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スローライフから逃げられると思うな編
第57話 誕生、我が家の飛空艇
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「マンイーター前にちょっと飛空艇作って行っちゃおうか」
『絶対そう言うと思ってましたぞ。むしろここまで作らないでいた事に驚きですぞ』
俺の母親のように俺への理解度が高いなラムザー。
仲間たちが見守る中、いざ、待望の飛空艇づくりである。
必要な素材を並べ、DIY作業台に向かってトンカントンカンと作業する。
おお……あれほど入手に苦労した浮遊石たちが消えていく……。
ワイバーンの骨も。
あれ? ワイバーンの骨? いつ手に入れたっけ。
『ワカサギを釣った辺りですぞ! 事のついででタマル様がゲットされましたな』
「そうそう、そこだそこだ!」
よそ見をしていたら、飛空艇がもう完成していたぞ!
俺の頭の中では、飛行船みたいなのをイメージしていたのだが……。
なんだか、金属製の船体にプロペラがたくさんついている代物になった。
これ、どこかのゲームで見たことがあるような……。
「タマル、ミスリルクロス使お!」
「そうだ、強化もできるんだったな! いきなり強化だ!」
さらにDIYは進む。
鉄色だった飛空艇は、ミスリルクロスをふんだんに使用され、エメラルドグリーンに変わった。
この世界のミスリルって緑色なんか。
そしてミスリル加工をする意味合いがよく分からんな……。
使用方法とか、レシピには出て来ないもんな。
『カタカタ!』
「なに、骨次郎はもう乗りたいのか。珍しいなあ。心の中のガキ大将が騒ぎ出したか! はっはっは」
骨次郎とホネノサンダーとホネノライジングを率いて、飛空艇に乗り込んでいく。
タラップがスロープ状になっているから、馬車ごと入れるんだな。
そして甲板には、馬車を設置できる場所があった。
「宿泊施設はまんま馬車を使えるんだな。で、潜水艇と同じように舵輪がある……。舵輪の横に金属の操作盤が突き出しているな。スイッチとかメーターがついてら」
ポチポチといじってみた。
すると、飛空艇のプロペラが回り始めたではないか。
「いかん! みんな乗り込めー! なんか起動した! 飛ぶぞー!」
『オー! サドゥンリーなテイクオフでーす』
「えっ、なんて?」
『突然飛ぶってことでーす』
フランクリンはみんな分かりやすく和訳できるのに、どうして英語交じりで喋るんだろうな……。
俺が謎を感じている間に、仲間たちは船の中に全員乗り込み、飛空艇は飛翔を始めていた。
「ねえタマル、この船の名前は決めてるの?」
「作ったばっかりだからなあ。全然決めてなかった。潜水艇がキングタマル号だから、こいつはゴッドタマル号にするか」
『身近に神がいるのに神を名乗るとか、度胸が凄いですなあ』
「あそこの神々、そんな狭量じゃないだろ」
『確かに、信じられないくらいフレンドリーですな』
ぶいーんと飛ぶ、ゴッドタマル号。
ピューッと飛んだと思ったら、もうデッドランドマウンテンの端までやって来てしまった。
はやーい。
どれくらい速いのかなと、ターンしてからもう一度、この山を縦断させてみた。
ああ、このターンが凄い。
めちゃくちゃ横Gが掛かるので、みんな壁に押し付けられて『「むぎゅー『ピピー』」』とかなっていた。
そしてビューンっと加速する。
えーと、縦断するのに五分くらいか。
すると、なんとなくデッドランドマウンテンの頂上が縦幅十kmくらいだから……。
時速一二〇キロくらい出てるな。
速い!
