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第4章 夢の実現へ
掌の中③
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【SIDE マックス】
初めて姉と体を繋げるのが、姉が、冷たくて嫌だと言った石畳の上。
まあ、僕たちの関係にはちょうどいい気がして、姉を押し倒そうと、姉の両手を掴んだ。
「寧ろ、マックスが居てくれると安心する。マックスはわたしの嫌がる事はしないって、知ってるもの」
僕に手を握られてもまだ、絵空事のような綺麗ごとを言う姉に腹が立った。
「僕だって、男ですよ」
「そうだった、ファウラーから教えて貰ったんだわ。男の人は、誰でもいいから女性と淫らな事をしたくなる衝動があるんだった」
ファウラーから、何を適当な事を習ってるんだ。
「それなのにマックスは、ずっと、わたしを大切にしてくれたもの。……わたしが、困ってるマックスを傷つける事は出来ない。もしマックスが、そうしたいなら、すればいいし、そんな事で可愛い弟の事を嫌いにならないから、大丈夫よ。――それに、フレデリック様のような幸せな気持ちには、ならないって分かるから、躊躇わずにフレデリック様に誤れる」
どうして………、どこまで馬鹿なんだ、姉は………。
こんな姉にしたのは、僕のせいか――。
「もう、本当に……姉上は馬鹿ですね。僕が、姉上にそんな事をしたら、あの王太子に殺されるから、しませんよ。いいですか姉上、僕の為でも、王太子の為でも、そんな事を夫以外としては絶対にだめですよ、絶対ですよ」
「ちゃんと分かってるわよ。でも、わたしね、マックスの事は大好きよ。この屋敷の中しか知らなかったのに、貴方が居たから楽しかったし、寂しくなかった。優しいマックスに感謝してるわ。ありがとう」
優しいのは、人の事ばかり心配している、姉だろう。
もう、この人は……、いつまで経っても僕の心を離してくれない。
「キスしてもいいですか?」
弟を想って言ってくれた、好きと言う言葉に、「僕も好き」とは、言えずに誤魔化した。
「駄目よ、だって、キスは大好きな王子様とって、決まってるから」
よし! 今なら大丈夫だ。
横を向いて赤くなってる姉の気持ちは、知ってるから。
「ククッ、何を真に受けてるんですか? いいって言われたら、僕の方が困ってました」
「もう、人を揶揄って遊ぶなんてっ!」
「姉上が、呑気なこと言ってるからですよ。ほら、次へ向かいますよ」
掴んでいた手を、握り直して、僕は姉の手をひいた。
いつまでも、姉は姉のままで変わらない。
どこかで、姉を吹っ切りたかった。でなければ、僕が姉の代わりに妻を迎え入れる自信が無いから。
だけど、僕がこのまま、姉を愛していても、きっと僕なら大丈夫だろう。
いや、やっぱり駄目かもしれない。隣で頬を膨らませて、怒ったフリをしている、無邪気な顔は、……可愛い。
ミカエル殿下は間違いなく、この能天気な姉を狙っている。姉に、ミカエル殿下の事を言うべきか……。いや、姉に言ったところで、「しっかりしてるから大丈夫」だと、どうせ聞く訳もなく、危険な事に首を突っ込むのが、この痛い性格の姉だ。
ミカエル殿下は、あれでいて以外に頭がキレるから、決定的な悪事をしていない。公金の横領でもしてくれたら話は早いが、あの目を光らせている兄がいて、する訳が無い。
まあ、妃になれると期待して、泣きを見た令嬢は山と言るが、そこはただの痴情の縺れってやつだ。どうすれば……。
まさか、あの王太子に僕が完全に利用されるなんてな。
王太子が僕に直接、頼んでこないのは癪だが、あちらからの誘いに乗ってやるか。王太子は、あの手この手で面倒を見ていた弟を、見限る覚悟をしたんだろう
あ~あ、僕の予定が狂って、時間が余ったか……。このままでは、王太子が帰って来るまで時間が持たないな。
「マックス、どうかした? 何か悩んでるの?」
「寝起きの悪い姉上の事だから、王子様にキスをされても、目が覚めないだろうな、と思って」
「失礼ね、ちゃんと目が覚めるわよ!」
「ふふっ、侍女の前では大概にしないと、朝からイチャイチャしてるって城中の噂ですよ」
「えー、知らなかった」
そう言えば、眠り姫ごっこを始めたのは、母と帰って来た後からだったな。
姉がいつも言っていた、王子は……。
僕に抱かれてもいいけど、キスは駄目と言う基準は分からないが、取り敢えず、無防備ではなさそうだ。
初めて姉と体を繋げるのが、姉が、冷たくて嫌だと言った石畳の上。
まあ、僕たちの関係にはちょうどいい気がして、姉を押し倒そうと、姉の両手を掴んだ。
「寧ろ、マックスが居てくれると安心する。マックスはわたしの嫌がる事はしないって、知ってるもの」
僕に手を握られてもまだ、絵空事のような綺麗ごとを言う姉に腹が立った。
「僕だって、男ですよ」
「そうだった、ファウラーから教えて貰ったんだわ。男の人は、誰でもいいから女性と淫らな事をしたくなる衝動があるんだった」
ファウラーから、何を適当な事を習ってるんだ。
「それなのにマックスは、ずっと、わたしを大切にしてくれたもの。……わたしが、困ってるマックスを傷つける事は出来ない。もしマックスが、そうしたいなら、すればいいし、そんな事で可愛い弟の事を嫌いにならないから、大丈夫よ。――それに、フレデリック様のような幸せな気持ちには、ならないって分かるから、躊躇わずにフレデリック様に誤れる」
どうして………、どこまで馬鹿なんだ、姉は………。
こんな姉にしたのは、僕のせいか――。
「もう、本当に……姉上は馬鹿ですね。僕が、姉上にそんな事をしたら、あの王太子に殺されるから、しませんよ。いいですか姉上、僕の為でも、王太子の為でも、そんな事を夫以外としては絶対にだめですよ、絶対ですよ」
「ちゃんと分かってるわよ。でも、わたしね、マックスの事は大好きよ。この屋敷の中しか知らなかったのに、貴方が居たから楽しかったし、寂しくなかった。優しいマックスに感謝してるわ。ありがとう」
優しいのは、人の事ばかり心配している、姉だろう。
もう、この人は……、いつまで経っても僕の心を離してくれない。
「キスしてもいいですか?」
弟を想って言ってくれた、好きと言う言葉に、「僕も好き」とは、言えずに誤魔化した。
「駄目よ、だって、キスは大好きな王子様とって、決まってるから」
よし! 今なら大丈夫だ。
横を向いて赤くなってる姉の気持ちは、知ってるから。
「ククッ、何を真に受けてるんですか? いいって言われたら、僕の方が困ってました」
「もう、人を揶揄って遊ぶなんてっ!」
「姉上が、呑気なこと言ってるからですよ。ほら、次へ向かいますよ」
掴んでいた手を、握り直して、僕は姉の手をひいた。
いつまでも、姉は姉のままで変わらない。
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だけど、僕がこのまま、姉を愛していても、きっと僕なら大丈夫だろう。
いや、やっぱり駄目かもしれない。隣で頬を膨らませて、怒ったフリをしている、無邪気な顔は、……可愛い。
ミカエル殿下は間違いなく、この能天気な姉を狙っている。姉に、ミカエル殿下の事を言うべきか……。いや、姉に言ったところで、「しっかりしてるから大丈夫」だと、どうせ聞く訳もなく、危険な事に首を突っ込むのが、この痛い性格の姉だ。
ミカエル殿下は、あれでいて以外に頭がキレるから、決定的な悪事をしていない。公金の横領でもしてくれたら話は早いが、あの目を光らせている兄がいて、する訳が無い。
まあ、妃になれると期待して、泣きを見た令嬢は山と言るが、そこはただの痴情の縺れってやつだ。どうすれば……。
まさか、あの王太子に僕が完全に利用されるなんてな。
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あ~あ、僕の予定が狂って、時間が余ったか……。このままでは、王太子が帰って来るまで時間が持たないな。
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「寝起きの悪い姉上の事だから、王子様にキスをされても、目が覚めないだろうな、と思って」
「失礼ね、ちゃんと目が覚めるわよ!」
「ふふっ、侍女の前では大概にしないと、朝からイチャイチャしてるって城中の噂ですよ」
「えー、知らなかった」
そう言えば、眠り姫ごっこを始めたのは、母と帰って来た後からだったな。
姉がいつも言っていた、王子は……。
僕に抱かれてもいいけど、キスは駄目と言う基準は分からないが、取り敢えず、無防備ではなさそうだ。
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