309 / 517
出張!私のイギリス編
第309話 ビクトリアを背中に載せて空から観光?伝説
しおりを挟む
「恐るべき速度でスカーブラを解放してしまったな。私が一人で挑んだ場合、イエローキングに察知されて妨害を受ける可能性が高かった。だが、我々が揃ってスカーブラ攻略に要した時間は35分。異常な速度だ。イエローキングもさすがに全く間に合わない」
ルシファーさんが愉快そう。
スカーブラはすぐに再建されるそうで、いつの間にか外で控えていた建築とかインフラ関係の人たちが、うわーっとなだれ込んできた。
「人類の反撃が始まるぞ。ここから勢力図を塗り替えていく。隔日でイエローキングの領域を削り取るのだ!」
盛り上がってますなあ。
私はと言うと、バングラッド氏の慣らし運転。
デビュー前に私との合体機能を発表したこの魔将の人、まだ色々隠し玉を持っていそうだけど……。
「リーダー、はやくはやく!」
「はいはい」
「私は掴まって飛ぶのは勘弁ですねえ……」
タマコさんは普通の人だからね。
下で見ててほしい。
「じゃあ行きますよ、バングラッド氏ー」
『おうとも! ふんぬらー!!』
飛び上がる私。
近くにいたインフラの仕事の人たちから、「オー」と驚きの声があがった。
いきなり女の子が飛んだら驚くよねえ。
背中にはビクトリアをくくりつけている。
飛びたい飛びたいって言うんだから。
そうしてみんなで、空からスカーブラ観光なのだ。
赤いレンガみたいな屋根が続いていてきれい。
海に面した港町で、実に絵になるところなのだ。
凍りついていた船も元通り。
小さい港に、カラフルな可愛い船が並んでいるのは見てるだけで楽しい。
しばらく風を受けながら、びゅんびゅんと空を飛んだ。
基本的にバングラッド氏の気分次第ね。
私は背中にビクトリアをくっつけたまま、ゴボウを抜く練習をした。
ふむふむ、このタイミングか……。
飛びながらだと忙しいから、飛び上がる時に抜くのが無難かなあ。
いやいや、飛びながらでもやれないことはない。
さっきのルシファーさんみたいに、モンスターをつまんで盾にしておけばいいか。
新しい戦い方が見つかってきたぞ……。
「スカボロー城が見えるわ! あそこに降りてみたい!」
「ははあ、いいでしょう。バングラッド氏~」
『心得た! ぬうん!』
バビューンと飛んでいくバングラッドウイング。
あっという間に到着した。
まあ、飛ぶ速度は凄く速くはない。
多分、時速40kmくらい?
それでも空を自由に動けるだけでぜんぜん違うからね。
『きら星はづきに攻撃を任せておけば、あの異常な動体視力で何もかもなんとかしてくれるからな! 実に楽ちんだ。いや、我も直々に戦いたいのだが、この飛行速度では相手に追いつけぬからな……!』
本来飛ぶわけがない形の物を飛ばせるのに全力なので、速度を出すなんてもっての外らしい。
これはアバター技術の一層の発展を待つしか無いだろう。
あんまり速く飛ばれても、風がぶつかってきて大変そうな気もするけど。
ビクトリアが歓声をあげながら、スカボロー城の遺跡っぽい姿を見学して回っている。
なんかヨーロッパって感じがしますねえ。
ファンタジー世界みたい。
こっちの家って昔風に見える作りをしてるから、現代って感じがしないよね。
風情があるー。
そしてちょっと高台にあるこのお城からは、イギリスの北部方面が雲に包まれているのが見える。あれがイエローキングの領域かな?
いやあ、山が少ないですね!
平らですね!
大変満足したので、私はその場にのんびりと座り込んでビクトリアがお城観光から戻るのを待つのだった。
バングラッド氏も分離し、また人型に戻る。
『空を飛ぶ相手ばかりというのはなかなか面倒であろうな。ウェンディゴどもは大した相手では無いが、飛んでいるだけで脅威になりうる。まあ我らが飛んだので普通の雑魚に成り下がったが』
「ねー。でも、あの対象を凍らせる視線は結構使えそうだと思うんだよね」
『使えそうと言うと……シャーベットでも作るのか?』
「そうですそうです。暑い夏の日は重宝しそう。残念ながら、今はちょっと肌寒い秋だけど」
イギリスの緯度って樺太と同じくらいらしいから、多分寒い……寒い?
いや、案外日本と変わらないぞ。
それに雨が多いと聞いてたけど、霧雨がサッと降るくらいで全然大した事ない。
イメージ通りだったの、カレーとアフタヌーンティが美味しいことだけだったな。
あ、でもお高い店にしか行ってないし、安いところはもしかすると個性的な味かもしれない。
確かめたい。
何事も偏見は良くないもんね……。
うんうん、と頷く私だった。
「リーダーがまた一人で何か合点しているわ。満足したから帰りましょ。明日はオフなんでしょ? 観光に行きましょうよ。それにタマコが待ってるわ」
「あっ、そうだった」
またバングラッド氏を装着し、ビクトリアを今度は私が抱っこして飛ぶ。
「私、リーダーに抱きしめられる機会がとても多いと思うのだけど」
「ビクトリアは細いし軽いから持ちやすいね」
「喜んでいいところなのかしら……」
体重が軽くて喜ぶ女子は多いよね。
私はこう、胸元やお尻や太もものお肉が落ちないので、なかなかどっしりとした重量を誇っている。
身長から100を引いたよりもちょっと多いくらい……。
あっ、のんびりしてたらAフォンにルシファー氏からの鬼電が!
