の番号を知ってるから教えてあげる。それでファウラーの引き出しに毒を入れたから」
「なるほど。じゃあ、番号はベッドの上で聞くわ」
アリーチェ妃が、僕の手を引いてベッドに向かったと知れば、兄は悔しがるだろうな、くくっ。
ちっ、油断した。
――僕の手を払って、女が走り出したか。
っっ――この女、僕を油断させるつもりだったのか、許せない。
走って追いかけようとしたら、そんな必要も無かった。
バタンっ――。と音を立てて、床で勝手に転がってる。
逃げようとしてるくせに、何もない所で転ぶなんて残念な女だ。
僕は、歩いて近づき、こいつを仰向けにして組み敷いた。
「ハハハッ、馬鹿だな」
この女は顔が見えた方がいい。怯える顔がたまらない。
兄が可愛がってるこいつが嫌がれば嫌がるほど、俺が満足すると分かってない。
「ベッドの上で抱こうと思ったけど、僕を馬鹿にしたから、あんたは床で十分だ。僕の子が出来るように、なるべくあんたの奥に流してやるよ。僕を騙して、どうするつもりか知らないけど、何か喋れば同意の元だって兄へ伝える。間違いなく、あんたの口からベッドへ行くと言ったからな。母が仕掛けた軽い脅しの毒を、いちいち騒ぐ兄が、妃の不貞をどうやって喚くのか見ものだな」
「あの毒は、冗談や遊びで使っていいものじゃ無いって、分からないの? そんな危ない人が、フレデリック様の近くにいる位なら、わたしなんてどうなってもいいから、全部喋るに決まってるでしょう!」
今頃、涙目になっても遅い。
見た目は上物だし、楽しめそうだ。
「うわぁ~、可愛い、風船がいっぱいある~」
この女、風船を並べたくらいで喜ぶなんて、ちょろいな。
馬鹿みたいに走り回って、軽い女だ。
警戒せずに僕を部屋に入れるような、この女1人なら、こんなもんだろう。
ワーグナーの娘。
兄が自分で開催した妃試験で不正を働いた、あの不細工。
それを抱く羽目になる兄が滑稽だから、どうでもいいと気にしていなかった。だけど、まさかこんなに美人とは。
「アリーチェ妃、隣に寝室があるから行くよ」
「何を言ってるの? 行くわけないでしょう」
僕から逃げるなんて、煩わしい。
「プレゼントは、貴女の中に直接入れてあげる。美人だし楽しめそうだ。兄とは毎日してるんでしょう。それなら貴女が孕んでも、誰の子か分からなくなるだろう」
僕が、兄に妃を譲るように頼むまで、兄はこの女に興味も無かったくせに。
それなのに、それを言った途端、僕に見せつけるように、この女を重宝してる。
兄は、どれだけ、僕を馬鹿にしてるんだ。
ば~か。そっちに逃げたら、もう部屋の角だ、お前の逃げ場はない。
「いっ痛い、離して。そんなの駄目」
「大丈夫、アリーチェ妃が何も言わなければ兄にはバレない。言えば、あの潔癖の兄なら、妃を城から追放するだろうし」
「どうして、こんな事するの。フレデリック様は、ミカエル殿下の為に色々されてきてるでしょう。事務官だって」
「煩い! そんなの知るか! 兄は努力もせずに優秀で、当たり前に国王だ。僕が嘲笑われていることも知らずにな。そんな兄から王位を奪っても、また笑われるのは僕だ。でも、授かりものにまで、流石に干渉できないからな。妃が僕と何をしてるか知らない兄は、自分の子だと信じて、僕の子かもしれない人間に、王位を譲ればいいのさ」
「絶対に嫌!」
「初めは、そう言ってた妃試験の令嬢達も、皆、結局よがってた。アリーチェ妃もそうなるって」
「――! あら、随分と興味深いわね。もしかして、あの場にいた令嬢達とは、そう言う関係だったの? 殿下は、凄く興奮させてくれそうなのに、わたしの事は興味が無かったなんて、酷いわね」
「兄の妃候補は全員、僕の手に堕ちた。兄が、どの女を王室へ迎えても、妃試験中に僕との関係を持ったことを脅して、僕の子種も与え続けてやるつもりだったからな。アリーチェ妃は美人だし、これから何度でも僕のを与えてあげるよ」
いつも偉そうなあの兄が、自分の子だと思い込んで他の子を育てる、どっかの阿保な鳥みたいだ。
この女、近くで見ると、ヤバい。
今まで抱いてきた女は比べ物にならないな。
この女、僕の申し込みは断って、結局、兄の元に行ったのも腹立たしい。
「駄目よ、手を掴んでキスなんて。腕を回せないでしょう。これじゃあ、少しも感じないからベッドの上でしましょう。ねぇ、わたしもフレデリック様に思う所があるの。ミカエル殿下と一緒だわ。教えて、これまで何をしてきたの。ちなみに、わたしは手作りのお菓子に仕込みをしたの。でも、あの人警戒心が強いから、どんなに持って行っても、最後まで食べてくれなかった」
「あの兄らしいな。僕は、探してた偽物の女の話を流した。そうしたら兄の奴、遠くまで追いかけてた。あの時は、腹を抱えて笑った」
兄が、妃に騙されていれば世話が無い。この状況の方が、最高に面白い。
「ふふっ、何それ、意外とお馬鹿なのね、面白いわ。ねぇ、あの人の部屋の引き出しって、夜は鍵がかかってるでしょう、どうすればいいか分かる? 王太子の印章を使いたいんだけど、出せなくて困ってるの」
「僕は鍵の番号を知ってるから教えてあげる。それでファウラーの引き出しに毒を入れたから」
「なるほど。じゃあ、番号はベッドの上で聞くわ」
アリーチェ妃が、僕の手を引いてベッドに向かったと知れば、兄は悔しがるだろうな、くくっ。
ちっ、油断した。
――僕の手を払って、女が走り出したか。
っっ――この女、僕を油断させるつもりだったのか、許せない。
走って追いかけようとしたら、そんな必要も無かった。
バタンっ――。と音を立てて、床で勝手に転がってる。
逃げようとしてるくせに、何もない所で転ぶなんて残念な女だ。
僕は、歩いて近づき、こいつを仰向けにして組み敷いた。
「ハハハッ、馬鹿だな」
この女は顔が見えた方がいい。怯える顔がたまらない。
兄が可愛がってるこいつが嫌がれば嫌がるほど、俺が満足すると分かってない。
「ベッドの上で抱こうと思ったけど、僕を馬鹿にしたから、あんたは床で十分だ。僕の子が出来るように、なるべくあんたの奥に流してやるよ。僕を騙して、どうするつもりか知らないけど、何か喋れば同意の元だって兄へ伝える。間違いなく、あんたの口からベッドへ行くと言ったからな。母が仕掛けた軽い脅しの毒を、いちいち騒ぐ兄が、妃の不貞をどうやって喚くのか見ものだな」
「あの毒は、冗談や遊びで使っていいものじゃ無いって、分からないの? そんな危ない人が、フレデリック様の近くにいる位なら、わたしなんてどうなってもいいから、全部喋るに決まってるでしょう!」
今頃、涙目になっても遅い。
見た目は上物だし、楽しめそうだ。
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