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渡海!私のお隣奪還編
第462話 塗りつぶせダンジョン!伝説
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昨日はハッスルしたもみじちゃんがやってくれたみたいです。
暫定政府の上の階に、コンピューター関係が積まれてる部屋があって、そこで今の状況を見せてもらった。
中国全土の大半が真っ黒なドロみたいなダンジョンに覆われてるけど……。
湖南省辺りから、明らかになんか白いものが広がり始めている。
「これはなんでしょう……」
今回のお仕事の私のサポート、スーイェンさんが首を傾げる。
「パン屋ですね」
「パン屋!? えっ、この白いのがパン屋!?」
「そうです。もみじちゃんはパン屋の領域を広げることができるので、今、ダンジョンをどんどんパン屋に置き換えていってるんです。こうすることでダンジョンを駆逐するわけですねー。もみじちゃんはイカルガ一の結界展開の達人ですから」
別に宇宙さんに習ったというわけでもなく、完全に我流というのが凄い。
というか、もみじちゃんと同じスタイルの配信者は世界にほぼ存在しないらしい。
オペレーターの人が唸る。
「これがパン屋だとすると……。湖南省の三割がパン屋の店内に収まったことになります。なんでしょう。我々の理解を超えています」
「まあまあよくあります。今日中に湖南省は奪還できると思いますー」
「そんなに早く!? ダンジョンが侵攻してきて、我々の土地を奪ったのの何倍も早いじゃないですか!」
スーイェンさんがめちゃくちゃ驚いている。
「そりゃあそうです。向こうにできてこっちにできない道理がないですもん。あと、向こうがダンジョンで平らに均したから、こっちが奪い返すのがすごく楽になってるんですよー」
私は分かりやすく説明したつもりなんだけど、その場の皆さんはさっぱり分からなかったらしい。
「えーとつまりですね。私は塗りつぶすよりはふっ飛ばしたほうが早いんでそうやっちゃうんですけど、もみじちゃんは優しいのと、丁寧な作業が得意なんで、ダンジョンを丸ごと上から塗りつぶして乗っ取って、その下にあるものをきちんと保全するわけです」
「ははあ……」
皆さん、ポカーンとしてらっしゃる。
じゃあ実際に、もみじちゃんの配信を見てみましょう。
アーカイブを見ますと……。
もみじちゃんとチェンファがどんどんダンジョンを突き進んでいく。
二人が進んだあとが全部パン屋になる。
二人とも、猛烈な速度で進みながら掛け合いして、出てくるモンスターやデーモンを次々に蹴散らす。
これはあれだね。
もみじちゃんは惣菜パンのピタサンドをサーフボードみたいに使って加速してて、チェンファはサイバーな装備になって超高速移動だ。
強い強い!
あっという間に周辺地域を制圧してしまった。
その場にいるボスみたいなのを二人がサンドイッチして倒したら、一気にダンジョンが塗り替わった。
街が丸ごと一つ。パン屋になる。
「す、凄い……!! だけど訳が分からない」
「ちょっと難しすぎましたか。じゃあ私の配信をご覧いただきますとですね……」
私のアーカイブをご覧頂いた。
あれね。
魔王と戦ったやつね。
「あっあっあっ」
「分からない分からない分からない」
「これ、CGじゃないんです? えっ、現実? あなたがこれやったの!?」
「はっ、やらせていただきました」
「いや、このアーカイブ見たけど……。本人を眼の前にするとなあ……」
ざわつく皆さん。
主題がずれてる……!
「あの、これはどうでもよくてですね!」
「どうでも!?」
「一般的にイメージしている配信者と違ってですね、イカルガでは積極的に陰陽術や魔法と現代魔法の融合みたいなのをやってまして。それでこういうことが可能に」
スーイェンさんが代表して頷いた。
「なるほど。では皆さんはそう言った技術を学び、教え合い、広めて体系化してこういったことを可能にしていると……」
「あ、いえ、今見せた私たちのこれは我流なんですが」
「えっ」
「うわああああ」
「頭がおかしくなるうう」
いけない!
ちょっと情報量が多すぎましたねー。
「は、はづき小姐、ここにいると皆さんの脳を破壊する……いえ、混乱を招き……いや、貴重な時間を割いていただいてありがとうございました」
「あっはい」
スーイェンさんに背中を押されて、私は部屋から出たのだった。
参考にしてもらえたら嬉しいなあ。
結局、私の予告通り、湖南省は夕方までに完全に取り戻したらしい。
「配信のアーカイブを見たが、あくまで既存の魔将が出張っていたに過ぎないな。今の私たちの敵ではない」
冷静に分析するカナンさん。
バングラッド氏も戻ってきていて、見てきた限りの状況を教えてくれた。
『都市は完全に支配されていたな。人間として生存している者は皆無だ。魔王はこの国を完全に取ってしまうつもりであるな。あやつとしてはやり方が実に雑でずさんだ。直接は関わらず、ジーヤに全て任せているのだろう』
「ふむふむふむ。そのジーヤっていうのは」
『表立って各国に働きかけている、魔将の総元締めだ。魔王直属の大魔将と言えるであろうな。今回の件は、そやつの一つを叩かねば終わらん』
「一つ?」
『あれは七ついる。うち一つは日本を侵略しようとして、間接的にきら星はづきにやられたではないか』
「き、記憶になあい」
本当にない。
だけど、目的は明らかになりました!
中国のどこかにいる、ジーヤという大魔将を見つけてやっつければいいわけなのだ。
色々調べていかないとね。
暫定政府の上の階に、コンピューター関係が積まれてる部屋があって、そこで今の状況を見せてもらった。
中国全土の大半が真っ黒なドロみたいなダンジョンに覆われてるけど……。
湖南省辺りから、明らかになんか白いものが広がり始めている。
「これはなんでしょう……」
今回のお仕事の私のサポート、スーイェンさんが首を傾げる。
「パン屋ですね」
「パン屋!? えっ、この白いのがパン屋!?」
「そうです。もみじちゃんはパン屋の領域を広げることができるので、今、ダンジョンをどんどんパン屋に置き換えていってるんです。こうすることでダンジョンを駆逐するわけですねー。もみじちゃんはイカルガ一の結界展開の達人ですから」
別に宇宙さんに習ったというわけでもなく、完全に我流というのが凄い。
というか、もみじちゃんと同じスタイルの配信者は世界にほぼ存在しないらしい。
オペレーターの人が唸る。
「これがパン屋だとすると……。湖南省の三割がパン屋の店内に収まったことになります。なんでしょう。我々の理解を超えています」
「まあまあよくあります。今日中に湖南省は奪還できると思いますー」
「そんなに早く!? ダンジョンが侵攻してきて、我々の土地を奪ったのの何倍も早いじゃないですか!」
スーイェンさんがめちゃくちゃ驚いている。
「そりゃあそうです。向こうにできてこっちにできない道理がないですもん。あと、向こうがダンジョンで平らに均したから、こっちが奪い返すのがすごく楽になってるんですよー」
私は分かりやすく説明したつもりなんだけど、その場の皆さんはさっぱり分からなかったらしい。
「えーとつまりですね。私は塗りつぶすよりはふっ飛ばしたほうが早いんでそうやっちゃうんですけど、もみじちゃんは優しいのと、丁寧な作業が得意なんで、ダンジョンを丸ごと上から塗りつぶして乗っ取って、その下にあるものをきちんと保全するわけです」
「ははあ……」
皆さん、ポカーンとしてらっしゃる。
じゃあ実際に、もみじちゃんの配信を見てみましょう。
アーカイブを見ますと……。
もみじちゃんとチェンファがどんどんダンジョンを突き進んでいく。
二人が進んだあとが全部パン屋になる。
二人とも、猛烈な速度で進みながら掛け合いして、出てくるモンスターやデーモンを次々に蹴散らす。
これはあれだね。
もみじちゃんは惣菜パンのピタサンドをサーフボードみたいに使って加速してて、チェンファはサイバーな装備になって超高速移動だ。
強い強い!
あっという間に周辺地域を制圧してしまった。
その場にいるボスみたいなのを二人がサンドイッチして倒したら、一気にダンジョンが塗り替わった。
街が丸ごと一つ。パン屋になる。
「す、凄い……!! だけど訳が分からない」
「ちょっと難しすぎましたか。じゃあ私の配信をご覧いただきますとですね……」
私のアーカイブをご覧頂いた。
あれね。
魔王と戦ったやつね。
「あっあっあっ」
「分からない分からない分からない」
「これ、CGじゃないんです? えっ、現実? あなたがこれやったの!?」
「はっ、やらせていただきました」
「いや、このアーカイブ見たけど……。本人を眼の前にするとなあ……」
ざわつく皆さん。
主題がずれてる……!
「あの、これはどうでもよくてですね!」
「どうでも!?」
「一般的にイメージしている配信者と違ってですね、イカルガでは積極的に陰陽術や魔法と現代魔法の融合みたいなのをやってまして。それでこういうことが可能に」
スーイェンさんが代表して頷いた。
「なるほど。では皆さんはそう言った技術を学び、教え合い、広めて体系化してこういったことを可能にしていると……」
「あ、いえ、今見せた私たちのこれは我流なんですが」
「えっ」
「うわああああ」
「頭がおかしくなるうう」
いけない!
ちょっと情報量が多すぎましたねー。
「は、はづき小姐、ここにいると皆さんの脳を破壊する……いえ、混乱を招き……いや、貴重な時間を割いていただいてありがとうございました」
「あっはい」
スーイェンさんに背中を押されて、私は部屋から出たのだった。
参考にしてもらえたら嬉しいなあ。
結局、私の予告通り、湖南省は夕方までに完全に取り戻したらしい。
「配信のアーカイブを見たが、あくまで既存の魔将が出張っていたに過ぎないな。今の私たちの敵ではない」
冷静に分析するカナンさん。
バングラッド氏も戻ってきていて、見てきた限りの状況を教えてくれた。
『都市は完全に支配されていたな。人間として生存している者は皆無だ。魔王はこの国を完全に取ってしまうつもりであるな。あやつとしてはやり方が実に雑でずさんだ。直接は関わらず、ジーヤに全て任せているのだろう』
「ふむふむふむ。そのジーヤっていうのは」
『表立って各国に働きかけている、魔将の総元締めだ。魔王直属の大魔将と言えるであろうな。今回の件は、そやつの一つを叩かねば終わらん』
「一つ?」
『あれは七ついる。うち一つは日本を侵略しようとして、間接的にきら星はづきにやられたではないか』
「き、記憶になあい」
本当にない。
だけど、目的は明らかになりました!
中国のどこかにいる、ジーヤという大魔将を見つけてやっつければいいわけなのだ。
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