仕方ない、行くかあ。
私たちはまた、空に飛び上がるのだった。
ルシファーさんが愉快そう。
スカーブラはすぐに再建されるそうで、いつの間にか外で控えていた建築とかインフラ関係の人たちが、うわーっとなだれ込んできた。
「人類の反撃が始まるぞ。ここから勢力図を塗り替えていく。隔日でイエローキングの領域を削り取るのだ!」
盛り上がってますなあ。
私はと言うと、バングラッド氏の慣らし運転。
デビュー前に私との合体機能を発表したこの魔将の人、まだ色々隠し玉を持っていそうだけど……。
「リーダー、はやくはやく!」
「はいはい」
「私は掴まって飛ぶのは勘弁ですねえ……」
タマコさんは普通の人だからね。
下で見ててほしい。
「じゃあ行きますよ、バングラッド氏ー」
『おうとも! ふんぬらー!!』
飛び上がる私。
近くにいたインフラの仕事の人たちから、「オー」と驚きの声があがった。
いきなり女の子が飛んだら驚くよねえ。
背中にはビクトリアをくくりつけている。
飛びたい飛びたいって言うんだから。
そうしてみんなで、空からスカーブラ観光なのだ。
赤いレンガみたいな屋根が続いていてきれい。
海に面した港町で、実に絵になるところなのだ。
凍りついていた船も元通り。
小さい港に、カラフルな可愛い船が並んでいるのは見てるだけで楽しい。
しばらく風を受けながら、びゅんびゅんと空を飛んだ。
基本的にバングラッド氏の気分次第ね。
私は背中にビクトリアをくっつけたまま、ゴボウを抜く練習をした。
ふむふむ、このタイミングか……。
飛びながらだと忙しいから、飛び上がる時に抜くのが無難かなあ。
いやいや、飛びながらでもやれないことはない。
さっきのルシファーさんみたいに、モンスターをつまんで盾にしておけばいいか。
新しい戦い方が見つかってきたぞ……。
「スカボロー城が見えるわ! あそこに降りてみたい!」
「ははあ、いいでしょう。バングラッド氏~」
『心得た! ぬうん!』
バビューンと飛んでいくバングラッドウイング。
あっという間に到着した。
まあ、飛ぶ速度は凄く速くはない。
多分、時速40kmくらい?
それでも空を自由に動けるだけでぜんぜん違うからね。
『きら星はづきに攻撃を任せておけば、あの異常な動体視力で何もかもなんとかしてくれるからな! 実に楽ちんだ。いや、我も直々に戦いたいのだが、この飛行速度では相手に追いつけぬからな……!』
本来飛ぶわけがない形の物を飛ばせるのに全力なので、速度を出すなんてもっての外らしい。
これはアバター技術の一層の発展を待つしか無いだろう。
あんまり速く飛ばれても、風がぶつかってきて大変そうな気もするけど。
ビクトリアが歓声をあげながら、スカボロー城の遺跡っぽい姿を見学して回っている。
なんかヨーロッパって感じがしますねえ。
ファンタジー世界みたい。
こっちの家って昔風に見える作りをしてるから、現代って感じがしないよね。
風情があるー。
そしてちょっと高台にあるこのお城からは、イギリスの北部方面が雲に包まれているのが見える。あれがイエローキングの領域かな?
いやあ、山が少ないですね!
平らですね!
大変満足したので、私はその場にのんびりと座り込んでビクトリアがお城観光から戻るのを待つのだった。
バングラッド氏も分離し、また人型に戻る。
『空を飛ぶ相手ばかりというのはなかなか面倒であろうな。ウェンディゴどもは大した相手では無いが、飛んでいるだけで脅威になりうる。まあ我らが飛んだので普通の雑魚に成り下がったが』
「ねー。でも、あの対象を凍らせる視線は結構使えそうだと思うんだよね」
『使えそうと言うと……シャーベットでも作るのか?』
「そうですそうです。暑い夏の日は重宝しそう。残念ながら、今はちょっと肌寒い秋だけど」
イギリスの緯度って樺太と同じくらいらしいから、多分寒い……寒い?
いや、案外日本と変わらないぞ。
それに雨が多いと聞いてたけど、霧雨がサッと降るくらいで全然大した事ない。
イメージ通りだったの、カレーとアフタヌーンティが美味しいことだけだったな。
あ、でもお高い店にしか行ってないし、安いところはもしかすると個性的な味かもしれない。
確かめたい。
何事も偏見は良くないもんね……。
うんうん、と頷く私だった。
「リーダーがまた一人で何か合点しているわ。満足したから帰りましょ。明日はオフなんでしょ? 観光に行きましょうよ。それにタマコが待ってるわ」
「あっ、そうだった」
またバングラッド氏を装着し、ビクトリアを今度は私が抱っこして飛ぶ。
「私、リーダーに抱きしめられる機会がとても多いと思うのだけど」
「ビクトリアは細いし軽いから持ちやすいね」
「喜んでいいところなのかしら……」
体重が軽くて喜ぶ女子は多いよね。
私はこう、胸元やお尻や太もものお肉が落ちないので、なかなかどっしりとした重量を誇っている。
身長から100を引いたよりもちょっと多いくらい……。
あっ、のんびりしてたらAフォンにルシファー氏からの鬼電が!
仕方ない、行くかあ。
私たちはまた、空に飛び上がるのだった。
21
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる