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スローライフから逃げられると思うな編
第74話 第一回タマルにツケをやめさせる会議
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「タマル! ツケにする前に魔人侯とか魔人売れるでしょ!」
ポタルにポカポカと肩を叩かれてハッとした。
「そうだった。癖になってたな。じゃあこれ売ります」
「はあい! 魔人侯をまた捕らえたんですねー。すごいなあー。しめて5000ptになりまあす」
「まあす」
3300のツケになるところが、収支で1700ptのプラスになった。
「良かったー。これは……考えなくちゃだねえ……」
ポタルが何やら真剣そうな顔をしているのであった。
購入した船のお披露目は海でやるとして。
逢魔卿領へ向かう馬車の中で、ポタルが宣言した。
「第一回! タマルにツケをやめさせる会議ー!」
『煮付け!? やめてはいけないわよ!』
キャロルが聞き間違えて抗議してきたので、煮付けを作ってやった。
ニコニコしながら煮付けを食うキャロル。
『我はもう、タマル様だからなーと諦めてた事を諦めないということですな?』
「そうよ! 後々困るじゃない、浪費癖なんて! タマルには計画的にポイントを使う癖をつけてもらうの」
「俺の奥さんになったみたいなことをおっしゃる」
「将来を見越してるの!!」
「むうー!」
つまりそれは将来の家族計画的な!?
『オー、タマルさんがサイレントになりました!』
『この人こう見えて純情ですからな。今のは効果的な一撃でしたぞ。敵対的な攻撃には強力無比な反撃をしますが、好意的な攻めには防御力皆無ですな』
くそー、ラムザーが俺の性質を正確に言い当てていて悔しい。
俺は完全に脳内で家族計画とか考え始めていて行動不能である。
好意を示されるとすぐ好きになるぞ!!
「みんなの意見はあるー? いっつもツケだと、いつか大変なことになりそう!」
『ヌキチータの作戦がツケにして働かせまくろうというものでは無いですかな? 魔人商店や彩色洋品店も一枚噛んでいるような気がしますな。まあ、我慢を覚えればいいのですぞ』
「タマルにそれができないから問題なんでしょ」
『オー! でしたらミーたちがちょこちょことポイントになる売却用のマテリアルをゲットすればオーケーでーす! タマルさんは自分のためだけよりは、フレンドのためにポイントを使うとき、高いのを買ってツケにすることが多いでーす!』
『普通に自分の欲望でポイントを使ってる時も多いですぞ? いや、確かにどれも、皆が喜ぶものであるのは確かですがな。ああ、なるほど。つまり……』
「私たちも使うものだから、ポイントはみんなで稼ごうっていうことね!」
『うむ。我慢したらタマル様が爆発しますからな』
俺が爆発物扱い!
結局、仲間たちみんなでポイントを集めようということになったのだった。
「すまんな」
「それは言わない約束でしょ。タマルがいっつも一番前で頑張ってるんだもん。私たちだって手伝うよ!」
『うむうむ。タマル様と我らの仲ではありませんか』
『オールフォアワン、ワンフォアオールでーす!』
『ピピー』
『煮付けおかわり』
心があたたまるなあ。
キャロルはお前、おかわりお預けだ。
こうして丸一日馬車でのんびり旅をして、逢魔卿領の海岸に到着した。
リセンボンたちが釣りをしている。
馬車を見ると、ワーッと言ってみんな立ち上がった。
「いよーう、お前ら。今日はみんなでバーベキューをしに来た」
『バーベキューですって!?』
『逢魔卿にご報告だ!』
リセンボンたちが城に向かって駆けていく。
しばらくすると、空にふわふわと浮かぶ巨大なフグが見えた。
上には活動的な衣装を身に着けた逢魔卿が乗っている。
『バーベキューなるものをやると聞いて駆けつけた。久しいなタマル』
「挨拶の前にバーベキューが来たな。これはな、浜辺でみんなで獲物を焼いてワイワイ騒ぎながら食べるという食事方式だ」
『なんと!? わらわの知らぬやり方だ』
「そうだろうそうだろう。ということで、まずは海に繰り出してみんなで釣りをしよう。そのために船も買ってきたんだ」
俺は海に近づくと、アイテムボックスから船を取り出した。
巨大な船舶が、逢魔卿領に姿を現す。
今回は釣り船仕様になっている、大型のモーターボート的なやつである。
これを見て、リセンボンたちが『オー』と驚きの声をあげた。
『この船に乗って釣りを!?』
『これならもっと沖まで行ける』
『たくさん釣っても持ち帰れそうだ』
わいわいがやがや。
『静まれ! いいか。まずはわらわが乗り込む。そなたらはじゃんけんをし、勝ち残った五名が乗り込むのだ』
リセンボンたちがウオーっと吠えた。
大じゃんけん大会が始まる。
勝ち上がった五名のリセンボンが、誇らしげな顔をして乗り込んできた。
他のリセンボンたちが声援を送ってくる。
『俺たちの分も釣って釣って釣りまくって来てくれー!!』
『なるべく食いでのあるやつを頼むー!!』
『あ、逢魔卿様もがんばってくださーい』
『わらわはついでか!!』
プリプリ怒る逢魔卿。
ここも随分と和やかな雰囲気になったもんだなあ。
全員分の釣り竿をこの場でDIYし、配った。
そして舳先に立つ俺。
「ではこれより……ヘルズテーブル釣り大会を開催します! みんな、大いに釣れーっ!!」
わあああああっと盛り上がる甲板上のみんな。
これこそスローライフである。
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ポタルにポカポカと肩を叩かれてハッとした。
「そうだった。癖になってたな。じゃあこれ売ります」
「はあい! 魔人侯をまた捕らえたんですねー。すごいなあー。しめて5000ptになりまあす」
「まあす」
3300のツケになるところが、収支で1700ptのプラスになった。
「良かったー。これは……考えなくちゃだねえ……」
ポタルが何やら真剣そうな顔をしているのであった。
購入した船のお披露目は海でやるとして。
逢魔卿領へ向かう馬車の中で、ポタルが宣言した。
「第一回! タマルにツケをやめさせる会議ー!」
『煮付け!? やめてはいけないわよ!』
キャロルが聞き間違えて抗議してきたので、煮付けを作ってやった。
ニコニコしながら煮付けを食うキャロル。
『我はもう、タマル様だからなーと諦めてた事を諦めないということですな?』
「そうよ! 後々困るじゃない、浪費癖なんて! タマルには計画的にポイントを使う癖をつけてもらうの」
「俺の奥さんになったみたいなことをおっしゃる」
「将来を見越してるの!!」
「むうー!」
つまりそれは将来の家族計画的な!?
『オー、タマルさんがサイレントになりました!』
『この人こう見えて純情ですからな。今のは効果的な一撃でしたぞ。敵対的な攻撃には強力無比な反撃をしますが、好意的な攻めには防御力皆無ですな』
くそー、ラムザーが俺の性質を正確に言い当てていて悔しい。
俺は完全に脳内で家族計画とか考え始めていて行動不能である。
好意を示されるとすぐ好きになるぞ!!
「みんなの意見はあるー? いっつもツケだと、いつか大変なことになりそう!」
『ヌキチータの作戦がツケにして働かせまくろうというものでは無いですかな? 魔人商店や彩色洋品店も一枚噛んでいるような気がしますな。まあ、我慢を覚えればいいのですぞ』
「タマルにそれができないから問題なんでしょ」
『オー! でしたらミーたちがちょこちょことポイントになる売却用のマテリアルをゲットすればオーケーでーす! タマルさんは自分のためだけよりは、フレンドのためにポイントを使うとき、高いのを買ってツケにすることが多いでーす!』
『普通に自分の欲望でポイントを使ってる時も多いですぞ? いや、確かにどれも、皆が喜ぶものであるのは確かですがな。ああ、なるほど。つまり……』
「私たちも使うものだから、ポイントはみんなで稼ごうっていうことね!」
『うむ。我慢したらタマル様が爆発しますからな』
俺が爆発物扱い!
結局、仲間たちみんなでポイントを集めようということになったのだった。
「すまんな」
「それは言わない約束でしょ。タマルがいっつも一番前で頑張ってるんだもん。私たちだって手伝うよ!」
『うむうむ。タマル様と我らの仲ではありませんか』
『オールフォアワン、ワンフォアオールでーす!』
『ピピー』
『煮付けおかわり』
心があたたまるなあ。
キャロルはお前、おかわりお預けだ。
こうして丸一日馬車でのんびり旅をして、逢魔卿領の海岸に到着した。
リセンボンたちが釣りをしている。
馬車を見ると、ワーッと言ってみんな立ち上がった。
「いよーう、お前ら。今日はみんなでバーベキューをしに来た」
『バーベキューですって!?』
『逢魔卿にご報告だ!』
リセンボンたちが城に向かって駆けていく。
しばらくすると、空にふわふわと浮かぶ巨大なフグが見えた。
上には活動的な衣装を身に着けた逢魔卿が乗っている。
『バーベキューなるものをやると聞いて駆けつけた。久しいなタマル』
「挨拶の前にバーベキューが来たな。これはな、浜辺でみんなで獲物を焼いてワイワイ騒ぎながら食べるという食事方式だ」
『なんと!? わらわの知らぬやり方だ』
「そうだろうそうだろう。ということで、まずは海に繰り出してみんなで釣りをしよう。そのために船も買ってきたんだ」
俺は海に近づくと、アイテムボックスから船を取り出した。
巨大な船舶が、逢魔卿領に姿を現す。
今回は釣り船仕様になっている、大型のモーターボート的なやつである。
これを見て、リセンボンたちが『オー』と驚きの声をあげた。
『この船に乗って釣りを!?』
『これならもっと沖まで行ける』
『たくさん釣っても持ち帰れそうだ』
わいわいがやがや。
『静まれ! いいか。まずはわらわが乗り込む。そなたらはじゃんけんをし、勝ち残った五名が乗り込むのだ』
リセンボンたちがウオーっと吠えた。
大じゃんけん大会が始まる。
勝ち上がった五名のリセンボンが、誇らしげな顔をして乗り込んできた。
他のリセンボンたちが声援を送ってくる。
『俺たちの分も釣って釣って釣りまくって来てくれー!!』
『なるべく食いでのあるやつを頼むー!!』
『あ、逢魔卿様もがんばってくださーい』
『わらわはついでか!!』
プリプリ怒る逢魔卿。
ここも随分と和やかな雰囲気になったもんだなあ。
全員分の釣り竿をこの場でDIYし、配った。
そして舳先に立つ俺。
「ではこれより……ヘルズテーブル釣り大会を開催します! みんな、大いに釣れーっ!!」
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