上 下
369 / 517
年越し私のまったり編

第370話 バーチャル神社にみんな集合伝説

しおりを挟む
「お前らこんきら~、そしてあけましておめでとうございます」

※『あけおめです~!』『今年も挨拶はこんきらから始まった』『これを聞かないと一年が始まらないよね』『はづきちゃんとベルっちの着物かわいい~』『とてもかわいい』

 おおーっ、新年からみんな元気だなあ!
 お正月は家でのんびりしてる人が多いから、動画があると暇を潰せるもんね。
 皆さんの退屈な時間を解消するお手伝いをしましょう!

「私はですねー。ツブヤキックスで告知した通り、イノシカチョウの三人と一緒にこのバーチャル空間で初詣してきます! ちなみにリアルでは初詣終えたので、私は二度目詣でです」

『甘酒美味しかったよねえ。振り袖でぎゅうぎゅうになってなければもっとカパカパ飲んだ』

※『初詣いいなー』『甘酒飲んだの?』『リアルはづきっちの着物も見てみたい!』

 おや……?
 コメントの民度がずいぶん高いな……。
 もしや普段の配信を見れていないタイプのリスナーさんもたくさんいる……?

 イノシカチョウの三人も配信を始めていて、みんな自分のリスナーさんたちに挨拶している。
 そしてバーチャル空間にいると、リスナーではない一般通過な人たちの注目も浴びるわけで。

『あっ、イカルガが配信してる!』『二人いるってことははづきっち!?』『双子みたいでかわいい~』『同一人物だけどな』

 せっかくなので、みんなへのサービスのためにポーズを取ったりしてみる。
 スクショタイムというやつです。

「あのコミュ障だった先輩がすっかり配信者として一人前に……」

「師匠はアバター被っちゃうと覚悟が決まるところあるよね」

「かわいい! かわいい!」

 イノシカチョウの誰かさんが、リスナーや一般の人に混じってスクショしまくってるんですけど!

 そうこうしていたら、向こうから知っている配信者の一団がやってきた。
 なうファンタジーご一行様だ!

「やあはづきちゃん! あけましておめでとうございます」

「八咫烏さんあけましておめでとうございます~!」

 黒い紋付袴の八咫烏さん。
 なうファンタジー男性配信者の登録者数トップなんだけど、とても気さくな人なのだ。
 斑鳩は最近どう? とか、私からは三角関係なんですけど本人全く気付いてないです、とかそういう話をした。

 あっ、コメント欄が怒涛のように流れていく!!
 みんな、引退した後なのに兄のことに興味あるのねえ。

 私は微笑ましく思いながら、バーチャル神社に突撃です。
 ここは配信者専用の神社。

 あちこちで、見たことがある配信者さんがわいわいとアクティビティを楽しんでいる。
 おみくじを引いたり、手水台にいたり、湧いてくる煙を頭に向けて仰いだり、あとは本殿で拝んだりしている。

 なんか、仁王像の形の木人があちこちにあって、手合わせしたりできるみたい。
 神社……?
 お寺では……?

「はづきさんお久しぶり~! あけましておめでとうございます。元気だった?」

「うおー風街さんお久しぶりですあけましておめでとうございます~!」

 風街さんは、ライブダンジョン勢と一緒に来てるみたい。
 八咫烏さんも巻き込んで、三人+一人で立ち話などする。

「はづきさんって本当に二人になってるんだ!? 今の迷宮省、それでもよしとするあたりはかなり良くなったんだね。私は今はあそこから外れて歌手活動一本かなあ……」

 かなり砕けた感じになった風街さんなのだ。

「風街さん、あちこちで歌を聞きますもんねー」

「はづきさんもすぐそうなるよ。絶対。街中であの歌が流れる」

「あひー」

「売れっ子配信者の宿命みたいなものだよね。僕も歌手デビューしてるから、ちょこちょこ自分の歌声が聞こえてくるし」

 八咫烏さんも!

『問題は私たちは一人デュエットだから二倍聞こえてくることで』

「ああ~」

 お二人が笑いながら頷いた。
 とりあえず、心強く偉大な先輩がいらっしゃるということで、今後は色々なアドバイスを求めていこう……。

 インペリアルレコードさんはとんでもないくらい曲がダウンロードされて、目の色を変えているという噂だし。
 こ、これは一曲でやめさせてくれなそうな雰囲気だぞ……!!

「ウェーイ! はづきちゃんじゃん! おひさ! あけましておめでとうございます!!」

「チャラウェイさーん! あけましておめでとうございます!」

※『今度はチャラウェイがドワーフ引き連れてやってきたぞ!』『大同窓会じゃん!』『バーチャル神社すげー』『あっ、スパイスちゃんにスレイヤーVもいるじゃん!!』『フォーガイズ揃ってる!』

 本当に同窓会みたいになってきたなあ!

 私はスパイスちゃんとハイタッチし、このとんでもない可愛さなのにおじさんなのか……! と戦慄したりなどした。
 配信界では、もみじちゃんと双璧を成す可愛さということで注目されているのだ、このバ美肉おじさんは!

 そしてそして、スレイヤーVさん。
 彼は自分のアバターのママであり、配信の師匠である私に敬意を表して来る。

「配信で手加減はできるようになりましたか……」

「いやあ、まだまだ力が入りすぎて、盛り上がりどころの演出がなかなか。子どもたちにも厳しい指摘をされているよ」

 子どもたちは配信毎日見てるからねえ。
 スレイヤーVさんこと、大京嗣也氏が現役だった頃は、ダンジョン踏破がエンタメじゃなくて公共事業みたいになっていたそうで。
 だから遊びなんてなしに、全力攻略が基本だったのだ。

 時代は変わりましたねえ。

「はづきちゃーん!! そろそろみんなで参拝するよー!」

 おっと、ぼたんちゃんのお呼びが掛かった。
 お賽銭はやっぱりQRコードだったりするんだろうか?

 私は本殿へと向かうことにするのだった。
 あっ、同窓会はベルっちに任せた!
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

社畜探索者〜紅蓮の王と異界迷宮と配信者〜

代永 並木
ファンタジー
井坂蓮二、23歳 日々サービス残業を繰り返し連続出勤更新し続け精神が疲弊しても働き続ける社畜 ふと残業帰りにダンジョンと呼ばれる物を見つけた ダンジョンとは10年ほど前に突如現れた謎の迷宮、魔物と呼ばれる存在が闊歩する危険なダンジョンの内部には科学では再現不可能とされるアイテムが眠っている ダンジョンが現れた影響で人々の中に異能と呼ばれる力を得た者が現れた 夢か金か、探索者と呼ばれる人々が日々ダンジョンに挑んでいる 社畜の蓮二には関係の無い話であったが疲れ果てた蓮二は何をとち狂ったのか市販の剣(10万)を持ってダンジョンに潜り己の異能を解放する それも3等級と呼ばれる探索者の最高峰が挑む高難易度のダンジョンに 偶然危機に瀕していた探索系配信者竜胆天音を助け社畜の傍ら配信の手伝いをする事に 配信者や異能者に出会いながら探索者として活躍していく 現2章

処理中です...