間違いなく、ヘルズテーブル最速の乗り物だろう。
多分ドラゴンとかはもっと飛行速度が出るだろうけど。
そしてプロペラを回しているので、ブリブリ、バリバリと音がする。
この音に刺激されたのか、デッドランドマウンテンに潜んでいた小さいドラゴンみたいなのが数頭飛び上がってきた。
こりゃあいかん。
俺は慌てて、飛空艇の高度を落とした。
いきなり空中戦なんてやってられないし、苦労して作った飛空艇を壊されたらたまらない。
「この山のドラゴンを根絶やしにしてから飛ぼうね」
『タマル様はいつもとんでもないことを言ってますなあ。すっかり慣れましたが』
「実際そうするしかないからな。最初に捕まえたドラゴンよりは小粒そうじゃないか。あれならいけるでしょ」
『いけそうですな。マンイーターついでにドラゴン捕獲も進めていきますか。レシピもありますしな』
「そうそう。ドラゴン素材が必要なんだよ」
急速に下降した飛空艇。
途中で、俺の目の前にアイコンが現れた。
『飛空艇▶馬車 YES/NO』
「イエス、っと」
イエスをポチッと押した。
すると。
飛空艇が猛烈な勢いで折りたたまれ、馬車の中に格納されてしまった。
例の、格納スペースに行ったんだろう。
そして、馬車は地面につくや否や、俺たちを乗せて走り出した。
追撃してくるドラゴン。
「ロックをかけるよー! 一番音大きくするからねー!!」
ポタルが宣言すると、ラジカセをガンガン鳴らし始めた。
サンバとは違う、腹の底にズドンズドン響く音楽、それがロックだ!
この重低音にはドラゴンもびっくりしたようで、空中でふらふらし始めた。
チャンスである。
一匹をパチンコで狙って、パチンと落とす。
こいつを駆け寄りざま、虫取り網で捕獲だ!
ピョインッ!と言う音とともに、アイテムボックスにアイコンが生まれた。
なになに、こいつはレッサードラゴンか。
『もがーっ!!』
「おっと、仲間をやられてドラゴンたちが怒ったぞ! 森に逃げ込めー!」
『カタカタ!』
ホネ次郎が見事な手綱さばきで、馬車を走らせる。
ということで、俺たちは森の中。
一旦ドラゴンを撒きつつ、マンイーターハントも同時にやってしまおうということになったのである。
『ウグワーッ! 飛空艇を作成しました! 1500ptゲット!』
『ウグワーッ! 飛空艇を一段階強化しました! 2000ptゲット!』
▶UGWポイント
4000pt
『絶対そう言うと思ってましたぞ。むしろここまで作らないでいた事に驚きですぞ』
俺の母親のように俺への理解度が高いなラムザー。
仲間たちが見守る中、いざ、待望の飛空艇づくりである。
必要な素材を並べ、DIY作業台に向かってトンカントンカンと作業する。
おお……あれほど入手に苦労した浮遊石たちが消えていく……。
ワイバーンの骨も。
あれ? ワイバーンの骨? いつ手に入れたっけ。
『ワカサギを釣った辺りですぞ! 事のついででタマル様がゲットされましたな』
「そうそう、そこだそこだ!」
よそ見をしていたら、飛空艇がもう完成していたぞ!
俺の頭の中では、飛行船みたいなのをイメージしていたのだが……。
なんだか、金属製の船体にプロペラがたくさんついている代物になった。
これ、どこかのゲームで見たことがあるような……。
「タマル、ミスリルクロス使お!」
「そうだ、強化もできるんだったな! いきなり強化だ!」
さらにDIYは進む。
鉄色だった飛空艇は、ミスリルクロスをふんだんに使用され、エメラルドグリーンに変わった。
この世界のミスリルって緑色なんか。
そしてミスリル加工をする意味合いがよく分からんな……。
使用方法とか、レシピには出て来ないもんな。
『カタカタ!』
「なに、骨次郎はもう乗りたいのか。珍しいなあ。心の中のガキ大将が騒ぎ出したか! はっはっは」
骨次郎とホネノサンダーとホネノライジングを率いて、飛空艇に乗り込んでいく。
タラップがスロープ状になっているから、馬車ごと入れるんだな。
そして甲板には、馬車を設置できる場所があった。
「宿泊施設はまんま馬車を使えるんだな。で、潜水艇と同じように舵輪がある……。舵輪の横に金属の操作盤が突き出しているな。スイッチとかメーターがついてら」
ポチポチといじってみた。
すると、飛空艇のプロペラが回り始めたではないか。
「いかん! みんな乗り込めー! なんか起動した! 飛ぶぞー!」
『オー! サドゥンリーなテイクオフでーす』
「えっ、なんて?」
『突然飛ぶってことでーす』
フランクリンはみんな分かりやすく和訳できるのに、どうして英語交じりで喋るんだろうな……。
俺が謎を感じている間に、仲間たちは船の中に全員乗り込み、飛空艇は飛翔を始めていた。
「ねえタマル、この船の名前は決めてるの?」
「作ったばっかりだからなあ。全然決めてなかった。潜水艇がキングタマル号だから、こいつはゴッドタマル号にするか」
『身近に神がいるのに神を名乗るとか、度胸が凄いですなあ』
「あそこの神々、そんな狭量じゃないだろ」
『確かに、信じられないくらいフレンドリーですな』
ぶいーんと飛ぶ、ゴッドタマル号。
ピューッと飛んだと思ったら、もうデッドランドマウンテンの端までやって来てしまった。
はやーい。
どれくらい速いのかなと、ターンしてからもう一度、この山を縦断させてみた。
ああ、このターンが凄い。
めちゃくちゃ横Gが掛かるので、みんな壁に押し付けられて『「むぎゅー『ピピー』」』とかなっていた。
そしてビューンっと加速する。
えーと、縦断するのに五分くらいか。
すると、なんとなくデッドランドマウンテンの頂上が縦幅十kmくらいだから……。
時速一二〇キロくらい出てるな。
速い!
間違いなく、ヘルズテーブル最速の乗り物だろう。
多分ドラゴンとかはもっと飛行速度が出るだろうけど。
そしてプロペラを回しているので、ブリブリ、バリバリと音がする。
この音に刺激されたのか、デッドランドマウンテンに潜んでいた小さいドラゴンみたいなのが数頭飛び上がってきた。
こりゃあいかん。
俺は慌てて、飛空艇の高度を落とした。
いきなり空中戦なんてやってられないし、苦労して作った飛空艇を壊されたらたまらない。
「この山のドラゴンを根絶やしにしてから飛ぼうね」
『タマル様はいつもとんでもないことを言ってますなあ。すっかり慣れましたが』
「実際そうするしかないからな。最初に捕まえたドラゴンよりは小粒そうじゃないか。あれならいけるでしょ」
『いけそうですな。マンイーターついでにドラゴン捕獲も進めていきますか。レシピもありますしな』
「そうそう。ドラゴン素材が必要なんだよ」
急速に下降した飛空艇。
途中で、俺の目の前にアイコンが現れた。
『飛空艇▶馬車 YES/NO』
「イエス、っと」
イエスをポチッと押した。
すると。
飛空艇が猛烈な勢いで折りたたまれ、馬車の中に格納されてしまった。
例の、格納スペースに行ったんだろう。
そして、馬車は地面につくや否や、俺たちを乗せて走り出した。
追撃してくるドラゴン。
「ロックをかけるよー! 一番音大きくするからねー!!」
ポタルが宣言すると、ラジカセをガンガン鳴らし始めた。
サンバとは違う、腹の底にズドンズドン響く音楽、それがロックだ!
この重低音にはドラゴンもびっくりしたようで、空中でふらふらし始めた。
チャンスである。
一匹をパチンコで狙って、パチンと落とす。
こいつを駆け寄りざま、虫取り網で捕獲だ!
ピョインッ!と言う音とともに、アイテムボックスにアイコンが生まれた。
なになに、こいつはレッサードラゴンか。
『もがーっ!!』
「おっと、仲間をやられてドラゴンたちが怒ったぞ! 森に逃げ込めー!」
『カタカタ!』
ホネ次郎が見事な手綱さばきで、馬車を走らせる。
ということで、俺たちは森の中。
一旦ドラゴンを撒きつつ、マンイーターハントも同時にやってしまおうということになったのである。
『ウグワーッ! 飛空艇を作成しました! 1500ptゲット!』
『ウグワーッ! 飛空艇を一段階強化しました! 2000ptゲット!』
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