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秋めく私の学園祭編
第291話 きら星はづきを取材せよ!伝説
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我がクラスの出し物に決まってしまった、きら星はづきすごろく。
一体何をしようと言うんだ……。
私はまだ、混乱の最中にあった。
これよりも、昨年みたいな飲食店の方が分かりやすいのではないだろうか!
「マンネリは良くないと思うんだよね」
学級委員長がメガネをクイッとした。
昨年度も一年間学級委員長を務めた才媛は、何やらこだわりがあるらしい。
「ところで色々聞きたいんだけど、好きなものとか」
「えっとえと、ら、ラーメン好きですねえ」
「なるほど、ラーメン、と……」
何をメモしているんだろう……。
その後も、クラスメイトから色々聞かれる機会が増えた。
「ねえねえ師匠。師匠は人前で何かする時、心がけてるルーティーンとかある?」
「えっと、なんか食べますね」
「なるほどー」
なんだなんだ。
これを、生暖かい目で見つめるぼたんちゃんなのだ。
「やっぱりクラス中にバレてたかあ……」
なんか言ってる。
休み時間にも、みんな取材と言いながら私の配信動画を見ている。
主にダンジョンじゃない時の配信の方だね。
「はづきっちのすごろく、ダンジョンのはイベントマスで係の人とカードバトルにしようかなって」
「係の負担大きくない? それにランダムすぎてお客さん負けそう」
「じゃあプチ神経衰弱とか」
「カップの中にはづきっちのミニフィギュアを入れて、シャッフルして当ててもらうやつ」
「それだ!」
どんどん決まっていく。
我がクラスが、まさに一丸となって突き進んでいる!
何がみんなを結束させているんだろう……。
不思議だ……。
「そういうのがさっぱり分からないところが、はづきちゃんのいいところよねえ」
「な、なんの話なんだぼたんちゃん!」
「いいのいいの。今日はカフェオレフラッペ奢ってあげるね」
「ほんと!? うひょーありがとう!」
「あ、あたしは……!?」
「イノッチに奢ったらグランドサイズ確定でしょ……」
「師匠もグランドサイズだと思うけど……」
「はづきちゃんはいいのよ」
「ひいきだー!」
そんなやり取りをしつつ、四人で駅前のコーヒーショップに行ったりする。
ここにもうちのクラスの女子たちがいて、ドリンクを飲みながら論を戦わせていた。
あんな真剣な姿、授業中でも見たことないなあ。
「みんなはづきちゃんのこと大好きなのよ。だって、我が校が誇るスーパーヒロインだもの」
「そ、そこまでのものかなあ……。ほら、芸能人出身高校とかたくさんあるじゃない」
「リアルタイムで在校してるっていうのが大きいと思うな。それに……」
「師匠は一回、この学校を救ってるからね!」
「うんうん、先輩が上の階から降りてきて、押し寄せるデーモンをやっつけたのは痺れた~」
興奮のはぎゅうちゃんと、うっとりするもみじちゃん。
あー、あれかー。
あれは私が配信を始めてそんなに経ってない頃だもんね。
ダンジョンハザードは大変だったなあ。
今はイノシカチョウのみんなも、ダンジョンハザードに対処できるくらいの実力を身につけている。
もみじちゃんなんか単独で制圧できるでしょ。
「とにかく、今回の出し物はすごくいいものになりそうだなって思うな。はづきちゃんは楽しみにしてていいと思うよ」
「そ、そう? あと、なんか私は仕事を依頼されないんだけど……」
私だけ、なんか色々聞かれるだけで、その後にもらったジュースを飲んだりして放課後を過ごしているのだ。
手伝っている気がしない……!
なので、内職でポチポチと大京さんのアバターの修正をしたりしている。
「師匠は十分すぎるくらい仕事してると思うけど? あ、そっか」
「そうそう」
むむっ、はぎゅうちゃんともみじちゃんが、コソコソ話を始めた!
なんだなんだ。
もみじちゃんがすぐにこっちに向き直る。
「みんな先輩のお世話になってるから、今回はゆっくりしててっていうことじゃないかなーって」
「あ、そういうことかあ。気にしなくていいのに」
お料理のことかな?
確かに色々教えたなあ。
「師匠がすぐに納得してしまった」
だけど、私も手伝えることがあったら手伝いたいなあ。
ほら、シャッフルに使うきら星はづきフィギュアとかは、市販のものでもいいけどそういうのを用意してあげることもできるし……。
ということで、私はそれを委員長に提案した。
「ええっ!? わ、悪いよそんなにしてもらって! だって凄く忙しいでしょ!? 放課後に残ってもらってるだけでもみんな感謝してるのに……」
「ま、まあ、同じクラスメイトなんで、そんなに気を使わないでもらっても……。な、なのでちょっと作ってくるので……」
「作る!?」
既に随分前から、私はSDきら星はづきの3Dモデルを作成してくるくる回したりして遊んでいたのである。
これは後々式神に使えるかなーと思っていたんだけど、思わぬデビューの日が来たな。
たこやきにザッコで連絡し、会社の3Dプリンターを使わせてもらう。
何日か掛けて、五体くらいのきら星はづき3Dモデルを出力した。
これをクラスに持ち込む。
クラスメイトたちが、大歓声でそれを迎えた。
「かわいいー!!」「こんなの見たこと無い!」「えっ、これ作ったの!? 凄い……」
「い、いやあ、たまたま偶然3Dデータがあったから、知り合いが偶然持ってた3Dプリンターで出力してバリを削って処理して持ってきただけで、そんな大したことは……」
後日、可動可能になったこのモデルでベストラフィングカンパニーさんからSDフィギュアのすらいむろいどシリーズで出るかもだけど。
こうして彼女たちは、私のフィギュアをキャッキャしながら塗り始めた。
どんな彩色になるのか楽しみではある……。
一体何をしようと言うんだ……。
私はまだ、混乱の最中にあった。
これよりも、昨年みたいな飲食店の方が分かりやすいのではないだろうか!
