412 / 517
三年目私の、新たなスタート編
第413話 新曲で大騒ぎ伝説
しおりを挟む
発売されました、私の新曲!!
もうね、知らんぷりをしてその日は過ごしてますよ。
土曜日なんで、本来なら私が直々に出張って宣伝できるんだけど。
絶対地獄のような大混雑になる。
そして私はそういう状況が極めて苦手である!
いやあ、全部MVでの演出にしてもらって本当に良かった。
ハハハ、と笑いながら私はスマホでSNSをチェックする。
おっ、PickPockで新しい動画流れてきてるじゃん。
うわあ、これはひどい混雑だな。
なんだなんだ。
『はづきっちの新曲! CDのオマケにオリジナルのアクスタが付くって!』『やべー! ほしー!』『水モードと風モードがあるって!』『2バージョン!? どっちも手に入れなきゃじゃん!!』
な、なにぃーっ!!
これは私の曲を買うために並んでいる行列だったのか!
目当てはオマケのアクスタみたい。
確かに新しいの撮り下ろしたもんねえ。
水モードは、水の大魔将と戦った時をイメージして、ジャージマントに体操服、そこにオリジナルのレインコートみたいなのを被ってる。
これはベルっちが担当してくれているのだ。
あの時はこんなのを身につけていなかったはずだが……!?
風モードは、バングラッドウイングで飛んでる私。
これもベルっちにモデルになってもらったやつ。
アクスタが斜めにでかい!!
昨日の夜から並んで真っ先にゲットした人が動画を上げてる。
めちゃくちゃインプレッション稼いでるなあ。
やるなあ。
転売すると呪いが掛かる私のグッズは、転売屋には大変不人気と言うか命に関わるので寄ってこないのだ。
だから欲しい人しか手に入れないと思うんだけど、そこまでしてゲットするほどのものなのか……?
「解せぬ」
『よくわかんないよねー』
ベルっちも出てきて、『下でなんか紅茶淹れてきてあげるねー』とか言ってくれた。
持つべきものは私!!
「ありがとーう!」
続きを見ていきましょう。
多分この人も、視聴数とかハートとかコメントを稼ぐためにやっているんでしょう。
こんな目をキラキラ輝かせて、アクスタ二つ手にしてぴょんぴょん飛び跳ねるとか……。
本当に嬉しいの!?
なんですって!?
『はづきっちアクスタ一番のりおめでとう!』『いいなー!』『私もゲットする!』『夜から並んでたってマジ!?』『めちゃくちゃ在庫用意してるんでしょ?』投稿者『最初にほしかったの!』
う、うわあーっ。
私の知らない世界が展開されている!
いつもはツブヤキックスのドブみたいな空間を心地よく漂っているので、キラキラしてるPickPockを見ると世界の違いにクラクラするのだ。
というか女子が多くありませんかね?
ツブヤキックスではおじさんとおばさんが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)してるのに!
世界は広いなー。
と思いながら、気軽な気持ちで「お買い上げありがとうございます、カップラーメンの蓋の重しに使ってね」とコメントしておいた。
後々、このコメントがまた大きくバズったらしいんだけど、知らない。
私は何も知らないぞ!!
ちょっと話が大きくなってきているので、戻ってきたベルっちと二人で紅茶とビスケットを楽しみつつ、PC大画面で確認することにしたのだった。
あっ!!
アワチューブの生中継!!
めっちゃ人がいるよ!
私あそこにいないのに!
なんということだ……。
『はづき、これは緊急会見をせねばならないのでは』
「なんかそんな気がしてきた! やるか!」
ということで私たち、緊急のゲリラ配信であります。
自室からスタートした配信で、生中継の画面の中の人達がざわつくのが見える。
「こんきらー! きら星はづきでーす! ベルっちも一緒! 今日はみんな、私の歌を買うために集まってくれてありがとう! 曲だけならダウンロード販売でたくさん売ってるからね。アクスタはなんかかなりたくさん作ったそうなんで、欲しい人は慌てなくても大丈夫です、多分!」
『うんうん。いやー、それにしても驚いたよねえ。すっごく人がいっぱいいるんだもん。私たち、渋谷でリアルイベントをやろうって話もあったんだけど、絶対ヤバい大混乱になるからやめとこって話になって』
※『はづきっちのリアイベ!?』『うわー見たかった!』『やってー!』『今からでも遅くない!』
な、なんだとー!
