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出張!私のイギリス編

第308話 スカーブラ観光……いやいや攻略です伝説

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 やって来ました、スカーブラ!
 私はあんまり詳しくないけど、イギリスの有名な観光地なんだそうで。

「というわけでスカーブラなんですけどー」

※『スカボロー・フェア!!』『上陸二日目にしてここか!』『はづきっち今朝何食べたの?』

「イングリッシュ・ブレックファスト!! トーストとバターとソーセージと、目玉焼きとなんか豆を煮た味がないやつが出ましたねー。豆にはテーブルの上の調味料を掛けて味付けて食べるんだそうで。全体的に普通でした!!」

※『はづきっちに普通と言わせるとは……!!』『イングリッシュ料理、恐ろしい子……!!』

「普通だけどお代わりしてたくさん食べました。紅茶は本当に美味しかったですねえ」

※『凍りついた旧市街って感じの街をバックにして朝食の話をしてるの、草なのよ』

「そうでしたそうでした」

 私はスカーブラに向き直る。
 そこは、なんか風情のあるヨーロッパーって感じの港町なんだけど。
 どこもかしこも氷漬けになっている。

 風の大魔将は氷を使うタイプの人?
 氷属性?

『うむ、そこについてだが、風は吹き付けた対象の温度を奪う……ということで、大魔将は地上においては、凍てつかせる力をも己の権能として取り込んだのだ』

「おおーっ! 解説のバングラッドさんでした!」

※『普通にバングラッドがいるw!!』『いや、機内でも一緒にゲームしてたけどさw』『画面の隅っこにビクトリアもいるぞw』『イカルガの不動のトップとナンバー2、それから人間側に寝返った魔将が揃ってるのか……』

「ほう、配信をしているのか」

※『ルシファーもおる!!』『過剰戦力だろこれw』

 そうかも知れない。
 ということで配信スタートです。

 街に入った私たちめがけて、空から次々に緑色の大きな影が飛び降りてくる。
 これはなんですかね?

「ウェンディゴだ。それぞれが小規模な魔将ほどの力を持つ風の大魔将の眷属だぞ。だが、その中では雑魚と言えよう。ミス・ハヅキ。君がドイツ上空で蹴散らした連中がこれだ」

「ほへー」

 ルシファーさんの解説を受けて感心する私。
 ウェンディゴたちは、目からビームみたいなのを出してくる。

 これを、ルシファーさんが纏っていたマントを翻して打ち払っている。
 ビクトリアはこれを回避しながら、ラーフのスポンジ弾をポンポン撃っているのだ。
 ウェンディゴが『ウグワーッ!』と叫びながら消滅したり、落ちたりしている。

 それでも、飛んでいるのはめんどくさいなあ。

「空を飛んでいる敵をどうするかというのは問題ですよねえ皆さん」

※『はづきっちが新しい振りをしてきたぞ……!』『何か隠し玉があるのか!?』『お、おい、後ろでバングラッドが変形してるって!』

「昨日、バングラッド氏が現地協力者から、新しいアバターとしての力を得てきたので、初披露しようかと……」

『合体するぞきら星はづき!』

「あっ、早いです早い! まだタイミングが、あひー」

 全身を展開して大きい翼みたいになったバングラッド氏が、私の背中にくっついてきた。

※おこのみ『合体!?!?!?!?!』『合体だと!?』『ガタッ!!』『落ち着けお前ら!!』

 センシティブワード!!
 それはそれとして、私が反応を考えているうちにバビューンと飛び上がってしまう。

 飛行能力高いなー。
 集まってきていたウェンディゴの集団に突っ込んだら、触れただけで何体か『ウグワーッ!?』と弾け飛んだ。

※『まるごと弾丸みたいになったぞ!!』『はづきスクランダー!!』『はづきっち、ちょくちょく素手で怨霊をふっ飛ばしてたからな……』『ちゃんと力を込めると、そりゃあ相手は死ぬ』『しかも本物の魔将のバフが掛かってるのよ』『やべえよやべえよ……』

 イギリスにいた、バングラッド氏のゲーム友達。
 この人が優秀なアバターデザイナーで、今の時代のアバターって現実に影響を与える能力があるのでですね、こういう感じになってます。
 バングラッド氏が獲得したのは、新しい変形能力だった。

 お陰でなんか飛べるんですが、まあ、私の意志で飛ばないので。

『こっちに行くぞ!』

「はえー、武器の召喚が間に合わないんですけど」

『ぶっつけ本番だったからな! お主は黙ってぶつけられる武器になっておればいい!』

「なるほど、それは楽~。じゃあお前ら、雑談をですね。結構美味しかったんですよフィッシュ&チップス。揚げたてをむしゃむしゃーっと!」

『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』
『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』
『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』
『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』

※『当たり前みたいな顔で雑談しながら自分を弾丸にして敵を殲滅しとるw』『舐めプが過ぎるだろ……w!!』『フィッシュ&チップス美味しかったかあ』『よかったねえ^^』

「ほう、やるではないか、ミス・ハヅキ。ではやるか」

 視界の端で、ルシファーさんも空に浮かび上がってますねえ。
 あの人、自前で飛べるのかー。

 周りに来たウェンディゴが、ルシファーさんのオーラみたいなのが実体化したやつに引き裂かれてるんだけど。
 あれはグリフォンかな?

 さらにルシファーさんの周りに出てきたちっちゃいグリフォンみたいなのが、縦横無尽に飛び回ってウェンディゴを貫いていく。

「力を見るつもりだったが、あの女、何もしないままこの空を制圧するつもりか。ここであれに任せていては傲慢の名折れよ!」

「ルシファーさん、なんか空を歩きながら手近なウェンディゴの頭を掴んで『消えるが良い下郎』とか言って消滅させたりしてるなあ。私もですね、マネをしてみようかと。ひょいっと」

※『はづきっちのルシファーモノマネでイケボが出たw』『あっ、はづきっちがウェンディゴを素手でつまんだ!!』『背中の皮の辺りをつまんでるw!!』『つまんだまま振り回してるぞ!』『ウェンディゴが鈍器代わりにー!!』

「あっ、ここから古いお城が見えますね! 凍りついてたのがどんどん融けていっているみたいです。綺麗ですねー」

『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!』

※『敵の断末魔をBGMに観光解説してるのよw』『新しいスタイルの配信だなあ……』『あっ、ダンジョン化解けた』

 ウェンディゴ、全滅したようですねえ……!!
 儚い。

 後でビクトリアから、「私がリーダーとバングラッドさんの上に立って戦うのはどうかしら」

「私を踏み台に!?」

 新しいシナジー、生まれてしまうな……!
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