「マンネリは良くないと思うんだよね」
学級委員長がメガネをクイッとした。
昨年度も一年間学級委員長を務めた才媛は、何やらこだわりがあるらしい。
「ところで色々聞きたいんだけど、好きなものとか」
「えっとえと、ら、ラーメン好きですねえ」
「なるほど、ラーメン、と……」
何をメモしているんだろう……。
その後も、クラスメイトから色々聞かれる機会が増えた。
「ねえねえ師匠。師匠は人前で何かする時、心がけてるルーティーンとかある?」
「えっと、なんか食べますね」
「なるほどー」
なんだなんだ。
これを、生暖かい目で見つめるぼたんちゃんなのだ。
「やっぱりクラス中にバレてたかあ……」
なんか言ってる。
休み時間にも、みんな取材と言いながら私の配信動画を見ている。
主にダンジョンじゃない時の配信の方だね。
「はづきっちのすごろく、ダンジョンのはイベントマスで係の人とカードバトルにしようかなって」
「係の負担大きくない? それにランダムすぎてお客さん負けそう」
「じゃあプチ神経衰弱とか」
「カップの中にはづきっちのミニフィギュアを入れて、シャッフルして当ててもらうやつ」
「それだ!」
どんどん決まっていく。
我がクラスが、まさに一丸となって突き進んでいる!
何がみんなを結束させているんだろう……。
不思議だ……。
「そういうのがさっぱり分からないところが、はづきちゃんのいいところよねえ」
「な、なんの話なんだぼたんちゃん!」
「いいのいいの。今日はカフェオレフラッペ奢ってあげるね」
「ほんと!? うひょーありがとう!」
「あ、あたしは……!?」
「イノッチに奢ったらグランドサイズ確定でしょ……」
「師匠もグランドサイズだと思うけど……」
「はづきちゃんはいいのよ」
「ひいきだー!」
そんなやり取りをしつつ、四人で駅前のコーヒーショップに行ったりする。
ここにもうちのクラスの女子たちがいて、ドリンクを飲みながら論を戦わせていた。
あんな真剣な姿、授業中でも見たことないなあ。
「みんなはづきちゃんのこと大好きなのよ。だって、我が校が誇るスーパーヒロインだもの」
「そ、そこまでのものかなあ……。ほら、芸能人出身高校とかたくさんあるじゃない」
「リアルタイムで在校してるっていうのが大きいと思うな。それに……」
「師匠は一回、この学校を救ってるからね!」
「うんうん、先輩が上の階から降りてきて、押し寄せるデーモンをやっつけたのは痺れた~」
興奮のはぎゅうちゃんと、うっとりするもみじちゃん。
あー、あれかー。
あれは私が配信を始めてそんなに経ってない頃だもんね。
ダンジョンハザードは大変だったなあ。
今はイノシカチョウのみんなも、ダンジョンハザードに対処できるくらいの実力を身につけている。
もみじちゃんなんか単独で制圧できるでしょ。
「とにかく、今回の出し物はすごくいいものになりそうだなって思うな。はづきちゃんは楽しみにしてていいと思うよ」
「そ、そう? あと、なんか私は仕事を依頼されないんだけど……」
私だけ、なんか色々聞かれるだけで、その後にもらったジュースを飲んだりして放課後を過ごしているのだ。
手伝っている気がしない……!
なので、内職でポチポチと大京さんのアバターの修正をしたりしている。
「師匠は十分すぎるくらい仕事してると思うけど? あ、そっか」
「そうそう」
むむっ、はぎゅうちゃんともみじちゃんが、コソコソ話を始めた!
なんだなんだ。
もみじちゃんがすぐにこっちに向き直る。
「みんな先輩のお世話になってるから、今回はゆっくりしててっていうことじゃないかなーって」
「あ、そういうことかあ。気にしなくていいのに」
お料理のことかな?
確かに色々教えたなあ。
「師匠がすぐに納得してしまった」
だけど、私も手伝えることがあったら手伝いたいなあ。
ほら、シャッフルに使うきら星はづきフィギュアとかは、市販のものでもいいけどそういうのを用意してあげることもできるし……。
ということで、私はそれを委員長に提案した。
「ええっ!? わ、悪いよそんなにしてもらって! だって凄く忙しいでしょ!? 放課後に残ってもらってるだけでもみんな感謝してるのに……」
「ま、まあ、同じクラスメイトなんで、そんなに気を使わないでもらっても……。な、なのでちょっと作ってくるので……」
「作る!?」
既に随分前から、私はSDきら星はづきの3Dモデルを作成してくるくる回したりして遊んでいたのである。
これは後々式神に使えるかなーと思っていたんだけど、思わぬデビューの日が来たな。
たこやきにザッコで連絡し、会社の3Dプリンターを使わせてもらう。
何日か掛けて、五体くらいのきら星はづき3Dモデルを出力した。
これをクラスに持ち込む。
クラスメイトたちが、大歓声でそれを迎えた。
「かわいいー!!」「こんなの見たこと無い!」「えっ、これ作ったの!? 凄い……」
「い、いやあ、たまたま偶然3Dデータがあったから、知り合いが偶然持ってた3Dプリンターで出力してバリを削って処理して持ってきただけで、そんな大したことは……」
後日、可動可能になったこのモデルでベストラフィングカンパニーさんからSDフィギュアのすらいむろいどシリーズで出るかもだけど。
こうして彼女たちは、私のフィギュアをキャッキャしながら塗り始めた。
どんな彩色になるのか楽しみではある……。
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