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年末私の大感謝祭編
第351話 手始めに! 歌ってみた動画伝説
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私のオリ曲を作ってくれる人が、明らかに聞いたことがあるビッグな人で「どひぇー」となった。
私の担当であるノリマキさんからの連絡で分かったことだ。
リキトさんという人で、ネチョネチョ動画全盛期から活動してるシンガーソングライター。
昔は自曲をソングロイドという歌ってくれるソフトに歌わせてたんだけど……。
今はそっち方面から出た人たちが、どんどん世の中で活躍しているよねえ。
「大変なことになってしまった」
「まさか先輩の歌をつくる人があのリキトさんとは……」
もみじちゃんも唸る。
うんうん、歌とかに関わっていると詳しくなるよね。
なうファンタジーやライブダンジョンにも何曲も提供してる人だ。
で、手が早い。
さらさらっと曲を作っちゃう。
雛形みたいなのが送られてきたので聞いてみたら、これがまあいい曲なのだ。
アップテンポなピコピコポコポコ音に、歌声の指定はダウナーな感じからサビで明るくなる。
おっ、へっぽこな感じでやってほしいという指定でラップまである。
「先輩の配信そのままですねこれ。凄い……。雰囲気をよく掴んでる……」
「そうなの!? さすがプロの作曲家だなあ……」
歌の仮曲名は、『きら星!』となっていた。
な、なるほどー。
私の歌だあ。
インペリアルレコードさんは本当に私をデビューさせるつもりなんだなあ……。
ま、まあこの一曲だけですから。
で、本日はイカルガスタジオにもみじちゃんといるわけですが。
「先輩、やっぱり歌ってみたを一曲投下して様子を見るべきですよ」
「あひー!? ま、まさか私が歌ってみた動画をアップする時が来るなんて……」
歌ってみた動画とは!
配信者が既存の曲を自分で歌ってみて、それをアップするカラオケ動画みたいなものだ。
専用のMVを載せたりもするね。
「ほとんどの配信者の人は歌みた(歌ってみた動画)を公開してますよ。先輩くらい登録者が多くて、歌みた動画がない人はむしろ凄く珍しいです」
「それほどに……」
全然意識していなかった。
でも、アーカイブの数だけはとても充実していると思うのだが。
あと、切り抜き動画もたくさんあるし。
「歌みた出しましょう! 曲はうちが選んできました。先輩の声質にピッタリのやつ! これです! 婚活天使ヤンヤンちゃんの主題歌『虎になれ』!」
「それかあー!」
婚活天使ヤンヤンちゃんの主題歌、虎になれ、はポップでかわいい曲調なのに歌詞がちょこちょこ物騒な内容になっていて、新時代の電波ソングと有名だ。
確かに歌手の人の声も特徴的だったと思うけど……。
「私とは違うでしょう」
「いいんですいいんです。それに、歌みたは歌い手の個性を楽しむんですよ! じゃあ早速やってみましょう!」
もみじちゃんが合図を出すと、画面にカラオケが表示された。
うむ、私もこの歌は歌える。
お風呂でいい気分になりながら口ずさむからね。
何気に私、お気に入りのアニソンとかネットの歌とかは一通り覚えているのだ。
そして私の歌い方は……。
一通り歌いきった後で、スタッフさんたちが「おおおおお」とどよめいた。
「先輩、自信なさそうな歌い方でしたけど、音のアップダウンとか抑揚とか声の区切りとか、原曲とピタッと合ってる!!」
「私は原作尊重タイプなので……!!」
歌いこんだ歌ならば、このように元の歌い手さんや歌手さんにピッタリ合わせて歌えるのだ!
「あと先輩、音域広くないです? かなりの低音から高音まで」
「お気に入りの歌は男性ボーカルのもあるので練習しました……お風呂で」
「これは凄い原石だったのかも知れない……。昨年末にうちと歌ったの、あれは先輩の力の半分も出ていなかったんですね!! これは先輩の真価を世に訴えねばならない!!」
「使命感に燃えてる~!!」
なんということでしょう!
これはあくまでカラオケレベルなんですけど。
あと、マイクを通して聞く自分の声は不思議な声で、なんか違う感が凄い……!
わ、私はできれば原曲は原曲のままか、アレンジバリバリされて上手な歌い手さんの声で聞きたいんだ~。
だが!
状況は私の手を離れて進行してしまうのである!
私の歌レッスン。
なんかモーションを取る作業。
集まる動画チーム。
キャラデザインに颯爽と現れるエメラクさん!