というかコメント欄がいつもの民度と違う!
なんかこう、若さとかフレッシュさを感じるのだ。
これ、並んでる人達がリアルタイムで書き込んでるからか!?
「いやいやいや、もうね、洒落にならないくらいの混雑になるから! なので私、自宅でまったりと配信中です! あ、ビスケット食べます」
『お母さんが焼いてくれたやつ、美味しい~』
※おこのみ『ああ~サクサクASMR~』『はづきっちの咀嚼音はいいものですなあ』『突発配信にも対応した甲斐があった!』
「来たな、センシティブ勢!!」
なんかこの汚いコメントを見ていると安心してくるなあ。
実家のような安心感。
いや、今実家なんですが。
話題がすっかり私のビスケットサクサクに行ったところで。
「……でもニーズがあるならちょっと覗きに行こうかな?」
『行っちゃおっか』
なんかノリでそういう感じになったのだった。
コメント、大いに盛り上がる。
「えー、では上空を飛び回るので発見された皆さんは指さしていただければ……。ではゴー!」
ベルっちと合体し、ここからは行程までリアルタイム!
一気に飛翔して渋谷上空に差し掛かる。
「みなさーん! こんきらー!! ちゃんとお行儀よく整列して買いましょー!!」
大声で並んでいる人達に向けて叫んだら、ウワーッと盛り上がる。
それはそれは、一昨年のハロウィンパレードを超越するような騒ぎだったそうな。
もうね、知らんぷりをしてその日は過ごしてますよ。
土曜日なんで、本来なら私が直々に出張って宣伝できるんだけど。
絶対地獄のような大混雑になる。
そして私はそういう状況が極めて苦手である!
いやあ、全部MVでの演出にしてもらって本当に良かった。
ハハハ、と笑いながら私はスマホでSNSをチェックする。
おっ、PickPockで新しい動画流れてきてるじゃん。
うわあ、これはひどい混雑だな。
なんだなんだ。
『はづきっちの新曲! CDのオマケにオリジナルのアクスタが付くって!』『やべー! ほしー!』『水モードと風モードがあるって!』『2バージョン!? どっちも手に入れなきゃじゃん!!』
な、なにぃーっ!!
これは私の曲を買うために並んでいる行列だったのか!
目当てはオマケのアクスタみたい。
確かに新しいの撮り下ろしたもんねえ。
水モードは、水の大魔将と戦った時をイメージして、ジャージマントに体操服、そこにオリジナルのレインコートみたいなのを被ってる。
これはベルっちが担当してくれているのだ。
あの時はこんなのを身につけていなかったはずだが……!?
風モードは、バングラッドウイングで飛んでる私。
これもベルっちにモデルになってもらったやつ。
アクスタが斜めにでかい!!
昨日の夜から並んで真っ先にゲットした人が動画を上げてる。
めちゃくちゃインプレッション稼いでるなあ。
やるなあ。
転売すると呪いが掛かる私のグッズは、転売屋には大変不人気と言うか命に関わるので寄ってこないのだ。
だから欲しい人しか手に入れないと思うんだけど、そこまでしてゲットするほどのものなのか……?
「解せぬ」
『よくわかんないよねー』
ベルっちも出てきて、『下でなんか紅茶淹れてきてあげるねー』とか言ってくれた。
持つべきものは私!!
「ありがとーう!」
続きを見ていきましょう。
多分この人も、視聴数とかハートとかコメントを稼ぐためにやっているんでしょう。
こんな目をキラキラ輝かせて、アクスタ二つ手にしてぴょんぴょん飛び跳ねるとか……。
本当に嬉しいの!?
なんですって!?
『はづきっちアクスタ一番のりおめでとう!』『いいなー!』『私もゲットする!』『夜から並んでたってマジ!?』『めちゃくちゃ在庫用意してるんでしょ?』投稿者『最初にほしかったの!』
う、うわあーっ。
私の知らない世界が展開されている!
いつもはツブヤキックスのドブみたいな空間を心地よく漂っているので、キラキラしてるPickPockを見ると世界の違いにクラクラするのだ。
というか女子が多くありませんかね?
ツブヤキックスではおじさんとおばさんが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)してるのに!
世界は広いなー。
と思いながら、気軽な気持ちで「お買い上げありがとうございます、カップラーメンの蓋の重しに使ってね」とコメントしておいた。
後々、このコメントがまた大きくバズったらしいんだけど、知らない。
私は何も知らないぞ!!
ちょっと話が大きくなってきているので、戻ってきたベルっちと二人で紅茶とビスケットを楽しみつつ、PC大画面で確認することにしたのだった。
あっ!!
アワチューブの生中継!!
めっちゃ人がいるよ!
私あそこにいないのに!
なんということだ……。
『はづき、これは緊急会見をせねばならないのでは』
「なんかそんな気がしてきた! やるか!」
ということで私たち、緊急のゲリラ配信であります。
自室からスタートした配信で、生中継の画面の中の人達がざわつくのが見える。
「こんきらー! きら星はづきでーす! ベルっちも一緒! 今日はみんな、私の歌を買うために集まってくれてありがとう! 曲だけならダウンロード販売でたくさん売ってるからね。アクスタはなんかかなりたくさん作ったそうなんで、欲しい人は慌てなくても大丈夫です、多分!」
『うんうん。いやー、それにしても驚いたよねえ。すっごく人がいっぱいいるんだもん。私たち、渋谷でリアルイベントをやろうって話もあったんだけど、絶対ヤバい大混乱になるからやめとこって話になって』
※『はづきっちのリアイベ!?』『うわー見たかった!』『やってー!』『今からでも遅くない!』
な、なんだとー!
というかコメント欄がいつもの民度と違う!
なんかこう、若さとかフレッシュさを感じるのだ。
これ、並んでる人達がリアルタイムで書き込んでるからか!?
「いやいやいや、もうね、洒落にならないくらいの混雑になるから! なので私、自宅でまったりと配信中です! あ、ビスケット食べます」
『お母さんが焼いてくれたやつ、美味しい~』
※おこのみ『ああ~サクサクASMR~』『はづきっちの咀嚼音はいいものですなあ』『突発配信にも対応した甲斐があった!』
「来たな、センシティブ勢!!」
なんかこの汚いコメントを見ていると安心してくるなあ。
実家のような安心感。
いや、今実家なんですが。
話題がすっかり私のビスケットサクサクに行ったところで。
「……でもニーズがあるならちょっと覗きに行こうかな?」
『行っちゃおっか』
なんかノリでそういう感じになったのだった。
コメント、大いに盛り上がる。
「えー、では上空を飛び回るので発見された皆さんは指さしていただければ……。ではゴー!」
ベルっちと合体し、ここからは行程までリアルタイム!
一気に飛翔して渋谷上空に差し掛かる。
「みなさーん! こんきらー!! ちゃんとお行儀よく整列して買いましょー!!」
大声で並んでいる人達に向けて叫んだら、ウワーッと盛り上がる。
それはそれは、一昨年のハロウィンパレードを超越するような騒ぎだったそうな。
61
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
【ダン信王】#Aランク第1位の探索者が、ダンジョン配信を始める話
三角形MGS
ファンタジー
ダンジョンが地球上に出現してから五十年。
探索者という職業はようやく世の中へ浸透していった。
そんな中、ダンジョンを攻略するところをライブ配信する、所謂ダンジョン配信なるものがネット上で流行り始める。
ダンジョン配信の人気に火を付けたのは、Sランク探索者あるアンタレス。
世界最強と名高い探索者がダンジョン配信をした甲斐あってか、ネット上ではダンジョン配信ブームが来ていた。
それを知った世界最強が気に食わないAランク探索者のクロ。
彼は世界最強を越えるべく、ダンジョン配信を始めることにするのだった。
※全然フィクション
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる