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最終章
第81話 過去へぶっ飛べ
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「ちょっと聞いていい?」
『なんと緊張感の無い! ……お前、過去の世界でもいなかったか? いや、いた! だとするとお前は、カイナギオと同じタイムリープを使えることになるな』
魔王が俺を睨みつける。
俺の横にいたカイナギオが『へへーん! 俺の師匠こそが青魔道士様さ!!』と自慢した。
『な……なにぃーっ!?』
驚愕する魔王。
『これは放置することはできん! ここで仕留めねばならんな……。いや、私の部下も大量にやりおって! どちらにせよ許さん!』
「あっ、いきなり戦闘態勢になってしまった」
「なってもならなくても、私がガツンとやったけどな!」
「さすが、エリカは殺意が高い」
風車の魔王が浮かび上がる。
翼があるだけあって、空を飛べるんだな。
そして俺達を睥睨するわけだ。
睥睨してるところにアベルが飛びかかった。
「死ね!」
『ウワーッ』
風車の魔王、慌てて逃げた。
俺達フォンテインナイツは、相手に余裕を与えないぞ。
飛び上がり、襲撃してくるのは風水士だ。
地面が掘り起こされ、それが石の塊になって風水士の周囲を回転する。
さらに風を纏い、風車の魔王にぶち当たるのだ。
『ウグワーッ!?』
「よーし、拙者も手裏剣投げちゃうぞーっ! ツアーッ!!」
『ウグワーッ!?』
「じゃあ俺も総攻撃!」
『ウグワワーッ!!』
こ、こいつ……!!
弱いぞ……!!
魔竜バフルートと比べたら、全然強くない。
陰謀を巡らし、あちこちで良からぬ災厄を引き起こしたりしていたが……。
『おのれ!! わ、私の技を見るが良い!』
風車の魔王が、何やら魔法みたいなのを使ってくる。
降り注ぐ炎の球だ。
これはまあまあ派手だ。
それに、竜巻が四方から発生して俺達を襲ってくる。
さらに空から雷が降り注ぐ。
『これぞ奥義、トライディザスター! 守ることを許さず、敵を一網打尽にする!』
「なるほど! かなり厄介だ!」
エリカが攻撃の中、仁王立ちになっている。
魔王の技は、俺が分身しながらたくさんの攻撃を放ち、どうにか相殺しているのだ。
こいつ、一撃の中に手数が多い。
だが、ベヒーモスや魔竜バフルートに比べると……数段落ちるんだよなあ。
高笑いをする風車の魔王。
それに向かって、エリカは一歩一歩近づいていく。
魔王の笑いが止まった。
『なぜ、私の技の中を歩いて来ることができる……!? 馬鹿な……。ただの人間には不可能なはず……!!』
「できるんだ! なぜなら、私は騎士だからだ! 騎士はどんな妨害にも負けない! 前に進める! なぜなら、騎士だからだ!」
『なんだってーっ!!』
魔王、受け答えも素晴らしい。
エリカが活躍する舞台を生み出してくれているようではないか。
『師匠! 俺達も行かないのか!?』
「カイナギオ。俺とお前には役割があるんだ」
『役割?』
「フォンテイン伝説を完成させるためにな……俺とお前で、こいつを過去に戻す。そこで大衆の前で決着をつけるんだ」
『そ、それはどうしてなんだ』
「そりゃあもちろん。諸悪の根源が目の前でやられたほうが、みんな安心するだろ」
『なーるほど! やっぱ師匠は頭いいや!!』
「全てはエリカのためだからな……。恐らく、向こうにトニーもいる。あいつそろそろいっぱいいっぱいで限界だろ」
『その通りです師匠。やっぱ師匠はなんでもお見通しなんですね!』
「うむ。で、トニーを引退させてやらんといかん。これからエリカは、多分一発で魔王を蹴散らす。チャンスは一瞬だ。構えろカイナギオ!」
『うっす!!』
嵐のように降り注ぐ攻撃の中を、エリカが突き進む。
多少のダメージでは止まらないし、何より、フォンテインナイツ最高のタフネスを誇るエリカは、魔王の攻撃程度で歩みを緩めることなどないのだ。
「いくぞーっ!! おりゃあああああああ!!」
思い切り振りかぶった一撃は、技名などない。
だが、エリカの攻撃は何もかも全てが会心の一撃なのだ。
『ば、バリアーっ! ぬわーっ!! わ、割れたーっ!!』
パリーンと割れたな。
だが、エリカの攻撃の勢いが明らかに減衰した。
バフベヒーモールが、風車の魔王の頭に叩き込まれる!
『ウッ、ウグワー!!』
風車の魔王が地面に叩きつけられ、バウンドした。
今だ!
「カイナギオ!」
『おう!』
「『タイムリープ!!』」
世界が揺らぐ。
そして、俺達は過去の時代へと転移した。
そこは、魔王軍とフォンテイン義勇騎士団が最後の決戦をしている場所だ。
後に、フォンテイン大渓谷と呼ばれることになる、谷の前!
そこに、風車の魔王が出現した。
「ま、魔王だ!」
「風車の魔王が現れた!!」
「フォンテイン殿!!」
「あ、ああ!」
トニーが出てきたな。
また鎧がパワーアップしている……!
完全にフォンテインということにされているのだ。
顔色が悪い。
プレッシャーで胃が痛い事であろう。
「トニー、終わらせるぞ!」
俺は彼の傍らにバックスタブで移動した後、声を掛けた。
「なっ!? 青魔道士!?」
「これが最後の仕事だ。行くぞトニー!」
「お、おう!!」
今まさに、フォンテインナイツの総攻撃が魔王に向けて放たれているところだ。
一同の前で魔王を倒し、フォンテイン伝説の幕を下ろさねばならない。
『なんと緊張感の無い! ……お前、過去の世界でもいなかったか? いや、いた! だとするとお前は、カイナギオと同じタイムリープを使えることになるな』
魔王が俺を睨みつける。
俺の横にいたカイナギオが『へへーん! 俺の師匠こそが青魔道士様さ!!』と自慢した。
『な……なにぃーっ!?』
驚愕する魔王。
『これは放置することはできん! ここで仕留めねばならんな……。いや、私の部下も大量にやりおって! どちらにせよ許さん!』
「あっ、いきなり戦闘態勢になってしまった」
「なってもならなくても、私がガツンとやったけどな!」
「さすが、エリカは殺意が高い」
風車の魔王が浮かび上がる。
翼があるだけあって、空を飛べるんだな。
そして俺達を睥睨するわけだ。
睥睨してるところにアベルが飛びかかった。
「死ね!」
『ウワーッ』
風車の魔王、慌てて逃げた。
俺達フォンテインナイツは、相手に余裕を与えないぞ。
飛び上がり、襲撃してくるのは風水士だ。
地面が掘り起こされ、それが石の塊になって風水士の周囲を回転する。
さらに風を纏い、風車の魔王にぶち当たるのだ。
『ウグワーッ!?』
「よーし、拙者も手裏剣投げちゃうぞーっ! ツアーッ!!」
『ウグワーッ!?』
「じゃあ俺も総攻撃!」
『ウグワワーッ!!』
こ、こいつ……!!
弱いぞ……!!
魔竜バフルートと比べたら、全然強くない。
陰謀を巡らし、あちこちで良からぬ災厄を引き起こしたりしていたが……。
『おのれ!! わ、私の技を見るが良い!』
風車の魔王が、何やら魔法みたいなのを使ってくる。
降り注ぐ炎の球だ。
これはまあまあ派手だ。
それに、竜巻が四方から発生して俺達を襲ってくる。
さらに空から雷が降り注ぐ。
『これぞ奥義、トライディザスター! 守ることを許さず、敵を一網打尽にする!』
「なるほど! かなり厄介だ!」
エリカが攻撃の中、仁王立ちになっている。
魔王の技は、俺が分身しながらたくさんの攻撃を放ち、どうにか相殺しているのだ。
こいつ、一撃の中に手数が多い。
だが、ベヒーモスや魔竜バフルートに比べると……数段落ちるんだよなあ。
高笑いをする風車の魔王。
それに向かって、エリカは一歩一歩近づいていく。
魔王の笑いが止まった。
『なぜ、私の技の中を歩いて来ることができる……!? 馬鹿な……。ただの人間には不可能なはず……!!』
「できるんだ! なぜなら、私は騎士だからだ! 騎士はどんな妨害にも負けない! 前に進める! なぜなら、騎士だからだ!」
『なんだってーっ!!』
魔王、受け答えも素晴らしい。
エリカが活躍する舞台を生み出してくれているようではないか。
『師匠! 俺達も行かないのか!?』
「カイナギオ。俺とお前には役割があるんだ」
『役割?』
「フォンテイン伝説を完成させるためにな……俺とお前で、こいつを過去に戻す。そこで大衆の前で決着をつけるんだ」
『そ、それはどうしてなんだ』
「そりゃあもちろん。諸悪の根源が目の前でやられたほうが、みんな安心するだろ」
『なーるほど! やっぱ師匠は頭いいや!!』
「全てはエリカのためだからな……。恐らく、向こうにトニーもいる。あいつそろそろいっぱいいっぱいで限界だろ」
『その通りです師匠。やっぱ師匠はなんでもお見通しなんですね!』
「うむ。で、トニーを引退させてやらんといかん。これからエリカは、多分一発で魔王を蹴散らす。チャンスは一瞬だ。構えろカイナギオ!」
『うっす!!』
嵐のように降り注ぐ攻撃の中を、エリカが突き進む。
多少のダメージでは止まらないし、何より、フォンテインナイツ最高のタフネスを誇るエリカは、魔王の攻撃程度で歩みを緩めることなどないのだ。
「いくぞーっ!! おりゃあああああああ!!」
思い切り振りかぶった一撃は、技名などない。
だが、エリカの攻撃は何もかも全てが会心の一撃なのだ。
『ば、バリアーっ! ぬわーっ!! わ、割れたーっ!!』
パリーンと割れたな。
だが、エリカの攻撃の勢いが明らかに減衰した。
バフベヒーモールが、風車の魔王の頭に叩き込まれる!
『ウッ、ウグワー!!』
風車の魔王が地面に叩きつけられ、バウンドした。
今だ!
「カイナギオ!」
『おう!』
「『タイムリープ!!』」
世界が揺らぐ。
そして、俺達は過去の時代へと転移した。
そこは、魔王軍とフォンテイン義勇騎士団が最後の決戦をしている場所だ。
後に、フォンテイン大渓谷と呼ばれることになる、谷の前!
そこに、風車の魔王が出現した。
「ま、魔王だ!」
「風車の魔王が現れた!!」
「フォンテイン殿!!」
「あ、ああ!」
トニーが出てきたな。
また鎧がパワーアップしている……!
完全にフォンテインということにされているのだ。
顔色が悪い。
プレッシャーで胃が痛い事であろう。
「トニー、終わらせるぞ!」
俺は彼の傍らにバックスタブで移動した後、声を掛けた。
「なっ!? 青魔道士!?」
「これが最後の仕事だ。行くぞトニー!」
「お、おう!!」
今まさに、フォンテインナイツの総攻撃が魔王に向けて放たれているところだ。
一同の前で魔王を倒し、フォンテイン伝説の幕を下ろさねばならない。
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