猛スピードでMV……ミュージックビデオみたいなのが出来ていった。
で、私の歌の収録なのだ。
嵐のようだった。
一週間くらいで作業は終わった。
私は怒涛の一週間の後、魂が抜けたみたいな感じでツブヤキックスに投稿した。
『初歌ってみたが投稿されますー。今日の20時なんでよろしくお願いしますー』
反応は劇的だった。
『うおおおおおおおお』『はづきっち単独は初でしょ!?』『ついにはづきっちが歌を!!』『絶対聞くよ!』『ヘビロテ確定!』『覇権きた!』
そうか、それ以前のはなんかライブダンジョンさんのにとこで歌ったカラオケとか、年末イベントで歌ったのくらいしか無かったな……。
みんなそこまで私の歌に飢えて!?
いやいや、そんなまさか。
私のチャンネルで、歌みた動画がプレミアム公開された。
このプレミアム公開というのは、動画をアップ後にリアルタイムでみんなでワイワイコメントしながら視聴できるやつね。
当然私もチャンネルにいる。
はづき『緊張してきた』
※『本人おったw!!』『楽しみにしてる!』『この時をどれだけ待ったか!』『うおおおお』
乱れ飛ぶスパチャ!
はづき『落ち着いてください落ち着いてくださいまだ何も始まってない』
そして私の初歌ってみた動画、『虎になれ』が公開された。
権利元さんも快く許諾してくれたんだよね。
ツブヤキックスではプレミアム公開に合わせて、オリジナルの歌手の人がリツブヤキしてくれてる。
ひ、広まっていく!
私の歌みたがあ。
いや、ここで耐性をつけておくべきなんだろうな。
年末には私、ステージの上でオリジナル曲歌うんだし……。
私が物思いにふけっていると、歌みた動画が始まり、そして終わった。
大反響。
『虎になれ』がトレンドランキングを駆け上がり、トップになった。
原曲がめちゃくちゃダウンロードされたらしい。
凄い経済効果だ……!!
うぉっちチャンネル『素晴らしい歌みただったのだ! 動画について、僕のチャンネルでも詳しく解説させてほしいのだ!』
うぉっちチャンネルさんから依頼が来たので、私は許可を出しておいた。
もう好きにしてくれ……!!
私は恥ずかしいという感情を超越したぞ……!!
私の担当であるノリマキさんからの連絡で分かったことだ。
リキトさんという人で、ネチョネチョ動画全盛期から活動してるシンガーソングライター。
昔は自曲をソングロイドという歌ってくれるソフトに歌わせてたんだけど……。
今はそっち方面から出た人たちが、どんどん世の中で活躍しているよねえ。
「大変なことになってしまった」
「まさか先輩の歌をつくる人があのリキトさんとは……」
もみじちゃんも唸る。
うんうん、歌とかに関わっていると詳しくなるよね。
なうファンタジーやライブダンジョンにも何曲も提供してる人だ。
で、手が早い。
さらさらっと曲を作っちゃう。
雛形みたいなのが送られてきたので聞いてみたら、これがまあいい曲なのだ。
アップテンポなピコピコポコポコ音に、歌声の指定はダウナーな感じからサビで明るくなる。
おっ、へっぽこな感じでやってほしいという指定でラップまである。
「先輩の配信そのままですねこれ。凄い……。雰囲気をよく掴んでる……」
「そうなの!? さすがプロの作曲家だなあ……」
歌の仮曲名は、『きら星!』となっていた。
な、なるほどー。
私の歌だあ。
インペリアルレコードさんは本当に私をデビューさせるつもりなんだなあ……。
ま、まあこの一曲だけですから。
で、本日はイカルガスタジオにもみじちゃんといるわけですが。
「先輩、やっぱり歌ってみたを一曲投下して様子を見るべきですよ」
「あひー!? ま、まさか私が歌ってみた動画をアップする時が来るなんて……」
歌ってみた動画とは!
配信者が既存の曲を自分で歌ってみて、それをアップするカラオケ動画みたいなものだ。
専用のMVを載せたりもするね。
「ほとんどの配信者の人は歌みた(歌ってみた動画)を公開してますよ。先輩くらい登録者が多くて、歌みた動画がない人はむしろ凄く珍しいです」
「それほどに……」
全然意識していなかった。
でも、アーカイブの数だけはとても充実していると思うのだが。
あと、切り抜き動画もたくさんあるし。
「歌みた出しましょう! 曲はうちが選んできました。先輩の声質にピッタリのやつ! これです! 婚活天使ヤンヤンちゃんの主題歌『虎になれ』!」
「それかあー!」
婚活天使ヤンヤンちゃんの主題歌、虎になれ、はポップでかわいい曲調なのに歌詞がちょこちょこ物騒な内容になっていて、新時代の電波ソングと有名だ。
確かに歌手の人の声も特徴的だったと思うけど……。
「私とは違うでしょう」
「いいんですいいんです。それに、歌みたは歌い手の個性を楽しむんですよ! じゃあ早速やってみましょう!」
もみじちゃんが合図を出すと、画面にカラオケが表示された。
うむ、私もこの歌は歌える。
お風呂でいい気分になりながら口ずさむからね。
何気に私、お気に入りのアニソンとかネットの歌とかは一通り覚えているのだ。
そして私の歌い方は……。
一通り歌いきった後で、スタッフさんたちが「おおおおお」とどよめいた。
「先輩、自信なさそうな歌い方でしたけど、音のアップダウンとか抑揚とか声の区切りとか、原曲とピタッと合ってる!!」
「私は原作尊重タイプなので……!!」
歌いこんだ歌ならば、このように元の歌い手さんや歌手さんにピッタリ合わせて歌えるのだ!
「あと先輩、音域広くないです? かなりの低音から高音まで」
「お気に入りの歌は男性ボーカルのもあるので練習しました……お風呂で」
「これは凄い原石だったのかも知れない……。昨年末にうちと歌ったの、あれは先輩の力の半分も出ていなかったんですね!! これは先輩の真価を世に訴えねばならない!!」
「使命感に燃えてる~!!」
なんということでしょう!
これはあくまでカラオケレベルなんですけど。
あと、マイクを通して聞く自分の声は不思議な声で、なんか違う感が凄い……!
わ、私はできれば原曲は原曲のままか、アレンジバリバリされて上手な歌い手さんの声で聞きたいんだ~。
だが!
状況は私の手を離れて進行してしまうのである!
私の歌レッスン。
なんかモーションを取る作業。
集まる動画チーム。
キャラデザインに颯爽と現れるエメラクさん!
猛スピードでMV……ミュージックビデオみたいなのが出来ていった。
で、私の歌の収録なのだ。
嵐のようだった。
一週間くらいで作業は終わった。
私は怒涛の一週間の後、魂が抜けたみたいな感じでツブヤキックスに投稿した。
『初歌ってみたが投稿されますー。今日の20時なんでよろしくお願いしますー』
反応は劇的だった。
『うおおおおおおおお』『はづきっち単独は初でしょ!?』『ついにはづきっちが歌を!!』『絶対聞くよ!』『ヘビロテ確定!』『覇権きた!』
そうか、それ以前のはなんかライブダンジョンさんのにとこで歌ったカラオケとか、年末イベントで歌ったのくらいしか無かったな……。
みんなそこまで私の歌に飢えて!?
いやいや、そんなまさか。
私のチャンネルで、歌みた動画がプレミアム公開された。
このプレミアム公開というのは、動画をアップ後にリアルタイムでみんなでワイワイコメントしながら視聴できるやつね。
当然私もチャンネルにいる。
はづき『緊張してきた』
※『本人おったw!!』『楽しみにしてる!』『この時をどれだけ待ったか!』『うおおおお』
乱れ飛ぶスパチャ!
はづき『落ち着いてください落ち着いてくださいまだ何も始まってない』
そして私の初歌ってみた動画、『虎になれ』が公開された。
権利元さんも快く許諾してくれたんだよね。
ツブヤキックスではプレミアム公開に合わせて、オリジナルの歌手の人がリツブヤキしてくれてる。
ひ、広まっていく!
私の歌みたがあ。
いや、ここで耐性をつけておくべきなんだろうな。
年末には私、ステージの上でオリジナル曲歌うんだし……。
私が物思いにふけっていると、歌みた動画が始まり、そして終わった。
大反響。
『虎になれ』がトレンドランキングを駆け上がり、トップになった。
原曲がめちゃくちゃダウンロードされたらしい。
凄い経済効果だ……!!
うぉっちチャンネル『素晴らしい歌みただったのだ! 動画について、僕のチャンネルでも詳しく解説させてほしいのだ!』
うぉっちチャンネルさんから依頼が来たので、私は許可を出しておいた。
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